- 子どもの様子が気になり、発達障害の傾向があるか家庭で確かめたい
- 病院に行くべきか、どこに相談すればいいか迷っている
- 病院ではどんな検査をするのか知っておきたい
「何度注意しても、忘れ物が減らない」「友達とのトラブルが続いている」「話せばわかっているのに、テストになると答えられない」——。
お子さまのこうした様子が気になり、「簡単にチェックできる方法はないのかな」と気になっている保護者さまも多いのではないでしょうか。
最初に結論をお伝えすると、発達障害には、それ一つで診断が決まる「診断テスト」はありません。発達障害の診断は、保護者さまからの聞き取りやお子さまの様子、心理検査の結果などを組み合わせて、医師が総合的に判断します。インターネット上のチェックリストでできるのは、お子さまの様子を整理し、相談や受診を考える目安をつけるところまでとなります。
この記事では、家庭で使える簡易チェックリストと、年齢別に現れやすい困りごと、受診・相談の目安、そして医療機関で行われる検査の種類をまとめました。お子さまの今の様子を落ち着いて振り返り、次の一歩を考える材料としてお役立ていただければ幸いです。
- 発達障害の「診断テスト」と、医師による診断の違い
- ADHD・ASD・LDの傾向を確認できる簡易チェックリスト
- 受診・相談を考える目安と、主な相談先
- WISC-Vなど、医療機関で行われる検査の種類
▼目次
発達障害の「診断テスト」はある?家庭でできるチェックと医師の診断の違い

いくつかの質問に答えれば「ADHD」「ASD」といった結果が出るような診断テストをお探しの方もいらっしゃるかもしれません。ですが、実際の診断は、そうした形では行われません。
医療機関での発達障害の診断は、主に次のような情報を組み合わせて行われます。
- 問診:
生まれてから現在までの発達の様子や、家庭・学校で困っていることを、保護者さまから詳しく聞き取る - 行動観察:
診察室でのやりとりや遊びの様子から、お子さまのコミュニケーションや行動の特徴を見る - 心理検査:
知能検査のほか、特性の傾向を調べる検査や質問紙による検査を行う - 学校からの情報:
担任の先生から、授業中や集団生活での様子を聞き取る
医師はこれらの情報を、DSM-5-TR(アメリカ精神医学会の診断基準)やICD-11(世界保健機関の国際疾病分類)といった診断基準に照らし合わせ、総合的に判断します。心理検査もあくまで判断材料の一つで、検査の結果だけで診断が決まることはありません。
一方、ご家庭でできるようなチェックリストは、日常の様子を振り返り、「どんな場面で困りごとが起きているか」を整理するための道具です。当てはまる項目があったとしても、それだけで発達障害かどうかは判断できません。反対に、当てはまる項目が少なくても、お子さまが大きな困りごとを抱えている場合もあります。
チェックの結果にかかわらず、お子さまが学校に行きづらくなっている、毎日つらそうにしているなど、困りごとが大きいと感じる場合は、早めに学校や専門機関へ相談することをおすすめします。相談先については、この後の章で詳しくご紹介します。
【簡易チェック】ADHD・ASD・LDの傾向と年齢別のサインを確認する

まずは、ADHD(注意欠如・多動症)、ASD(自閉スペクトラム症)、LD(学習障害)の3つについて、それぞれの特徴を簡単にまとめました。お子さまの普段の様子を思い浮かべながら、当てはまるものをチェックしてみましょう。
このチェックリストは、診断を行うものではありません。お子さまの様子を整理し、相談や受診を考える目安としてご利用ください。
また、ここで紹介するサインは、発達の特性以外の理由(年齢相応の個人差、環境の変化、心身の疲れなど)で見られることもあります。
ADHD(注意欠如・多動症)の傾向をチェック
ADHDは、「不注意」と「多動性・衝動性」の2つの面から特性が現れます。どちらか一方が目立つお子さまもいれば、両方が見られるお子さまもいます。
ADHDの傾向をさらに詳しく確認したい場合は、50問のチェックリストもご活用ください。
ASD(自閉スペクトラム症)の傾向をチェック
ASDは、「対人関係やコミュニケーション」と「こだわりや感覚の特性」の2つの面から特性が現れます。
LD(学習障害)の傾向をチェック
LDは、知的な発達に遅れがないのに、「読む」「書く」「計算する」など、特定の学習の技能だけに著しい困難がある状態です。「話せばわかる、聞けば答えられるのに、読む・書く・計算になるとできない」というギャップは、単なる勉強の苦手さと学習障害を見分ける上での大きなポイントになります。
なお、勉強全般が苦手なこと自体は、LDとは異なります。読む・書く・計算の領域ごとに詳しく確認したい場合は、以下のLDのチェックリストをご覧ください。
年齢別に現れやすい困りごとをチェック|小学生・中学生・高校生
同じ特性でも、学年が上がり、求められることが変わるにつれて、困りごとが目立つ場面は変わっていきます。小さい頃は気にならなかったのに、ある時期から急に困りごとが増えた、というケースもあります。お子さまの学年に合わせて、次の様子もあわせて見てみましょう。
学年ごとの困りごとや関わり方は、次の記事でも詳しく解説しています。
受診・相談を考える目安と相談先

チェックで当てはまる項目が多い方は、「病院に行くべきか」「どこに相談すればいいか」を迷われるかと思います。ここでは、受診・相談を考える目安と、主な相談先をご紹介します。
受診・相談を考えたい目安
次のような様子が見られる場合は、チェックリストの結果にかかわらず、一度相談することをおすすめします。
- 困りごとが原因で、学校生活や家庭生活に支障が出ている
- 「学校に行きたくない」「自分はだめだ」といった言葉が増えるなど、お子さまが辛そうにしている
- 家庭や学校で工夫を続けても、困りごとが改善しない
- 学校の先生から、特性について指摘や相談があった
反対に、当てはまる項目が多くても、お子さま自身が困っておらず、生活にも大きな支障がない場合は、様子を見ながら、必要になったときに相談する形でも大丈夫です。
主な相談先
- 学校:
担任の先生、スクールカウンセラー、特別支援教育コーディネーターの先生など。学校での様子を共有でき、校内での配慮にもつながりやすいです。 - 自治体の相談窓口:
発達障害者支援センター、教育相談センター、子育て支援の窓口など。状況に応じて、医療機関や支援機関を紹介してもらえることがあります。 - 医療機関:
児童精神科、小児科の発達外来、小児神経科など。専門的な検査を受けたり、医学的な診断を受けることができます。
どこに相談すればよいかわからない場合は、まず学校や自治体の窓口に相談してみましょう。また、発達を専門とする医療機関は、地域によっては初診の予約まで数か月かかることもあります。受診を考えている場合は、早めに問い合わせると安心です。
受診前に準備しておきたいこと
問診では、これまでの発達の様子や、困りごとが起きている具体的な場面を詳しく聞かれます。次のようなものを用意しておくと、お子さまの様子を正確に伝えやすくなります。
- 気になる様子を、日付や場面とあわせて書き留めたメモ
- 母子健康手帳、保育園・幼稚園の連絡帳、小学校の通知表など、これまでの様子がわかる資料
- 学校の先生から聞いた、授業中や休み時間の様子
- この記事のチェックリストで当てはまった項目
医療機関で行われる主な検査の種類
医療機関では、問診や行動観察に加えて、必要に応じて検査を行います。どの検査を行うかは、医療機関やお子さまの状況によって異なります。ここでは、代表的なものを紹介します。
なお、いずれの検査も、単独で診断を決めるものではありません。医師が問診や行動観察の結果とあわせて、総合的に判断するための材料となります。
WISC-Vなどの知能検査
知能検査は、知的な発達の程度や、得意なこと・苦手なことのバランス(認知の特性)を調べる検査です。代表的なものが、5歳0か月〜16歳11か月を対象としたWISC-V(ウィスク・ファイブ)で、次の5つの指標から、お子さまの認知の特徴を捉えます。
- 言語理解(VC):言葉を使って理解したり、考えたり、説明したりする力
- 視空間(VS):図形や空間の位置関係を捉える力
- 流動性推理(FR):初めて出会うパターンやルールを見つけ出す力
- ワーキングメモリ(WM):情報を一時的に頭の中に保持しながら、同時に操作する力
- 処理速度(PS):単純な作業を、素早く正確にこなす力
WISC-Vは、発達障害を診断するための検査ではありません。ですが、知的な発達に遅れがないかを確かめたり、得意・不得意の差を把握したりする材料として、診断の過程で用いられることがよくあります。ほかにも、田中ビネー知能検査やK-ABC-Ⅱなどが使われることがあります。
WISC-Vの検査内容や結果の見方、知能の高さ(ギフテッド)が気になる方は、次の記事も併せてご覧ください。
ADHDの傾向を調べる検査
ADHDの診断の際には、家庭や学校での行動を保護者さまや先生に回答してもらう質問紙(評価尺度)がよく使われます。代表的なものに、ADHD-RS(家庭版・学校版)や、Conners 3(保護者用・教師用・本人用)があります。
家庭と学校の両方から情報を集めることで、特性が一つの場面だけでなく、複数の場面で見られるかを確かめます。
ASDの傾向を調べる検査
ASDの診断の際には、保護者さまへの面接を通して幼児期からの行動を確認するPARS-TRや、専門家が遊びや会話を通してお子さまの行動を観察するADOS-2などが用いられます。
また、「50問の診断テスト」として知られるAQ(自閉症スペクトラム指数)は、ASDの傾向を調べるスクリーニング検査で、児童用は保護者さまが回答します。AQも、それだけで診断が決まるものではありません。
LDの傾向を調べる検査
LDの評価では、知能検査で知的な発達に遅れがないかを確認した上で、音読の正確さや速さ、書き取りの正確さなどを調べる読み書きの検査(STRAW-Rなど)や、計算に関する検査が行われます。読み書きの能力に関する詳しい検査は、言語聴覚士や心理職が担当することが多いです。
また、先生など、お子さまの学習の様子をよく知る大人が回答するLDI-Rという調査票が使われることもあります。
チェック結果や診断をどう活かすか|診断名より「どこでつまずいているか」

チェックリストや検査の結果を、これからの関わり方にどう活かしていけばよいのでしょうか。ここでは、そのヒントになる考え方をご紹介します。
困りごとの背景は、育て方やしつけではない
発達障害は、生まれつきの脳の働き方の特性によるもので、保護者さまのしつけや愛情のかけ方が原因で起こるものではありません。また、お子さま本人の努力不足や、わがままでもありません。
何度言っても忘れ物が減らない、同じことで何度も叱ってしまう——。そうした毎日の中で、ご自身を責めてしまう保護者さまもいらっしゃるかもしれません。ですが、困りごとの背景に特性があるとわかれば、叱る・言い聞かせるとは違う関わり方を選べるようになります。チェックリストは、そのための手がかりの一つです。
同じ診断名でも、つまずく場所は一人ひとり違う
診断名は、支援につながるための入り口にはなります。ですが、それだけで「この子にはこうすればいい」という答えが出るわけではありません。同じADHDやASDでも、困りごとの現れ方は一人ひとり大きく異なるためです。
そこで役立つのが、困りごとを、情報の
「入力(見る・聞く・読む)」
「処理(理解する・考える)」
「出力(話す・書く・行動する)」
のどこでつまずいているかという視点で捉えることです。
たとえば、同じ「宿題が終わらない」という困りごとでも、
- 先生の指示を聞き取れておらず、何をすればいいかわかっていない(入力のつまずき)
- 問題の意味を理解するのに、時間がかかっている(処理のつまずき)
- わかっていても、書く作業に大きな負担がかかっている(出力のつまずき)
のどれなのかによって、効果的な工夫は全く違ってきます。チェックリストでどの項目に当てはまったか、検査でどの力が得意・苦手と出たかは、この「どこで」を探るための材料になります。
診断がつかなくても、困りごとを解消するための工夫はできる
医療機関を受診しても、「特性の傾向はあるが、診断基準は満たさない」と言われることがあります。いわゆる「グレーゾーン」と呼ばれる状態です。
グレーゾーンは、困りごとが軽いという意味ではありません。診断がつくかどうかにかかわらず、お子さまが困っているという事実は変わらないため、どこでつまずいているかを見極めながら、工夫や支援を考えていくことが大切です。
診断名で終わらせない、本人の性質に合わせたメガジュンのアプローチ

メガジュンは、発達に特性のあるお子さまや、集団の中では力を出しにくいお子さまに、プロの家庭教師が完全マンツーマンで寄り添う指導を行っています。
本人の性質とつまずきの原因を見極める「個別理解」
メガジュンでは、診断名でお子さまを分類するのではなく、見る・聞く・覚える・考えるといった力の得意さ・不得意さ、これまで過ごしてきた環境、そして性格や価値観までを含めて、お子さまを多角的に理解することから指導を始めます。
「ADHDだからこうする」「ASDだからこの方法」と決めつけるのではなく、目の前のお子さまが、入力・処理・出力のどこでつまずいているのか。どんな場面なら力を発揮できていて、どんな場面だと発揮しづらいのか。WISCなどの検査結果がある場合はそれも手がかりにしながら、実際の答案や学習への取り組み方を丁寧に観察していきます。
得意や好きを入り口に、自立へ伴走する
苦手なことを根性や精神論で乗り越えさせるのではなく、まずは負担を減らすための工夫を行います。たとえば、タイマーで取り組む時間の見通しを持たせる、やることを一つずつ書き出したタスク管理シートで「今やること」を目に見える形にする、といった環境の調整です。
その上で、お子さまの得意なことや好きなことを学習の入り口にし、「こうすればできる」という成功体験を積み重ねていきます。自分に合ったやり方を本人が知っていることは、学年が上がり、自分で学習を進める場面が増えたときの大きな支えになります。
まとめ|チェックリストは、お子さまに合った工夫を見つける”地図”

発達障害には、それ一つで診断が決まる「診断テスト」はありません。診断は、医師が問診や行動観察、検査の結果などをもとに総合的に判断するもので、家庭で使うチェックリストは、お子さまの様子を整理し、相談や受診を考えるための目安です。
チェックの結果を見るときは、当てはまる数よりも、複数の場面で見られるか、以前から続いているか、そしてお子さまがどれくらい困っているかに着目していただければと思います。また、困りごとが大きい場合は、結果にかかわらず、早めに学校や専門機関に相談することをおすすめします。
そして、チェックリストや検査の結果は、お子さまに診断名をつけるためだけのものではありません。お子さまが「どこでつまずいているのか」を知り、その子に合った工夫を見つけるための地図として、活用していただければと思います。
「チェックで当てはまる項目があったけれど、何から始めればいいかわからない」
「検査の結果を、毎日の勉強にどう活かせばいいか相談したい」
こんな思いを抱えていらっしゃる保護者さまは、まずは一度、メガジュンの無料相談でお話をお聞かせください。お子さまの様子やこれまでの経緯をうかがいながら、どこにつまずきがありそうか、これからどう関わっていけるかを、一緒に考えていきます。

