41. 自分のルールやルーティンが崩れると機嫌が悪くなる
自分のルールやルーティンが崩れると機嫌が悪くなるのは、ASD(自閉スペクトラム症、アスペルガー症候群)の特性の一つです。ASDの方は未来のことを想像するのが苦手なため、ルールやルーティンが崩れて不確定な要素が生じるとストレスを感じ、不機嫌になったり癇癪を起こしてしまったりします。
一方で、「ルーティンが崩れると不機嫌になる」というのは幼いお子さまの場合でも見られる行動です。幼いお子さまもASDの方と同様に、未来を予測する能力が十分備わっていないため、ルールやルーティンが崩れると不安を感じてしまいます。「いつもの靴じゃなきゃ嫌だ!」と幼い子どもが駄々をこねるのは、こうした心理的な背景が関係しています。
定型発達のお子さまの場合は、成長するにつれ未来を予測できる力が身に付くため、「いつもと違う靴でも困ったことは起こらない」ということが分かるようになり、駄々をこねることも少なくなってきますが、ASDの方はそうした力が身に付きづらく、年齢が上がってもいつもと同じであることにこだわり続ける傾向にあります。
ASDのお子さまに「もっと融通が利くようになってほしい」「臨機応変に対応してほしい」と感じるのは、保護者さまであれば当然のことです。特に、外出先でこだわりが出たりすると、周りの目などもあり気が気で無くなると思いますし、学校でのトラブルに関しても、学年が上がるほど「もう少し器用に立ち振る舞えば良いのに」と感じる場面が増えてくるかもしれません。
ただ、ASDの方の中にはそうしたこだわりを我慢し、頑張って“普通に”過ごそうとしている方もいます。特に女の子に多いと言われていますが、自分のこだわりや振る舞いが周りから浮いていないか常に気を使っていて、一見すると定型発達の子のように見えるのですが、内面ではいつも強いストレスを感じており、ストレスが限界に達してしまってうつ病や不安障害などを発症してしまう人も少なくありません(二次障害)。
ASDのこだわりに関しては、無理に直そうとするのではなく、「上手く付き合う」という視点が大切です。学校行事などのイレギュラーなイベントが苦手なのであれば、無理に参加せず教室で自習するなどの対応ができるか先生に相談してみたり、どうしてもルーティンが崩れてしまう日があるときは、その日の予定をできるだけ詳しく示してもらい、見通しが持てるようにするなどの対応が考えられます。
ほかにも、例えば学校で宿泊学習の予定がある場合は、事前に家族で下見に行ってその場所に慣れておいたり、文具の並べ方など他の人に迷惑が掛からない程度のこだわりであれば無理に直そうとしないなど、本人のストレスを少しでも減らせるように工夫すると良いでしょう。
不安になる気持ちそのものを無くすことはできませんので、我慢したり、無理に自分を変えたりしようとせず、自分自身を大切にしながら対応を考えていくことが大切です。
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