53. 提出物やテスト範囲の把握、大事な約束などでうっかりミスが多い

提出物やテスト範囲の連絡、大事な約束などでうっかりミスが多いお子さまの場合、その原因としては、

・ADHDの不注意特性
・メモを取る習慣が無い
・大事なことでも、「大事ではない」と誤って認識してしまっている


などが考えられます。

いずれの場合もこまめにメモを取ることによって改善できますが、こうしたお子さまはそもそもメモの取り方やメモを取るタイミング自体が分かっていないことも多いため、「メモを取るように」と指示するだけでなく、

①筆箱に入るサイズのメモ帳を用意して、いつでもメモできるようにする
②メモ帳はあちこちに移動させず、筆箱の中やカバンのポケットなど、定位置を決める
③「宿題」や「テスト範囲」など、何をメモするか(何が重要であるか)を最初から決めておく


など、具体的な対策を行うことが大切です。

例えば、「①筆箱に入るサイズのメモ帳を用意して、いつでもメモできるようにする」については、「メモをしなきゃ!」と思ってメモを探しているうちに大事なところを聞き逃してしまう…といったミスが多いお子さまに対する工夫として効果的です。筆箱の中にメモ帳を入れておけば、メモをしたいときにすぐに取り出してメモできるようになります。

「②メモ帳はあちこちに移動させず、筆箱の中やカバンのポケットなど、定位置を決める」も同様に、メモをしたいときにすぐにメモできるようにするという目的のほか、メモした紙自体を失くしてしまうお子さまも多いため、定位置を決めることでメモを失くさないようにするという効果が期待できます。

「③『宿題』や『テスト範囲』など、何をメモするか(何が重要であるか)を最初から決めておく」については、何をメモすべきか(何が重要か)を判断するのが苦手なお子さまに対して効果的な方法となります。メモすべきかどうかをその都度判断していると、重要なことでも「メモしなくてよい」という判断ミスをしてしまったり、「メモすべきかどうか」を悩んでいるうちに話の内容を聞き逃してしまったりするかもしれません。そのため、「宿題の内容」「テストの範囲」「授業変更」など、メモすべきことをあらかじめ決めておくという方法になります。

特にADHDの方はワーキングメモリー(情報を保持しながら次の処理を行う脳の働きのこと。詳しくはこちらの項目(→46. ③ワーキングメモリー指標(WMI))で解説しています)が低いため、「この話はメモすべきか」と考えていると脳のワーキングメモリーが圧迫されて、肝心の話の内容に集中できない場合があります。そのため、何をメモすべきかあらかじめ決めておき、メモすべきかどうかを考えるプロセスを省略できるこの方法が非常にオススメとなります。

★もっと詳しく知りたい方はこちら→発達障害のメモの取り方の工夫とは?仕事を覚えられない人にオススメの方法10選 (pro-megajun.com)