発達障害の子が国語が苦手な理由とは?読む・書く・考えるが苦手な子への支援法
- 発達障害の子が国語を苦手とする理由(ADHD/ASD/LDの特性と関係)
- 「読む・書く・考える」のどこでつまずいているかの見極め方
- 家庭でできる読み・書き・思考の支援法(今日から使える具体策)
「文章題だけ極端に時間がかかる」
「作文になると何を書けばいいか分からない」
小学生の保護者さまから「国語だけがどうしても伸びない」というご相談をいただくことがあります。読書は嫌いではない、音読もスラスラ読める。それでも設問の意図がつかめなかったり、要約や記述でつまずいたりするお子さまは少なくありません。
こうしたケースの背景には、単なる勉強量の不足ではなく、発達特性による“認知のバランス”の影響が隠れていることがあります。文章を読む、内容を整理する、考えを言葉にする――これらはすべて別の力であり、どこか一つでつまずくと全体の流れが止まってしまいます。
国語が苦手な発達障害やグレーゾーンのお子さまに共通するのは、「読む・書く・考える」が一体化しにくいという点です。集中が切れやすい、登場人物の心情を想像するのが難しい、語彙の使い分けが苦手など、特性によって表れ方はさまざまですが、いずれも「言葉を扱う負荷の高さ」につながります。
この記事では、発達障害のお子さまが国語を苦手とする理由を整理しながら、家庭でできる支援のヒントを紹介します。
やみくもに文章を読ませたり書かせたりするのではなく、認知の特性の理解から始めることが、苦手の克服の第一歩につながります。
こんな方におすすめ
- 発達障害(グレーゾーン含む)と国語の苦手さの関係を知りたい
- 音読はできるのに意味が理解しづらい/要約が苦手で困っている
- 記述問題で根拠が書けない・話が飛ぶ
- 家庭でできる具体的な支援のコツを知りたい
▼目次
なぜ、発達障害の子は国語が苦手になりやすいのか
お子さまの国語の成績が上がらないと、「勉強量が足りないのでは」「努力不足なのかな」と感じてしまうことがあるかもしれません。
しかし実際には、発達特性によって「読み取る」「整理する」「言葉にする」という過程のどこかに負荷がかかっていて、伸び悩んでいるケースがほとんどです。
ここでは、国語という教科の特性と、発達障害の子がつまずきやすいポイントを整理していきます。
国語は「見えない力」を統合する教科
国語は、知識だけで解ける科目ではありません。
言語理解・ワーキングメモリ・注意配分・心情理解・推論・語彙アクセスなど、複数の認知スキルを同時に働かせる必要があります。
そのため、どれか一つの力に偏りや弱さがあると、全体の流れが止まりやすいのです。
例えば、本文の主語が途中で入れ替わる文章や、比喩・婉曲表現を含む設問では、「何について語られているか」を維持するワーキングメモリが大きな役割を果たします。
注意が散りやすいADHD傾向の子や、文脈よりも語の意味に意識が向きやすいASD傾向の子にとっては、このような「見えない情報の保持」は特に負荷が高くなります。
また、国語は答えが一つに定まらない教科です。
「どの根拠を拾うか」「どんな言葉で説明するか」が評価の鍵になるため、「間違いを恐れるタイプの子」や「指示が曖昧だと不安になる子」ほど混乱しやすくなります。これも、発達特性がある子に現れやすい傾向のひとつです。
発達障害の特性ごとに現れやすい“つまずき”
発達障害の特性ごとに見られやすいつまずきは、以下のとおりです。
-
ADHD:
- 注意が移りやすく、設問を読み飛ばす
- 本文と設問を行き来する際に情報が抜け落ちる
- 根拠を拾わず「なんとなく」で答えてしまう
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ASD:
- 比喩や心情描写など抽象的な表現の理解が苦手
- 登場人物の意図や感情を推測する問題で誤答が増える
- 指示語・省略語の解釈に時間がかかる
-
LD(学習障害):
- 読み書きそのものに困難がある
- 音と文字の対応が弱く、語の形を保持しづらい
- 内容理解よりも読字そのものに労力が割かれる
こうしたつまずきが、結果的に国語の苦手さとして現れることになります。
「読む・書く・考える」は連動している
国語の力は、「読む=入力」「書く=出力」「考える=統合」の3つが連動して働くことで成り立ちます。どれか一つがスムーズでないと、他の工程にも影響が出ます。
例えば「読む段階」で主語・述語を正しく捉えられなければ、「考える段階」で話の筋を組み立てられず、「書く段階」では主述関係が混乱してしまう――といった形です。
そのため、国語の苦手を克服するには、“どのプロセスでつまずいているか”を細かく見極めることが大切です。
読むのが苦手なのか、考えをまとめるのが苦手なのか、それとも表現するのが苦手なのか。
お子さまのつまずきポイントを明確にすることで、ご家庭での支援も格段に取り組みやすくなります。
なぜ「読んでいるのに理解できない」が起こるのか
小学生の段階では、語彙や文章構造の理解が未発達なことに加えて、「文章の目的」や「筆者の意図」を推測する力が育ちきっていないケースも多く見られます。
特にASD傾向の子は文字通りの意味には強い一方で、行間を読む・感情を想像することが難しいため、物語文や説明文の問題で「本人なりに読んでいるのに的外れな答えになる」というギャップが生じやすいです。
また、ADHD傾向の子の場合は、集中力が断続的になることで文章全体のつながりが追いにくく、途中の一文に意識が取られて全体像を見失うことがあります。
こうした理由から、そもそも国語は単なる学力科目ではなく、 思考や感情を言葉で扱う練習の場とも言えます。
だからこそ、「努力で何とかしよう」ではなく、つまずきの構造を理解して支援を設計することが重要になります。
次の章では、実際にどのような“サイン”が見られるときに支援が必要なのか、具体的な例を挙げながら解説していきます。
発達障害で国語が苦手な子によく見られる5つのサイン

発達障害やグレーゾーンの子どもたちは、国語のテストや授業中に特有の“サイン”を示すことがあります。これらのサインに注目することで、理解や表現に関わるプロセスのどこにつまずきがあるかを分析することができます。
以下では、こうした「つまずきのサイン」について解説していきます。
サイン①音読はできるが内容が頭に残らない
1つ目のサインは「音読はできるが内容が頭に残らない」です。
スラスラ読めているのに「どんな話だった?」と聞くと答えられないタイプです。読むことに集中しすぎて内容を整理する余裕がなく、結果として理解が浅くなってしまいます。
こうしたサインが見られる場合は、文字の読み取りと意味の統合を同時に行うことに苦手さがあると考えられます。
サイン②「なぜ?」に根拠をもって答えられない
2つ目のサインは「『なぜ?』に根拠をもって答えられない」です。
質問に対して感覚的に答えてしまい、「本文のどこを根拠にしたのか」があいまいになりやすいタイプです。
設問と本文を対応づける作業に時間がかかり、根拠を抽出する力につまずきがあると考えられます。
サイン③主語や述語が抜ける・順序が飛ぶ
3つ目のサインは「主語や述語が抜ける・順序が飛ぶ」です。
国語が苦手なお子さまの場合、作文や要約で「誰が」「何をした」が抜けてしまうことがあります。これは、文章全体を保持しながら再構成するワーキングメモリの働きが弱いために、内容が断片的になってしまっていると考えられます。
読む・書くの両面でつまずきが表れやすいのが特徴です。
サイン④設問の条件を読み落とす
4つ目のサインは「設問の条件を読み落とす」です。
これは、国語だけでなく算数や理科・社会など、他の教科でも見られるサインです。
「二つ選べ」「本文中から抜き出せ」などの条件を見落としがちで、内容は分かっているけれどテストの点が伸びないお子さまにありがちなケースです。
これは、注意の切り替えや細部の処理が苦手で、問題文の最後まで意識が届かないことが要因であると考えられます。また、一文一文に集中しすぎるタイプにも見られるサインです。
サイン⑤語彙が少なく言い換えが苦手
5つ目のサインは「語彙が少なく言い換えが苦手」です。
同じ表現ばかり使ってしまう、本文の言葉を自分の言葉に置き換えられないといった特徴が見られます。語彙のネットワークが狭いため、考えを言葉にする際に選択肢が少なく、結果的に文章表現が単調になります。
発達障害で国語が苦手な子によく見られる5つのサイン:まとめ
このように、国語が苦手なお子さまは理解した内容を構造的に整理したり、言葉に変換したりする工程でつまずいていることが多いです。
つまり、国語の苦手は知識や練習量の問題ではなく、情報処理のクセの問題であると言えます。
次の章では、この情報処理のクセに対応していくために、家庭でできる具体的な支援法を紹介します。
国語が苦手な子に家庭でできる支援法:「読む」「書く」「考える」を分けて育てる

国語の苦手を克服する第一歩は、「読む」「書く」「考える」を一度に求めないことです。発達障害やグレーゾーンのお子さまは、これらを同時に処理するのが難しいため、順番に切り分けて練習することが大切です。
ここでは、家庭で実践しやすい3つのステップを紹介します。
ステップ① 読む力を育てる:「音読+1文要約」
最初に取り組みたいのは読む力です。特に低・中学年のうちは、「読めている=理解できている」とは限りません。読みながら意味をつかむ練習を、声に出しながら行うのが効果的です。
おすすめは、音読→1文要約の組み合わせです。一段落読んだあとで、「誰が」「何をした」を1文で言葉にしてみましょう。要約は短くて構いません。読んだ内容を自分の言葉で整理することがポイントです。
慣れてきたら、本文の語を引用して答える練習を加えます。例えば、「なぜ主人公はうれしかったのか?」と聞かれたときに、「本文に『胸が躍った』と書いてあるから」と答えられるように導くと、根拠を元に説明する習慣が身につきます。
ステップ② 書く力を育てる:「構造を見える化」
次に育てたいのは書く力です。発達障害のお子さまは、頭の中の情報を整理しながら書くことが難しい場合があります。いきなり「作文を書こう」とすると負荷が高いため、構造を目に見える形にしてから書くのがポイントです。
具体的には、「三文テンプレ(結論→理由→例)」を使い、順序立てて文章を作る練習を行います。最初は口で話し、それを保護者さまがメモにしてあげる形で大丈夫です。段階的に「口→メモ→清書」の順で進めると、話の筋が整いやすくなります。
- 用途別の声かけ(物語文)
-
- 結論:主人公はどんな気持ち?
- 理由:その気持ちが分かる行動・言葉はどこ?
- 引用:「 」の中に本文の言葉を一つだけ写そう。
- 用途別の声かけ(説明文)
-
- 結論:筆者はいちばん何を伝えたい?
- 理由:指示語・言い換えを追うとどうつながる?
- 引用:キーワードを一語だけ本文から抜き出して添えよう。
また、話が飛びやすいお子さまには、「つなぎ言葉カード(だから・しかし・たとえば など)」を活用すると効果的です。文と文のつながり(=構造)を意識させることで、文章全体の一貫性を保てるようになります。
ステップ③ 考える力を育てる:「理由づけゲーム」
「どうしてそう思うの?」という質問が苦手なお子さまには、遊び感覚で「理由づけ」の練習をするのがおすすめです。指導の現場でもよく使う方法が、理由づけゲームです。
やり方はとても簡単です。親子で交代しながら、「〜だから」「〜のため」と理由を一つずつ言い足していきます。たとえば、「私はお腹がいっぱいです。なぜ?」「ご飯を食べたから」といった形です。理由を言葉にすることに慣れると、考えを整理する力が育ち、記述問題にも強くなります。
このとき大切なのは、正しい答えを出そうとしないことです。
お子さまの答えには突飛なものもあるかもしれませんが、あくまで思考の筋道を言語化する練習として捉えましょう。「理由づけをする」という行為に慣れていくことが、自信につながります。
ステップ④ 学習環境を整える:「短時間+見通し+プロセス承認」
どんなに良い練習方法でも、時間が長すぎたり、終わりが見えなかったりすると集中が続きません。特に、発達障害の傾向のあるお子さまは集中が途切れやすいため、適切な見通しと区切りを示してあげることがとても大切です。
そこで、ご家庭での学習の際には、ぜひ以下の3点を意識していただきたいと思います。
- ① 短時間で区切る
- 高学年でも1回20〜30分が目安。疲れる前に終えることで「またやろう」という気持ちになれます。
- ② 見通しを立てる
- 「今日はここまで」と範囲を決め、終わりが見えるようにすると安心して取り組めます。
- ③ 結果ではなく過程を褒める
- 正解かどうかよりも、「根拠を言えた」「本文を探せた」などのプロセスを褒めるようにしましょう。
この3つを意識するだけでも、ご家庭での学習に対するハードルは大きく下がります。「できた」という体験が次の学習意欲につながるので、ぜひ実践していただければ幸いです。
お子さまの国語力でお悩みの方へ
家庭学習で国語力を伸ばしていくのは簡単ではありません。
ご家庭でのサポートが難しいと感じたときは、プロ家庭教師をぜひご検討ください。
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まとめ:国語の苦手は「練習量」ではなく「認知の構造」の問題
発達特性のあるお子さまが国語でつまずくとき、それは決して努力不足や理解力の欠如ではありません。「読む」「考える」「書く」という3つの工程が同時に求められる教科だからこそ、認知のバランスや情報処理のクセによって、苦手が生じやすいのです。
大切なのは、「どの段階でつまずいているのか」を丁寧に見極めることです。読むのが苦手なのか、考えるのが難しいのか、あるいは書くときに整理が追いつかないのか。それぞれの力を分けて育てていくことで、国語の理解は確実に深まっていきます。
そして、焦らず少しずつ取り組んでいけば、「読むのが苦痛」「何を答えればいいか分からない」と感じていたお子さまでも、根拠を元に考え、言葉で表現する力を身に付けることができます。
お子さまの国語の苦手を“努力の問題”と捉えず、「認知のバランス」という視点からサポートすることが大切です。
専門家と一緒に、お子さまの「読む・考える・書く」を伸ばしてみませんか?
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