【発達障害】文章が書けない・レポートが苦手な子の対処法|作文・小論文が苦手な理由と支援のコツ(ADHD・ASD)
発達障害のお子さまで、文章を書くのが苦手な方はたくさんいらっしゃいます。作文などの課題が出たときに「何でもいいから書いてごらん」と言っても、全く筆が進まない…というお子さまも少なくありません。
発達障害のお子さまが文章を書くのが苦手な理由としては、以下の3つが考えられます。
- 頭の中で情報を整理するのが苦手
- 出来事や気持ちを言葉としてアウトプットするのが苦手
- 「書く」という行為に困難がある(書字障害/ディスグラフィア)
このような困難を持ったお子さまに対して、「とにかく書いて」と指示しても書けるようにはなりません。なぜ書けないのかをきちんと理解し、適切なサポートを行う必要があります。
文章を書くことは、小学校の作文だけでなく、受験のときの小論文や、大学生になってからもレポートを書いたり、社会人になってから報告書をまとめたりと、一生必要となるスキルです。
幼い頃に苦手意識を持ってしまうと、それ以降もなかなか改善されず、後々に大きな困難を抱えることにもつながりかねません。
そこでこの記事では、長年にわたり発達障害のお子さまを支援してきたプロ家庭教師の視点から、お子さまの文章力を高めるためのコツを解説していきます。
ポイントさえ押さえれば、発達障害のお子さまでも文章力を高めることは十分可能ですので、ぜひ最後までお読みいただき、参考にしていただければと思います。
この記事はこんな方におすすめ
- お子さまの文章力を伸ばしたいと考えている保護者さま
- 発達障害のあるお子さまの学力向上を目指している保護者さま
- 発達障害を持つお子さまのサポート方法について知りたい方
▼目次
発達障害の子どもが文章が書けない3つの理由
発達障害には主に以下の3つのタイプがあります:
- ADHD(注意欠如・多動症)…落ち着きがなく集中しづらい
- ASD(自閉スペクトラム症)…こだわりが強く、言葉にしづらい
- SLD(学習障害)…読み書きなど特定のスキルに困難がある
これらは併発することも多いため、この記事では区別せずに扱います。詳しい解説は以下の記事をご覧ください:
→ADHD(注意欠如・多動症)について
→ASD(自閉スペクトラム症、アスペルガー)について
→SLD(限局性学習症、学習障害)について
そもそも文章を書くには、出来事や気持ちを整理し、言葉で表現するという高度なスキルが求められます。
定型発達のお子さまでも作文に苦手意識を持つのはよくあることですが、発達障害がある場合はその傾向がより強く表れやすくなります。
また、SLDのあるお子さまでは、内容を考える力はあっても「書く」という動作そのものでつまずくケースもあります。
そのため、「書けない」の背景を正しく見極めることが大切です。以下では、よくある3つの原因について詳しく解説していきます。
①情報を整理できない|ASD・ADHDの特徴と作文のつまずき

発達障害のお子さまは、頭の中で情報を整理することが苦手です。
ADHDの方の場合は、集中力のコントロールが苦手なことから、いろいろなことが同時に気になってしまい、「時系列ごとに出来事を整理する」「必要な情報を取捨選択する」ということが苦手になります。
また、ASDの方の場合は、こだわりの強さなどが要因となり、「興味の無いことを思い出せない」「不必要に細かい情報ばかり記憶してしまう」などの困りごとを抱える場合があります。
作文を書くときには、テーマに沿った内容について「何を書こうかな?」とまずはイメージする必要があります。ですが、発達障害の方の場合は上述の理由から、
- 何を書こうか考えたいのに、別のことを考えてしまう(ADHD傾向)
- テーマに沿ったアイデアが全く思い浮かばない(ASD傾向)
- たくさんのアイデアが浮かびすぎて、取捨選択できない(ADHD傾向)
といったように、アイデア出しの時点でつまずいてしまうことが多くなります。
原稿用紙を前にしながら全く筆が進まない、もしくは別のことを始めてしまうお子さまはこのタイプである場合が多く、「書いてごらん」と言われても、何を書いてよいのかわからないという状態になってしまっています。
また、お子さまとお話しするとき、「話があちこちによく飛ぶ」「思いついたことから話している」「話の要領が得なかったり、出来事の順番がぐちゃぐちゃになったりする」という場合も、アイデア出しの時点でつまずきやすいお子さまであると考えられます。
というのも、人間の脳は「話す→書く」という順番で発達していきます。ですので、話す内容を整理するのが苦手なお子さまは、書く内容を整理することも苦手である場合が多いです。
アイデア出しが苦手なお子さまの場合は、思考を整理するトレーニングから始めましょう。
思考を整理するトレーニングには、「インタビュー形式で考える」「図で表す」「アイデアを全て書き出してみる」などの方法があります。詳しい方法は「2.発達障害のお子さまが文章を書けるようになるための3つの方法」で解説していますので、ぜひご覧ください。
②出来事や気持ちを言葉で表現できない|言語化が苦手な発達障害のお子さま

何となく頭の中で書きたいことがイメージできたら、次は文章として具体的にアウトプットしていく必要があります。
ですが、発達障害のお子さまの中には言葉を扱うのが苦手で、書きたいことはあるけれど上手く文章にできない場合があります。
発達障害の診断の際には、多くの場合、ウィスクラー式(WISC-IV)という知能検査を受けます。
この検査では、言語理解・処理速度・ワーキングメモリー・知覚推理の4つの指標と、それらを合わせた全検査IQ(FSIQ)を測ることができますが、イメージの言語化が苦手なお子さまは、このうち「言語理解」の数値が低くなる傾向にあります。
また、WISC-IVを受けたことのないお子さまの場合でも、
- 同年代の子と比べて語彙が少ない
- 言葉がすぐに出てこないときがある
- 助詞(て、に、を、は)の間違いが多い
- 相手の話を正しく理解していないときがある
- 文字数の多い本を読みたがらない
といった特徴が見られる場合は、言語理解が苦手な可能性があります。
言語理解の苦手さの背景には、音韻処理(文字と音を結びつける脳の働き)の機能不全が関係していることがあります。
音韻処理不全の程度が大きく、読むことの困難が生じている場合は、読字障害(ディスレクシア)と診断されます。読字障害については、言語聴覚士による訓練などを受けながら、状態の改善を目指すことになります。
言葉を扱うのが苦手なお子さまの場合は、まずは言葉に親しむことが大切です。
幼い頃からの読み聞かせは言語理解の力を高めると言われていますが、小学校に上がった後でも、一緒に本を読んだり、「弟/妹に絵本を読み聞かせてあげて」と役割を与えて上げたりして、文字に触れる機会を増やしてあげましょう。
電車や虫など好きなものがあるお子さまの場合は、図鑑を見るときに文字も意識するよう声掛けしましょう。図鑑をコピーし、一部を白塗りしたオリジナルの学習プリントを作ると、進んで取り組んでくれることが多いです。
アニメが好きなお子さまの場合は、字幕付きで見るのも良いでしょう。アニメのキャラクターの声と字幕が連動することで、音韻処理の機能を高めることができます。
言語理解の低いお子さまは、コミュニケーションが取りづらく、「気持ちが通じていない気がする」と保護者さまが滅入ってしまうケースもあります。
「話してもどこまで理解しているのか分からず、毎日“すれ違ってばかり”という感覚でした」
そのようにおっしゃる保護者さまも実際にいらっしゃいました。
確かに意思疎通しづらい場面はあるかと思いますが、保護者さまの気持ちは必ず通じていますので、地道なサポートを続けていきましょう。
私がこれまで指導してきたお子さまの中には、強度の読字障害がありながらも中学受験に成功した方がいらっしゃいます。
例えばS君(小6)は、読み飛ばし・書き間違いが頻発し、作文では1行も書けない状態からスタートしました。
しかし、分かち読みによって文字・言葉・イメージを結び付ける練習を根気よく重ねたことで、苦手を克服。見事に第一志望校に合格しました。
詳細は、S君の実例記事をご覧ください。
③書くことに困難がある|書字障害・ディスグラフィアなどの身体的つまずき

アイデアが整理できて、語彙力も十分あり、口頭でのコミュニケーションにも問題が無いお子さまでも、作文になると書けないというタイプの方がいらっしゃいます。
このタイプのお子さまの場合は、書くことに困難がある発達障害=書字障害(ディスグラフィア)の可能性があります。
書字障害の要因には、①音韻処理の不全、②視覚認知の苦手さ、③発達性協調運動障害の3つが挙げられます。
①音韻処理の不全については、「1-2.発達障害の子どもが文章が書けない3つの理由②出来事や気持ちを言葉でアウトプットできない」でも触れたとおり、文字と音を結びつける脳の働きが弱い状態を指し、読字障害の要因の一つにもなります。
例えば、“さかな”という文字を見たとき、私たちは頭の中で“さ・か・な”と発音します。
音韻処理の働きが弱い人は、文字を音に変換するのに時間が掛かり、そのために文字を単語としてひとまとまりで捉えることにも時間が掛かってしまいます。
定型発達の人でも、「めぴゃぺそつるも」など意味の無い文字列を声に出して読もうとすると、意味のある単語を声に出して読むより時間が掛かったり、正しく読めなかったりするはずです。
読字障害のお子さまは常にこの状態にあり、一字ずつ音を思い出しながら読んでいる感覚であると理解すると良いでしょう。
そして、文字を書くときにも、音韻処理の働きが弱いお子さまは一音ずつ思い出しながら書くことになります。
音韻処理は読むこと・書くことの両方に深く関わるため、音韻処理が苦手なお子さまの多くは、読字障害と書字障害の両方を併発しています。(読字障害と書字障害を合わせて「発達性ディスレクシア」と呼ぶこともあります。)
音韻処理不全のあるお子さまは、ひらがなを覚える時点でつまずくことも多いです。五十音表を順番に読み上げることはできても、ランダムで文字を示すと発音に時間が掛かってしまう場合は、それぞれの文字が音に結びついていないと考えられます。(五十音表は丸暗記で覚えてしまう子がほとんどです。)
書くことの困難の要因が音韻処理の不全である場合は、まずは併発している読字障害から対処を始めます。
文字と音の結びつきを強化することで、書くことの困難も少しずつ改善することができますので、発達支援センターなどに相談し、言語聴覚士のアドバイスを受けながらトレーニングを進めましょう。
②視覚認知の苦手さについては、“モノの形を捉えること”が苦手で、文字の形を上手く再現することができない場合を指します。
文字を書くときには、文字全体の形を頭の中でイメージしながら、「一画目を左上から書き始めて、右端1/3まで伸ばす」など実際に筆を運んでいきますが、視覚認知が苦手なお子さまは、文字の形のイメージを保持するのが難しく、「どこから書き始めたら良いのか/どんな形の線を描けばよいのか」を判断することができません。
そのため、文字のバランスが崩れてしまったり、漢字の細かい部分が正しく書けなかったりします。
こうしたお子さまの場合は、本人は一生懸命書いているにもかかわらず、「丁寧に書きなさい」と注意を受けたり、細かい部分で減点されてテストの点が伸びなかったりして、自信を失ってしまうことが多いです。書くこと自体が苦手になり、勉強全般に拒否感を持ってしまう場合も少なくありません。
お子さまの視覚認知の力が弱いかもしれないと感じた場合は、以下のような複雑な図形を描き写させてみましょう。
<視覚認知チェック①>

<視覚認知チェック②>

バランスが極端に悪かったり、細部を間違えて描いてしまう場合は視覚認知の力が弱いと考えられます。
また、全体を捉えてから細部を描き込むというプロセスが踏めない場合も、視覚情報を処理する力が弱いと考えられます。
視覚認知の力が弱いお子さまの場合は、文字のパーツを色分けしたり、1マスを4分割したりして、どこにどのパーツが配置されているかを意識しながら書く練習をすると良いでしょう。
1マスを空色、黄色、ピンク、緑色の4色のパステルカラーに分割した「カラーマスノート」などもありますので活用してみましょう。(参考:小児科医と言語聴覚士が考えたノート。文字を正確に書き写せます。 | tobiraco(トビラコ))
なお、視覚認知が苦手なお子さまの場合は、できるだけ大きなマス目のノートを使うことが望ましいのですが、低学年用のノートを使うことで本人のプライドを傷つけてしまう場合もあります。ですので、療育用のノートと授業用のノートを分けるなど、本人のプライドを傷つけない工夫を行うようにしましょう。
③発達性協調運動障害とは、身体全体を動かす粗大運動と、手先を細かく動かす微細運動の両方が極端に苦手な状態を指し、ADHDやASDなどの発達障害と併発することが多いとされています。
根本的な要因は、五感(視覚・聴覚・嗅覚・味覚・触覚)と、身体の動きや位置を感じる「固有覚」、姿勢やバランスに関わる「前庭覚」が上手く統合されないことにあると考えられています。
書字障害の場合は、文字を書いている感覚が脳にフィードバックされず、筆圧の調整ができなかったり、思った位置に筆を運べなかったりして、マス目に文字が収まらないというお子さまもいらっしゃいます。
発達性協調運動障害が書字障害の要因となっている場合は、「書く」という感覚に慣れていくためのトレーニングを行うと良いでしょう。
紙の下にやすりやサンドペーパーなどざらざらした感覚のものを敷いて書いたり、砂に指で字を書いてみたり、鉛筆以外の筆記具(筆やサインペン)などで書いてみたりして、本人が「書く」という感覚をつかみやすいように工夫を行います。
そのほかにも、背中に指で文字を書いて当て合うなど、遊びを交えたトレーニングを行うのも良いでしょう。
発達性協調運動障害である場合は、「服のボタンを閉める」「はさみを使う」「片足立ちをする」など、日常生活でも困難を抱えることが多いため、字を書くこと以外についてもサポートを受けることが大切です。
ADHDで書字障害(LD)、海外子女のRさんは日本の高校に合格できる?
発達障害のお子さまが文章を書けるようになるための3つの方法
文章を書くには一定のコツとパターンがありますので、どんなに作文が苦手なお子さまでも、パターンに当てはめて書く方法を覚えてしまえば、必ず苦手を克服することができます。
発達障害のお子さまで、「何を書けばよいのか分からない」「書くことが思い浮かばない」「書きたいことが上手く文章にできない」といったつまずきがある場合は、以下の方法を実践していただければと思います。
これらのポイントは、小学生の作文だけでなく、受験の際の小論文や大人になってからの書類作成でも役立つスキルになります。以下で詳しく解説していきますので、ぜひご覧ください。
①インタビュー形式で5W1Hを埋める|「何を書けばいいかわからない」を防ぐ

文章を書くときには、「5W1H(いつ・どこで・誰が・何を・なぜ・どのように)を意識すべき」ということは誰もが知っているはずですが、きちんと意識できている人は実はそれほど多くありません。
例えば、「遠足の思い出」という作文のテーマがあったとします。原稿用紙を前にしたお子さまは、遠足について漠然と思い出しはするのですが、それぞれの記憶はバラバラで、どのように作文に落とし込めば良いのかと頭を悩ませてしまいます。
そこでお子さまに、「遠足にはいつ行きましたか?(When)」を尋ねると、「昨日!」と答えてくれます。これを記者のインタビューのように進めていきましょう。お子さまには口頭で答えることだけに集中してもらい、メモは大人が取るようにします。
<作文を書くときのインタビュー例>
- Q1.遠足にはいつ行きましたか?【when】
- A1.昨日です。
- Q2.遠足でどこに行きましたか?【where】
- A2.動物園に行きました。
- Q3.遠足には誰と行きましたか?【who】
- A3.クラスのみんなと行きました。
- Q4.遠足では何をしましたか?【what】
- A4.ライオンやキリンなど、いろんな動物を見ました。
- Q5.なぜ遠足に行ったのですか?【why】
- A5.1年生の秋には遠足に行くことになっているからです。
- Q6.遠足に行って、どんな風に感じましたか?【how】
- A6.ライオンはとても強そうだと思いました。
5W1Hの一問一答であっても、小学校1年生レベルの作文であれば要素としては十分です。
インタビューのメモをお子さまに見せながら、「この順番で文章を書いていけばOKだよ」と教えてあげましょう。
また、0から文章を書くのが難しいお子さまは、穴埋め形式にしてあげると良いでしょう。
私は、 月 日に に行きました。
と一緒に行って、 を見ました。
遠足に行った理由は、 からです。
行ってみて、 と思いました。
多少不自然な言い回しになってしまう部分があっても構いません。自分で考えた内容が文章になっていて、「作文が書けた!」とお子さまが感じることが大切です。
また、学校教育の中では“情緒豊かな文章表現”が評価されやすい風潮がありますが、小論文や報告書においては、情緒よりも「文法の正しさ」「論旨の正確さ」「過不足の無い情報量」が重要です。文章のロマンチックさについては割り切り、客観的に正しい文章を書くことを優先しましょう。
いきなり長い文章を書くのが難しい場合は、「1行日記」から始めてみましょう。1行日記とは、「ケーキを食べました。おいしかったです」のように、【出来事+感想】で完結する短い日記のことです。
これも5W1Hのインタビュー形式と同様に、「今日、何をしたっけ?」とお子さまに質問し、「どうだった?」と続けましょう。最初のうちは、大人が代わりに書いてあげる形で構いません。
少し慣れてきたら、大人が質問しながらお子さまが自分で日記を書くようにしましょう。さらに慣れてきたら、大人からの質問無しで書けるようにしていきます。
1行日記は毎日コツコツ続けることが大切です。ASD傾向のあるお子さまはルーティンをこなすことが得意ですので、一日の終わりや朝のあいさつ代わりに1行日記をつけ、文章で出来事や気持ちを表すことに慣れていきましょう。
発達障害専門のプロ家庭教師メガジュンでは、経験豊富なプロ家庭教師がお子さま一人ひとりの性質に合わせた個別指導を行い、文章力の向上を目指します。日々の学習フォローから受験対策まで幅広く承っていますので、お気軽にお問い合わせください。
②全体の流れを図にする|構成の見える化で安心感を

作文を書いているうちに、テーマからどんどん遠ざかってしまったり、何が書きたいのか分からなくなってしまったりするお子さまや、書き始めをどうして良いか分からないお子さまの場合は、「作文の流れを図にしてみる」という方法がオススメです。
作文の大きな流れは「はじめ(序論)→なか(本論)→おわり(結論)」であり、それぞれの役割は以下のとおりです。
作文の構成
- ① はじめ(序論) - 「今から○○の話をします」という提示
- ② なか(本論) - ○○についての具体例
- ③ おわり(結論) - 「○○は△△である」という結論
この骨組みが意識できれば、作文はかなり書きやすくなります。いきなり原稿用紙に文章を書くのではなく、この骨組みをまずは図にしていきましょう。
ここでは、「いちばんの親友」というテーマで作文を書く場合を考えてみます。
序論では、「いちばんの親友は誰か」を読者に紹介し、本論では「どんな人か」を具体的に伝え、結論では親友との「これから」について語るなどしてまとめると良いでしょう。
思いついた流れを忘れないように、まずは図をメモします。

大まかな流れができたら、次は具体的な内容を書き込んでいきましょう。「本論」を中心に具体的なエピソードを盛り込んでいくのがポイントです。
というのも、序論はあくまでテーマを提示する箇所ですので、長すぎると前置きが長い印象になります。また、結論は「これからの展望」や「筆者の所感」など、抽象的な内容を書く箇所であるため、ダラダラ引き伸ばすと分かりにくい文章になってしまいます。
したがって、作文の肉付けを考える際には、結論に説得力を持たせるという意識を持ちながら、本論に客観的な情報を盛り込んでいくことがポイントになります。

ここまでできたら、作文はほぼ完成したと言っても過言ではありません。
あとは、文字数を考えながら、どこまで細かい情報まで書き込むかを決めていけばOKです。ここでは、200字作文を想定して清書していきます。
いちばんの親友(作文例)私の親友は、クラスメイトのAさんです。Aさんとは小学校以来の友達で、いつも一緒に下校しています。
Aさんの良いところは、誰にでも親切にできるところです。お年寄りの荷物を持ってあげたり、迷子の子どもを交番まで送ってあげたりしたこともありました。困っている人を見たらすぐに行動できるAさんのことを、私は心から尊敬しています。
私も、Aさんのように困っている人を見たら声をかけ、行動できるようになりたいです。(199字)
もっと字数が必要なときは、Aさんがお年寄りの荷物を持ってあげた場面や、迷子を交番に送ってあげた場面を具体的に描写していくと良いでしょう。
Aさんとの出会いや下校のときのエピソードを加えることもできますが、「自分も親切になりたい」という結論を導くためには、Aさんの親切さが際立つエピソードを盛り込んでいく方が良いでしょう。
以上は一例ですが、小論文などにも応用できるテクニックですので、ぜひ身に付けていただきたいと思います。
「とにかく書かなきゃ!」と筆に任せて書いてしまう人は大人でも非常に多いのですが、勢いのままに書くと「何が言いたいのかわからない文章」になってしまいますので、必ず文章の骨組みを考えてから書き始めるようにしましょう。
③書きたいことを一度すべて出してから整理する|ワーキングメモリーが弱い子にも有効

インタビュー形式で書くほど低学年ではないけれど、流れを図で整理しようとしても上手くいかない…というタイプのお子さまは、「思いつくアイデアを全て書き出してみる」という方法がオススメです。
図で整理する場合は、「テーマ」「具体例」「結論」という概念を理解し、それに当てはまるアイデアを頭の中の引き出しから見つけてくるというプロセスが必要です。
発達障害で、特にワーキングメモリー(※)が低いお子さまは、頭の中だけでアイデアを整理することが苦手なため、いきなり図を描くのが難しい場合があります。
アイデアをとにかく書き出すという方法であれば、一旦情報をアウトプットできるため、頭の中だけでプロセスを完結させる必要がありません。
書き出したアイデアを一つずつ見ながら、「これは本論かな?」「これは結論に使えるな」と仕分けできるので、かなり作業がやりやすくなります。
具体的な作業の手順としては、ノートにアイデアを書きだし、それを色ペンや記号でマーキングした後、「2-2.発達障害のお子さまが文章を書けるようになるための3つの方法②全体の流れを図で表す」で紹介した図に落とし込むか、付箋が使える場合は付箋にアイデアを書きだし、それを序論・本論・結論ごとに分けていくと良いでしょう。


「書きだす→整理する」という手法は、作文だけでなく、イベントの計画を立てたり、ToDoリストを整理したりする際にも役立ちますので、ぜひ子どもの頃から慣れておくと良いでしょう。
【中高生・大学生】レポートや小論文が書けない・まとまらない時の対処法

小学生の作文とは違って、中学・高校・大学で求められるレポートや小論文には、情報を論理的に組み立てて読み手に伝える力がより強く求められます。
しかし、ここまで解説してきたような情報整理の苦手さやワーキングメモリの弱さは、この段階でも形を変えて壁として立ちはだかります。
ここでは、中高生・大学生の生徒さまが、レポートや小論文を書く際に使える具体的なアプローチをご紹介します。
「話が飛ぶ」「主語が抜ける」のはなぜ?読み手に伝わる文章のコツ
発達障害の生徒さまが書かれたレポートや小論文の特徴として、気づいたら全然違う話題になっている、読み返すと主語がどこかに消えている、というものがあります。これはワーキングメモリの弱さと、それぞれの特性に起因するメカニズムが文章に現れているものです。
ADHD傾向のあるお子さまの場合は、書きながら次々と新しいアイデアが湧いてきます。直前に書いた内容を頭の中に保持したまま次の文を考えることがワーキングメモリの容量を超えてしまうため、前の内容との繋がりが切れたまま先へ進んでしまいます。書き手本人の頭の中ではすべて繋がっているのですが、読み手にとっては突然話が飛んだように見えてしまいます。
ASD傾向のあるお子さまの場合は、少しメカニズムが違います。相手が何を知っていて何を知らないかを推測することが苦手という特性があるため、自分の中では当然の前提として処理している情報が、文章の中に書かれないまま抜け落ちてしまうのです。こちらも書き手の頭の中では筋道が通っているのですが、読み手には「突然話が飛んだ」という印象を与えてしまいます。
こうした困りごとに対して、今日から実践できることは以下の3つです。
- 一文を短くする
- 接続詞を意識的に書き足す
- 英語のように品詞に分解する
まず一つめは、一文を短くすることです。一文は長くなるほど主語と述語が離れ、対応関係が崩れやすくなってしまいます。欲張らずに一つの動きや事実に絞るという習慣をつけるだけで、文章の読みやすさは大きく変わります。
具体的には、以下の点を意識してみましょう。
- 「、」が2つ以上続いたら「。」で区切る
- 「〜が」「〜ので」「〜し」で文をダラダラ繋げない
一文の長さは40文字〜60文字程度に収める
もう一つは接続詞を意識的に書き足すことです。だから(順接)・しかし(逆説)・つまり(換言)・たとえば(説明)、の4種類だけでも使いこなせると、文章のつながりが格段に明確になります。
そして一番重要なのは、SVOCで分解して確かめてみる、ということです。こんがらがってしまう文章を見つけたら短縮して書き直す、意味の流れが突然切れる箇所を見つけたらそこに接続詞を補う、という習慣をつけてみてください。
構成が思いつかない時は「PREP法」の型に当てはめる
レポートや小論文で最も多い悩みが、何から書き始めればいいか分からないというものです。作文の場合は「はじめ・なか・おわり」を骨組みにすることを紹介しましたが、より論理的なレポートや小論文は、さらに一歩踏み込んだPREP法という型が役に立ちます。
PREPとは、Point(結論)・Reason(理由)・Example(具体例)・Point(結論の繰り返し)の頭文字を取ったものです。最初に「私はこう思う」という結論を述べ、次になぜそう思うかの理由、続いて具体的な根拠や事例、最後にもう一度結論を繰り返すという順番で書きます。最初に結論を示すため、読み手にとって非常に分かりやすく、論旨が途中でぶれにくい書き方です。
例えば「部活動は週3日以内にすべきか」という小論文のテーマであれば、最初に「私は週3日以内とすべきだと考える」と書き、「なぜなら過度な練習は学習時間を圧迫し、疲労による集中力低下を招くからだ」と続け、「実際に週4日以上練習する部活の生徒と週3日以内の部活の生徒を比較した調査では……」と具体的な情報で補強し、「以上の理由から、週3日以内の活動が望ましい」と締めます。
大学のレポートであれば「スマートフォンの使用は学習に悪影響を与えるか」というテーマに対して、まず「悪影響を与える場面と与えない場面がある」と結論を置き、理由・データ・まとめへと展開するという使い方もできます。
【例】スマートフォンの使用は学習に悪影響を与えるか
① 結論:悪影響を与える場面と与えない場面がある
② 理由:スマートフォンの使用によって学習効率が上がるケースと、妨害されるケースがあるため
③ データ:学習効率が上がっている例と妨害されている例の提示
④ まとめ:①を繰り返す
発達障害のあるお子さまがこの型を使うことの最大のメリットは、まず結論だけを先に一文書いてしまえることです。最初から順番通りに書こうとすると、理由を考えているうちに結論がぶれてしまいます。
先に「自分が最終的に言いたいこと」を書き留めておくことで、残りの箇所の方向性が定まり、話が飛びにくくなります。白紙を前にした時の「何から書けばいいか分からない」という焦りも、この型を覚えておくことで大幅に軽減されます。
パソコン・スマホの活用|手書きにこだわらない合理的配慮
書字障害がある場合、手書き文字は苦戦する要素の一つです。そして、中高生・大学生の段階になると、文字を書くことに膨大なエネルギーを使っていたら、肝心の内容を考える余裕が残らないという状態が多発するようになります。
そこで活用したいのが音声入力です。今では、スマートフォンやパソコンの標準機能として搭載されているため、特別な機器は不要になっています。まず口頭で言いたいことをすべて話して音声入力でテキスト化し、その後で整理・編集するという流れにすると、アイデア出しと文章化を切り離して行えるため、ワーキングメモリへの負担が大きく軽減されます。
文章を整理する段階では、WordやGoogleドキュメントのアウトライン機能も活用してみてください。見出しだけを並べて文章全体を把握することができるので、セクションごとに文章に見出しをつけて区切り、きちんとPREPの構造になっているか、展開が飛躍してないか、などを確認することができます。また、段落の順番を入れ替える作業も簡単なので、書いた後の整理が格段にやりやすくなります。
レポートをパソコンで提出することや試験での配慮については、学校や大学によって対応できる内容や範囲が異なります。すべての環境で同じ配慮が受けられるわけではありませんが、相談してみて損はないでしょう。まずは担任の先生や学校の支援担当者、大学であれば学生相談室に声をかけてみてください。メガジュンでも、こうした相談の場でどのように状況を伝えるかという準備のお手伝いをしていますので、一人で抱え込まずにご相談ください。
「書けない」の背景は、情報整理・言語化・書字とお子さまによって異なります。メガジュンでは、どこでつまずいているかを見極めて支援します。たとえば次のようなサポートを受けられます。
- つまずきの「原因別」アプローチ
情報整理が苦手なら5W1Hインタビューや図解、書字に困難があれば音声入力など、本記事で紹介した方法をお子さまに合わせて取り入れます。 - 「型」で書けるようにする
作文の「はじめ・なか・おわり」やレポート・小論文のPREP法など、パターンに当てはめて書く力を一緒に身につけます。 - 受験の記述・小論文にも対応
苦手な記述を手順に分解して攻略し、志望校の出題に合わせた対策も行います。 - 合理的配慮の相談もサポート
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発達障害のお子さま向け|文章が書けないときの対処法まとめ

この記事では、発達障害の方が文章を書くのが苦手になってしまう理由と、文章上達のためのコツを詳しく紹介してきました。
改めてポイントをまとめると、以下のとおりです。
- 発達障害の人が文章を書くのが苦手な理由には、「①情報の整理が苦手」「②言葉で表現するのが苦手」「③書く行為そのものが苦手」の3つがある
- なぜ作文が苦手なのかを見極め、原因に応じたアプローチをする必要がある
- 文字と音の結びつきが弱い(音韻処理不全)の場合は、言語聴覚士など専門家の支援を受けると良い
- 書くことの困難(書字障害)の場合は、個々に応じた療育やトレーニングに取り組むと良い
- いきなり作文しようとせず、文章の骨組みから考えることが重要
- アイデアを書きだしてから整理する方法は、ワーキングメモリーが低い発達障害の人にとって非常に役立つ
文章を書くのが苦手な理由は、人によって様々です。まずはどこでつまずいているのかを分析し、つまずきを解消できるようアプローチを進めましょう。
文章を書く力は、思考を整理する力と密接に関わっています。文章が上手く書けるようになると、それだけで物事を落ち着いて考えられるようにもなりますので、ぜひこの記事で紹介した方法を実践していただきたいと思います。
私たちプロ家庭教師メガジュンは、一人一人応じた丁寧なサポートをモットーに、これまでたくさんのお子さまを第一志望合格へと導いてきました。発達障害のお子さまでも、適切なアプローチを行うことで学力を伸ばすことは十分可能です。
発達障害のお子さまのことでお悩みの方や、なかなか良い先生に出会えないとお悩みの方は、ぜひ一度プロ家庭教師メガジュンまでお問い合わせください。
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お子さまが自分らしくより良い人生を歩んでいけるよう、一同全力でサポートしてまいります。
最後までお読みいただきありがとうございました。
