28. 言葉使いが幼い、語彙が少ない
周りの子に比べて「言葉遣いが幼い」「語彙が少ない」といったことでお悩みを感じておられる方がいらっしゃいます。
その原因や背景としては、
②言葉遣いや語彙が少ないというよりは、コミュニケーションの取り方が幼い
③その子と話すとき、周りの大人が難しい語彙や言い回しを避けてきた
④本を読まないか、読んでいる本の対象年齢が低い
などが挙げられます。(※WISC検査…知能検査のこと。詳しくはこちらの項目「46.WISC-IVの見方を知りたい」をご覧ください)
このうち、①は生まれつきの性質によるものであり、発達障害などの診断を伴う場合があります。②については、同年代の子どもと交流する機会が少ないなどの環境が原因である場合もありますが、背景に発達障害の特性が関係していることもあります。
③と④はその子が育ってきた環境によるものと考えられますが、その背景に①に挙げた生まれつきの言語能力の低さがあり、結果として、「難しい本を避ける」「周りの大人が過度に配慮してしまう」などの現象が二次的に生じている可能性もあります。
総じて、言葉遣いが幼かったり、語彙が少なかったりする場合には、その子の生まれつきの性質をよく分析し、「言葉による情報の処理が苦手」という性質を持っているかどうかを見極めていくことが重要です。
単に難しい言葉に触れる機会が少ないことが原因である場合は、周りの大人が積極的に難しい語彙や慣用句を使うなどすれば、自然と語彙力を伸すことができますが、生まれつき言語の力が弱い場合は、無理に言葉を覚えさせるとかえってストレスになり、より苦手意識が強まって、読む・書く・聞く・話すという力が伸び悩んでしまうケースもあります。
ただし、生まれつき言語の力が弱いからといって、必ずしも語彙力や話す力が成長しないわけではなく、適切なサポートを行うことで、お子さまの語彙力や話す力を伸ばすことは十分可能です。
以下では、言語能力を伸ばすためのアプローチとして、
②言葉による表現に興味を持たせる
③ソーシャル・スキル・トレーニングに取り組む
の3つの方法について詳しく解説していきます。