35. 「解けたからこれで良い」とより適切な解法を知ろうとしない
より良い解法(手順が少なく間違いにくい/計算量が少なくて済む/時間が掛からない 等)があるにも関わらず、「解けたからこれで良い」と適切な解法を知ろうとしないお子さまがいらっしゃいます。ここでは、以下の例題を用いながら詳しく解説していきます。
===================================
(例題)
「11, 14, 17, 20, 23, 26, ……,」のようにある規則にしたがって数が並んでいるとき、30番目の数字を答えなさい。
<A:適切な解法>
○番目の数字は「11+3×(○-1)」であることに着目し、11+3×(30-1)=98を導く
<B:正解はできるが、時間が掛かる解法>
数字が3ずつ増えているので、29, 32, 35, ……, と30番目まで書き連ねていく
===================================
この例ではAでもBでも正解に辿り着くことはできますが、Bの方法では時間が掛かったり、途中で計算間違いをしてしまったりする可能性があります。また、「1000番目の数字を答えなさい」など数字が大きくなると、Bの解法では時間内に解くことが難しくなるでしょう。
そのため、もしBの解法で答えにたどり着けたとしても、今後同じような問題が出たときにはAの解法を使えるように、別解を見直し、適切な解法を知ることがとても大切です。
ですが、「別解でも解いてみよう」「より適切な解法を知っておこう」と声を掛けても、「Bの解き方で解けたのだから、Aの解き方は知らなくても大丈夫なはずだ」と主張し、適切な解法を習得しようとしないお子さまもいらっしゃいます。このようなお子さまは、心の中で、
・今までの方法でも解けたのだから、新しい解法を習得する必要は無い
・とにかく解ければ良く、より正確に、効率的に解けるかどうかはどうでもいい
と考えている場合がほとんどです。
こうしたお子さまが、別解を参照し、適切な解法を習得できるようにするためには、適切な解法を習得することのメリットについてお子さまが心から納得し、その重要さを実感する必要があります。適切な解法を習得するメリットには、
・計算量を減らせる
・問題を解く時間が節約できる
・いろいろな解法を知ることで、未知の問題にも太刀打ちできるようになる
といったものが挙げられます。こうしたメリットについては、言葉だけで説明してもなかなか伝わりづらいため、実際に問題を解きながらお子さまに実感してもらうことが大切です。
例えば、時間制限を設けて問題を解かせてみて、今まで通りの解法だと時間が足りなくなることを実際に体験させます。その後、適切な解法を用いて講師と一緒に問題を解いてみると、時間内で解ききることができるため、お子さまは「自分のやり方だと解けなかった問題も、先生に教えてもらった解き方なら時間内に解けるんだ」と適切な解法のメリットを身をもって実感することができます。
そこでお子さまが「適切な解法って意味があるかも?実はすごいのかも?」と気付き始めたら、
・手順が少ないため、ケアレスミスの可能性も減ること
・いろいろな解法を知ることで、解ける問題の種類も増えること
などを併せて伝えていきます。講師が実際に問題を解いて見せながら、「ここをこうするだけ、計算1回だけで解けちゃうんだよ!ラクチンだよね!」などと適切な解法のメリットをどんどんアピールしていきましょう。
ただし、適切な解法を習得することを避けるお子さまは、基本的に面倒くさがりであることが多く、いくら適切な解法のメリットが実感できたとしても、自分ひとりで新しい解法を習得するまでには至らないケースがあります。このようなお子さまの場合は、授業中に先生と一緒に新しい解法や適切な解法の練習を繰り返し、「授業を受けていたら、いつの間にか新しい解法を習得できていた」という状態を目指すと良いでしょう。