49. 発達障害の診断を受けたが、知能は高いと言われた(2E型ギフテッド)
発達障害かもしれないと指摘を受け、WISC-IVなどの知能検査を受けた人の中には、思いのほか知能指数が高くて驚いたという方もいらっしゃいます。学校の成績は振るわないのに知能指数が高くて不思議…と思うかもしれませんが、知能検査の結果を詳しく見ることでその理由を知ることができます。
WISC-IVには「言語理解」「知覚推理」「ワーキングメモリー」「処理速度」の4つの指標がありますが、発達障害かもしれないと指摘されるお子さまの多くは、「ワーキングメモリー」や「処理速度」の数値が低くなっています。一方で、発達障害の特性はあるけれど全体の知能指数が高いお子さまの場合は、「言語理解」「知覚推理」のいずれか又は両方の数値が突出して高い場合が多くなっています(いわゆる凸凸凹凹型や凸凸口口型の検査結果)。
4つの指標のうち、「ワーキングメモリー」と「処理速度」は日常生活でも使われる能力である一方、「言語理解」と「知覚推理」は文章を理解する・計算するなど、特に勉強の場面において必要な能力となります。言語理解や知覚推理に長けていても、ワーキングメモリーや処理速度が低いと日常生活での困りごとが現れやすくなるため、結果として“全体として知能指数は高いが、日常生活で困りごとが多い(=2E型ギフテッド(※))”という状態になります。
※2E型ギフテッド…発達障害とギフテッドの両方の特性を持った人のこと。広義には、発達障害以外のハンデキャップも含む。2Eは「twice-exceptional(二重に例外)」の意味。
さらに、ワーキングメモリーや処理速度が低いと、「授業中に先生の話を聞く」「指示通りに課題をこなす」などが苦手になるため、長編小説はスイスイ読めるのに宿題の漢字ドリルを忘れたり、難易度の高い問題にじっくり取り組むのは得意でも、同じような計算問題を大量に解くのは苦手なためテストの点にはつながらなかったりします。そのため、言語理解や知覚推理が高かったとしても、その能力が学校の成績につながらないケースも非常に多くなっています。
こうしたお子さまの場合は、苦手に注目するのではなく得意なことに目を向け、長所を伸ばしていくことが必要です。ご家庭で小説の感想を話し合ったり、難易度の高いパズルを家族みんなで解いたりするほか、同じような趣味や特性を持った人たちが集まる習い事やサークル活動などに参加してみるのも良いでしょう。
なお、WISC-IVの各指標間の差(ディスクレパンシー)が大きいと発達障害であると言われることもありますが、全体の知能指数が高いとディスクレパンシーも大きくなりやすいため、一概にディスクレパンシーが大きい=発達障害と定義することはできません。
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