75. 学校に行けない日が多い

朝、学校に行く時間になると「頭が痛い、お腹が痛い」と訴えて休みがちなお子さまは、いわゆる「登校渋り」の状態に該当します。学校に行くための心のエネルギーが切れかかっており、多くの場合はそのまま不登校の状態へと進みます。また、学校に行きたくないから仮病を使っているというよりは、実際に頭やお腹が痛くなっている場合がほとんどです。精神的なストレスに伴う体調不良であり、起立性調節障害や過敏性腸症候群などの診断を受ける場合もあります。

こうした状態にあるときは、無理に登校させず、まずは様子を見ることが大切です。数週間で学校に通えるようになるお子さまもいれば、登校できない状態が長引くお子さまもいますが、決して焦らないことが大切です。

登校渋りや不登校の要因は、お子さまの心のエネルギー切れです。「学校に行きたい、行かなければ」という気持ちよりも、学校に行くことによるストレスやプレッシャーの方が上回る状況が続くと、徐々に心のエネルギーを消耗され、「しんどい!」という気持ちが登校渋りや不登校などとなって現れます。ストレスやプレッシャーの要因は様々ですが、学力不振(思ったように成績が伸びない/進学をきっかけに周りのレベルが上がり劣等感を感じるようになった等)や人間関係(部活の先輩が怖い/クラスで仲間外れにされている等)である場合が多くなっています。

原因はただ一つだけではなく、複数の要因が重なっているケースも多くなっています。そのため、お子さま自身も自分が何にストレスやプレッシャーを感じているのか、なぜ「学校に行きたくない、しんどい」と感じているのか言葉にできずモヤモヤした気持ちを抱えている場合もあります。「どうして学校に行きたくないの?」と聞いたときにはっきりとした答えが返ってこないと保護者さまとしては不安になってしまうと思いますが、お子さまが気持ちを整理できるまで落ち着いて待つことも大切です。

一方で、状況を改善していくためには、不登校の原因を明らかにすることも非常に重要です。担任の先生や部活の顧問の先生などから学校での様子をできるだけ詳しく具体的に聞き取り、お子さまのストレスやプレッシャーにつながるようなことはなかったかを調べていきましょう。ただし、保護者さまが学校と頻繁にやり取りすること自体が、お子さまにとって「早く学校に行かなければ」「お母さん/お父さんに迷惑をかけている」というプレッシャーにつながってしまうこともありますので、お子さまの様子を見ながら、必要に応じてお子さまが気付かないように連絡を取るなどの配慮を行うと良いでしょう。

お子さまがある日突然「学校に行かない」と言い出すと、保護者さまとして焦ってしまうのは当然のことです。ですが、不登校になってしまうのは、お子さまがエネルギーを使い果たすほどそれまで懸命に、無理をして学校に通っていたことの裏返しでもありますので、「無理して頑張っていたんだな」とまずは理解して受け入れることから始めましょう。

登校渋りの状態にあるお子さまは、まだ完全にはエネルギーが枯渇していませんので、保護者さまが「大丈夫だよ、行ってみよう」と声掛けすると頑張って学校に行ける日もあります。ですが、それは最後のエネルギーを振り絞って学校に行っているだけであり、そのうちそのエネルギーも枯れ果てて全く学校に行けなくなる場合がほとんどです。

保護者さまとしては、お子さまが不登校になると「なぜうちの子が…」と心配になってしまうでしょうし、学校にお休みの連絡を入れるのも後ろめたさや申し訳なさを感じて辛いと思われるかもしれません。ですが、学校を休むことはお子さまの心を守るために必要なことですので、自信を持って対応していただければと思います。

また、登校渋りが始まった段階で学校復帰を考えるのは時期尚早です。保護者さまも突然のことで対応に困ったり、ストレスを感じたりするフェーズになりますので、親子とも「無理をしない」を合言葉に、できる限り焦らず、おうちでゆっくり過ごすようにしましょう。

「学校を休んでいるのに、家では元気」というお子さまや、「朝起きたときは顔色が悪いのに、学校に休みの連絡を入れた途端にケロッとしている」というお子さまもいらっしゃいますが、それほど心配する必要はありません。学校を休めると分かってホッとしている(ストレス値が下がっている)ということであり、ご家庭がお子さまにとって安心できる場所であるという証拠ですので、元気なお子さまの姿を否定せず、心のエネルギーが回復しているのだなと安心して見守ってあげてください。

ただし、四六時中家でお子さまの相手をしていて、保護者さまの気力と体力が限界!という時は無理をせず、学童保育や習い事、フリースクールなどを活用して保護者さま自身が休息を取れるようにしましょう。

登校渋りや不登校で悩んでいるときは、理解のある相談相手を見つけることも大切です。お子さまや保護者さまの対応を決して否定せず、悩みにしっかりと耳を傾けてくれる人を探しましょう。学校の先生やスクールカウンセラー、主治医のほか、同じように不登校の子どもを持つ保護者の会などに参加するのもおすすめです。ただ、中には「不登校は甘え」という考えの人もいますので、そういう人に出会ってしまった場合はそっと距離を取るようにしましょう。

不登校は、マイナスの働きかけ(無理に登校させる、勉強を強要する、ゲームや娯楽を取り上げる、「そんな子に育てた覚えはない」「お母さん/お父さんはこうなって悲しい」など人格を否定する言葉を掛ける 等)をしなければ、必ず改善に向かいます。状況の改善=学校復帰ではありませんが、心のエネルギーが回復すれば、その子なりのやりたいことが見つかり、勉強にも前向きに取り組める日が必ずやってきます。

今は戸惑いと焦りでいっぱいかもしれませんが、光は必ず見えてきますので、保護者さまだけで抱え込まず、たくさんの人と一緒にお子さまを見守り、じっくりと待つことを心掛けましょう。

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