80. 学校の先生と相性が合わない
不登校の要因は複合的であり、先生との相性が合わないことだけで学校に行きづらくなるというのは稀です。お子さまに学校に行きたくない理由を聞くと、「○○先生が怖い/嫌だから」と答える場合もありますが、担任の先生や教科担当の先生を代えてもらったとしても、すぐに学校に通えるようになるとは限りません。
また、「先生を代えて」という要求に対して、学校がすぐに対応できるわけでもありません。先生を交代させることは他の子どもたちへの影響も大きく、授業の編成を一から組み直さなければならない場合もあります。さらに、先生の数自体も全国的に不足しているため、病休・産休・育休の代替の先生すら見つかっていない中で易々と先生を交代させることは現実的ではありません。
先生との相性が悪いために不登校になってしまっている場合は、先生の言葉や行動のどんなところが嫌だと感じるのか、お子さまに具体的に聞いてみましょう。「言い方がキツい」「声が大きい」というような威圧感に関するものである場合は、担任の先生(担任の先生に伝えづらい場合は、学年主任や教務主任の先生、教頭先生など)にその旨を伝え、指導方法を改善してもらえるか相談しましょう。やんちゃな子を叱るために大声を出す必要があるという場合は、「怖いと感じたら教室の外(保健室など)に行く」などの対処法を学校と一緒に考えていくと良いでしょう。
「注意されたが、その内容に納得できない(例:プリントが早く終わったので読書していたら怒られた)」のように指導の内容に関わるものである場合は、学校にその旨を伝えても良いですが、根本的な解決は難しいかもしれません。このようなケースでは、「理不尽なルールの押し付け」が問題の根本的にあります。指導力のある先生の場合は、子どもたちの自主性を尊重しながらクラスをまとめることができるため、ルールを押し付けてくることもほとんどありませんが、指導力の低い先生の場合は、子どもたちをルールで縛ることでクラスをまとめようとします。また、そうした先生ほど「なぜそのルールがあるのか?」を考える余裕も無いため、子どもたちの言い分に耳を傾けることもありません。
このような場合に学校にどれだけ意見を伝えても、先生の指導力が急に向上するわけではありませんので、問題を根本的に解決することは難しいと考えましょう。対策としては、お子さまに「大人の能力も人それぞれであること」や「先生が常に正しいとは限らず、間違うこともたくさんある」ということをありのままに伝えてしまうのが良いでしょう。
あるいは、「○○先生はなんでルールを押し付けるんだと思う?」など、納得がいかない出来事があった際にその背景を考えられるようなクエスチョンを出してみるのも良いでしょう。問いかけの形を取ることによって、お子さまは自分の頭で考え、理由を見つけ出そうとします。
「先生には先生の事情があるんだよ」と言葉で伝えるよりも、自分で考えて答えを見つける方がお子さまの中での納得感が増しますし、出来事の背景を考えることを習慣にできると、今後の人生において理不尽な出来事に出会った際にも、「なぜ相手はそのような行動を取るのか」と冷静に分析できるようになり、トラブルにも上手く対処できるようになります。
ほかにも、「なぜルールはあるんだと思う?」など、より本質的な議論につなげることも、お子さまにとって非常に大切な学びになります。いずれにせよ、変に子ども扱いせず、物事の本質を考えるための練習の機会であると捉えて上手にアシストしてあげると良いでしょう。ルールに対しておかしいと感じられる感性は非常に大切ですので、お子さまの自主性や物事を批判的に見る力を削がないようにしつつ、上手く立ち回れるようにそれとなく誘導してあげることがポイントです。先生の理不尽な指導に腹が立つこともあるかとは思いますが、上手く逆手に取り、お子さまの生きる力を伸ばす機会にしていきましょう。
また、抽象的な議論が難しいと感じる場合は、例えば「プリントが終わって読書をしているだけで先生が怒ったのは、他の子も読書をし始めたらどうしよう!と先生自身が不安になったからなんだよ」と具体的な言葉で説明し、そんなことないのにねぇ、とご家庭では笑い話にしてしまうのも良いでしょう。
ただし、先生に面と向かって「ルールが無いとクラスをまとめられないんでしょ?」と言うのはマナー違反であり、先生の心を傷付けることにもなるため避けなければなりません。お子さまにも「理不尽だと感じたら家でいっぱい吐き出せば良いけれど、先生にぶつけてもケンカになるだけだからやめようね」と念押しして伝えておくと良いでしょう。
それでもお子さまが、「先生は大人なのだから、何を言われても受け止めるべきだ、我慢するべきだ」といった主張をする場合は、「じゃあ、あなたが大人になったら何を言われても平気かな?」「お母さん/お父さんは大人だけれど、自分の苦手なことをキツい言葉で指摘されたら傷つくよ」など、お子さま自身や保護者さまだったらどうか?などの例を挙げて議論を進めると良いでしょう。
大切なのは、お子さまが「確かにその通りだな」という納得感を得ることです。そのためには、お子さまと対話を重ね、双方が納得いくまで議論を重ねることが大切です。もしご家庭だけでこのような話し合いを持つことが難しいと感じる場合は、学習面以外のフォローができる家庭教師やカウンセラーなどにお子さまとの対話を任せるのも良いでしょう。お子さまの中には大人が顔負けするほど口が達者な子もいるため、お子さまに負けないレベルで議論ができる大人が相手をしてあげることも、お子さまの成長にとっては非常に大切です。
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