【ギフテッドの不登校】才能ある子どもたちが抱える課題と解決策(浮きこぼれへの対応)

IQ130以上の高い知能を持つギフテッドのお子さまの中には、日本の学校教育に馴染むことができず、不登校の状態にある方がいらっしゃいます。

私はギフテッド専門のプロ家庭教師として活動していますが、ギフテッドで不登校という状態は決して珍しくなく、「勉強はよくできるのに子どもが学校に行きたがらない」というご相談は頻繁にお伺いすることがあります。

ギフテッドのお子さまが学校に行きたがらない理由の多くは、「授業が簡単すぎてつまらない」「先生や友達とうまくいかない」というものです。

分かりきったことを何時間もかけて説明されることが退屈だったり、それならばと自分の好きな本を読んでいると先生に怒られてしまったり、学校のルールが合理的でないことに憤りを感じたり、あるいはクラスメイトから「あの子は変わっている」と距離を置かれたりして、学校に居場所が無くなってしまうなどのケースがあります。

また、行き渋りや不登校のほかにも、授業中に立ち歩いたり、教室を飛び出したりといった問題行動が現れることもあります。
特に小学校低学年頃までのお子さまは自分の気持ちを上手く言葉で表現できない場合があり、授業が退屈であるというストレスが多動性・衝動性・暴力性などとして現れることがあります。

高い知能を持っているお子さまが、現代の日本の教育システムに馴染まないがゆえに「問題児」のレッテルを貼られてしまう状況は非常に嘆かわしく、早急な改善が必要です。
ただ、教育システムの改革には相応の時間が掛かるため、家庭の側からもできることからアクションを起こし、対応していくことが大切です。

この記事では、ギフテッド専門のプロ家庭教師ならではの視点から、不登校や問題行動の見られるギフテッドのお子さまに対するサポートについて詳しく解説していきます。

ギフテッドのお子さまのことでお悩みの方に必ず役立つ内容となっていますので、ぜひ最後までお読みいただけますと幸いです。

ギフテッド専門の受験プロ家庭教師
妻鹿潤
・16年以上1500名以上の指導実績あり
・個別指導塾の経営・運営でお子様の性質・学力を深く観る指導スタイル
・yahooやSmartNews、Newspicksなどメディア向け記事も多数執筆・掲載中

ギフテッドの特徴|発達障害との違いと過度激動について

ギフテッドの特徴|発達障害との違いと過度激動について

ギフテッドの子どもの不登校問題を考えるに当たって、まずはギフテッドの定義から確認していきましょう。
併せてこの章では、発達障害と間違われやすい「過度激動」の特性についても詳しく解説していきますので、ギフテッドの概要についてご存知の方もぜひ一度お目通しいただけますと幸いです。

ギフテッドの一般的な定義は、IQ130以上であることです。
その他にも、音楽・絵画・運動・記憶などの優れた才能を持つ人を含めてギフテッドと呼ぶ場合もありますが、この記事では知的能力に優れたギフテッドのお子さまを想定して解説していきたいと思います。

というのも、そもそも学校というものは子どもたちの知的能力を高めることを主な目的としています。
もちろん、音楽や図工、体育などの副教科も存在していますし、コミュニケーション能力や協調性・社会性なども学校で身に着けられることの一つではありますが、あくまで中心は「勉学」です。

生まれながらにして知的能力が高く、学校に通わずとも勉強ができてしまう子どもたちにとって、学校とはどうあるべきか?という点がこの記事の大きなテーマになりますので、芸術分野など知的能力以外の才能を持ったお子さまのケースについては、この記事では割愛させていただきます。
なお、ある分野に特化した才能を集中して伸ばすこと(いわゆる英才教育)については、改めて記事で取り上げたいと思います。

さて、ギフテッドの定義ですが、アメリカなどのギフテッド教育の先進国では、IQによってさらに細かくギフテッドを分類しています。

IQ130の人とIQ160の人では性質がかなり異なるため、細かく分類することでそれぞれに合ったサポートを行うことが可能になります。

<知能指数によるギフテッドの分類と人口当たりの出現率>
・mildly gifted IQ130以下(~44人に1人)
・moderately gifted IQ131~149(44人に1人〜1,000人に1人)
・highly gifted IQ150~159(1,000人に1人〜1万人に1人)
・exceptionally gifted IQ160~179(1万人に1人〜100万人に1人)
・profoundly gifted IQ180以上(100万人に1人以下)

私の元に相談に来られる方は、大体がmoderately gifted(中程度のギフテッド)に当てはまります。
人口当たりの出現率は44人~1,000人に1人ですので、学校で一番知能指数が高い子は概ねこのmoderately giftedに該当します。

私も現在もプロ家庭教師として活動していますが、exceptionally(高度のギフテッド)に該当する方は数名しかお会いしたことがありません。
profoundly gifted(完全なるギフテッド)の方にはお会いしたことは1名のみで、非常に稀な存在であることを実感しています。

exceptionally gifted以上になると、ビル・ゲイツやアインシュタインが該当するレベルになりますので、そういった意味でも貴重な存在であることが分かります。

ギフテッドについて考える際には、知能指数(IQ)が一定の目安になります。

日本でお子さまのIQを測定するには、多くの場合、WISC-IVと呼ばれる知能検査を受けることになります。
WISC-IVとは発達障害の診断の際に広く用いられている知能検査で、言語理解・知覚推理・ワーキングメモリー・処理速度の4つの指標と、それらの総合点であるFSIQ(全検査IQ)を測定することができます。

※WISC-IV知能検査については、こちらの記事(【WISC(ウィスク)-Ⅳと発達障害診断について】検査で見えるものと、それぞれへの対策 | 発達障害・ギフテッド専門のプロ家庭教師 メガジュン (pro-megajun.com))でさらに詳しく解説しています。

このFSIQがいわゆる知能指数(IQ)に当たり、この数値が130以上であればギフテッドに該当すると考えて差し支えありません。

不登校や問題行動が見られるために学校の先生から発達検査を勧められ、検査を受けてみたらIQが130以上あってギフテッドであることが判明したというケースも意外と多くなっています。

また、幼いころから難しい本を読んだり、大人顔負けの議論をしたりして、保護者さまが「うちの子はギフテッドかも」と気付くこともありますが、この場合はWISC-IVなどの検査を受けるタイミングが無いため、具体的なIQが分からない場合もあります。

なお、WISC-IVは基本的には医療機関や発達支援センターで受けるものであり、学校や日常生活で何かしらの困りごとを抱えていることが前提となります。
もちろん、困りごとが無い場合も民間のカウンセリングルームなどで自費で検査を受けることもできますが、数万円程度の費用が生じますので注意しましょう。

ギフテッドのお子さまの場合は、必ずしもWISC-IV検査を受ける必要はありません。
確かに検査の数値は支援の方針を検討するための参考として役立ちますが、たとえ数値が分からなくても、お子さまの様子をしっかりと観察し性質を分析することで、お子さまに合ったサポートを行うことは可能です。

実際、私へのご相談も、検査を受けたわけではないものの、ギフテッドのような性質をお持ちな方のご相談が多くございますし、支援の結果、良い方向に向かうことがほとんどです。

ただ、ギフテッドの性質と併せて発達障害の方によく見られる特性(不注意、多動性・衝動性、こだわりの強さ)などが見られ、それに伴う困りごとが大きい場合は積極的に検査を受けるようにしましょう。

ギフテッドのお子さまの中には、ギフテッドの性質と発達障害の特性を併せ持っている「2E型ギフテッド」の方がいらっしゃいます。
2E型ギフテッドのお子さまの場合は、ギフテッドと発達障害の両方の側面を踏まえたサポートを行う必要があります。

<2E型ギフテッドとは>

・ギフテッドと発達障害の両方の特性を併せ持っている状態のこと(広義には、発達障害以外のハンデキャップを併せ持つ場合も含まれる)

・2Eとは「twice-exceptional(二重に例外)」の意味

・WISC-IVにおける4つの指標の数値の差(ディスクレパンシー)が大きいと2Eであると言われることもあるが、そもそもFSIQが高いほどディスクレパンシーは大きくなりやすいため、単純にディスクレパンシーが大きい=2E型と言うことはできない

・発達障害の特性を併せ持たないギフテッドのことを、2E型ギフテッドに対して「英才型ギフテッド」と呼ぶ場合がある

※2E型ギフテッドについては、こちらの記事(2E型ギフテッドの特徴とは?育て方の7つのポイント | 発達障害・ギフテッド専門のプロ家庭教師 メガジュン (pro-megajun.com))で詳しく解説しています。

また、ギフテッドのお子さまが発達検査を受ける際には、過度激動(OE; Overexcitability)についても知っておきましょう。

過度激動とは、ギフテッドのお子さまが生まれつき持っている感覚の敏感さのことで、発達障害の特性とよく似た特徴を持っています。

過度激動は5つに分類することができ、それぞれの特徴は以下のとおりです。

<ギフテッドの過度激動(OE; Overexcitability)>

・知性過度激動
知的好奇心が旺盛で強い知識欲を持つ。知的好奇心が満たされないとイライラしたり、知識欲を優先してしまって集団行動ができなかったりする。

・精神運動性過度激動
スリルや冒険、新しい経験など精神的に強い刺激を求める。わざと危ない行動を取ったり、危険な場所に行ったりする。

・感覚性過度激動
五感が敏感なため細かな違いを楽しむことができる一方、強い刺激が苦手で体調が悪くなることもある。

・想像性過度激動
想像力が豊かで独創的な発想ができるが、妄想に耽り自分の世界に入り込んでしまうことがある。

・情動性過度激動
感受性が強く他者への共感性に優れるが、ちょっとしたことでも感情が浮き沈みするため情緒不安定になりやすい。

過度激動は、ギフテッドの良い面と悪い面が表裏一体になったものです。
例えば「知性過度激動」はギフテッドの最も大きな特徴である旺盛な知的好奇心のことですが、知的好奇心が旺盛でありすぎるが故に、それが満たされないストレスや協調性の問題が生じることになります。

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余談になりますが、「天才たちは幼いころに感電している」という説もギフテッドの過度激動を表しています。
実業家で研究者・プログラマーでもある登大遊さんは「変わった経歴のある人は幼いころに感電した経験があることが多い」という説を唱えており、実際に周りの人に聞いてみても、天才と呼ばれるような人たちは子どもの頃にコンセントに針金を差し込んだりして感電したことがある割合が非常に高いと主張しています。(台湾のデジタル担当政務委員であるオードリー・タン氏も子どもの頃に感電した経験があるそうです)

これは、幼いころに感電したから天才になったということではなく、ギフテッド特有の好奇心の強さ(=知性過度激動)やスリルへの探究心(=精神性過度激動)が幼いころから発現しており、そのような強い好奇心や探究心のある人は大きな功績を残しやすいということを表しています。

過度激動の特性は、発達障害の特性と区別がつきにくいことがあります。
知的探求心から生じる強いこだわりはASD(自閉スペクトラム症、アスペルガー症候群)のこだわりの強さによく似ていますし、スリルを求めて衝動的に行動するのはADHD(注意欠如・多動症)の多動性や衝動性とよく似ています。

発達検査を受けて2E型ギフテッドであると診断される人の中には、ギフテッドの過度激動が現れているだけというケースもあります。
また、知的好奇心を抑圧されたストレスによって生じている問題行動が、発達障害によるものであると誤って診断される場合もあります。

ギフテッドのお子さまの抱えがちな困りごとの要因は、

①過度激動
②発達障害
③ストレスによる問題行動

の3つに分類できますが、これらをはっきりと区別することは非常に難しい上に、それほど重要ではありません。
原因が何であれ、これからどのようにサポートをし、困りごとを改善していくかを考えていくことが大切です。

とはいえ、困りごとの対策を考える際には状況をできるだけ正確に捉えることも大切です。検査の結果や診断名は参考としてしっかりと把握しつつ、目の前のお子さまを丁寧に観察していきましょう。

ただし、発達障害の中でもADHDに関しては、特性を抑えるためにストラテラやコンサータといった薬を処方される場合があります。
これらの薬は食欲減退やぼーっとしてしまうという副作用を伴うため、もしADHDを伴う2E型ギフテッドと診断された場合で薬物療法を勧められた場合は慎重に検討しましょう。

もちろん、服薬によって症状が治まり状況が改善するケースもたくさんありますが、ADHDではなく過度激動やストレスによる問題行動であった場合、不適切な薬物療法によってせっかくの才能が潰れてしまうばかりか、心身の調子を崩してしまう場合もあります。

心配に感じるときはセカンドオピニオンなども検討し、納得の上で治療に取り組むようにしましょう。

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ギフテッドの不登校=浮きこぼれ問題

ギフテッドの不登校=浮きこぼれ問題

ギフテッドのお子さまが不登校の状態になってしまう一番の原因は、いわゆる「浮きこぼれ」の問題です。

「落ちこぼれ」とは学校の勉強についていけない子どもたちのことを指しますが、「浮きこぼれ」はその逆で、学校の勉強が簡単過ぎてストレスを感じる子どもたちのことを指します。

どちらも平均的な範囲から“こぼれて”しまう点では同じですが、落ちこぼれの子どもたちに対しては補習授業や追加教員の配置といったサポートがある一方、浮きこぼれの子どもたちに対しては何もサポートが無いというのが今の日本の学校の現状です。

このような状況の中で、ギフテッドの子どもたちは「授業を受けなくても教科書の内容は理解できるのに、なぜ学校に通わなくてはいけないのか」という疑問を抱くことになります。

結果として、学校に行く意味は無いと判断して積極的に不登校を選択するお子さまもいらっしゃいますし、「授業を受けるよりアリの観察をしたい!」と教室を飛び出すお子さまや、授業を聞くより本を読んだ方が学びがあると感じて自分の席で読書をするお子さまなどがいらっしゃいます。

ギフテッドに理解のある先生や学校の場合は、こうした判断を尊重して自由に過ごさせてくれる場合もあります。
ただ、残念ながらギフテッドのことをよく知らない先生は、「ルールには従ってもらわないと(先生が)困る」という理由で、お子さまの自由な学びを制限してしまう場合もあります。

分かりきっている授業を一日何時間も聞かされるのは、お子さまにとっては苦痛にほかなりません。その結果ストレスが溜まり、不登校になってしまうケースが非常に多く見られます。

また、ギフテッドに理解を示して自由に過ごさせてくれる先生は、一見すると良い先生に思えますし、ルールで雁字搦めにする先生よりは余程良いのですが、とはいえギフテッドのお子さまにとって最適な学びが提供できているかと言えば、そうではありません。

ギフテッドのお子さまにとって最適な学びとは、自分の関心のある内容についてどんどん探究し、分からないことがあれば質問し、逆に分かったことについて人に伝えることでさらに探究を深めていくというものです。

アリの生態を観察して分かったことがあったとしても、それを発表する場が無かったり、本を読んで分からないことや調べたいことがあっても、質問したり、別の本を探したり、あるいはインターネットで調べたりできない環境は、必ずしもギフテッドのお子さまにとって最適な環境とは言えません。

さらにギフテッドのお子さまの場合は、自分の知的探求心の赴くままに自由に勉強しがちですが、一方で体系立った知識やあらゆる分野についての幅広い教養を身に着けることも大切です。
バランスよく知識を身に着けていくためには、本人に合ったカリキュラムを準備してあげる必要があります。

ギフテッドの子どもたちのハイレベルな学びをサポートする仕組みは、残念ながら今の日本の公立学校では整っていません。
文部科学省では有識者会議を開催し、日本においてもギフテッド教育を進めるべく検討を進めていますが、実現に至るまでにはまだまだ時間が掛かるでしょう。(参考:特定分野に特異な才能のある児童生徒に対する学校における指導・支援の在り方等に関する有識者会議:文部科学省 (mext.go.jp)

ギフテッドのお子さまが不登校になるもう一つの大きな原因が、「クラスメイトと話が合わない」というものです。
ギフテッドのお子さまは会話の知的レベルも高く、さらに興味関心の対象も、流行りのドラマやアイドルよりも、自然科学や哲学といった学術的なものである場合が多くなっています。

幼い頃は自分の関心のままにおしゃべりしたり、調べ物をしたりしていたギフテッドのお子さまも、成長するにつれ「自分は周りと違う」ということを自覚し始めます。
周りからからかわれたり距離を置かれたりしたことがきっかけで不登校になる方もいらっしゃるほか、無理に周りに合わせることがストレスになって不登校になってしまう方もいらっしゃいます。

私が以前サポートさせていただいたAさんは、知的な欲求が非常に強く、常に知識を吸収していたいというお子さまでした。ただ、クラスメイトと知的な会話をするわけにもいかず、Aさんは頑張って周りに合わせてドラマやアイドルの話をしていたそうです。

中学校に進学して間もないある日、Aさんは突然の腹痛と頭痛に襲われて学校に行けなくなってしまいました。知的好奇心が満たされないことと、無理に周りに話を合わせていたことのストレスが限界に達して、身体的な症状が現れてしまったのです。

それから3年間、Aさんは中学校には登校できず、高校は通信制に進学することになりました。
通信制の高校を選んだことで時間的な余裕ができた中、ふと目にした短期留学に参加したことでAさんの人生は激変します。

留学先のカナダの学校では、それぞれの興味や関心に合わせて調べ学習をし、その内容を発表するという形の授業が行われていました。Aさんは「私が求めていたのはこれだ!」と感じたそうです。

日本の大学に進学することも考えましたが、海外の学校の在り方に強い憧れを持ったAさんは、元々持っていた知的好奇心を強みに猛勉強し、カナダの大学への進学を果たしました。今ではAさんは研究者として大学に所属しており、日々研究に励んでおられます。

Aさんの場合は、海外留学をきっかけに人生を前向きに歩み始めることができましたが、中にはコミュニケーションそのものにトラウマを抱えてしまい、そのまま社会からドロップアウトしてしまうギフテッドのお子さまもいらっしゃいます。

ギフテッドのお子さまは、一度不登校の状態になってしまった場合でも、才能を糧に再び社会に復帰できる場合がほとんどですが、うつや適応障害などの精神疾患を抱えてしまうと復帰が困難になるケースもあります。

学校に通うことのストレスが大きい場合は無理に登校せず、しっかりと休むことが大切です。
ご家庭においてはお子さまの様子をよく見守っていただき、ストレスを溜めていそうであれば早めに対処していただきたいと思います。

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ギフテッドの子が不登校になった場合の対応4選

ギフテッドの子が不登校になった場合の対応4選

ギフテッドの方の中には積極的に不登校を選択している方もおり、一概に学校復帰を目指すことが正解とは言えません。

一方で、学校に居場所が無かったり、コミュニケーションがしんどかったりして、学校に行きたいけれど行けないというお子さまの場合は学校復帰を目指したいですし、積極的不登校のお子さまの場合でも、同年代との交流の場として必要に応じて登校するという選択も大切です。

重要なのは、「お子さまの学びにとって何が必要か」という視点でサポートすることです。
勉強だけでなくお子さまの心の成長も含めて「学び」ですので、ご家庭におかれてはお子さまが心身ともに多面的かつ健康的に成長できるようサポートしていただきたいと思います。

ギフテッドの子が不登校になった場合の対応①ホームスクーリングの環境を整える

ギフテッドの子が不登校になった場合の対応①ホームスクーリングの環境を整える

ギフテッドのお子さまが不登校の状態にある場合は、まず家庭で学習(ホームスクーリング)できる環境を整えてあげることは大切です。
ギフテッドのお子さまは高い知能を持っているため、2E型ギフテッドの場合で特定の教科が苦手な場合を除いて、教科書レベルの勉強のために塾や家庭教師を利用する必要はありません。

ギフテッドのお子さまの家庭学習については、教科書の勉強というよりは、本人の知的探求心を満たし、伸ばしていけるような環境を整えてあげることが大切です。

いわゆる受験のための塾ではなく、数学や自然科学の本質的な面白さを伝えてくれるような場所が良いでしょう。
塾というよりは数学道場や科学実験教室など、習い事の側面が強い教室の方が相性が良い場合が多いと言えます。

また、教室の雰囲気にも合う/合わないがありますので、お子さまの性格や性質をよく分析し、本人の意思を尊重しながら検討していただければと思います。

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ギフテッドの子が不登校になった場合の対応②学校と連携する

ギフテッドの子が不登校になった場合の対応②学校と連携する

学校に行きたいけれど行けない状態にあるお子さまだけでなく、積極的不登校のお子さまにおいても学校との連携は大切です。

私たちは大人になるにつれ、自分と近い属性(学歴や経歴、家庭環境など)の人同士でコミュニティを作るようになり、自分と違う生い立ちの人とは接点が無くなっていきます。

公立の小中学校では、一定の地域性はあるものの、その地域に住む多様な子どもたちが一堂に会して学校生活を送ります。いろいろな性格や特性を持ったクラスメイトと一緒に過ごすことで、子どもたちは多様性の理解や協調性を身に着けていくことができます。

特にギフテッドのお子さまの場合は、「周りの多くの人間は自分より知能指数が低い」という状況の中で今後の人生を過ごしていくことになります。
自分だけが理解できれば良いのではなく、相手にも理解してもらうための伝え方・話し方とはどういうものか、そもそも一般的な知的レベルの人はどの程度の理解力を持っているのかを学ぶ機会として、小中学校の“ごちゃまぜ”の環境で学ぶことはとても貴重なものと捉えることもできます。

もちろん、周りと知的能力が違いすぎることでしんどさを感じてしまうお子さまの場合は無理に登校する必要はありませんが、例えば週に1回でも保健室に登校したり、放課後の教室で先生と面談したりして学校の雰囲気を知っておくだけでも十分に価値があります。

ギフテッドのお子さまは観察力や分析力にも優れていますので、一日中教室の中で過ごさずとも、「学校ってこんな感じなんだ」と自分なりに学び取ることができます。

ただ、「学校とはどんなものかを知っておくために、好きなタイミングで登校したい」という希望を学校に伝えても、学校側がすぐに理解を示してくれるとは限りません。
学校復帰するべきという考えが強い先生や学校である場合もありますし、特別な対応となるため単純に人員などの調整に時間が掛かってしまうケースもあります。

家庭の希望を一方的に伝えるのではなく、今お子さまがどんな状態にあって、何を目標にしているのかを、言葉を惜しまずに伝えるようにしましょう。学校には学校側の考えがあり、ご家庭では思いつかなかった解決策を提案してもらえることもあります。

お子さまが不登校の状態にあるとき、保護者さまも不安やストレスからついつい学校に対して強い言い方になってしまうこともあるかもしれません。ですが、学校と対立してしまうのはあまりよくないと感じます。
不登校のお子さまの支援において学校との連携は必須であり、そのためには日頃から良好な関係を築いておくことが大切です。いざという時に「○○さんの希望なら叶えてあげたい」と学校側に思ってもらえるような関係を築いていきましょう。

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ギフテッドの子が不登校になった場合の対応③自分に合った学校に進学する(中学受験・高校受験)

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不登校のお子さまにとって相性の良い学校に進学することは非常に重要であり、進学をきっかけに不登校から復帰できるケースも多くなっています。

ギフテッドのお子さまの場合は、基本的には偏差値が同等レベルで、生徒の自主性を重んじる自由な校風の学校がオススメです。

「周りの子と話が合わない」「先生が自分の特性を理解してくれない」ということが原因で不登校になってしまっているお子さまの場合は、偏差値の高い学校に進学することでクラスメイトの知的レベルも高くなり、先生も知的レベルの高い子の特性をよく理解しているため、かなり過ごしやすくなると考えられます。

また、受験一辺倒ではなく、様々な体験や教科以外の学びを重視している学校もオススメです。
ギフテッドのお子さまは、自分の関心のある分野について自主的に学びを深めたいという方や、自分の知らない分野についてどんどん知りたいという方が多いため、難関校への進学を目指して教科書の内容を詰込むタイプの学校ではなく、幅広く探究的な学びを提供している学校を選ぶと良いでしょう。

ただし、偏差値の高い学校を目指す場合には、受験勉強がプレッシャーにならないように注意が必要です。
ギフテッドのお子さまの中には心がとても敏感(=情動性過度激動)な方がいらっしゃいます。

ストレスに弱いお子さまの場合は、受験によって心身の調子を崩してしまう場合もありますので、丁寧に見守る必要があります。

また、他者への共感性が高く、保護者さまの気持ちを過度に汲み取ってしまう場合もあります。
本人はそれほど受験に前向きでないにもかかわらず、「お母さん/お父さんはこの学校を受験してほしいと思っている」と無意識に感じ取って頑張りすぎてしまうお子さまもいるため注意が必要です。

ギフテッドのお子さまは、無理に高い偏差値の学校を目指さずとも、きちんと勉強すれば平均以上の学校には必ず合格できます。偏差値だけにこだわり過ぎず、本人の意思や校風をより重視して学校を選んでいくことが大切です。

また、朝起きるのが苦手であったり、もっと自由に自分なりに学びたいというお子さまの場合は、通信制の学校も一つの選択肢になります。

早寝早起きが最も健康的であると言われがちですが、睡眠のパターンは人それぞれであり、夜型の人もいれば完全に不規則であるという人もいらっしゃいます。朝起きて昼に学校に通うことが絶対的なルールというわけではありませんので、自分のリズムに合わせた選択をすることも大切です。

また、通信制の学校では通学時間の制約から解放される分、自分の好きなことにより集中して勉強することができます。
「この分野を研究したい」という具体的な目標が定まっているのであれば、教科書の勉強は最低限にし、その研究を極めるのも一つの選択肢になります。

中学受験でギフテッドの才能を最大限に生かす方法|準備のコツと成功のポイント
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ギフテッドの子が不登校になった場合の対応④ギフテッド向けのプログラムに参加する

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不登校で家に籠りっきりだと、ギフテッドのお子さまの知的好奇心を満たすことは難しくなります。
インターネットで何でも調べられるとは言っても、実際に目で見て、触って、肌で空気を感じる経験を持つことは非常に大切です。

保護者さまだけで体験の場を用意してあげるのは難しいため、ギフテッド向けの様々なプログラムを探して参加してみることをおすすめします。
代表的なものには、東京大学先端科学技術研究センターの中邑賢龍氏が中心となって運営されている「LEARN」があります。

LEARNは現在の学校教育とは違った学びを提供することをコンセプトにしたプログラムで、ギフテッドに限らず現状の学校システムに適応しづらい子どもたちに向けて、型にはまらない自由な学びを提供しています。

東京だけでなく全国各地でプログラムは実施されており、「500円で4時間家出する」「虫を探して夜通し散策する」といったユニークで刺激的な内容が並んでいます。

子どもたちが本来持っている好奇心を目覚めさせてくれる非常に魅力的な取組ばかりですので、関心のある方はぜひ一度参加を検討してみてはいかがでしょうか。

LEARNの趣旨説明の中に、「結局はそれぞれがそれぞれの個性を発揮して、生きられる場を創造する必要がある」という言葉があります。前身であるROCKETの取組の結果を踏まえた上で、どんな子どもの個性も魅力であるとする姿勢に私は深く胸を打たれました。

ご関心のある方はぜひ「LEARNについて – LEARN (learn-project.com)」の内容をご一読いただければと思います。

LEARNのほかにも、大学の公開講座やセミナーに参加してみるなどしてお子さまの知的好奇心を満たしてあげるのも良いでしょう。
子ども向けのものだけではなく、大人向けのものでもギフテッドのお子さまであれば十分ついていける可能性がありますので、積極的に調べて足を運んでみることをオススメします。

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ギフテッドの不登校のまとめ

ギフテッドの不登校のまとめ

この記事では、ギフテッドのお子さまが不登校の状態にある場合の対応などについて詳しく解説してきました。

改めてポイントをまとめると、以下のとおりです。

<POINT>
・ギフテッドとはIQ130以上の高い知能を持つ人を指す

・ギフテッドの子どもは、高い知能を持っているがゆえに授業を退屈に感じたり、クラスメイトと話が合わなかったりして不登校の状態になることがある

・ギフテッドの中には、発達障害の特性を併せ持つ「2E型ギフテッド」の人がいる

・人よりも知的好奇心が強かったり、感覚が敏感であったりすることで生じるギフテッドの特性を「過度激動」と呼ぶ

・ギフテッドの子どもの困りごとの原因には、①過度激動②発達障害③環境によるストレスの3つのパターンが考えられる

・ギフテッドの子どもが不登校の状態にあるときは、無理に登校せずしっかりと休養を取ることが大切

・自宅に居ながらも好奇心を満たしてあげられるよう、ホームスクーリングや様々なプログラムへの参加を検討すると良い

・ギフテッドの子は、進学をきっかけに学校復帰できることも多い

ギフテッドのお子さまは高い知能を持っていることから、平均的な知能の子どもを対象としている日本の教育制度には馴染まない場合があります。

ギフテッドのお子さまが持って生まれた才能を存分に発揮していくためには、伸び伸びとした環境でその子の知的レベルに合った教育を受けることが大切です。

私たちプロ家庭教師メガジュンは、長年にわたりギフテッドのお子さまの支援に携わってきました。
その中には不登校の状態にある方もたくさんいらっしゃいましたが、どの方も自分なりの進路を見つけ、人生の新たな一歩を踏み出していらっしゃいます。

ギフテッドのお子さまの支援方法に、ただ一つの正解はありません。それぞれのお子さまの性質を見極め、個々に合わせたサポートを行うことが何よりも大切です。

プロ家庭教師メガジュンでは、経験豊富な講師たちがお子さまにとことん寄り添い、より良い選択肢を見つけるお手伝いをさせていただきます。

ギフテッドのお子さまについて相談先をお探しの方や、なかなか理解してもらえる先生に出会えないとお悩みの方は、ぜひ一度プロ家庭教師メガジュンまでご相談ください。

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最後までお読みいただきありがとうございました。

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