ギフテッドの育て方~天才児を理解するための5つの視点~
- ギフテッドのお子さまへの接し方に悩んでいる
- 周りの子との違いが気になってしまう
- 一般的な育児書が参考にならない
ギフテッドのお子さまの保護者さまで、このようなお悩みをお持ちの方はいらっしゃいませんか?
我が子が賢すぎて困っている、という悩みは贅沢に聞こえますが、「相談できる相手がいない」「理解してもらえない」というのは深刻な問題です。
私は、不登校・発達障害専門のプロ家庭教師として長年活動してきました。
受け持ったお子さまの中には、発達障害かつギフテッドである「2E型ギフテッド」のお子さまや、ギフテッドゆえに学校に馴染めず不登校になってしまったお子さまも少なからずいらっしゃいました。
出る杭が打たれてしまう学校教育や同調圧力の強い日本社会は、ギフテッドのお子さまにとって必ずしも生きやすい社会ではありません。
「みんなと同じでなければいけないのかな?」とお子さまが感じてしまい、折角の才能が潰れてしまったり、自信を無くしてしまったりすることはできる限り避けたいものです。
ギフテッドのお子さまが才能を存分に伸ばしていくためには、ご家庭におけるお子さまへの接し方が非常に大切なポイントになります。
ギフテッドのお子さまは、自分のことが周りになかなか理解されないという状況にあるため、お子さまが自分自身を肯定できるよう、ご家庭ではお子さまのありのままを受け入れることが大切です。
- 大人よりも賢くて弁が立つため、ついつい感情的になってしまう
- 才能は伸ばしてほしいが、どこかで普通にしてほしいという思いがある
- 我が子のことをどう理解して良いのかわからない
ギフテッドの悩みを相談できる場所は少なく、こういった悩みもなかなか理解してもらえないかもしれません。
ですが、決してご家庭だけで抱え込むことなく、学校の先生や医師、プロ家庭教師といった専門家の力を積極的に借りることがお悩みの解決につながりますし、そのことがお子さまのより良い人生にもつながります。
この記事では、ギフテッド専門のプロ家庭教師としての経験から得たノウハウを元に、ご家庭でのギフテッドのお子さまへの接し方についてお伝えしていきます。
ギフテッドのお子さまの育て方のことで悩んでいる方に向けた内容となっていますので、ぜひ最後までお読みいただけますと幸いです。
ギフテッド・発達障害専門のプロ家庭教師
妻鹿潤
・個別指導塾の経営・運営でお子様の性質・学力を深く観る指導スタイル
・yahooやSmartNews、Newspicksなどメディア向け記事も多数執筆・掲載中
ギフテッドとは
この章では、ギフテッドの定義や概要について説明していきます。
ギフテッドについて既に十分な知識をお持ちの方は、「2.ギフテッドを育てる際の困りごと」までお進みください。
ギフテッドとは、一般的にIQ130以上の人を指します。
平均的なIQは90~110程度ですので、IQ130はかなり高い知能の持ち主と言えます。人口比では2%程度存在すると言われており、50人いれば1人くらいはギフテッドに該当すると考えられます。
IQを測るために主に用いられるのが、「WISC-IV」と呼ばれる知能検査です。
これは、発達障害の診断の際などにも広く使われる検査であり、子ども向けの知能検査では最もスタンダードなものです。
WISC-IV検査では、
- 言語理解指標(VCI)
- 知覚推理指標(PRI)
- 処理速度指標(PSI)
- ワーキングメモリー指標(WMI)
の4つの指標でお子さまの特性を測ります。
そして、その総合点からFSIQ(全検査IQ)と呼ばれるIQを測ります。
FSIQは130以上であるものの、個々の指標の数値にばらつきがあり、平均を大きく下回る指標があるなど日常でも困りごとがある場合は、発達障害とギフテッドの両面を併せ持つ2E型ギフテッドと診断されます。(2E型ギフテッドの”2E”とは、「twice-exceptional(二重に例外)」の意味です)
知能指数によってギフテッドを分類(階層化)する考え方もあります。
アメリカなどギフテッド教育が進んでいる国では、知能指数の階層によってアプローチを変えていく等の取組が実施されていますが、日本においてはIQ130以上=ギフテッドと一括りにする考え方が一般的です。
- ~IQ130以下 mildly gifted
- IQ131~149 moderately gifted
- IQ150~159 highly gifted
- IQ160~179 exceptionally gifted
- IQ180 profoundly gifted
また、知能指数では測りきれないギフテッドも存在します。
音楽や芸術、運動に関する才能はWISC-IV検査で特定の指標が高くなる場合はあるものの、必ずしも全検査IQが130以上になるとは限りません。
そういった知能指数では測りきれない才能については、ハワード・ガードナーが提唱した「多重知性理論(8種類の知性)」が参考になります。
ガードナーは、検査で測ることのできる知能(知性)だけではなく、感受性やコミュニケーション能力についても知性として捉えることができると主張しました。
- 論理数学知性:論理的思考力や科学的に考える力
- 視覚空間知性:平面や空間を認識する力
- 言語知性:言語を使ったり学んだりする力
- 人間関係知性:他人への共感力やコミュニケーション力
- 身体運動知性:スポーツや運動に関する力
- 音楽知性:音程やリズムを鑑賞し、創造する力
- 自然共生知性:動物や自然に対する感受性に関わる力
- 内省知性:生死や人間存在について哲学的に考える力
お子さまがギフテッドに該当するかは、一つの物差しで測れるものではありません。知能指数や8種類の知性の観点を参考にしながら、お子さまの普段の様子なども鑑みて総合的に判断されます。
一口にギフテッドと言っても、持っている特性はそれぞれ違いますので、お子さまにしっかり寄り添いサポートしていくことが大切です。
ギフテッドを育てる際の困りごと
天才児と呼ばれるギフテッドは、一般的には「すごい」「うらやましい」といった印象を持たれがちです。
しかし、ギフテッドの方の多くは学校生活が苦手であったり、生きづらさを感じていたりと、ギフテッドならではの困りごとを抱えています。(参考:ギフテッドとは?高いIQを持つ天才たち その素顔と苦悩に迫る – NHK クローズアップ現代 全記録)
ギフテッドの困りごとには、「周囲から理解されない」「同年代から浮いてしまう」といったものがあります。
この章では、これらの困りごとを、①浮きこぼれ、②周りの目、③過度激動(OE)、④非同期発達の4つの視点から解説していきます。
ギフテッドの育てる際の困りごと①浮きこぼれ
勉強が苦手で学校の授業についていけない子どもを表す「落ちこぼれ」に比べて、「浮きこぼれ」という言葉にはあまり馴染みがないかもしれません。
浮きこぼれとは、知能が高すぎるために学校の授業がつまらなく感じたり、同年代の子どもと馴染めない子どものことを指します。
落ちこぼれの割合は約15%とされていますが、一方の浮きこぼれの割合も13%程度と言われています。落ちこぼれへの対応は従来から取り組まれていますが、浮きこぼれへの対応も同程度に重要であると考えるべきでしょう。
ですが、学校の授業が簡単すぎで退屈だというお子さまに対し、学校で特別な対応がなされることはほとんどありません。
とにかく朝8時から夕方3時ごろまで、知的欲求が満たされない授業を延々と聞かされ続けるのは、浮きこぼれの子どもたちにとって苦痛に他なりません。
浮きこぼれてしまうギフテッドの子どもたちが、知的好奇心を満たし、才能を存分に伸ばせる環境を整えるためには、これまでの画一的な一斉授業ではなく、一人一人の学力や興味・関心に応じた教育を行う「学びの個別最適化」が必要です。
文部科学省が定めている学習指導要領では、この学びの最適化が謳われており、それを実現するための一人一台タブレットの整備も行われました。
さらに、日本においてもギフテッド教育を推進するため、定期的に有識者会議が開かれています。
諸外国に比べると日本のギフテッド教育は遅れがちではありますが、尖った才能を伸ばしていくことは社会全体にとっても重要であるという機運が、徐々にではありますが高まっていると言えます。(参考:文部科学省「特定分野に特異な才能のある児童生徒に対する学校における指導・支援の在り方等に関する有識者会議」)
ギフテッドを育てる際の困りごと②周りの目
ギフテッドのお子さまの困りごととして看過できないものの一つが「周りの目」です。
お子さまが小さいうちは、周りと違う行動を取ったり、目立つ言動があったりしても、本人も周りもあまり気にしません。ですが、小学校3年生くらいになると自我が確立してくるため、周りも本人も「普通かどうか」が気になり始めます。
例えば、幼稚園のときに大人向けの専門書を読んでいても、周りの子どもたちは気にしません。
5歳くらいまでの発達段階であれば、「あの子が読んでいる本は、自分が読むような本とは違う」と気付くことすらほとんどなく、気付いたとしてもからかいの対象にはなりません。
ですが、小学校に上がると徐々に「周りと違うことをしている」「あの子は変だ」とはやし立てられたり、からかわれたりする機会が出てきます。
さらに、クラスメイトだけでなく先生からも「ちょっと変わった子」と認識されることで、ストレスを抱える場合があります。
授業の内容が退屈だからといって授業をサボるわけにもいかず、教科書の範囲を超えた内容を勝手に勉強したら先生に怒られてしまったというケースも少なくありません。
ギフテッドのお子さま本人は、自分が周りと違うことに幼い頃から気付いていることが多いのですが、学校生活や人間関係がしんどくなってくるのが小学校低〜中学年くらいからが多く、学校への行き渋りや不登校の傾向が表れやすい時期になります。
また、意識して周りの子と合わせ「普通の子」を演じなければならないことが、本人としてはコミュケーションの苦手さとして自覚されることもあります。(例:自分らしく振舞うと周りから浮いてしまう→意識しないと”普通のコミュニケーション”ができない→自分はコミュニケーションが苦手なのだ)
こうした悩みを打ち明けたところ、医師からASDの診断を受けたというケースもあるようです。
実際に我々の元に相談されたお子さまで、こうしたケースに当てはまる方がいらっしゃいましたが、ASD特有の想像することの苦手さはあまり感じられませんでした。
また、学校では「普通の子」として上手く振る舞えているため、コミュニケーションでの困難も生じていませんでした。
ただし、同年代の子どもたちよりは精神的にかなり成熟していて、物の見え方・考え方がとても大人びていました。そのため、同年代の子どもらしく振舞うことに負担を感じており、そのことが本人にはコミュニケーションの苦手さとして自覚されていました。
さらに、そのお子さまは感覚過敏の性質もあったため、医師としてはASDの診断となったようです。(→ギフテッドの感覚過敏は過度激動と呼ばれます)
いずれにせよ、お子さまが自信を持って才能を伸ばせるかどうかは、家庭や学校での配慮によって大きく変わります。
学校のことを話したがらなかったり、なんとなく元気が無さそうなときは、お子さまとの会話を普段より一層大切にするとともに、学校にも早めに相談することをおすすめします。
ギフテッドを育てる際の困りごと③過度激動(OE、overexcitability)
ギフテッドの特性の一つに、「過度激動(OE、overexcitability)」があります。
過度激動とは、知性や感覚が人よりも過敏に働く性質のことで、非常に高い感受性や強い知的欲求となって現れます。
ギフテッドのお子さまは、普通の子どもが気付かないことや受け流してしまうことでも敏感に感じ取ります。
普通の人からすると過剰な反応にも見えるため、集団生活になじめなかったり、生きづらさを感じる原因になることがあります。
- 知性過度激動…とても旺盛な知的好奇心を持つ
- 精神運動性過度激動…新鮮な経験やスリルなど、精神面での強い刺激を好む
- 感覚性過度激動…五感が強いため、刺激を求めたり、逆に極度に不快に感じたりする
- 想像性過度激動…想像力が非常に豊かで、想像の世界に没入してしまうことがある
- 情動性過度激動…感受性が強いために感情の起伏が激しく、ちょっとしたことで泣いたりする
上記の5つの過度激動は、全てを持ち合わせていないことも多く、上記の内1つだけ持っている方もいれば、複数を持っている方もいます。また、その強弱も人それぞれです。
これらの過度激動が原因で、ギフテッドのお子さまが発達障害と誤診されることがあります。
例えば、情動性過度激動によって衝動的な行動が目立つ場合や、想像性過度激動によって空想にふけってしまうことが多い場合は、「落ち着きが無く立ち歩いてしまう/授業中にぼーっとしている」というADHD(注意欠如・多動症)の特性と重なるため、発達障害と診断されることがあります。
あるいは、知性過度激動によって一つのことに熱中してしまい、そのことで他者とのコミュニケーションが疎かになっている場合は、ASD(アスペルガー、自閉スペクトラム症)と診断される場合があります。
ギフテッドのお子さまが発達障害と誤診されると、才能が伸ばせないどころか、誤った投薬治療によってうつ病などの精神疾患を発症してしまうケースもごく稀にではありますが存在しています。
また、ギフテッドと発達障害の両面を併せ持った2E型ギフテッドであるケースもあり得るため、ギフテッドの過度激動なのか、発達障害なのか、それとも2E型ギフテッドなのか、診断には高度で専門的な知識が必要となります。
治療によって困りごとが解決しない場合は、診断自体が誤っている可能性もありますので、セカンドオピニオンなども検討すると良いでしょう。
また、ギフテッドにしろ発達障害にしろ、生まれ持った特性そのものを消すことはできません。
困っていることや解決したいことを明確にし、それに対するサポートや対応を考えるという視点を持つことが大切です。
ギフテッドを育てる際の困りごと④非同期発達
知能や言語能力、精神面での成熟やコミュニケーション能力は、互いに影響し合いながら一体的に(同期的に)発達します。
しかし、ギフテッドのお子さまは、知能や言語能力は人並み以上であっても、精神面や社会性の面では年相応である場合があります。
このようにギフテッドのお子さまに見られる発達のアンバランスさを「非同期発達」と言い、ギフテッドの特性の一つとされています。
また、ギフテッドのお子さまは、自分が突出した存在であることに気付いていない場合があります。
周りの子どもや大人も自分と同じような高い知能を持っていると認識しているため、「なんでこんなこともわからないの?」と悪気無く言ってしまうなど、コミュニケーション上のトラブルを起こすことがあります。
あるいは、普段の言動が大人びているため、年相応の言動をするたけで周囲を驚かせてしまうこともあります。
他の子には見られない独特のギャップがあるため、周りの子どもたちから孤立してしまったり、大人からも「扱いづらい子」と思われてしまうことがあります。
ギフテッドの育て方
この章では、ギフテッドのお子さまの育て方において大切な3つの視点と、具体的な5つのポイントを解説していきます。
ギフテッドの育て方で大切な3の視点
ギフテッドのお子さまの子育てにおいて、必ず持っていただきたい視点があります。
- 才能を伸ばすことを最優先する
- 苦手の克服は負担にならない程度に取り組む
- お子さまが自分自身を肯定できるようにする
この3つの視点について、以下で詳しく解説していきます。
才能を伸ばすことを最優先する
ギフテッド=何でもできる問題の無い子というわけではありません。
「2.ギフテッドを育てる際の困りごと」でお伝えしたとおり、浮きこぼれや過度激動など、ギフテッド特有の困りごとを抱える場合がありますし、発達障害の側面を併せ持つ2E型ギフテッドである可能性もあります。
ですが、困りごとを解消するよりも、得意なことを伸ばすことの方が何倍も重要です。
他の子と違うところや苦手なことばかりを指摘されると、生まれ持った才能自体をコンプレックスに感じ、良い部分が伸ばせないどころか潰れてしまう可能性さえあります。
とある自閉症傾向のお子さまは、言語の発達には遅れがあるものの、絵画においては類稀な才能を持っているギフテッドでした。
周りの人たちも彼女の才能は認めていましたが、一方で言葉の遅れを取り戻すことが何よりも重要であると考え、様々なトレーニングを行いました。その結果、言葉の遅れは取り戻せたのですが、絵画の才能はすっかり消えてしまったそうです。
日本は「周りと一緒でいなければ」という同調圧力が強い社会です。
しかし、無理に周りに合わせるよりも、せっかく生まれ持った才能を強みにして生きていく方が、お子さまの人生にとってより良いものであることは間違いありません。個性を尊重し、しっかり伸ばしていくことが、ギフテッドのお子さまを育てる際に最も大切にすべきであると言えます。
苦手の克服は負担にならない程度で取り組む
ギフテッドのお子さまは、精神面の成熟やコミュニケーション力よりも、知能や言語能力が先立って成長していくことが多いです(→非同期発達)。
「話し方は大人っぽいのに、空気を読めない」といったケースはギフテッドのお子さまによく見られますが、社会性の発達が遅れているわけではなく知能に比べて年相応なだけで、焦ったり注意をしたりする必要はありませんので、落ち着いて見守るようにしましょう。
2E型ギフテッドのお子さまは、発達障害の面に注目されがちで、保護者さまとしても「困りごとを何とかしなければ」と考えてしまいます。
ですが、発達障害は生まれつきの特性であり、特性そのものを解消することはできません。
過度な期待がお子さまの心の負担になってしまうこともありますので、できる範囲かつ無理のないペースを心がけましょう。
本人の努力だけを求めるのでは無く、周りにできるサポートは何かを考えていくことも大切です。
また、ギフテッドの特性である過度激動については、行動を注意するのではなく、知的な欲求を満たしてあげるなど、根本的な解決を図ることが重要です。
お子さまが自分自身を肯定できるようにする
「自分は周りと違うのかな」「変だと思われていないかな」といった悩みは、小学校以降の発達段階のお子さまにとってとても重要な悩みです。
特に思春期に差し掛かると、自分自身を肯定することがますます難しくなっていきます。
大人の想像する以上に教室の同調圧力は強く、集団行動に馴染めないために自信を無くしてしまうギフテッドのお子さまも少なからずいらっしゃいます。
無理に周りに合わせる必要は無いこと、お子さまは素晴らしい才能を持っていることなど、ご家庭におかれてはしっかりと言葉で伝えていただきたいと思います。お子さまとの会話を大切にし、お子さまの自己肯定感を育んでいただければと思います。
ギフテッドの育て方の5つのポイント
この章では、上で紹介した3つの視点を大切にしながら取り組んでいただきたいギフテッドのお子さまの子育ての5つのポイントをご紹介します。
知的欲求を満たせる環境づくり
才能あるギフテッドのお子さまは、学校では出る杭として打たれてしまいがちです。
そこでご家庭においては、お子さまの関心がある分野や才能を発揮できる分野について、本人が満足のいくまで取り組める環境をできるだけ整えてあげましょう。
子どもだからといって児童書や子ども向けの図鑑を与えるのではなく、本人が読みたいのであれば大人向けの小説や専門書も手に取らせてあげると良いでしょう。専門書は高価な場合もあるので、図書館などをうまく活用していきましょう。
大学教授などの専門家と直接話せる公開講座やセミナーへの参加もおすすめです。
NPOや大学の研究室などが、ギフテッドの子どもたち向けのプロジェクトを実施している場合もあります。ご家庭だけでお子さまの知的欲求を満たすことが難しい場合は、こういったプロジェクトに参加してみるのも良いでしょう。(参考:東京大学先端科学技術研究センター「個別最適な学び研究」寄付研究部門 LEARN)
新しい分野へのチャレンジ
高い知能や記憶力を持っているけれど、これといった特定の分野に才能があるわけではないギフテッドのお子さまもいらっしゃいます。
このようなタイプのお子さまの場合は、普段はあまり触れることのない分野にチャレンジしてみるのがオススメです。
ギフテッドのお子さまはワクワクするような新しい経験を好みますし、新たな挑戦をきっかけに、意外な才能が見つかるかもしれません。
- 川遊びや昆虫採集、キャンプなどの自然体験
- 作曲や楽器の演奏などの音楽活動
- 絵画や彫刻などのアート活動
- 留学やホストファミリー受入れなどの異文化交流
- 美術館や博物館での鑑賞
自分の才能に自信を持つ
ギフテッドのお子さまは素晴らしい才能を持って生まれたにも関わらず、そのことがコンプレックスになってしまうケースがあります。
私が指導したとあるギフテッドのお子さまの場合、非常に強い知的欲求を持っており、常に新しい知識を吸収していないとストレスが溜まるという特性の持ち主でした(知性過度激動)。
しかし、学校の授業やクラスメイトとの会話では、彼女の強い知的欲求を満たすことはできません。
もっといろんなことを知りたいのに……というストレスを日々抱えながら、彼女は「普通の子」として振る舞うために、物足りない授業を受け、興味の湧かないクラスメイトとの会話にも一生懸命合わせていました。
ですが、積もり積もったストレスは中学の時に限界を迎え、とうとう頭痛や嘔吐といった身体的な症状が出るまでになりました。
学校という場所そのものがトラウマになってしまい、以降は不登校の状態が続いていましたが、あるきっかけで海外留学を志したことにより、症状は劇的に改善しました。
現在は海外の大学で研究に勤しんでおり、先日お話しした際には、日本にいた頃とは見違えるような生き生きとした様子で、「やっと自分らしく居られる場所を見つけた」と語っていました。
日本の学校は横並び重視で、ギフテッドのお子さまが自分の才能を発揮しづらかったり、引け目に感じたりしてしまう場合があります。
「うちの子は周りと違うのかな?」と保護者さまも不安に思われることがあるかもしれませんが、まずは保護者さまが自信を持ってお子さまの才能を肯定しましょう。
特に社会性の発達が早く、周りの空気を読むことに長けているギフテッドのお子さまの場合は、周りに合わせようとして大きな負担やストレスを抱えてしまうことがあります。
必ずしも男の子だから、女の子だからと言い切ることはできませんが、このように周りに合わせることでしんどくなるギフテッドのお子さまは女の子の場合に多く、中にはわざと勉強ができないふりをする方もいらっしゃいます。
お子さまがこのような悩みを抱えている場合には、他人と同じである必要はないことや、無理をしてまで学校で周りに合わせる必要はないことについて、丁寧に伝えていくことが大切です。
学校以外の集団活動に参加する
ギフテッドのお子さまの中には、学校での集団生活に馴染みにくい方がいらっしゃいます。ですが、他人と協働して何かに取り組むことは、お子さまの成長においてとても大切な経験です。
学校以外でも、集団活動をする場はたくさんあります。
同年代同士のコミュニケーションが苦手な場合は、老若男女が参加できる地域のスポーツクラブや趣味のサークル、ボランティア活動などを検討するのも良いでしょう。お子さまの視野も広げられますし、学校での勉強より何倍も「生きる力」につながる可能性があります。
家庭でたくさん会話する
お子さまの知能が高く周りが話についていけないとき、幼い頃は「どうしてわかってくれないの?」という単純な感情でとどまりますが、成長するにつれ「自分のことは誰もわかってくれないんだ」という孤独感を持つようになることがあります。
同じように高い知能を持ったギフテッドの人々と交流することも解決策の一つではありますが、何よりも一番身近な存在である保護者さまが「あなたは一人ではないよ」というメッセージを伝えることが大切です。
お子さまが考えていることの全てを理解することは難しいとしても、「何があっても味方であること」「いつも見守っていること」「どんなチャレンジも応援すること」を、日頃の会話においてしっかり伝えていただければと思います。
まとめ:ギフテッドの育て方
この記事では、ギフテッドのお子さまの特徴や育て方について詳しく紹介してきました。
改めてポイントをまとめると、以下のとおりです。
- ギフテッドとは、IQ130以上の人や音楽・芸術・運動などに優れた才能を持った人のこと
- ギフテッドを育てる際の困りごとは「浮きこぼれ」「周りの目」「過度激動」「非同期発達」など
- ギフテッドのお子さまを育てる際には、才能を伸ばすことが最優先
- お子さまが自分の才能を肯定できるよう、まずは保護者さまが才能を肯定する
高い知能や特別な才能を持っていてうらやましいと思われがちなギフテッドですが、ギフテッド特有の悩みもあり、さらに相談先が少ないという困りごともあります。
プロ家庭教師メガジュンでは、ギフテッド専門の家庭教師として一人ひとりにとことん寄り添った指導を行っています。
これまでの指導経験から得たノウハウを元に、最適な学習方法や進路をご提案し、これまで多くの方からご好評の声をいただいてきました。
また、一口にギフテッドといってもお子さまの特性はそれぞれ異なります。
まずはお子さまのことをしっかりお伺いし、保護者さまやお子さまの思いを大切にしながら指導を進めていきます。ギフテッドのお子さまの勉強や進路でお悩みの方は、ぜひ一度お問い合わせください。
さらに、授業や面談はオンラインでも行っています。日本国内だけでなく、海外在住の方や帰国子女の方にもご利用いただいた実績が多数ございます。
「オンラインでちゃんと授業が受けられるか不安」という方も、初回相談と初回授業は無料で承っていますので、お気軽にご相談ください。
お子さまが才能を伸び伸びと発揮し、自らの力で人生を切り拓いていけるよう、一同全力でサポートしてまいります。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。