- ADHDと診断を受けたが、総合的なIQは高いと言われた
- ADHDだが、特定の分野には突出した才能がある
- ADHDの特性によって、学校生活や勉強面の悩みを抱えている
- ADHDに最適な進路や就職先を知りたい
ADHD(注意欠如・多動症)の診断を受けたお子さまで、「集中できないと言われるけれど、好きなことには驚くほど没頭する」と感じることはありませんか?
中には、知能指数(IQ)が高いのに、得意・不得意の差が大きいためにADHDの診断を受けるケースもあります。突出した才能とハンデを併せ持つ――この状態は「2E型ギフテッド」と呼ばれます。
私は発達障害・ギフテッド専門のプロ家庭教師として、これまで1500人以上のお子さまを指導してきました。その経験からも感じるのは、「ADHDだから困る」ではなく、「特性をどう活かすか」が大切だということです。
日本の学校や社会では、苦手な部分が注目されやすく、せっかくの才能が見過ごされてしまうこともあります。
そこでこの記事では、ADHDとギフテッドの両方の特性を持つ2E型ギフテッドのお子さまが、自分の力を生かして成長していくための考え方と支援のポイントをお伝えします。
「苦手も多いけれど、得意を伸ばしてあげたい」と感じている保護者さまの参考になれば幸いです。
この記事で分かること
- ADHDと高いIQや突出した才能を併せ持つ「2E型ギフテッド」の特徴
- 2E型ギフテッドのお子さまの支援方法や進路選択のポイント
- ADHDの特性である「過集中」を強みとして活かす方法
▼目次
ADHD(注意欠如・多動症)の特性とは?強みと困りごとを理解する
ADHDは発達障害の一つであり、「天才病」と呼ばれることがあります。
定型発達には無い想像力の豊かさや好奇心の旺盛さ、一度熱中すると没頭できる集中力の高さがあるため、何か一つのことをやり遂げる天才タイプの人は、ADHDの特性を併せ持つことが多いと言われています。
ADHDとされている有名人の例
- トーマス・エジソン(発明家)
- アルバート・アインシュタイン(物理学者)
- レオナルド・ダ・ヴィンチ(芸術家・発明家)
- ビル・ゲイツ(実業家・プログラマー)
- イーロン・マスク(実業家)
- 三木谷 浩史(実業家)
- スティーブ・ジョブズ(実業家・工業デザイナー)
- イチロー(野球選手)
※ これらの人物については、公にADHDの診断が確認されているわけではなく、エピソードや言動から「その傾向がある」と言われている場合も含まれます。あくまで参考情報としてご覧ください。
ADHDの強みとしての「過集中」
上で挙げたようなADHDの特性を持つ有名人の多くは、「好きなことに没頭すると寝食も忘れて集中し続ける」という共通のエピソードがあります。それだけ一つのことに打ち込めることで、後世に残るような成果を上げていると考えられるでしょう。
一方で、これらの有名人たちは日常生活ではそそっかしく、忘れ物やなくしものが多かったりと、困った人であるという一面を持っていることも多いです。
これらはまさにADHDの特性であると言えます。
ADHDの特性は、一言で言うならば「集中力のコントロール不全」です。
なので、日常生活では注意散漫で失敗が多い一方、自分が好きなことや関心のあることに対しては、集中力のブレーキを外して没頭できるという特徴があります。
定型発達の人であれば、いくら好きなことであっても脳が疲労を感じて「そろそろやめておこう」とブレーキがかかりますが、ADHDの方の場合はそのブレーキが利かず、いつまでも没頭し続けることができます。
このようにADHDの人が寝食を忘れて集中し続ける状態は「過集中」と呼ばれます。
過集中は、定型発達の人には成しえないような成果をあげることにつながる一方、ゲームやスマホなどの依存症につながるリスクもあります。
また、たとえ過集中の対象が研究や学問などであっても、食事や睡眠を疎かにすることで健康を損なってしまうリスクもあります。
お子さまの場合は特に集中力のコントロールが難しいため、適切な見守りや声掛けを行い、健康的な生活が送れるようにサポートすることが大切です。
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困りごとになりやすい「不注意」と「多動性・衝動性」
ADHDの方は集中しづらいという「不注意」の特性やじっとしているのが苦手で衝動的に行動してしまう「多動性・衝動性」といった特性を持っており、日常生活で困りごとを抱えることがあります。
- 不注意…集中力のコントロールが苦手
- 多動性・衝動性…じっとしているのが苦手で衝動的に行動してしまう
ADHDの強みを存分に生かすことができれば、ギフテッド(天才)として社会で活躍することができますが、逆に発達障害に伴う困りごとの方が目立ち、生きづらさを抱える人も多くいます。
ADHDの強みを活かすためには、ADHDの特性を知り、特性を活かせる職業選択・進路選択が欠かせません。また、特性に伴う困りごとを軽減するためには、周囲の理解とサポートも重要となります。
次の章では、ギフテッドとADHDの特徴を併せ持つ2E型ギフテッドについて解説していきます。
ギフテッド(天才)/2E型ギフテッドの定義と特徴

一般的に、ギフテッドとはIQ130以上の人を指します。平均的なIQは90~110程度ですので、IQ130以上はかなり高い知能を持った人であると言えます。
ただし、IQ130以上に該当するのは2%(50人に1人)であり、クラスに一人くらいはギフテッドの子がいるかもしれない程度の出現率となっています。
お子さまの場合は、WISC-IVと呼ばれる知能検査によってIQを測ることができます。WISC-IV知能検査は発達障害を診断する際にも使われる検査であり、受けたことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか。
WISC(ウィスク)検査とは?結果の見方・平均や発達障害の診断との関係を解説【IV・V対応】pro-megajun.com
WISC-IV検査では、4つの指標(※)から総合的な知能「FSIQ(全検査IQ)」を測定します。これらの指標が全体的に高く、総合点=FSIQも130以上である場合は、発達障害の側面を持たないギフテッド(=英才型ギフテッド)となります。
- 言語理解指標(VCI)
- 知覚推理指標(PRI)
- 処理速度指標(PSI)
- ワーキングメモリー指標(WMI)
一方、FSIQが130以上であるものの、各指標の得点のばらつき(ディスクレパンシー)が大きいなど発達に凹凸があり、日常生活で困りごとが生じている場合は、ギフテッドと発達障害の両方の側面を持つ「2E型ギフテッド」となります。
2E型ギフテッドの「2E」とは、「twice-exceptional(二重に例外)」の意味で、IQ130以上というギフテッドの面と、発達に凹凸があるという発達障害の面の2つの例外を持っていることを表しています。
WISC-IV知能検査の各指標の得点のばらつきは「ディスクレパンシー」と呼ばれます。
このディスクレパンシーが15~20以上の場合、発達障害の可能性が高いとも言われますが、IQは高いほどディスクレパンシーは大きくなる傾向にあるため、各指標のばらつきが大きいからといって必ずしも発達障害であると診断されるわけではありません。
WISC-IV検査の場合、各指標の平均値は「100」となるように設定されています。ディスクレパンシーが大きくても、100を下回る指標が無い場合はそれほど気にする必要は無いでしょう。ただし、ある指標は100を大きく下回り、ある指標だけが突出して高い場合などは、2E型ギフテッドに該当する可能性が高いと考えられます。
WISC-IV検査結果の例①
| 指標 | 合成得点 |
|---|---|
| 全検査(FSIQ) | 142 |
| 言語理解(VCI) | 139 |
| 知覚推理(PRI) | 123 |
| ワーキングメモリー(WMI) | 124 |
| 処理速度(PSI) | 143 |
⇒ディスクレパンシーは最大20と大きいが、いずれの指標も大きく平均を上回るため、発達障害の可能性は低い
WISC-IV検査結果の例②
| 指標 | 合成得点 |
|---|---|
| 全検査(FSIQ) | 99 |
| 言語理解(VCI) | 130 |
| 知覚推理(PRI) | 90 |
| ワーキングメモリー(WMI) | 100 |
| 処理速度(PSI) | 70 |
⇒処理速度が平均を大きく下回るため、発達障害の可能性を検討
特に、4つの指標の中でも「処理速度」や「ワーキングメモリー」が突出して低い場合は、日常生活の中でも困りごとを抱えやすい傾向にあります。言語理解はいわゆる国語の力、知覚推理は算数の力であり、これらが多少低くても一般的な生活の中で大きな困りごとを抱えることはあまりありません。
一方、処理速度やワーキングメモリーは「集中力」「判断力」「思考力」といった生活一般で必要となる力であり、これらが低いと集中しづらかったり、情報を取捨選択して処理するスピードが遅くなったりして生活上の困りごとを抱えることが多くなります。
私たちの元に相談に来られる2E型ギフテッドのお子さまも、言語理解か知覚推理のいずれかが突出して高く、逆にワーキングメモリーか処理速度が極端に低いというケースが非常に多くなっています。2E型ギフテッドのお子さまのサポートにおいては、集中力や思考スピードの特性をしっかりと見極め、適切にサポートしていくことが大切です。
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【比較表】ADHDと2E型ギフテッドの共通点と見分け方
ここまでADHDとギフテッド/2Eの概要を解説してきました。次に、似て見える点と違いを比較しながらご紹介します。
ADHDの特性とギフテッド(2E)の才能は、一見似て見える部分があります。ですが、行動の背景や苦手の出方には以下のような違いがあります。
| 項目 | ADHD | ギフテッド(2E) |
|---|---|---|
| 注意の向き方 | 注意が散りやすい。興味次第でムラが大きい。 | 興味領域に極端に集中しやすい(没頭)。 |
| 行動の特徴 | 衝動性・多動性が目立つことがある。 | 思考や感受性が高く、先走りに見えることがある。 |
| 困りごとの背景 | 注意制御・実行機能の弱さが影響。 | 認知の凸凹や過敏さからミスマッチが生まれやすい。 |
| 学びの支援 | 環境調整/時間割の細分化/予告と見通し。 | 興味ベースの探究/高難度課題の併用/アウトプット機会。 |
両方の特性を併せ持つ2E型では、得意の突出と実行機能(処理速度・ワーキングメモリーなど)の弱さが同時に見られることが多いです。次章からは、2E型のよくある困りごとと支援のコツについて解説します。
なぜADHDは天才と言われるのか?IQと学力の関係

ADHDの特性を持つお子さまが、ときに驚くほどの発想力や没頭力を見せる場面に、保護者さまも心当たりがあるのではないでしょうか。
ここまでADHDとギフテッドの特性を比較してきましたが、その背景には脳の働き方に共通するメカニズムがあります。
そこで、ADHDがなぜ天才と結びつけられることがあるのか、そしてIQが高いにもかかわらず学力に結びつかないのはなぜなのかを、脳のメカニズムから解説していきます。
偉人や起業家に多い拡散的思考と過集中
ADHDの特性を持つ人の脳は、一点に集中するよりも、複数の情報を同時に処理しようとする傾向があります。これは一見すると注意散漫に見えますが、まったく関係のない情報同士を結びつけて独創的なアイデアを生み出す力の源泉になることがあるのです。
これは、リラックスしている状態でも思考のために脳内で稼働しているDMN(デフォルトモードネットワーク)という機能が関わっていると言われています。ADHDの特性を持つ人は、この機能の活動を十分に抑制できず、注意が逸れやすいというわけです。
定型発達の人がA→B→Cと順序立てて考えるとすれば、ADHDの脳はA→X→Z→Bと、常識的なルートを飛び越えながら思考が跳躍しやすい傾向にあります。
例えば、定型発達の子どもが「たて4cm×よこ6cm→かけ算する→答えは24cm²」と手順を積み上げるとすれば、ADHDの特性を持つ子どもは「4cmと6cmの長方形→スマホみたいな形だ→スマホの画面って何インチ→インチってcmに直せる?→あ、でも面積ってタイルを敷き詰めた枚数と同じだから4列×6列で24枚分だ」と、まったく別の経路を通って答えに辿り着くことがあるのです。
これは集中の妨げになる一方で、思考の飛躍や連想が生まれやすい状態でもあると考えられているものです。ただし、このDMNの活動が直接的に創造性を高めるという因果関係は現時点では確立されておらず、あくまでも一つの仮説になります。
過集中は、興味関心の対象に対してすべての認知リソースを注ぎ込む状態です。ADHDの脳は快感や意欲に関わる神経伝達物質のバランスが不安定で、興味の薄いことに対しては分泌が不足しがちになります。しかし、強い興味を引く対象に出会うと過剰に反応しやすく、時間や疲労、空腹さえも忘れるほどの没入状態が生まれることがあります。
この過集中は、定型発達の人が努力で到達するのが難しいほどの深さまで物事を追求できるという点で、才能と呼べる状態に近いと言えるでしょう。歴史上ADHDの特性を持っていたとされるエジソンなどの偉人や、現代の起業家・イノベーターといった傑出した人物がよくADHDと言われるのは、このDMNの働き方と過集中の組み合わせが、特定の分野で爆発的な力を発揮したのではと推測された結果です。
IQは高いのに勉強ができない?「アンダーアチーブメント」の正体
保護者さまからよく聞かれる言葉のひとつに、この子は理解力があるはずなのに、なぜかテストの点数が伴わないというものがあります。
実はこの現象には、アンダーアチーブメントという名前がついています。知的能力は高いにもかかわらず、学業成績がそれに見合わない状態を指す言葉で、ADHDの特性を持つお子さまに見られることが少なくありません。
アンダーアチーブメントが起きるメカニズムのひとつとして、前章でも触れた、WISC検査におけるワーキングメモリーの低さが挙げられます。
研究では、ADHDとの相関が特に強い指標はワーキングメモリーであることが報告されており、頭の中での理解とそれを外に出力する容量のあいだに大きなギャップが生じます。加えて、処理速度(PSI)が低い場合はその理解を答案に書き起こすスピードにも影響が出るため、両方の指標に課題があるお子さまでは、学習場面での困難がより顕著になる傾向があります。
授業中の場面で考えてみると、たとえば次のようなことが起きます。
- 板書が間に合わない
- ケアレスミスが多い
- 時間内に答案が書ききれない
授業内容を理解できているお子さまでも、ワーキングメモリーが低いと問題用紙から解答欄へ視線を移すわずかな間に「今、何番のどの情報を書こうとしていたか」が頭からこぼれ落ちてしまうことがあります。これが、解答欄をひとつ飛ばしてしまったり、単位を書き忘れたりといった、いわゆるケアレスミスにつながります。
さらに、処理速度が低いと解答を書くスピードも遅くなります。情報の保持が不安定なうえに、出力の速度も遅いとなれば、本人の知的能力がどれほど高くても、時間内に正確な答案を仕上げることが非常に困難になります。
知識はある、理解もしている、それでも点数にならないのは、このアウトプットの仕組みに特性があるためです。
この感覚の苦しさは、本人が最もよく知っています。わかっているのに出てこない、頭にあるのに手が追いつかないという経験が積み重なると、やがて努力しても無駄だという無力感に変わっていきます。
周囲からは能力があるのにやる気がないと見られ、本人はがんばっているのに認めてもらえないという認識のズレが生まれます。このズレが二次的な自己肯定感の低下や学習意欲の喪失につながっていくことも少なくないため、IQと成績のギャップに気づいた時点で、能力の問題ではなく出力の仕組みに特性があるという視点で捉え直すことが重要です。
家庭での関わり方のポイント
では、家庭ではどう関われば良いのでしょうか。大前提として、出力のつまずきは本人の努力ではなく、仕組みで補うものだと捉えていただければと思います。「もっと集中しなさい」「見直しをしなさい」という声かけは、すでに本人が精一杯やっていることを求めるものになりがちで、かえって無力感を強めてしまうことがあるため、注意が必要です。
① 書く量を減らす
ADHDのお子さまの勉強のサポートにおいて、効果を発揮しやすいのが「書く量を減らすこと」です。
ADHDのお子さまは出力の段階で負担がかかっているため、その負担自体を軽くする、という発想です。
答えを口頭で言ってもらう、選択式にする、丸つけだけ本人がやるなど、書く工程を減らす方法はいくつかあります。「書かないと身につかないのでは?」と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、書く作業が負担になり、逆に理解や定着を妨げているケースもあります。
ですので、漢字練習で同じ字を何十回も書かせる宿題なども、量を減らしてもらえないか担任の先生に相談してみるのも選択肢の一つになります。
② 解く順番を変える
テストで時間が足りなくなるお子さまには、解ける問題から手をつけるという戦略が有効です。
処理速度が低いと、最初の一問に時間をかけている間に試験時間が終わってしまうことがあります。ざっと全体を見て、すぐ解ける問題を先に片づけてから戻る。この順番を変えるだけで、点数が大きく変わるお子さまもいらっしゃいます。
ご家庭で過去問や問題集を解く際に、この手順を一緒に練習しておくと、本番でも自然にできるようになります。
③ ケアレスミスは「叱る」ではなく「手順を決める」
ケアレスミスは、注意力の問題ではなく、情報の保持が難しいことが根本的な要因です。そのため、「気をつけよう」を言葉をかけても、また本人がどれだけ強く「気をつけよう」と思っても繰り返されてしまいます。
そのため、情報が保持しやすくなるよう「仕組みを整えてあげること」がポイントになります。具体的には、見直しの手順をルール化してあげるとケアレスミスが減る場合が多いです。
例えば、
①単位が書いてあるか
②解答欄がずれていないか
③符号は合っているか
の順番でチェックすることをルールにして、さらにこれらの項目を紙に書き出しておくと、「どこを見ればよいか」「どの順番で見ればよいか」に脳のリソースを割かずに済み、結果としてケアレスミスを防ぐことができます。
チェックする項目や順番については、お子さまが実際によくするミスの種類を分析して決めていくと良いでしょう。
子供の「ケアレスミスが多い」は性格じゃない?ADHD・発達特性の脳の仕組みとミスを減らす具体的対策pro-megajun.com
④ 学校に配慮を相談する
板書を写すのが間に合わないという困りごとは、家庭だけでは解決できません。
担任の先生やスクールカウンセラー、特別支援コーディネーターの先生に相談すると、板書の写真撮影を認めてもらえたり、プリントを配布してもらえたりする場合があります。また、テストの時間延長や別室受験が認められるケースもあります。
相談の際は「集中力がなくて」といった抽象的な伝え方ではなく、知能検査の結果を示しながら、どの指標に特性があり、どの場面で困っているのかを具体的に伝えると理解が得られやすくなります。検査を受けたことがある場合は、所見の書面が有力な材料になります。
WISC(ウィスク)検査とは?結果の見方・平均や発達障害の診断との関係を解説【IV・V対応】pro-megajun.com
⑤ 得意な部分を止めない
苦手を補う工夫に手を尽くしていると、いつの間にか一日のすべてが「できないことの練習」で埋まってしまうことがあります。本来伸ばせるはずの得意分野に使う時間が残っていない、という状態です。
理解力が高いお子さまであれば、興味のある分野は学年を越えてどこまでも進めます。図鑑でも、プログラミングでも、歴史でも構いません。そこで得た「自分はできる」という感覚が、苦手な場面を乗り越える支えになることも多いです。
苦手のサポートは負担にならない範囲にとどめ、得意を伸ばす時間を確保することも、ぜひ意識していただければと思います。
お子さまの検査結果から、どの指標がつまずきの原因になっているのかを読み解き、書く負担の減らし方や解答の手順づくりまで、具体的にご提案します。
授業はもちろん、ご相談や日々の伴走もオンラインで対応しており、初回のご相談・体験授業は無料です。
2E型ギフテッド(天才)+ADHD(注意欠如・多動症)の特徴と困りごと

ここまでは、ADHDの特性による学習面のつまずきと、家庭でできる工夫についてお伝えしてきました。ここからは、ADHDとギフテッドの両方の特性を持つ2E型ギフテッドのお子さまに特有の困りごとと、進路の考え方について解説していきます。
2E型ギフテッドの場合、発達障害の特性から生じる困りごとだけでなく、ギフテッドの性質が困りごとの原因となっているケースも見られます。
私がこれまで指導してきたギフテッドのお子さまの中には、以下のようなお悩みをお持ちの方が多くいらっしゃいました。
- 自分の趣味の話をしていると、専門的過ぎて周りから引かれる
- 歴史に興味があり、教科書以上の内容を答えたところ、先生から嫌な顔をされた
- 周りのクラスメイトと話を合わせるのが苦痛で不登校気味である
- 授業が退屈で遅刻や欠席が多い
- 得意科目と不得意科目の差が激しく、受験に不安がある
- 自分の才能を生かせる進路を知りたい
- 興味のある分野を極めたいが、本を読む以外の方法がわからない
ギフテッドのお子さまは、特定の分野において大人以上の知識を持っていたり、技能を発揮したりするため、学校の授業レベルでは物足りず、退屈だと感じることがあります。
学校の授業以上の内容を学ぶことは悪いことではありませんが、横並びを重視する日本の学校教育においては相性が悪く、先生も良い顔をしない場合があります。
また、同年代のお子さまから浮いてしまうという点も、お子さまにとってはとても大きな困りごとです。日本の学校は同調圧力が強いことに加え、思春期のお子さまであれば周りの目が気になってしまうのは当然です。
「自分は周りと違うのではないか」「変だと思われたらどうしよう」――こうしたストレスから、不登校になってしまうお子さまも少なくありません。
私が指導してきたギフテッドのお子さまの中には、周りと合わせようと無理をしたためにストレスがたまり、体調を崩した方もいらっしゃいました。そのお子さまは、常に新しい知識を吸収していたいという欲求があり、知的な会話をとおしてその欲求を満たす必要がありました。
しかし、クラスメイトとの会話といえば、テレビドラマやアイドルの話など、知的な内容とは程遠いものばかりであり、当然、お子さまは知的欲求を満たすことができません。
さらに、クラスで浮いてしまうのも避けなければならず、我慢して興味のないドラマやアイドルの話にも合わせていました。その結果、本人が自覚している以上にストレスを抱え、頭痛や嘔吐といった身体症状が出てしまいました。
児童精神科を受診したところ、学校そのものがトラウマ的な存在になってしまっていることがわかり、学校は休まざるをえませんでした。
高校も通信制に進学し、一時期はこのままドロップアウトしてしまうのかと思われましたが、一念発起して海外留学したところ、海外の学校の伸び伸びとした空気と非常に相性がよく、現在は無事に海外の大学への進学を果たしています。
旺盛な知識欲は、本来であれば周りから評価されるものですし、学校教育においても最大限尊重されるべきものです。しかし、大人が想像する以上に学校の教室における同調圧力は強く、それに潰されてしまったケースと言えるでしょう。
ですので、ギフテッドのお子さまに接する際にはぜひ以下のポイントを大切にしていただきたいと思います。
- 持っている才能を存分に伸ばせる環境を整えること
- お子さまが持っている才能や個性を肯定すること
- 無理に周りと合わせる必要は無いと伝えること
ギフテッドのお子さまの困りごとを放っておくと、折角の才能が潰されてしまうだけでなく、不登校になってしまったり、最悪の場合、体調を崩してしまったりする場合があります。
お子さまが才能を生かして自分らしく生きていくためには、周りの大人のサポートがとても重要であることをぜひご認識いただければと思います。
2E型ギフテッド(天才)+ADHD(注意欠如・多動症)への支援
ギフテッドとADHDの性質の両方を持つ2E型ギフテッドのお子さまは、前述のように様々な困りごとを抱えています。また、多くの2E型ギフテッドのお子さまは、長所ではなく苦手なことばかりが注目され、せっかくの才能を伸ばし切れていないことがほとんどです。
この章では、2E型ギフテッドのお子さまにとって適切な支援とは何かを解説するとともに、進路選択のポイントについても紹介していきます。
2E型ギフテッド(天才)教育と進路選択

残念ながら日本の学校教育は、ギフテッドのお子さまの教育に適しているとは言えません。
自分の好きなことや得意なことを教科書のレベルを越えて学びたいと思っても、学べる場所が無いどころか、「学校で習うこと以上のことはしないで」と先生に怒られてしまうことさえあります。
では、日本においてギフテッドのお子さまにふさわしい教育を受けるにはどうすれば良いのでしょうか。心苦しい話になってしまいますが、「学校教育に期待しない」というのは一つの結論です。
アメリカなどの海外では、公立の学校でもギフテッド教育が取り入れられています。能力があれば飛び級も可能で、12歳の少年が大学に入学したケースを耳にしたことがある方もいるのではないでしょうか。
こうした教育施策は、「特異な才能を持った子どもたちを国を挙げて育てることは、本人にとっても社会にとっても有益である」という考え方に基づいています。
一方で、日本は平等性が重視される国です。トップではなくボトムに合わせることが重視され、教室では未だに画一的な一斉授業が行われています。
とはいえ、文部科学省も全く動いていないわけではありません。
2021年からギフテッド教育に関わる有識者会議が定期的に開かれており、実現はまだ先にはなると思いますが、日本でも将来的には学校でのギフテッド教育が導入されることが予想されます。(参考:文部科学省「特定分野に特異な才能のある児童生徒に対する学校における指導・支援の在り方等に関する有識者会議」)
【ギフテッド実例】高知能なのに問題児?D君が学校で感じていたストレスと対応策、中学受験への道のり(浮きこぼれ問題)pro-megajun.com
2E型ギフテッドは高校受験が鬼門
ギフテッド(特に2E型ギフテッド)のお子さまが、勉強面で直面する大きな壁は高校受験です。
公立の高校受験では、どの教科も満遍なく点数が取れ、内申点でも遅刻や欠席が少ないオールマイティな優等生型の生徒が理想とされます。
ですので、得意科目とそうでない科目の差が激しかったり、教科書以上の知識があるせいで先生から生意気だと思われてしまったり、授業が退屈で休みがちだったりするギフテッドのお子さまは、高い知的能力を持っているにも関わらず、高校受験では苦戦する可能性があります。
一方、私立高校を受験する場合はこの限りではありません。
私立高校の中には内申点を一切加味しない学校もありますし、ペーパーテストで高得点が取れれば特待生扱いになる場合もあります。公立高校の受験と相性が悪いと思われる場合は、私立高校も選択肢に入れると良いでしょう。
大学受験は高校受験に比べれば心配不要
大学受験においては、高校受験よりも心配は大きく減ります。
得意な教科だけで受験できる大学はたくさんありますし、すでに大学生並みの知識を身に着けているお子さまであれば、目的を持って大学選びもできるでしょう。受験に必要な科目とそうでない科目を見極め、早いうちから受験を見据えて戦略を練ることが、大学受験成功のカギになります。
就職では尖った個性が強みとなるトレンド
さらに、その先の就職においては、ギフテッドは尖った人材としてむしろ重宝されるようになります。
「学生の時は『周りに合わせろ』と言われるのに、社会に出ると『個性を発揮しろ』と言われる」という就活生のぼやきは有名ですが、先の見えないこれからの時代においては、尖った個性を求める傾向がますます加速することが予想されます。
筆者は現役のキャリアアドバイザーとしても活動していますが、企業が求める人材は、オールマイティな優等生型から、多少の凸凹はあっても尖った魅力のある個性型へと変化しつつあります。
小中学校や高校で上手くいかなくても、大学生や社会人になってから個性を生かし活躍している人はたくさんいますので、周りと違うからといって悲観的になる必要はありません。
お子さまは大人に比べると、人生経験がわずかしかありません。そのため、「学校が全て」「学校で居場所が無い=自分はダメな人間だ」といった思考になってしまいがちです。
お子さまが「自分はダメだ」と思っていまっているときには、学校以外にも世界は広がっていることをぜひご家庭でも伝えてあげていただければと思います。
また、ギフテッドのお子さまにおいては小中学生といった早い段階から将来の就職を見据えた進路について考えることが重要です。
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2E型ギフテッド(天才)+ADHDの子はホームスクーリングもあり

学校の授業が退屈だったり、クラスメイトと話を合わせるのが苦痛だったり、同年代から浮いてしまうのが辛かったりする場合は、無理に学校に通う必要は無いかもしれません。
お子さまによってケースバイケースではありますが、無理をして心身にダメージを負うよりは、家で独学で勉強する方が良い場合もあります。
ただし、学校の授業の退屈さや人間関係の辛さについては学校側の配慮で解消できるかもしれませんので、保護者さまだけで決めてしまわず、学校ともよく相談し、何よりお子さま本人の気持ちを尊重するようにしましょう。
ギフテッドではない普通の人の方が、世の中では多数派です。普通の人との付き合い方を学ぶという点では、学校に通うことにも大きな意味があります。
また、独学やホームスクーリングを選択するとしても、完全に独学で学べるのか、得意分野以外の勉強はどうすれば良いのかという不安が付いてきます。
プロ家庭教師であれば、苦手な教科だけを指導することが可能ですし、勉強のペースを作るためにコーチングだけしてほしいといったニーズにも対応しています。
学習フォローアップサービスについてpro-megajun.com
また、ギフテッドのお子さまのことを「学校に相談しづらい」「相談しても良い答えが期待できない」という場合もあるかもしれません。
学校で学ぶのが良いのか、家で学ぶのが良いのか、保護者さまだけでは判断できない場合や、そもそもギフテッドのお子さまへの接し方に悩んでいたり、何から相談してよいのかわからなかったりする場合は、ぜひプロ家庭教師メガジュンを活用してみてください。
こちらからお子さまの様子を詳しくお伺いし、どんなサポートが必要か提案いたします。
長年の指導経験で培ったノウハウを生かし、お子さまに最適な勉強方法や進路を見つけます。お子さまが才能を存分に発揮し社会で活躍できるよう、全力でお手伝いしてまいります。
実例紹介:
【ギフテッド実例】授業がつまらなくて泣いて帰ってきたK君…宇宙物理学者になりたい小2男子の戦略とはpro-megajun.com
ADHDや2E型ギフテッドに関するよくある質問
ここでは、保護者さまからよくいただく質問とその回答をご紹介します。
- Q. うちの子はまだ診断を受けていませんが、2Eの可能性はありますか?
- A. はい、可能性はあります。IQが高い一方で苦手の差が大きい・興味の偏りが強い・感覚が鋭いなどの傾向が見られる場合、2Eを念頭に置いた支援が役立つことがあります。診断はあくまでひとつの手がかりです。「困っている現実」と「得意をどう活かすか」の両面から見ていくことが大切です。
- Q. 子どもの才能や好きなことが見つかりません。どうすれば良いですか?
- A. 無理に才能を見つけようとするよりも、「お子さまが夢中になれることは何か?」に注目するのがおすすめです。
たとえば「ゲームの戦略を立てる」「宇宙図鑑を読み込む」など、一見マニアックでも集中が続くテーマはお子さまらしさの種になります。なぜ好きか・どこが面白いかを一緒に言葉にしていくことがヒントになります。
- Q. 学校に相談しても「わがままなだけ」と理解してもらえません。
- A. 学校では「集団での適応」が重視されるため、得意と苦手が共存するタイプは理解されにくいことがあります。
得意・苦手・困っている具体的な場面を簡潔に整理して担任の先生や特別支援コーディネーターの先生に共有すると、伝わりやすくなります。
※個々の状況によって最適なサポートは異なります。迷ったときは、専門家に早めに相談することをおすすめします。
ADHDと2E型ギフテッド(天才)の特徴のまとめ

この記事では、ADHDとギフテッドの両面を持った2E型ギフテッドについて解説してきました。
改めて要点をまとめると、以下のとおりです。
- ギフテッドとは、IQ130以上の人や音楽・芸術・運動能力などに特別な才能を持つ人のこと
- ADHDの特性には、注意欠如・多動性・衝動性の3つがある
- ギフテッド特有の悩み事①才能の伸ばし方がわからない
- ギフテッド特有の悩み事②同年代の子どもから浮いてしまう
- ギフテッド特有の悩み事③学校の授業が退屈
- 2E型ギフテッドの場合は、苦手ではなく得意を伸ばすことに注目することが大切
- 無理をして学校に通うよりも、ホームスクーリングの方が良い場合がある
ADHDの面ばかりが注目され、苦手や困りごとをカバーすることを優先しがちな2E型ギフテッドですが、才能を伸ばすことも同程度かそれ以上に重要です。
苦手のサポートについては負担にならない範囲とし、才能を見つけて伸ばす視点を大切にしましょう。
ギフテッドやADHDと一口に言っても、お子さまが持っている特性は一人一人違います。
プロ家庭教師メガジュンでは、お子さま一人一人にしっかりと寄り添い、それぞれに適した勉強方法や進路選択の提案を行っています。
ギフテッドの悩みについてなかなか理解してもらえない、相性のいい先生に出会えないとお悩みの方は、ぜひ一度プロ家庭教師メガジュンまでご相談ください。
メガジュンなら、2E・ADHDの「得意」を伸ばして支援します
苦手ばかりが注目されがちな2E・ADHDのお子さまですが、才能を伸ばすことも同じくらい大切です。得意の側から伸ばし、苦手は仕組みで補うのがメガジュンの指導です。メガジュンでは、たとえば次のような支援を受けられます。
- 得意・興味を軸にしたオーダーメイド指導
過集中や旺盛な探究心を入り口に学習意欲を引き出し、興味のある分野を深く伸ばしていきます。 - 「出力のつまずき」を補う工夫
本記事で触れたワーキングメモリーや処理速度の弱さによるケアレスミス・時間内に書けない等の困りごとに、特性に合わせた具体策で対応します。 - 「鬼門」の高校受験も戦略的に
内申を加味しない私立など、得意と苦手の差が大きいお子さまに合った学校選び・受験戦略をご提案します。 - 独学・ホームスクーリングの伴走
苦手科目だけの指導や、学習ペースを作るコーチングのみのご相談にも対応します。
代表はキャリアアドバイザーかつプロ家庭教師であり、得意を活かした学習から、将来を見据えた進路選択までご相談いただけます。授業はもちろん、ご相談や日々の伴走もオンラインで対応しており、初回のご相談・体験授業は無料です。お気軽にお問い合わせください。
一人でも多くのお子さまが、自分らしく生き生きと社会で活躍できるよう、一同全力でサポートしてまいります。
最後までお読みいただきありがとうございました。
ADHDや2E型ギフテッド……。言葉だけでは括れない、一人ひとりのお子さまの魅力や本当の困りごとがあります。
検査結果の数値を、実際の学習や生活にどう活かしたのか。プロ家庭教師とともに試行錯誤し、自信を取り戻していったお子さまたちの軌跡をぜひご覧ください。
