adhdだからこそ、有効な勉強法7選
2022.01.06 【 2022.1.8更新 】

ADHDの特性があるお子さまについて、以下のようなお悩みはありませんか?

・ADHDだから勉強が苦手なの?
・ADHDの特性を活かした勉強法はないの?
・ADHDだけど受験で失敗したくない!

筆者は、発達障害専門の個別指導を行うプロ家庭教師を長年勤めてきました。
16年にわたる活動歴の中で、1500人以上を指導し、今も発達障害のお子さまの指導に現役で携わっています。

受験における第一志望校合格率は90%以上を誇っていますが、この高い合格率には「そうなるべくしてなった」理由があります。ここでは、そういった理由やノウハウをご紹介しています。

ADHDだからといって、必ずしも勉強に不利というわけではありません。ポイントさえ押さえれば、ADHDのお子さまでも勉強に前向きに取り組み、第一志望に合格することができます。

この記事が、少しでもADHDのお子さまの学習に貢献できれば嬉しく思います。

【執筆・監修】
発達障害専門の受験プロ家庭教師 
妻鹿潤
・16年以上1500名以上の指導実績あり
・個別指導塾の経営・運営でお子様の性質・学力を深く観る指導スタイル
・yahooやSmartNews、Newspicksなどメディア向け記事も多数執筆・掲載中

ADHDの特性と勉強の相性

ADHDの特性と勉強の相性
ADHDの特性には、「不注意(集中が続かない)」「多動(じっとしていられない)」「衝動性(考えるより先に動いてしまう)」といったことが挙げられます。
ですので、一見すると、勉強に不向きで対策が難しいように感じます。

ですが、ADHDだからといって必ずしも勉強に不利ということではありません。
以下の記事でもご紹介しているとおり、東大や京大には発達障害を持つ学生も多く、ADHDならではの積極的な好奇心を活かして受験に成功している方も多くいます。

▼東大・京大には発達障害が多い!?

一方で、通常と比べて凸凹のある個性を持っていることも事実です。ですので、お子さまにとって最適な勉強法を見つけることが何より大切です。

「じっと座って先生の話を聴く」
「机に向かって黙々と問題を解く」

これらの一般的な勉強方法は、残念ながらADHDのお子さまと相性が良くありません。
「立ち歩いては駄目」「おしゃべりしないで」と怒られてばかりいると、勉強そのものが嫌いになり、成績を伸ばすどころではなくなってしまいます。

また、ADHDといっても、その特性は千差万別です。
じっとしていることが特に苦手な子もいれば(多動性が強い)、じっとしていることはできても集中がすぐに切れてしまう子(不注意傾向が強い)もいます。

ですので、ADHDだからといって「○○が苦手に違いない」と決めつけるのではなく、一人一人の個性を丁寧に捉え、それぞれにあった勉強法を見つけなければなりません。

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ADHDのオススメ勉強法

ADHDのオススメ勉強法

図や絵を使って視覚的に勉強する

ADHDの方の多くは、言葉で理解するよりも目で見た情報を処理することが得意(視覚優位)な方が多いです。
ですので、勉強の際にも、図や絵、動画などを活用することがオススメです。言葉では理解しづらい内容も、映像を使うとすぐに理解できるお子さまは多くいらっしゃいます。

具体的には、以下のような方法が挙げられます。

・算数…おはじきで数の概念を説明する/ケーキの絵を使って分数を教える
・国語…文章の組み立てを図で説明する/漢字の部首の意味をイラストで覚える
・英語…単語をイラストと合わせて覚える/前置詞のニュアンスを映像で説明する

周りの環境を整える

周りの環境を整える
机の周りがごちゃごちゃしていたり、うるさい環境では集中できません。

周りを片付けるだけでなく、仕切り板などを使って視界を遮断することも効果的です。兄弟がいたりして自宅で環境を整えるのが難しい場合は、図書館や学校の学習スペースを使うのも良いでしょう。

「机の向きを壁向きにしただけで、集中しやすくなった」というお子さまもいらっしゃいます。
ADHDの方は視覚的な情報に敏感ですので、改めて勉強の環境をチェックしてみることが大切です。

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勉強予定をリスト化して、視覚的に確認できるようにする

勉強予定をリスト化して、視覚的に確認できるようにする

勉強のスケジュールをリスト化しましょう。
頭の中だけでスケジュールを管理していると、理解しづらく、そちらに気を取られてしまいます。
勉強の予定が視覚的に把握できることで、本人のモチベーションアップや集中力の維持につながります。

休憩をとるタイミングもスケジュールに入れておきましょう。
「あと○分頑張れば休憩だ」と思えるだけで、勉強へのやる気はずいぶん変わるものです。

また、「予定をリスト化する」という方法は、勉強だけでなく日常生活でも役立ちます。
ADHDの方はスケジュール管理が苦手な方も多いので、子どもの頃からやることのリスト化を習慣にすることで、お子さまが将来社会に出たときの練習にもなります。

▼厚生労働省「みんなのメンタルヘルス」

細かく区切って勉強する

細かく区切って勉強する

ADHDの特性のうち不注意傾向のあるお子さまは、集中し続けることが苦手です。
なので、勉強時間や内容を細かく区切り、「短い集中を繰り返す」ことを意識しましょう。
問題集を数ページ進めるのではなく、「1-2ページ解く」ことを目標にします。

1-2ページ問解くことができれば目標達成です。
目標を達成できたことをお子さま本人にもきちんと認識してもらいましょう。一区切りついたと感じたら、また次の目標を設定して勉強を再開します。

暗記や教科書の読み込みも、一気にやるのではなく、20~30分程度に細かく刻んで取り組みましょう。
また、暗記ばかりではなく、暗記と問題集を交互に行うなど、変化とメリハリをつけることも重要です。

じっとしていなくてもできる勉強を取り入れる

じっとしていなくてもできる勉強を取り入れる
多動性の強いお子さまは、じっと座っていること自体が苦手です。
ですが、勉強は必ずしも座っていなければならないものではありません。

通学途中の電車で、単語カードを使って単語を覚えるのも立派な勉強ですよね。散歩をしながら英語の教科書の音声を聴くのでも構いません。あるいは、部屋の中で歩きながら歴史の暗記をしても良いでしょう。

問題集などは座っていないと取り組むのは難しいかもしれませんが、「座っていなくても出来る勉強」「座っていないと出来ない勉強」を区別しバランス良く取り組むことで、座っているのが苦手なお子さまでも前向きに勉強することができます

好きなことを気の済むまでさせてあげる

ADHDのお子さまは集中が苦手な一方で、好きなことに対しては過度に集中してしまうことがあります(過集中)。
この過集中の状態から勉強モードに切り替えるのはかなり困難であり、無理に勉強に戻すと本人に大きなストレスが掛かります。

ですので、お子さまが好きなことに夢中になってしまっている状態のときは、無理に勉強に引き戻すのではなく、好きなだけ発散させてあげた方が良い場合があります。

ADHDのお子さまにとって何よりも避けなければならないのは、「勉強を嫌いになること」です。
お子さまが勉強に苦手意識を持ってしまわないためにも、過集中の状態が一定落ち着くまで見守る姿勢が大切です。

二者択一で選ばせる

二者択一で選ばせる
「国語でも英語でも、数学でもいい」と本人に任せすぎてしまうと、選択肢が多く何から取り組んで良いかわからない状態になってしまいます。
また、今は勉強すべき時なのか、そうではないのか、曖昧なままだとしっかり集中することが出来ません。

「一旦国語に手をつけて、進み具合を見ながら数学に…」などと言った予定の立て方も、ADHDの方にとって最適とは言えません。
予定はきちんとリスト化し、先に固定してしまった方が安心して勉強に取り組めます。

一方で、本人に選ばせることは勉強へのモチベーション維持にとても重要です。

なので、本人に勉強の内容を選ばせる場合は、「何を勉強しようか?」とざっくりと聞くのではなく、「得意な英語からやっつけるか、苦手な数学を先にやってしまうか、どっちがいい?」と具体的な二択を示してあげるようにしましょう。

ADHDと受験勉強

ADHDと受験勉強
受験勉強だからといって、普段の勉強と違った特別なことをする必要はありません。

基本的には、「2.ADHDのオススメ勉強法」でご紹介した勉強方法に取り組んでいただければ大丈夫です。

普段の勉強と受験勉強の違いを強いて挙げるならば、以下の2点になります。

①学校で学ぶ範囲を超えた出題がある場合は、特別な対策が必要
②単元ごとではなく、全ての分野をカバーしなければならない

①学校で学ぶ範囲を超えた出題がある場合は、特別な対策が必要

当然ですが、志望校の偏差値が高い場合、日頃から学校でしている基本的な勉強に加えて、+αで学習しなくてはならない内容が出てきます。

特に中学受験では、学校で教わる範囲を超えた問題が50~90%を占めます
中学校受験に特化した受験塾に通うなど、志望校のレベルに合わせた勉強が必要になります。
また、大学受験でも、学校で教わる範囲を超えた問題が出るケースがあります。(京都大学では、文系学部で数ⅢCの行列問題が出題されていた時代がありました)

高校受験では、学校での学習レベルを超えた問題が出題される例はあまり多くありませんが、それでも私立難関校を受験する場合は一定の対策が必要でしょう。

とはいえ、この点においては、ADHDだからといって不利というわけではありません。
学校の勉強以上のことを学ばなければならないのはADHD以外の人も同じ条件ですので、焦らずに普段のやり方で勉強していきましょう。

②単元ごとではなく、全ての分野をカバーしなければならない

学校の定期テストは、出題範囲が決まっています。
例えば英語の進行形(~ing)の単元では「動詞を進行形に変えなさい」といった出題がメインになり対策もしやすいのですが、受験はそうではありません。分詞も分詞構文も動名詞も、すべて同じテストで(〜ing )で出題されます。

それぞれの単元で何を学んでいるのか、同じ〜ingでも違いは何なのか。全体を捉えながら学んでいく習慣をつける必要があります

ADHDのお子さまは得意と苦手がはっきりしているため、全ての単元を網羅的に学ぶのはやや苦手と言えます。
ですが、自分の得意と苦手を俯瞰的に理解し、テスト本番でも冷静に取り組めるよう訓練することが大切です。

▼ADHDのおすすめ英会話・受験英語学習法

ADHDにとって超重要な「志望校選び」

ADHDにとって超重要な「志望校選び」
ADHDのお子さまが受験の際に最も気をつけなければいけないのが、志望校選びです。
ADHDのお子さまは、得意なことは周りから突出して得意な場合がありますし、逆に苦手なことはとことん苦手といったケースがほとんどです。

このお子さまの凹凸を上手く生かした志望校選びが超重要なポイントになりますので、以下で詳しくご説明します。

入試科目と配点

お子さまが得意な科目や分野の配点が高い学校を選びましょう。各学校の配点は事前に周知されていますので、しっかりリサーチすることが大切です。

また、科目ごとの配点だけでなく、分野ごとの出題方針にも学校ごとに傾向があります。英語でも単語の配点が多いのか、長文の配点が多いのかで、受験の有利/不利は大きく左右されます。
こちらもしっかりリサーチし、学校や塾の進路担当の先生と相談しましょう。

難易度

単なる偏差値だけではなく、科目ごとに難易度が異なるケースも多くあります。数学の難易度は非常に高いものの、英語はそれほどでもない、といったケースです。

どの科目のどの分野で点数の差が付き、合否を分けているのか————これによって、受験の結果は大きく変わります得意な科目・分野で点数を稼げるように見極めることが肝心です。

かなり専門的な知識が必要になりますので、受験について豊富な知識のある先生や塾講師などにアドバイスをもらいましょう。

出題方式

ADHDのお子さまは、どうしてもケアレスミスが多くなりがちです。問題を解き終わって見直しをする頃には、集中力が切れてしまっていることも少なくありません。

そこでオススメなのが、「記述式の出題方式があり、その配点が高い学校」です。
マーク式では間違えてしまえば0点ですが、記述式であれば部分点をもらえます。最後の最後で計算ミスをしてしまった!という場合でも、かなりの部分点がもらえることがありますので、記述式の学校を積極的に検討しましょう。

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まとめ

まとめ
いかがでしたでしょうか。この記事では、ADHDのお子さまが勉強する際のコツと注意点についてご紹介しました。

改めてポイントを整理すると、以下のとおりです。

・ADHDだからといって、必ずしも勉強に不利ではない
・ADHDの特性を活かし、ポイントを押さえた勉強法に取り組む
・ADHDは視覚優位が多いので、絵や図を使って勉強する
・机の周りはスッキリと、刺激の少ない環境を整える
・勉強のスケジュールはリスト化する
・勉強は細かく区切り、短い集中を繰り返す
・好きなことに夢中になってしまっているときは、無理に勉強しない
・受験勉強だからといって、特別なことはしなくてよい
・志望校選びは超重要ポイント。知識が豊富な人に相談する

ADHDの特性によって困っている方にとって、この記事が参考になれば幸いです。
また、勉強でお困りのことがあれば、ぜひ「プロ家庭教師・妻鹿潤」までご相談ください。(※ご相談・体験授業は無料です)

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