■発達障害×大学受験で押さえて欲しい4つのポイント

発達障害のお子様に必要な大学受験情報を、この1本の記事にまとめました。
16年教育業界に関わり、発達障害専門のプロ家庭教師・キャリアアドバイザーとしてのノウハウをまとめたものです。
「我が子の大学受験は大丈夫か?」

発達障害のお子様を持つ保護者様は、大きな不安をお持ちの方が多かったです。

最終学歴が決まる大学受験で、希望の大学に合格させたい。
お子様にうまくいって欲しいと想う、親心が伝わってきます。

だからこそ、必要な情報は全てここでお伝えします。
保護者様が思われているほど、発達障害×大学受験は無理なものではないです。
ですが、私自身が何度も試行錯誤したように、一筋縄では行かないことも事実です。

ここでは、そのノウハウを以下の目次に沿って内容別にまとめてます。
ご興味のあるところから、お子様が該当するところからご覧ください。

【執筆・監修】
発達障害専門の受験プロ家庭教師 
妻鹿潤
・16年以上1500名以上の指導実績あり
・個別指導塾の経営・運営でお子様の性質・学力を深く観る指導スタイル
・yahooやSmartNews、Newspicksなどメディア向け記事も多数執筆・掲載中

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実際どうなの?発達障害と大学受験

発達障害と大学受験
発達障害のお子様だから、大学受験では不利になる・うまくいかないのではないか?
発達障害の種類や重さにもよりますが、「やり方次第でうまくいく」と断言します。

様々なメディアに掲載された私のこの記事にも書かせてもらったのですが東大・京大には発達障害のお子様が多いです。
また、関関同立・GMARCH以上の難関大学に合格した受験生も、発達障害のお子様は多かったです。

でも、「発達障害だから受験に有利」ではありません。
事実、「あ、この子はこの性質だから、この大学・学部なんだな」と思うことが多かったです。

発達障害×大学受験でうまくいったお子様は、以下の2つのポイントを押さえているように感じました。

①「受験科目・配点・難易度におもいきり偏りがある配点・難易度の入試方式の大学」を選択する
(「満遍なく全科目の得点が必要なオールラウンドな配点・難易度の入試方式の大学」は避ける)
②発達障害種類別に特化した勉強方法をする

発達障害種類別、押さえておくべき大学受験勉強方法

発達障害種類別、押さえておくべき大学受験勉強方法
ここでは、発達障害の種類別に押さえておくべき勉強方法をご紹介します。
特にADHDとASDでは、東大や京大に合格されたお子様を、何名も私は知ってます。
「発達障害だから」と可能性を閉ざさず、一人でも多くの発達障害のお子様の可能性が拓ければ嬉しい次第です。

ADHD

ADHDの大学受験
ADHDのお子様は、以下の3つの性質があることをおさえた上での勉強が重要です。

①注意不足

厳密には「注意が不足する」というより、特定のことへの意識が強い反面、他の物事を意識することが難しい性質です。
好きなこと・興味があることについては意識が強く、高い成果を持つことが多いです。

そのため、受験では「好きなこと・興味があること」が出題される志望校選びと、「嫌いなこと・興味がないこと」が出題されない志望校選びが大切です。

②衝動性

注意不足の延長で、「突然何かに意識が強く奪われる」性質です。
ただ、衝動的に見えても、何かしら「衝動が生まれる傾向」がお子様ごとに違います。
その傾向を把握して、衝動が生まれないような環境作りをすれば、かなりのミスを防げます。

③多動性

そわそわしたり、じっとしていられない性質です。
興味関心が惹かれるものがあるため、多動になるケースが多いです。

そのため、以下が有効です。

・刺激になりそうなものを置かない、見えないようにする
・勉強中は筆記用具やプリント以外は置かない
・机や壁の色や柄もシンプルで淡い色にする

ADHDのお子様のケアレスミス対策については、別記事「ADHD(注意欠如多動性)のケアレスミス対策7選」に詳しくご紹介しております。

ASD

ASDの大学受験
「他者の観点に立って、何かしらのイメージをしたことがない。もしくはイメージした機会が少ないため、妥当なイメージができない」ことが特徴です。
逆に、「人の目を気にしない」や「興味のあることには一直線に進める」ことが強みです。

地頭が良いお子様が多く、以下の3つを意識した勉強が大切です。

①言葉選びの特徴を掴む

他人は違う考え・世界観を持っているという理解が難しいため、お子様独自の世界で築きあげてきた言葉選びをすることが多いです。
言葉選びの特徴から「これを言いたいんだな」と掴むことが大切です。

お子様ごとに必ず特徴があります。

②やるべきことをチェックリストにする

やるべきことをやり続けられる力が強いため、チェックリストにすることが有効です。
逆に、やるべきことが曖昧なままだったり、項目分けされていないとどれをやれば良いか分からなくなることが多いです。

③最適な伝え方を模索する

ASDのお子様は特に、適切な速度や声の大きさ・テンポで話すことが重要です。
雰囲気やイントネーションから察することが苦手なお子様が多いからです。
逆に、最適な伝え方をすれば、理解や意欲が上がることが多いです。

LD

LDの大学受験
LDとは、全般的な知的発達に遅れはないものの、聞く・話す・読む・書く・計算する・推論する能力のうち、特定のものの習得と使用に著しい困難を示す状態です。
LDはどの種類の性質が欠如しているかによって、対策が異なるため、長文になってしまいます。
別記事「LD(学習障害)を持つお子様への教え方」に性質ごとに分けて記載してますので、ご参照頂ければ幸いです。

志望校選びが合否の大半を分ける

大学受験の志望校選び
発達障害のお子様の大学受験は、志望校選びが合否の大半を分けると言っても過言ではないです。
というのも、発達障害のお子様は得意は思い切り得意なものの、苦手は本当に苦手で取り組もうともしないお子様が多いからです。

ポイントは以下の3つです。

1、入試科目と配点
2、入試難易度
3、出題方式

1、入試科目と配点

入試科目と配点
「得意に振りきった入試科目の選択」をお勧めします。
例えば数学・理科が得意、英語・国語が不得意なお子様なら「数学・理科の配点が高い入試」「英語・国語を受験しない方式を探す・配点が低い学校を探す」です。

2、入試難易度

入試難易度
例えば関関同立でも、科目の難易度は違います。
分かりやすい例で立命館大学は古文と日本史が圧倒的に難易度が高く、逆に現代文の難易度はそこまで高くないです。
そのため、古文や日本史が得意なお子様で関関同立どこでも良いなら、立命館大学に絞った対策をするなどは有効です。

さらに大学は「学部ごとに違う傾向の問題を出す大学」と「学部ごとに同じ傾向の問題を出す大学」に分かれます。
関西大学・近畿大学は学部が違っても同じ傾向の問題が出ますが、早稲田大学は学部が違うと問題が全く違います。
学部ごとに傾向が違う大学を受ける場合は、これまで記載した相性の良い学部を選択すれば、合格率は上がります。

3、出題方式

出題方式
“注意力が散漫なお子様”なら、実はそのお子様は「注意が散漫している」というより「興味が強いものに意識が強く向いてしまい、それ以外のものが見えなくなっている」という場合があります。

その場合、丁寧さが求められると、最後の見直しをする時に意識が行き届かずに”計算ミス”や”単位間違い”が多いです。
ならば大筋があっていたら高い部分点がもらえる「記述式配点が高い入試」を選んでください。

上記を踏まえて、各大学の合格平均点を参照に「どの科目の」「どの問題で何点を取るか」まで明確にすれば、やるべき勉強は決まります。

※重要:合格だけでなく、職業からも考える志望校選び

合格だけでなく、職業からも考える志望校選び
上述の「3、志望校選びが合否の大半を分け」は、最もコスパ高く合格できる勉強法であり、受験術です。
自身に適した入試方法を導入している学校は、子どもにとって最適な環境であることも多いです。
しかし、それ以外にも「子どもがどんな人生を描きたいか」「プロから見てどんな人生が合ってそうか」から逆算した志望校選びも大切です。

特に理系と一部の資格系職業は進学した学部・学科に特化した職業になることが多いです。
資格系職業は、看護や医歯薬、学校や幼稚園・保育園の先生など、特定学部に進まなければその職業になれません。

逆に、文系はどの学部だから就職に有利・不利はほぼ無いと断言します。
ただ、文系にも資格系職業はあり、弁護士や司法書士なら法学部、公認会計士や税理士なら商学部への進学が良いです。
文系の資格系職業の多くはその学部・学科に進まないと受験資格を得られないわけではないものの、学部・学科で勉強した内容がそのまま試験に出るものが多いからです。

要注意!発達障害と意識することで招く、お子様の限界値

要注意!発達障害と意識することで招く、お子様の限界値
お子様を「発達障害」と思うあまり、そのポテンシャルを潰してしまうケースが多いです。

教育心理学でピグマリオン効果と呼ばれるもので、「障害を持っている」「何かが欠如している」と思ってお子様と接すると、お子様がそうなってしまうというものです。

だからこそ私は「発達障害」という言葉が不適切で、「でこぼこ個性」という呼び方が適切だと思います。

事実、発達障害は同じADHDでも、一人一人性質は違います。

大切なことは、「発達障害特有の特徴があるかもしれない」と頭の片隅に置きながらも、あまりに意識しすぎることなく、そうでないお子様と同じように接すること。
お子様特有の発達障害の癖を、早期に把握することです。

特に均質性を求める日本の教育と発達障害は、相性が悪いと感じてます。
そのため、担当した発達障害のお子様の多くが「自分はダメな生徒だ」や「自分は勉強ができないんだ」と、「後天的」に捉えてしまうことが多く、こちらの問題の方が深刻です。

最も効果的な成績向上方法は、「上記のようなネガティブな気持ちを、お子様が持たないように気をつけること」だと思います。

まとめ

発達障害別大学受験まとめ
長くなりましたが、お伝えしたいことは以下でした。

・発達障害の種類や重さにもよるが、大学受験は「やり方次第でうまくいく」
・発達障害の性質ごとに最適な勉強法は異なる
・発達障害×大学受験は、志望校選びが大事
・志望校は合格だけでなく、職業選びからも考えることが大事
・発達障害と意識しすぎることが、成績低下の根源

1人でも多くの発達障害のお子様の大学受験に役立てれば幸いです。

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