強いADHDを持つOさんとの勉強奮闘記(苦手科目の英語と数学でも「今なら解けそうな気がする」と言ってくれるまで)
2021.04.13

強いADHDを持つOさんを教えた時のお話です。
Oさんは当時中学2年生で、中学受験で私立の共学中学に進学されたのですが、授業中じっとしていられない・周りが気になって体が四方に向く・突如好きな漫画の話が止まらないなどのご様子がありました。
特に英語と数学への苦手意識が強く、前回テストは英語は34点、数学は43点からのスタートでした。

自宅近くの個別指導塾に1年通われたものの成果が出ず、退塾を申し出た際も「退塾を止められなかった」ことを、お母様が少し悲しそうに教えて下さいました。

実際、Oちゃんを教えることは難しかったと思います。
お母様も面談で「この子の点数を上げることはできるのでしょうか?」と、藁をもすがられるご様子で、お気持ちにお応えしたいと強く思いました。

結果、私が担当してからの次の定期テストで英語が34点から71点、数学を43点から91点に引き上げることができました。

▽丁寧に見ることで見える、Oさんの特徴と対策

ADHDのOさんの苦手科目、英語
まずは、フラットな気持ちでOさんを丁寧に見ていきます。

そうすると、以下のことが見えてきました。

①解いている最中に突如話し出す時は、「考えるのがしんどくなったタイミング」であることが多い
②会話の中で話が飛ぶ時は、好きな漫画やお友達、強い喜怒哀楽を伴った瞬間を思い出す表現が出てきた時であること
→例えば、円柱という単語を見て鬼滅の水柱や恋柱などを思い出して、鬼滅の話が突如始まるなど。(教えている側からすると、なぜ鬼滅の話が突如出てきたか分からないと思いますが、丁寧に見ると傾向があります)
③40-50分以上勉強すると、一気に集中力が下がり、周りを見渡し始めること。部活でしんどかった後や、学校で嫌なことがあった直後も同様に集中力が低く、周りを見渡すことが多いこと。
④文章をさっと読んで、すぐに問題を解こうとすること(文章を丁寧に読んでいない、特定の言葉や数字を見て「このやり方で解ける」と当て嵌めようとすること)
⑤得意な図形問題や、「解ける」となれば、こちらを気にしないくらい集中して問題を解くこと
⑥宿題で明らかに集中せずに解いたであろう問題が散見されること

ADHDの性質としては出ていたものは、「苦手なものを深く考え込むことができない」「好き・得意なものには意識が強く働く」でした。

そして、全体的な問題の背景に「英語と数学に苦手意識が強く、苦手意識が強いから向き合うことを避けようとしていること」と「適切なタイミングで適切な問題に取り組んでいない(部活後や食後の集中力の低いタイミングで難しい問題・苦手な科目に取り組んでいる)」がありました。

そのため、大きな勉強方針としては、テストの点数でOさんが取れないと思っていた点数を取らせて、苦手意識から「もしかしたら解けるかも、そんなに難しくないかも」と思ってもらうこと。
毎日の勉強計画を作って、「どの時間帯にどの科目の勉強をやるかを相談して決める。どの科目の勉強の何をやるか」まで一緒に決めることが、効果を発揮しました。

細かいものでは、上記に加えて、それぞれ以下の対策を行いました。

①への対策:「考え込んでもらいたい問題」は授業の前半や休憩直後に実施する。Oちゃんが突如話し出した時にはしっかり話を聞いて、一定で切り上げて「あ、Oちゃん、この問題解こう!」と促す。宿題は考え込まなくても良い問題を多く出す、考え込む問題は集中力が高いタイミングでやってもらうよう、あらかじめ時間を指定する
②への対策:興味が強いもの、Oちゃんがノってきそうな話題をあえて避ける
③への対策:40-50分経ったタイミングで、雑談をしたり、1週間の勉強をやってみてどうだったかの計画の振り返りをしたり、次の1週間の計画を作るようにする
④への対策:一緒に文章を読んで「丁寧に読むとはこうゆうことだ」と理解してもらう。丁寧に読む中で図を書いたり、線を引くなどして「こうやって整理するんだ」と実感してもらう。
⑤への対策:集中力が切れてきたタイミング、難しい問題の前後に「簡単な問題・得意な問題」が来るように出題する
⑥への対策:一緒に適切な勉強計画を作って、毎週その振り返り・改善を行う時間を作る

※ADHDのお子様に多い、ケアレスミスへの対策については、「別記事:ADHD(注意欠如多動性)×受験のプロ直伝、ケアレスミス対策7選」に詳しく記載しております。

特にOちゃんは英語と数学の苦手意識が強いので、初回テストOちゃんが「有り得ない」と思うような高い点数を取らせて、苦手意識を払拭させることが重要と思い
初回テストに向けて保護者様に相談して授業回数を増やしたり、授業を延長するなどしました。
結果、冒頭でも申しました、英語が34点から71点、数学を43点から91点に引き上げ、「意外と解けるかも、苦手じゃないかも」と実感してもらうことに成功しました。

そうなると話は早く、Oちゃんも前向きな気持ちになり「英語は70点代をキープしたい」「次の関数は苦手だけど、今なら解けそうな気がする」などの前向きな発言が見られ、勉強計画を一緒に立てるときも意識が伴っているように見えました。

英語はその後、85点の壁を乗り越えるのに苦労するのですが、Oちゃんは自宅でも難しい問題に取り組むようになりました。
何より「難しい・苦手だと思っているものでも、頑張れば乗り越えられるかもしれない」と思ってもらえたことが、個人的に何よりも嬉しい変化でした。

勉強を進める中で、どんなお子様も何かしら問題は出てきます。
大切なことは「その問題がなぜ発生しているか」という背景を辿っていくことだと思います。

実は、東大・京大合格者は発達障害の性質を持つ人が多いです。
※記事参照「東大・京大合格者は発達障害の性質を持つ人が多い!? 個性を活かした勉強法で難関を突破」

上記記事で記載の通り、発達障害のお子様は個性が強いため、個性から現れる問題の把握が何より重要です。
問題を辿っていくと、大体、他の問題でも起きている問題に出くわすことが多いものです。
そのため、1つの根本的な問題を解決すると、他の問題も一緒に解決され、思わぬ科目や単元の点数が上がったりすることも多いのです。