【実話】本当に崖っぷちから内部進学達成!ASDの私立小学校Eさんとの勉強奮闘記①

2021.05.06 【 2023.3.29更新 】
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    ここでは、実際に私が指導したASDの私立小学校に通うEさんが、本当の崖っぷちから内部進学を達成できた実話の勉強奮闘記をご紹介します。

    少しでも、私立小学校の内部進学にお悩みのご家庭や、ASDでお子さまの学習指導や子育てにお役に立てれば幸いです。

    【執筆・監修】
    受験・学習のプロ家庭教師 
    妻鹿潤
    ・16年以上1500名以上の指導実績あり
    ・個別指導塾の経営・運営でお子様の性質・学力を深く観る指導スタイル
    ・yahooやSmartNews、Newspicksなどメディア向け記事も多数執筆・掲載中
    ・不登校、発達障害のお子さまへの指導ノウハウが豊富

    ■内部進学を目指すEさん、国語と社会がお手上げ状態

    内部進学を目指すEさん、国語と社会がお手上げ状態

    Eさんとの出会いは、私立小学校6年生の時。
    通われている小学校の中学部では年々、外部受験組の倍率やレベルが上がっていて、内部生といえども20%のお子様が内部進学できない状況でした。

    当時、Eさんは内部進学できるかスレスレより下の状態。
    お母様も、Eさんも「このまま、地元の公立中学校に行くことになるのか??」と強い不安を持たれてました。
    そのため、私に中学校への内部進学対策で依頼を下さったという流れでした。

    内部進学への勝負は11月にある算数・国語・理科・社会の4教科の大きなテスト。

    ここで合計平均85点以上取れるかどうかで内部進学ができるかどうか決まるという、まさに一発勝負の状態でした。
    そのため、授業科目はこだわらず、4教科全ての指導を行いました。

    ■Eさんは本当に「変わった子」??

    Eさんは本当に「変わった子」??
    ASDと診断されていたEさんは、確かに周りによく言われる「変わった子」に見えますが、丁寧に見ていくと「変わった子」ではなかったです。
    ただ、確かに、同年代のお友達はもちろん、保護者さん達もそこまで見抜くことは難しいだろうと感じました。

    例えば、ASD特有の「白か黒かで決めたがる(曖昧が分かりにくい。灰色がない)」や「相手の感情を読むことが苦手」のため、会話をしていても突然、全然違う話題になります。
    また、1度に2つ以上の話題が入ると、途端に混乱されたり。
    外の物音やサイレンの音などが気になり、音がなくなるまでは集中できない(外の音に意識がいってしまう)などがありました。

    ただ、それはあくまで誰しもがある個性の延長であり、後に詳しく述べてます性質の延長でしかありませんでした。

    初回体験授業でのEさんは好きな絵のお話しや音楽の話をたくさんしてくれて、絵については実際に描いてくれて、すぐに仲良くなることができました。
    描かれている絵も思い切りがあって、こちらも元気になるような絵でした。
    また、絵を書いているときや絵についてお話ししてくれる時は、本当に活き活きした表情を見せてくれ、たくさんの元気をもらいました。

    ■実際の勉強は??得意と苦手がハッキリ分かれている

    実際の勉強は??得意と苦手がハッキリ分かれている
    しかし、実際の勉強はどんなものか??

    これまでのテストを見せてもらうと、Eさんは得意と苦手が本当にハッキリ分かれていました。

    数学・理科(特に物理領域や化学領域)は相当難しい問題でも完全に解けていて、落としているものはケアレスミスがほとんど。
    逆に国語と社会、特に国語が本当に苦手で、Eさんも「暗記物って苦手なんですよね。。」と、苦手意識も強く持たれてました。

    そのため、大きな対策の方向としては、数学と理科はケアレスミスが出ないような対策をすることと、国語と社会の点数を上げることでした。
    また、数学と理科も「勉強が及んでいないところで失点している」状態だったため、「どの教材の、どこを勉強すれば良いか」「何曜日の何時にその勉強をするか」という計画表を一緒に作りました。

    Eさんは「YちゃんとかIちゃんとか、今の学校は仲の良い友達が多いから、絶対内部進学したい。地元の公立中学校に行っても、仲良くなれるかどうか、いじめられないか心配。。」と、内部進学について強く頑張る気持ちを持ちながらも、友達付き合いで自信がないことは気になりました。

    ■苦手科目の本丸の国語。意外と対策は難しくない!?

    苦手科目の本丸の国語。意外と対策は難しくない!?
    国語については、意外とすぐに点数を上げることができました。
    Eさんの国語の特徴的なものに、テストの問題用紙が真っ白、何かを書いた跡がなかったというものがありました。

    「Eさん、国語のテストって線とか引かないの?」
    「線を引くってどうゆうことですか??」

    お話ししていて感じたことは「ただただ文章を読んで、解説に答えていた」ので、文章を構造的に把握できておらず、全体像も掴めていなかったのです。
    これでは、どれだけ賢いお子様でも、国語で点数が取れなくて当然です。

    反面、算数の授業をしていて、Eさんは抜群の論理的思考と、ハマった時の強い集中力を見せてくれていました。そのため、
    「国語も算数みたいに解こうか!」と伝えました。

    「例えば」があれば、その前後は=の関係。
    「しかし」があれば、その前後は逆の関係。「しかし」の後が筆者の言いたいこと。

    ____________

    段落ごとがどのような構造になっているか。

    1番目の段落で「どんな話をするか」が述べられる。筆者が「問題提起」か「結論を先に述べる」ことが多い。
    今回の文章だと1番目の段落が「問題提起」で2番目・3番目の段落が「筆者の意見を具体的に深めている」段落で4番目・5番目が「筆者への反対意見を述べている段落で。。。」など。

    Eさんは「全体を見る」ということや「構造的に見る」ことができていなかったため、「部分だけ見て、問題文を見て、何を聞かれているか分からない。話の繋がりが見えない」があっただけでした。

    そのため、文章を最初に「ざっとで良いので、どのような構造になっているか」を全文読んでもらって、およその「全体像」をイメージしてもらってから「各段落・各文章」を読むと「あ、これってそうゆうこと言ってるんですね!」と一気に理解してくれました。

    また、Eさんは視覚優位(視覚的に見たことが強く意識される・記憶に残る)の性質のため、文章ごとがどのような構造になっているかを線を引いたり、段落ごとを丸で囲って段落ごとの関係を→で示すようにすると、正確に構造を理解しました。

    このような取り組みの結果、国語で文章が読めるようになり、11月のテストではこれまでより20点近く点数を上げることができました。

    そして、最後に取り組んだ科目が暗記物の社会でした。

    ASDの私立小学校Eさんとの勉強奮闘記②へ続く

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