【実例】崖っぷちからの中学受験の内部進学達成!ASDの小学生Eさんとの勉強奮闘記②

「ASDの小学生Eさんとの勉強奮闘記①の続き」で、Eさんが内部進学をどのように達成したか。
そして、ASDの保護者様からご相談の多い人間関係で、Eさんがどのようなトラブルを抱えていたかをご紹介します。

少しでも、ASDのお子様を持つ保護者様の学習や人間関係の一助になれば幸いです。

【執筆・監修】
発達障害専門の受験プロ家庭教師 
妻鹿潤
・16年以上1500名以上の指導実績あり
・個別指導塾の経営・運営でお子様の性質・学力を深く観る指導スタイル
・yahooやSmartNews、Newspicksなどメディア向け記事も多数執筆・掲載中

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中学受験・内部進学合格の肝、暗記物を暗記以外で乗り切る方法

中学受験・内部進学合格の肝、暗記物を暗記以外で乗り切る方

Eさんはとにかく暗記物への苦手意識が強く、特に社会や漢字への苦手意識が強かったです。
同時に構造的に理解する能力の高さや、視覚優位の性質があるため、漢字は成り立ちから説明して、論理的に繋げて説明すると、みるみる覚えることができました。

地理はyoutubeで動画を見たり、ネットで画像検索して写真を見るなどして「インパクトを持ってもらい、その内容を暗記する物と繋げる」をすると、格段に記憶力が上がりました。
歴史も暗記ではなく物語ベースで話すとハマってくれるのですが、問題はテストまで時間がなく、物語ベースで全て話すほど時間がないことでした。

そのため、歴史では「漫画日本史16巻」で大きな流れを理解してもらい、その後に細かい暗記事項と繋げることをすると、記憶として強く残るようになりました。

他にも、絵を描くことが好きな性質を活かしてお絵かき付きでノートをまとめる勉強法を取り入れました。

ノートには地理や歴史など、暗記するために必要なものしか描かないというルールを決めましたが、とても楽しそうに織田信長の似顔絵を描いてくれたり、土器を描いてくれました。また、そのように描いたものは強く記憶されてました。
そのため、資料集や地図帳は重宝しました。

資料集や地図帳を通して、視覚的に記憶してもらうこと、実際に絵を描くことができるため、良い意味で勉強に見えないように楽しくノートにまとめてました。

結果、社会も当日のテストではいつものテストより20点以上上げることができました。

ASDに多い最後の課題、人間関係へのアプローチ

ASDに多い最後の課題、人間関係へのアプローチ

上記対策の結果、見事11月テストで目標点数より4教科で30点以上点数を上げることができたEさんですが、最後まで時間がかかった問題が人間関係です。

誤解を恐れずに言いますと、発達障害のお子様は小学生・中学生の時期に人間関係で問題が起こることが多いです。

発達障害のお子様は勉強ができる方も多く、高校・大学になると同じ偏差値帯のお子様が母集団になるため、多少、通常と変わったことをしても「個性」と見なしてくれることが多いです。

また、これも誤解を恐れずに申しますと、偏差値帯が高い学校に行く方が、精神的成熟度が高い方が多いため、いじめに遭う発生率が下がる・個性とみなされて尊重されることが多いと思います。(もちろん、偏差値が低い学校でもそうでないケースもあると思いますが、発生率は格段に違うと思います)

実際に、高校・大学以降は「本当に気持ちが楽になった」という発達障害の方が多かったです。

そのため、地域の中学がお世辞にも「柄が良くない」際には、中学受験をお勧めします。
もちろん、どの私立中・国立中に行っても良いわけではなく、ここでも偏差値帯の高い学校の方が発達障害のお子様は伸び伸びと過ごしやすいことが多いと思います。(ただ、一部の偏差値帯の高い私立中では、高い大学の合格実績を取ることに躍起のため、大量の宿題・管理的な体制を敷く学校もあり、そのような学校とは相性が悪いことが多いです)

私ごとの記事になりますが、東大・京大生は100名以上接してきましたが、発達障害と思われる方が多かったです。

そして、東大生の70-80%、京大生の50%、国立医学部生の合格者の大半が、中学受験難関校出身で占められていることから、難関校では発達障害の方が浮きにくい環境だと言えます。

話は少し逸れてしまいましたが、Eさんは内部進学決定後も、大幅な点数向上から私を気に入ってくれ、引き続きの指導を担当させてもらいました。
そして、内部進学決定後は人間関係でのご相談が一気に増えました

凄く悩まれていたようです。。

具体的には、EさんはYさんとHさんという3人グループで仲が良かったのですが、2人が最近よそよそしく、Eさんが1人でいることが多くなった、とのことです。

Eさん自身は「YさんとHさんがよそよそしい」という、繊細なことを感じ取ることが苦手のため、お母様からそのことを教えて頂きました。
さらに突き詰めて行けば、クラスの中心人物AさんにEさんが嫌われて、YさんとHさんも距離を取るようになった可能性が高い、とのことです。

このEさんの人間関係については記載するとかなり長くなりますので、別の機会で記事にご紹介させて頂きますが、恐らくは中心人物Aさんが的にしているお子様と一緒に遊んだか、Aさんのプライドに触る言動をEさんがしてしまったのだろうなと感じます。

ASDのお子様はクラスの雰囲気を読み取ることが苦手のため、標的にされやすいリスクがあると思います。

ただ、再三になりますが、高校以降になって勉強を頑張るほど、そのようなリスクは一気に減ることが多いため、どうか終わりがあるものだと捉えて頂ければ幸いです。

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