保護者様にご協力頂きたいこと(不登校からの復帰のために)
2021.03.02

■保護者様のご不安

どのご家庭でも、我が子が不登校になれば、本当に驚かれると思いますし、そのご不安は本当に大きなものだと思います。
特に責任感が強い保護者様ほど、「私に何か非があったんだ」と思われる方も多いですが、どうかまずはそのように思わずに、ご相談して頂きたいです。

私の経験上、保護者様に原因があるのではなく、学校での人間関係、お子様の真面目・繊細な性格から不登校になったケースも多いからです。

また、保護者様からのご相談で多いものに、「我が子とどのように接すれば良いか」があります。不登校になれば、ほぼご自宅におられ、保護者様は同じ家の中で長い時間過ごすことになるため、このご相談は至極当然だと思います。

ここでは、どのように接すれば良いか、を私の知見の限り、お伝えさせて頂きます。
ただ、「魔法で最高の唯一の接し方」があるのではなく、「お子様の状態、性格、保護者様との関係性」などにより、「最高の接し方」は異なってくるため、ここではいくつかの場合に分けてご紹介させて頂きます。

■お子様の段階によって異なるアプローチ方法

記事「不登校のそれぞれの時期により、最適なアプローチが異なる」にあるように、適切なアプローチはお子様の時期によって異なります。
ここでは、上記「不登校のそれぞれの時期により、最適なアプローチが異なる」の記事を参照にしながら、個別具体的にどのような取り組みを保護者様がされると良いか、をこれまでの知見の中から述べさせて頂きます。
私がプロ家庭教師をさせて頂く保護者様には、このようなご協力をご相談させて頂くことも多いです。

①人間関係がベースでの不登校の場合

●無気力期の場合

この場合、保護者様には「長期戦になるかもしれない」「それでも結果を焦らずに、小さな変化を認めてあげる」ことをご相談させてもらうことが多いです。
こちらが過度に反応したり、アプローチしてしまうと、余計に閉じこもってしまうことが多いためです。
この際に大切なのは、心理学的専門用語になりますが「無条件の愛情」です。反対の言葉に「条件付き愛情」というものがあります。「条件付き愛情」は「●●をしたら、良い子だ」と認めるように、何かしらの成果の延長に愛情を与える行為です。

これを特に年齢の低い時分にしてしまうほど、お子様の世界観は「●●をすることが良いことだ。●●をしないと、自分は愛してもらえないんだ」と捉えてしまい、あるがままの自分は愛情をかけてもらえないかもしれない、という世界観を持ってしまいます。
「無条件の愛情」はその逆で、「あなたが何をしようと、あなたという存在そのものが大切」と「お子様が実感している」状態です。ここで本当に大切なことは「お子様が実感している」ことです。保護者様がどれだけ「無条件の愛情としての言動」で接していても、お子様がそのように感じ取っていなければ、無条件の愛情として伝わっていません。

話が少し長くなってしまいましたが、お子様は「条件付きの愛情」に敏感です。「暗にこうなって欲しいんだろうな、こうゆうことを求めているんだろうな」と「お子様が感じ取ってしまう」と、途端に冷めてしまい、心のシャッターを閉ざすことが多いです。
例えば、同じ言葉がけでも「今日は朝早くから起きてるね、偉いね」と声をかけても、その言動のタイミングや雰囲気でお子様が「そう言って、私を早起きに向かうように誘導してるな。やっぱり、家にずっといることをよくないと思ってるんだな」と感じると、自分自身の存在を認めているのではなく、「朝早く起きて外に出る自分を認める」と捉えてしまいます。そうすると、それが負担になったり、「親は自分の都合の良い方に自分を誘導しようとしている」と捉えてしまい、不登校が加速することがあります。
さらに難しいことに、「保護者様が全く誘導するつもりなく、声をかけた場合」でも、お子様がやや被害妄想的な状態になっていれば、そのように受け取ってしまったりすることもあります。また、保護者様がこれまではやや誘導するような声かけをしてしまっていて、心を入れ替えて誘導をするつもりが全くなく声かけをした場合でも、お子様によっては、その言葉ではなく「これまでの保護者様」という人物像で捉えるため、「また誘導しようとしている」と捉えるケースも少なくないです。

そのため、お声がけ1つでも気をつけるべきことがたくさんありますし、またどれだけ気をつけてもお子様の捉え方によっては「マイナスに捉える」可能性もあるため、専門的なノウハウを持つ人と、どう接するのが良いか、を相談してから接する方が良いと思います。

まとめますと、こちらは過剰に反応せず、大きく構えて、無条件の愛情で、お子様が負担を感じすぎない程度に挨拶やお声かけを行い、「自分という存在を無条件に愛してくれているんだ、気にかけてくれているんだ」と味方であることを「お子様が感じ取ってもらう」ようにすることが大切です。
そのようにして、少しずつ信頼関係と強め、お子様から何かしらの本音が出てくるのを待ったり、お子様が何かしらの問題に少しずつ向き合えるような安心できる存在と感じてもらうことが重要です。

ちなみにですが、無気力期でご依頼を頂いた場合は、恐らく、私が授業をすることはまずないと思います。
これまでによくあったケースでは、お部屋に入れてくれないため、お部屋の外から、私がどんな人間かを話したり、勉強と関係のない、お子様が興味を持ってくれそうな漫画やゲームの話をして、お子様からは何も反応がないまま1ヶ月の授業を終える、などよくありました。
それでも、根気よく、変わらないトーンで、かつ、「自分の利益のために誘導しようとしているんじゃなくて、本当に自分に覚悟を持って向き合おうとしているんだ」と長い年月の中で感じてもらった際に、一言、二言、話してくれたり、ドアを開けてくれたりになりました。
それは失礼なのではなく、それだけ人間関係に慎重になるくらい、何かがあったのだと思います。そのため、それくらい焦らずに、長期戦の構えでこちらもいた方が良いと思います。

●逃避期

ここでも無気力期と同じで、「不登校になろうと、なるまいと、私はあなたの絶対的な味方よ」と感じてもらうことが重要です。そして、お子様から、何かあったかを話してもらったり、協力を依頼されるまで待つことが重要です。
特に真面目なお子様ですと、「ずっと家にいて、本当に自分はダメだ」のようにご自分を責めていることが多いので、冒頭のような無条件の愛情で接することが重要です。
そして、できるだけ不登校になる以前と同じように接してあげることで、「自分は不登校になってダメだと思っていたけど、これまでと同じように接してくれている」と無条件の愛情と捉えてくれることも多いです。

また、この時点でぜひ、私のような専門家にご相談頂くことをお勧めします。
無気力期になると、アプローチの難易度も上がり登校までの期間も長くなりがちですが、この時点だとやれることも多く、意外と早くに登校できることもあります。

そしてその原因が学校などの人間関係の場合、一緒に解決を考えてあげることが重要です。そうすることで、「自分には絶対的な味方がいるんだ」とお気持ちが楽になることもあります。ただ、解決策については、かなり慎重に考えた方が良いです。
なぜなら、解決策を考えることは意外ととても難しく、またミスをしてしまうと保護者様への不信が生まれたり、逃避としての不登校が強まったりする懸念があるため、解決策は「これならよほどのことがない限りうまくいく」といったものか、うまく行かなくてもお子様に何かしらの不利益が被らずに次のアプローチができる状態のものにする必要があります。

例えばですが、「学校の先生に特定のお友達から嫌がらせを受けていることを相談する」という解決策をした時、学校の先生がお子様よりも自身の保身を優先してしまう先生の場合、何も行動を起こさないこともあります。(その場合、お子様は「大人という存在は保身に走るものだ」と、大人を一括りにして不信を持ってしまう可能性があります)
また、何か行動を起こしても安易に先生が「嫌がらせをするお友達を注意すれば解決する」や「クラス会で議題に取り上げて、皆で考えれば解決する」と考えて行動して、「先生にチクった」として余計に事態が悪化したこともありました。
「そんな安易なことするでしょうか?」と思われるかもしれませんが、正直に言いまして、学校の先生の当たり外れは大きいことが実情のため、これは起こり得ます。
そのため、同じ相談をするにも、担任の先生か、学人主任の先生か、校長先生が良いか、など、様々な可能性を考えて最善の一手を打つことが重要です。

●休息期・回復期

この時期であれば、お子様も前向きに登校に向けて議論できることが多いため、原因への対策(人間関係が原因なら、どのように人間関係を解決するのが良いか)や、登校に備えた学習の遅れへの対策をすることになります。
ただ、前向きにはなってきているものの、お子様自身、まだまだ不安や自信のなさを抱えていることも多いです。
そのため、引き続き、保護者様には「何があっても味方だよ」ということを言葉だけでなく行動でも示したり(例えば、不登校前と同じように接してあげたり、変に焦ったり頑張らせようとせずにいたり)、不登校だからと病人のように扱わずに、お子様を頼ってちょっとしたお願いをして(この場合のお願いは、必ずお子様ができるものであることをお願いすることが良いです)、感謝を示す、などをして自信をつけさせてあげることなどは重要だと思います。

②ご家庭が原因の不登校の場合

この場合は、ご家庭とご相談させて頂くことになります。
このケースで多いことは、ご家庭では全くそのようなつもりがなくてもお子様が過度に受け取ってしまっているケースです。
よくあることでは、兄妹の比較です。
例えば男女の性質的に、女の子は真面目で周りを見てちゃんとやろうとするお子様が多いのに対して、男の子は「面白いかどうか」「楽にできるかどうか」に意識が行きやすいため、きちんとされているお母様であるほど、男の子にイライラしてしまうことは多いと思います。
特に親子となりますと、学校に行くまでの一日の大半をしかも週7日で一緒にいるため、どれだけ温厚なお母様でもイライラしてしまうことは多いと思います。
それが1回だけなら良いですが、それこそ100回以上注意しても効かないため、「お子様に対してイライラのコップが溢れている状態」のため、例えば弟の男の子にはどうしてもキツく当たってしまい、真面目でちゃんとする姉には逆の雰囲気で接してしまう。
そして、お子様は小さくても、意外とそういったことは敏感に感じとるため、「お姉ちゃんばっかり大事にする」として心を閉ざしてしまう、などのケースはよくありました。

ご兄弟の例えば兄が勉強がよくできて、弟があまりできない場合、保護者様の何気ない一言や、塾や習い事へのお金の掛け方の違いを弟が「自分は見放されている」「すぐ比較してくる、どうせ俺はできないよ」と捉えて心を閉ざしてしまう、などのケースもありました。

保護者様からすれば、身に覚えのないレベルの言葉だったり、あの言葉をそんな風に受け取るの!?と驚かれることも多いですが、意外とこのようなことの積み重ねで不登校になることはあります。
保護者様としても自覚がないことも多く、そのため、私がお子様と信頼関係を培ってから、実は、とご相談させてもらうことも多いです。

③無気力からの不登校

最近、増えている印象があるのがこの不登校です。
このパターンへのアプローチはかなり個別性が高い印象があるため、ぜひ、こちらに関する記事を参照してもらえれば幸いです。