発達障害の子どもが学童を断られるのはなぜ?受け入れ・トラブル・放課後デイとの違いまで解説

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  • #小学生

    共働き家庭が増える中、放課後にお子さまを預けられる「学童」は、多くの保護者さまにとって頼りになる存在です。ですが、発達障害のあるお子さまの場合、「集団が苦手」「音に敏感でパニックになる」など、学童の環境にうまくなじめるのか不安を感じることも多いのではないでしょうか。

    実際、発達障害のお子さまが学童に通うにあたって、「断られた」「支援が不十分だった」といった声も少なくありません。

    この記事では、放課後児童クラブ(学童)と放課後等デイサービスの違いや併用の仕方、学童を選ぶときのチェックポイント、トラブルの実例と対応まで、発達障害支援に特化した家庭教師の視点から、具体的に分かりやすく解説していきます。

    「どこに預けたら安心できるのか」「子どもに合った選択肢はあるのか」――そんなお悩みを抱える保護者さまに、少しでもヒントをお届けできましたら幸いです。

    この記事で分かること
    • 発達障害のお子さまが学童を利用する際の注意点と準備方法
    • 放課後等デイサービスや他の選択肢との違いや併用の考え方
    • お子さまの特性に合った学童の選び方とチェックポイント

    この記事はこんな方におすすめ

    • 発達障害・グレーゾーンのお子さまを育てている保護者さま
    • 学童や放課後等デイサービスの利用を検討している方
    • 子どもにとって安心できる放課後の居場所を探している方

    発達障害専門のプロ家庭教師
    妻鹿潤
    ・16年以上1500名以上の指導実績あり
    ・個別指導塾の経営・運営でお子様の性質・学力を深く観る指導スタイル
    ・yahooやSmartNews、Newspicksなどメディア向け記事も多数執筆・掲載中

    ▼目次

    発達障害の子は学童に断られるのか?

    発達障害のあるお子さまを学童に預けようとしたとき、「要相談」「対応できません」といった対応を受け、不安や戸惑いを感じた保護者さまもいらっしゃるのではないでしょうか。

    放課後児童クラブは原則としてすべての就学児が利用できる施設ですが、発達特性への対応は施設ごとに異なり、実際には“断られるケースもある”のが現実です。

    ここでは、そうした背景や対応の考え方、保護者さまができる工夫について解説していきます。

    利用を断られることはある?

    放課後児童クラブの運営体制や方針は施設ごとに異なることもありますが、基本的には厚生労働省が定めた「放課後児童クラブ運営指針」に基づいています。

    この指針では、障害のあるお子さまに対しても原則として公平な利用機会が保障されるよう、以下のように記載されています。

    障害を理由として受け入れを拒否せずに、受入れに伴う負担が過重でない限りにおいて、当人の状態に合わせた必要かつ合理的な配慮をすること。 (引用元:厚生労働省「放課後児童クラブ運営指針」(PDF)

    つまり、「発達障害だから」という理由で一律に断ることはできません。ただし、受け入れにあたって特別な配慮や人員が必要であり、それが施設側の体制でどうしてもまかなえない場合には、受け入れを見送ることができるとされています。

    この“負担が過重でない限り”という表現がグレーゾーンになっており、実際には「支援体制が整わない」と判断され、受け入れを断られるケースも一定数見られます。

    以下のような場合、実質的に「利用は難しい」と判断されることがあります。

    • 支援員の人数が足りておらず、マンツーマンでの対応が必要な場合
    • 強いこだわりや衝動性があり、トラブルが繰り返される場合
    • 保護者との意思疎通が十分でないと判断された場合

    放課後児童クラブは、学校のように特別支援教育を専門とする施設ではないため、発達特性に応じた支援が十分に行えないケースもあるというのが、実際の運営現場での課題です。

    「断られない」ためにできる準備とは?

    発達障害のあるお子さまを放課後児童クラブに通わせたい場合には、申込の前段階から丁寧な準備がとても大切です。

    まず重要なのは、「できるだけ具体的に、お子さまの特性や配慮が必要な点を伝えること」。

    • 集団が苦手/音や光に過敏/特定の刺激にパニックになる
    • 他児への関わり方に不安がある(トラブル歴など)
    • どんなときに落ち着くか/逆にどんなことで興奮しやすいか

    「特性を伝えたら断られてしまうのでは…」と不安に感じるお気持ちも分かりますが、情報共有が十分に行われないまま利用が始まる方が、トラブルにつながるリスクが高くなってしまいます。

    申込段階で確認しておくべきこと

    施設によって、発達障害への対応の姿勢は大きく異なります。以下のポイントは、見学や申込時に確認しておくと安心です。

    • 「要配慮児」への加配職員がいるかどうか
    • グレーゾーンのお子さまへの対応経験があるか
    • クールダウンスペースの有無や使いやすさ
    • 担当支援員との事前面談の可否

    保護者さまにとっては勇気がいることかもしれませんが、「できるだけ詳細に状況を共有し、一緒に工夫できるか」を施設とすり合わせていくことが大切です。

    断られた場合の代替手段も検討を

    どうしても受け入れが難しい場合は、「放課後等デイサービス」や「民間学童」「居場所づくり事業」など、別の選択肢を検討する必要があります。

    次章では、学童で起きやすいトラブルの実例と、その背景について詳しくご紹介していきます。

    学童で起きやすいトラブルとその背景

    放課後児童クラブで最もよくあるトラブルが、他のお子さまにケガをさせてしまったり、物を壊してしまったりするケースです。

    「子どもを預かる」という点では保育所と同じであるため、大人がそばにいれば最悪の事態は避けられると考えてしまいがちですが、保育園児よりも身体が大きくなっていること、運動機能が発達していることから、支援員の目が届かないうちに、あるいは気付いたとしても力で負けてしまい、事故を防げない場合があります。

    特に、高齢の支援員が多い施設の場合は、体格の良いお子さま同士のケンカが止められず、支援員もケガを負ってしまうケースもあります。(子ども同士のケンカに関しては、発達障害のお子さまに限らずよくあるトラブルです)

    こうしたトラブルが続くと、施設に通っている他の子どもが「もう学童には行きたくない」と言い出したり、責任問題に発展したりと、事態の収拾がつかなくなり、最終的に「クラブをやめてもらえないか」という話になってしまいます。

    他にも、一人の支援員が発達障害のお子さまに付きっきりになることで、ほかの子どもたちへの見守りが手薄になってしまう場合もあります。障害のあるお子さまについては追加で職員を配置することが可能ですが、確定診断の下りていないグレーゾーンのお子さまの場合、追加の職員は配置されません。

    統計によると、1支援の単位(40人)に対し支援員の数が5人以上である施設が最も多くなっていますが、

    • 全体の見守り担当2人
    •  おやつの準備などの雑務担当1人
    •  支援の必要な子ども担当2人

    といった分担で、かなりギリギリの人員で運営している施設がほとんどです。

    また、放課後児童クラブの支援員は特別支援教育の先生ではありませんので、発達障害の特性について正しい知識を持っているとも限りません。学校や専門機関と連携し、適切な対応をしてもらえる施設ももちろんありますが、そうでない場合もありますので注意しましょう。

    ただし、発達障害のお子さまが放課後児童クラブを利用することは、マイナスの面ばかりではありません。同年代の子どもたちと交流することで社会性を身に付けることができますし、子ども同士で助け合いながら過ごすことで、周りの子どもたちも他者への配慮や多様性について学ぶことができます。

    特に、支援員が付きっきりになるのではなく、適度に子どもたち同士で交流させ、問題を解決するように促すと、子どもたちは大人が想像する以上に成長してくれることがあります。

    放課後児童クラブでの子どもたち同士の交流の好事例
    • 教室から飛び出してしまうAくんに対し、飛び出しそうになったら周りの子どもたちにすぐに止めるよう頼んだ
    •  Aくんが教室から飛び出さないよう、Aくんが興味のある遊びをしようと子どもたちから提案があった
    •  Aくんは回転するものが好きだったので、ぶんぶんゴマを作って遊ぶことにした

    支援員の力量によるところも大きいですが、放課後児童クラブは、子どもたちが様々な体験や交流の機会を得られる場でもあります。

    また、発達障害といってもその特性はお子さまによって一人一人違います。一人遊びに熱中しやすく、多少目を離しても問題が無いお子さまもいれば、衝動性が強く、支援員が常についていないとケガの危険があるお子さまもいらっしゃいます。

    多くの放課後児童クラブでは、子どもたちがクールダウンするためのスペースを設けています。癇癪を起こしやすいお子さまは、そのスペースがどんなものか、落ち着けそうかどうかを確認する必要がありますし、「お気に入りのぬいぐるみがあれば落ち着けそう」というのであれば、持ち込みが可能かを施設に相談する必要があります。

    じっとしているのが苦手なお子さまは、身体を動かせるスペースがあるかどうかが重要です。スペースはあっても、子どもたちの人数も多いので自由に使えないのであれば意味がありませんので、実際に子どもたちが利用しているときの様子を確認しましょう。

    発達障害のお子さまで放課後児童クラブを検討する際には、まずは保護者さまがお子さまの特性をしっかりと理解し、お子さまにとって何が重要かを把握するとともに、特性について施設側に説明できるようになることが大切です。

    学童と放課後等デイサービスの違いと併用の考え方

    発達障害のお子さまの放課後の過ごし方として、学童(放課後児童クラブ)と並んでよく比較されるのが「放課後等デイサービス(放デイ)」です。

    どちらがより適しているのか、また併用は可能なのか――保護者さまが迷いやすいポイントについて整理しておきましょう。

    放課後児童クラブと放課後等デイサービスの違い

    まずは、それぞれの目的や対象、支援内容の違いを簡単に整理してみます。

    • 放課後児童クラブ:共働き家庭の小学生を放課後に預かり、遊びや生活の場を提供する福祉サービス(所管:厚生労働省)
    • 放課後等デイサービス:障害のあるお子さまに対し、療育や個別支援、社会性の向上を目的とした専門的なサービス(所管:厚生労働省)
    • 利用条件:放課後児童クラブは「保護者が昼間家庭にいないこと」が前提/放課後等デイは障害(または相当と認められた)児童が対象

    放課後児童クラブは「安全に過ごせる場所」であり、放課後等デイサービスは「支援・療育を受ける場所」として設計されています。

    どちらも大切な場ですが、お子さまの特性や支援の必要性によって、どちらを主に利用すべきかが変わってきます。

    放課後児童クラブでは対応が難しいケースも

    放課後児童クラブは、支援員の数も限られており、発達特性に対する専門知識を持つ職員が常駐しているわけではありません。

    そのため、以下のようなケースでは、放課後等デイサービスの方が適していることが多いといえます。

    • こだわりやパニックなどへの対応に専門的な支援が必要
    • 社会性やコミュニケーションのトレーニングを受けたい
    • 学校でも困り感が強く、放課後も個別支援がないと過ごしづらい

    こうした場合には、放課後児童クラブに無理に通わせるよりも、落ち着いた環境の中で療育的支援が受けられる放課後等デイサービスの方が、本人にとっても負担が少なくなる可能性があります。

    放課後児童クラブと放課後等デイサービスの併用はできる?

    結論から言えば、併用は可能です。

    たとえば、週3日は放課後等デイサービス、週2日は放課後児童クラブという形で使い分けているご家庭もあります。

    このように使い分けるメリットとしては、以下のような点が挙げられます。

    • 放課後等デイでの療育支援+学童での多様な子どもとの交流を両立できる
    • 本人の様子や疲れやすさに応じて、日ごとに環境を調整できる
    • 保護者の就労条件や送迎の都合にも柔軟に対応できる

    実際に併用するには、放課後等デイの支給決定や学童側との調整が必要になります。

    自治体や施設によってルールが異なる場合がありますので、事前に発達支援センターや児童発達支援事業所などに相談しておくことが重要です。

    「どちらが良いか」ではなく「どちらが合うか」

    放課後児童クラブと放課後等デイサービスのどちらが優れているということではなく、お子さまの特性やその時期の状態に「合っているかどうか」が大切です。

    たとえば、

    • 「集団は苦手だけど人との関わりは経験させたい」→週に1〜2回学童を試す
    • 「一日の活動で疲れてしまう」→週の前半は放デイ、後半は休養日
    • 「支援員との信頼関係が強く、安定している」→学童でも継続的な支援が可能

    このように組み合わせや頻度を調整しながら、少しずつ「居場所」をつくっていくことが可能です。

    次章では、実際に見学する際にチェックしておきたいポイントや、保護者さまができる工夫についてご紹介していきます。

    学童の選び方とチェックポイント

    ここまでの内容で、放課後児童クラブと放課後等デイサービスの違いや併用についてご紹介してきましたが、実際に学童を選ぶ場面では、「我が子にとって合っているかどうか」を見極めることが何より大切です。

    特に発達障害のあるお子さまの場合、施設によって環境や支援体制に大きな差があるため、見学や面談を通じてしっかり確認しておくことが重要になります。

    見学時に確認したい主なチェックポイント

    以下の項目は、実際に施設を見学するときに確認しておくと安心です。

    支援員や施設担当者に直接聞いてみても良いですし、お子さまと一緒に訪問して雰囲気を感じ取るのも良いでしょう。

    • 子どもたちの人数に対して、支援員の人数は足りているか
    • クールダウンできる静かなスペースがあるか
    • 活動が全体指示型か、個別対応も柔軟に行われているか
    • 送迎の対応(学校からの移動、帰宅時の手段)に無理がないか
    • 発達特性への理解や支援経験がある支援員が在籍しているか
    • グレーゾーン児への対応をどのようにしているか

    お子さまの特性ごとに見る「合う学童」の傾向

    発達障害のあるお子さまは、一人ひとりに違った困りごとや得意・不得意があります。

    以下のような傾向を参考に、「うちの子にとって通いやすい学童とはどんなところか?」を具体的に考えてみましょう。

    • 騒がしい環境が苦手 → 少人数制の施設や、静かな活動があるクラブ
    • パニックになりやすい → クールダウンのスペースがしっかりある施設
    • じっとしているのが苦手 → 室内だけでなく、身体を動かせる活動が豊富なところ
    • 特定のこだわりが強い → 柔軟に対応してくれる支援員がいる施設
    • 自分のペースで過ごしたい → 集団活動ばかりでなく、自由時間が確保されている施設

    保護者さまが伝えておきたいこと

    お子さまの特性と合わせて、家庭での過ごし方や、困りやすい場面・落ち着きやすい対応方法なども事前に伝えておくことが重要です。

    また、以下のようなポイントも支援員の方に伝えておけると、スムーズな受け入れにつながりやすくなります。

    • 自宅や学校での困りごと(癇癪・こだわり・人とのトラブルなど)
    • 過去にうまくいかなかった支援・成功した支援
    • ご家庭で大切にしていること(食事・習い事・兄弟関係など)
    • どういう状況なら落ち着けるか(例:ぬいぐるみ、視線を避けるなど)

    支援員は「特性の専門家」であるとは限らないからこそ、家庭からの情報提供がとても貴重です。

    一緒に支援の方法を考えていくスタンスを大切にしましょう。

    次章では、放課後児童クラブの制度や種類、申し込みの流れなど、知っておきたい基本情報を詳しく解説していきます。

    放課後児童クラブの基礎知識

    ここでは、放課後児童クラブ(いわゆる学童)について、制度や利用条件、種類の違いなどを分かりやすく整理していきます。

    制度の背景や公営・民営の違いを知っておくことで、お子さまに合った環境を選ぶヒントにもつながります。

    学童(放課後児童クラブ)とは?

    放課後児童クラブとは、厚生労働省が所管する「放課後児童健全育成事業」に基づき、保護者が昼間家庭にいない児童を対象に、遊びや生活の場を提供する福祉サービスです。

    地域によって「学童保育」「学童クラブ」「育成学級」などの名称が使われますが、いずれも基本的には同じ意味です。この記事では、制度上の正式名称である「放課後児童クラブ」で統一しています。

    対象年齢と利用条件

    放課後児童クラブは、児童福祉法に基づいて次の2点を満たす小学生が対象とされています。

    • 小学校に就学している児童であること
    • 保護者が労働などにより昼間家庭にいないこと

    以前は「10歳未満」が目安とされていましたが、2015年の法改正により、小学6年生までが対象となりました。

    ただし、施設によっては独自に学年制限を設けている場合もあるため、高学年まで利用したい場合は事前確認が必要です。

    放課後児童クラブの目的と学校との違い

    放課後児童クラブは「預かり」だけが目的ではなく、以下のような健全な育成を目指しています。

    授業の終了後に、小学校の余裕教室や児童館などを活用し、適切な遊びや生活の場を与えることで、子どもたちの健全な育成を図る。
    (出典:こども家庭庁|放課後児童健全育成事業

    なお、放課後児童クラブと学校は別組織であり、情報共有は原則として行われません。

    たとえ学校の教室で運営されていても、学童の支援員と担任の先生は別組織に所属しているため、お子さまの特性や配慮事項はそれぞれに伝える必要があります。

    運営主体の違い(公営と民営)

    放課後児童クラブには、自治体が直接または委託で運営する「公営型」と、民間団体が独自に運営する「民営型」があります。

    • 公営(直営型):市町村が設置・運営
    • 公営(委託型):市町村が設置し、運営は民間団体に委託
    • 民営:設置も運営も民間団体が行う

    公営は安価で利用しやすい反面、支援体制や設備は最小限となることも。

    一方で民営の施設は料金が高めな傾向がありますが、その分手厚い支援や独自のプログラムがあることもあります。

    どちらが良いというよりは、お子さまの特性や保護者さまの働き方に合っているかを基準に比較してみてください。

    次節では、実際に申し込む際の流れについて詳しくご紹介します。

    放課後児童クラブを利用するまでの流れ

    放課後児童クラブの利用には申込みが必要で、募集時期や手続きの流れは自治体や施設によって若干異なります。

    おおまかには、次のようなスケジュールで進みます。

    • ① 募集開始(例:9月〜10月ごろ)
    • ② 選考・申込(必要書類の提出)
    • ③ 利用決定の通知
    • ④ 説明会や契約手続き

    特に都市部では申込者数が定員を超えることもあり、選考が行われるケースもあります。

    確実に利用したい場合は、募集開始のタイミングを見逃さず、早めに動くことが大切です。

    また、多くの施設で「保護者の勤務証明書」などの書類提出が必要となりますので、勤務先での発行スケジュールもあわせて確認しておくと安心です。

    利用決定後には施設ごとの説明会が行われ、持ち物やルール、緊急時の対応などが伝えられます。

    送迎やキャンセル時の連絡方法、学年が上がった際の継続手続きなど、事前に確認しておくべき項目も多いため、メモを取りながら話を聞くと良いでしょう。

    放課後児童クラブの費用

    放課後児童クラブの利用料金は、施設の運営主体や地域によって大きく異なります。

    一般的には、公営クラブで月額4,000〜6,000円前後が多く、これに加えておやつ代や行事費などの実費が数百円〜数千円発生します。

    一方で、民営クラブでは月額1〜3万円台の設定も珍しくなく、学習支援や習い事、送迎サービスなどが含まれる場合はさらに高額になる傾向があります。

    厚生労働省の調査によると、以下のような傾向があります。

    • 月額利用料のボリュームゾーン:4,000〜6,000円(公営)
    • 実費徴収:0〜2,500円程度(おやつ代や材料費)
    • 民営クラブ:1〜3万円超/月(サービス内容により変動)

    また、低所得世帯や多子世帯に対しては、自治体ごとに減免制度が設けられている場合もあります。

    申込前に「負担軽減措置の対象になるか」について、市区町村の子育て支援課などに相談しておくと安心です。

    開所時間と送り迎え

    放課後児童クラブの開所時間は、施設によって異なりますが、平日は放課後〜19時ごろまで長期休業中は朝8時〜19時ごろまで開いている施設が多くなっています。

    共働き世帯では、夏休みや冬休み中の開所日・時間が重要な判断材料になるため、「土曜やお盆も開いているか」なども事前に確認しておきましょう。

    送迎体制についても以下のように施設ごとに差があります。

    • 学校から施設まで:送迎あり/自力移動/保護者送迎など
    • 施設から自宅まで:保護者迎え必須/子ども一人帰宅可/送迎あり
    • 低学年のみ送迎対象という施設もある

    発達障害のあるお子さまの場合、移動中に迷子になったり、不安定になったりすることもあるため、個別に配慮してもらえるかどうかを事前に相談しておくことが大切です。

    放課後児童クラブでの過ごし方

    放課後児童クラブでは、子どもたちは基本的に「自由遊び」を中心に、おやつ・宿題・遊びなどを自分のペースで行います。

    支援員(いわゆる学童の先生)がつきっきりで宿題を見たり、遊びの相手を常にしてくれるわけではなく、「子ども同士の生活を見守る」のが主な役割です。

    施設によっては、以下のような特色があります。

    • イベントや行事が多い(クリスマス会、季節の制作など)
    • 外遊びや身体活動が充実している
    • 民営の場合、学習支援や習い事機能があることも

    お子さまが「一人の時間も大切にしたいタイプ」か、「にぎやかさを楽しめるタイプ」かによって、放課後の過ごし方との相性は大きく変わります。

    実際に見学して、在籍児童の年齢層や活動の雰囲気を確認しておくとよいでしょう。

    学童・放課後等デイサービス・その他の選択肢をどう組み合わせるか

    「学童に断られたらどうしよう」「放課後等デイサービスは利用できるの?」「安心できる“居場所”が見つからない…」
    ――そんな悩みを抱える保護者さまに向けて、この章では、複数の選択肢をどう組み合わせるかについて具体的に整理していきます。

    断られても終わりじゃない。選択肢は複数あります

    放課後児童クラブ(学童)で受け入れが難しかったとしても、他に選べる放課後の過ごし方はたくさんあります。
    以下に代表的なものを整理しました。

    • 放課後等デイサービス:発達障害やグレーゾーンのお子さま向けの療育・支援施設
    • 民間学童:少人数・手厚い支援・送迎付きなど柔軟な対応が可能
    • 習い事・塾:好きな活動を軸に居場所づくりをする家庭も
    • 親族・地域によるサポート:実家や信頼できる人に頼るケースも

    どれか一つを選ばなければならないわけではなく、複数を組み合わせて柔軟に対応することが、結果的にご本人にとって負担が少なくなるケースもあります。

    組み合わせの実例①|放デイ×学童の併用

    週に3回は放課後等デイサービスで個別支援を受け、残りの2回は放課後児童クラブでお友だちと過ごすという組み合わせです。

    • 放デイ:疲れが出やすい週初め/専門的な支援が必要な日
    • 学童:比較的落ち着いて過ごせる日/交流経験を積みたい日

    このように曜日ごとに役割を分けることで、お子さまの負担も軽減され、社会性や生活スキルもバランスよく育むことができます。

    組み合わせの実例②|居場所がなければ家庭中心で

    「学童も放デイも本人がどうしても合わない…」というケースでは、家庭を基点にした生活スタイルも十分に選択肢になり得ます。

    • 親族によるサポート(祖父母・兄姉など)
    • 短時間の家庭教師や訪問型支援の導入
    • 地域の子育て支援センターや公的サービスとの連携

    特に、強い不安や疲れやすさがあるお子さまにとっては、「無理して通う」よりも、家庭の中で安心して過ごせる環境を整える方が、結果として良い方向に向かうことも多いです。

    大切なのは「選ばない勇気」と「試してみる柔軟さ」

    放課後の居場所選びに正解はありません。
    どの施設にもメリットとデメリットがあり、お子さまの状態や家庭の状況に応じて調整していくことが重要です。

    「学童に行けない」=「失敗」ではなく、より合う場所を見つけるプロセスと捉えて、焦らずに進めていけたらと思います。

    「うちの子に合う放課後の過ごし方、どう選べばいい?」
    学童・放デイ・家庭支援の組み合わせなど、個別の状況に応じたご相談を承っています。

    次章では、保護者さまから寄せられる具体的なご質問にお答えしていきます。

    よくある質問Q&A

    ここでは、発達障害のお子さまの学童利用や放課後等デイサービスとの関係について、保護者さまから特に多く寄せられるご質問をまとめました。

    Q1:グレーゾーンの子も「加配」をお願いできますか?

    確定診断がなくても、日常生活で著しい困りごとがある場合は「配慮の必要がある子」として扱われることがあります。自治体や施設によって判断基準が異なるため、「診断名がなくても困っていることがある」と伝えることが大切です。加配申請は施設側が自治体に要請する形式が多いため、まずは利用希望の学童に相談を。

    Q2:小1の壁を越えた後も学童は使えますか?

    現在は小学6年生までが対象ですが、施設ごとに「高学年の利用は可否が異なる」場合があります。公設の学童では高学年の定員が少ない傾向にあり、民営型や習い事併設型に切り替えるご家庭も。放課後等デイは中学生以降の支援も可能なので、学年に応じた使い分けがカギです。

    Q3:見学はどのタイミングで行けばいい?

    多くの学童では秋ごろ(9月〜10月)の募集前に説明会や見学会が実施されます。可能であれば夏前や夏休み中に1〜2回、事前訪問するのがおすすめです。普段の様子や子どもたちの雰囲気を知ることで、パンフレットだけでは見えない「相性」が見えてきます。

    Q4:送迎が難しい場合、学童は使えませんか?

    学童によっては送迎付きのサービスを提供しているところもあります。ただし自治体運営の学童では送迎がないケースが多く、兄姉や保護者による対応が必要になることも。放課後等デイでは送迎付きの施設も多いため、移動がネックならそちらを検討するのも一案です。

    Q5:トラブルが心配で利用に踏み切れません…

    不安な気持ちはとてもよく分かります。実際に事前面談で「こういう時にこうしてほしい」と伝えられる学童は、安心感が大きいはずです。万が一に備えて、連絡の取り方や対応方針を事前に確認しておくことで、保護者さまの不安もぐっと軽くなります。

    専門家からのひとこと|支援のご相談も承ります

    これまで見てきたように、放課後の居場所選びは、お子さま一人ひとりの特性や生活リズムに大きく左右されます。
    「うちの子にとって、本当に安心できる場所はどこだろう?」――そんな迷いや不安があるとき、ひとりで抱え込まずに、ぜひご相談いただけたらと思います。

    プロ家庭教師メガジュンでは、発達障害・グレーゾーン・不登校のお子さまを対象に、学習面の支援にとどまらない、“伴走型の家庭支援”を行っています。

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