発達障害の子どもへの接し方とは?伝え方のポイントを紹介(小学生・中学生)

発達障害のお子さまへの接し方として、「丁寧に声掛けしましょう」「しっかり褒めましょう」といったアドバイスはよく耳にしますが、具体的にどんな場面で/どのような言葉で声掛けすれば良いのか、頭を悩まされている保護者さまは多いのではないでしょうか。

ご家庭での声掛けや接し方は、お子さまの自己肯定感やその後の人生に大きく影響するため、近年では発達障害のお子さまの支援の一環として、保護者さまがお子さまへの接し方を学ぶためのプログラム(=ペアレント・トレーニング)なども注目されつつあります。

「こまめに声掛けしているけれど、全然伝わらない…」
「褒めろと言われても、褒めるところが見つからない…」

この記事では、このようなお悩みをお持ちの保護者さまに向けて、発達障害のお子さまへの声掛けや接し方について具体的に解説していきます。

長年にわたり発達障害のお子さまのサポートに携わってきたプロ家庭教師ならではノウハウを元に、ご家庭でもすぐに実践できる方法を紹介していきますので、ぜひ最後までお読みいただけますと幸いです。

発達障害専門のプロ家庭教師
妻鹿潤
・16年以上1500名以上の指導実績あり
・個別指導塾の経営・運営でお子様の性質・学力を深く観る指導スタイル
・yahooやSmartNews、Newspicksなどメディア向け記事も多数執筆・掲載中

▼目次

発達障害の特性を理解する

発達障害の特性を理解する

発達障害のお子さまに接する際には、まずはその子の特性を正しく理解することが大切です。例えば、すぐ癇癪を起こしてしまうお子さまの場合、癇癪が起きやすいタイミングを調べ、癇癪の原因となっている特性(感情が抑えにくい/感覚が敏感/予定の変更を嫌う など)を分析していく必要があります。

特性への正しい理解があってこそ、お子さまに対して適切に接することができます。以下では発達障害に関する基本的な情報を解説していきますので、既に知識をお持ちの方は「2.発達障害の子どもへの接し方の具体例15選」までお進みください。

発達障害は、ASD・ADHD・LDの3つに分類され、それぞれの特性は以下のとおりです。

<発達障害の3つの分類と特性>
○ ASD(自閉スペクトラム症)
– 社会性やコミュニケーションの苦手さ、限定された興味・こだわり
○ ADHD(注意欠如・多動症)
– 集中のしづらさ、多動性・衝動性
○ LD(学習障害、SLD(限局性学習症))
– 読み・書き・計算など特定の学習スキルのみに困難が生じる
(参考:発達障害|こころの病気を知る|メンタルヘルス|厚生労働省 (mhlw.go.jp)

これらの発達障害は単独で生じることもありますが、「ASDとADHD」「ADHDとLD」などのように併発する場合も多くなっています。また、発達障害のお子さまに接する際の悩みとしては、

  • 指示が伝わらない
  • 何度言っても聞かない

というものが多くなっています。

これは、いずれの発達障害も「言われたことを理解しづらい」という特性を持っているためであり、それぞれの特性に合わせた“伝わりやすい伝え方”を見つけていく必要があります。

発達障害のお子さまが言われたことを理解しづらい理由には、以下のようなものが挙げられます。

○ASD →抽象的な内容が理解しづらい/興味の無いことに関心が向かない
○ADHD →指示の内容に集中できない/指示されたことを忘れてしまう
○LD →読む・書くなど基礎的な作業に人一倍エネルギーを使うため、指示の内容まで注意を向けられない

これらの特性を踏まえると、ASDのお子さまには具体的な言い方や「なぜそうするべきか」という本人にとってのメリットを示しながら伝えることが効果的であることが分かりますし、ADHDのお子さまに対しては、集中できる環境を整えたり、一つずつ指示を伝えたりすることが効果的であることがわかります。

こうしたポイントを押さえると、“伝わりやすい伝え方”の意義がより深く理解していただけるかと思います。次の章からは具体的な方法を示していきますが、それぞれの方法の背景にある考え方を踏まえながらお読みいただけますと幸いです。

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発達障害の子どもへの接し方の具体例15選

発達障害の子どもへの接し方の具体例15選

発達障害のお子さまへの接し方については、ASD・ADHD・LDのいずれの場合にも効果があるものから、ASDだけ・ADHDだけ・LDだけなど、一つの発達障害に特化して効果があるものまで様々です。

ただ、発達障害同士は併発することも多く、「ずっとASDだと思っていたのに、ADHDも併発していることがわかった」というケースも少なくありません。ASDだから○○という固定観念にとらわれず、様々な工夫を試しながら、お子さまに最適な支援方法を見つけていただければと思います。

発達障害の子どもへの接し方の具体例①具体的に伝える

発達障害のお子さまに指示を伝えるときには、できるだけ具体的に伝えるようにしましょう。抽象的な表現だと、何をすれば良いのかそもそもわからなかったり、理解するのに時間が掛かるため、無意識に「面倒くさい」と感じて指示をスルーしてしまったりします。

例えば、部屋の片付けをしてほしい場合には、

◎「床の本を本棚に戻して、服はハンガーにかけてクローゼットにしまってね」
×「ちゃんと部屋を片付けてね」

といったように、“何を、どうするのか”を具体的に伝えましょう。また、一度に複数の指示を出すと伝わりづらいお子さまの場合は、「本を本棚にしまうよ」「服をハンガーにかけるよ」と一つずつ分けて伝えると良いでしょう。

「ちゃんと」「しっかり」「きちんと」といった表現は、発達障害のお子さまにとっては非常に理解しづらいものである一方、便利な表現であるためついつい使ってしまうことも多いと思います。

「ちゃんと」という言葉を使ってしまった場合には、お子さまの方から「部屋の片付けって、何からすれば良い?」と聞き返せるようになれるのが理想的です。というのも、大人になってからも仕事で「しっかり○○してください」など、曖昧な表現を用いた指示を受けることはたくさんあるため、子どもの頃から「曖昧で分かりづらいときは確認する」というクセを付けておくと非常に役立ちます。

「分かりづらいときは聞き返す」という方法は、お子さま自身が「自分は抽象的な表現を理解するのが苦手である」と理解できる年齢になるまでは実践するのは難しいですが、小学校高学年くらいになったら積極的に挑戦してみると良いでしょう。

発達障害の子どもへの接し方の具体例②遠まわしに言わない

発達障害の子どもへの接し方の具体例②遠まわしに言わない

発達障害のお子さまに「お友達はお片付けを始めているよ」と伝えても、「そうなんだ」と思うだけで、「だからあなたもお片付けしてね」という意図まで理解できません。遠まわしな表現は避け、どうすれば良いのかを直接的に伝えましょう。

「①具体的に伝える」の観点も踏まえると、理想的な伝え方としては、

◎おもちゃをおもちゃ箱にしまってね (→直接的で、具体度も高い)
○お片付けしよう (→直接的だが、具体度が低い)
×お友達はちゃんと片付けしているよ (→間接的で、具体度も低い)

といったものになるでしょう。

また、比喩表現(例:お人形さんはおねんねの時間だよ)なども、基本的には発達障害のお子さまに対しては避けた方が良いでしょう。比喩を理解するというプロセスが加わるため、「考えるのが面倒だからスルー」ということになりがちです。

発達障害の子どもへの接し方の具体例③お願いではなく事実として伝える

お子さまに対して「お願い(~してね)」という形で指示を出すと「嫌だ!」と拒否されて押し問答になってしまう場合があります。お願いではなく、「(片付けの時間だから)片付けます」のように、お子さまがやりたいかどうかに関わらず、客観的な情報として伝えるような言い回しにすると良いでしょう。

◎おもちゃをおもちゃ箱にしまいます
×おもちゃをおもちゃ箱にしまってください

ただ、イヤイヤ期や反抗期のお子さまの場合、こうした工夫ではどうにもならない場合もあります。お子さまの気分が変わるのを待つなど、言い方以外の工夫と併せて活用すると良いでしょう。

発達障害の子どもへの接し方の具体例④一つずつ伝える

発達障害の子どもへの接し方の具体例④一つずつ伝える

発達障害のお子さまは、ワーキングメモリーが低い傾向にあります。ワーキングメモリーとは、情報を脳に一時的に保持しながら作業を行う能力のことであり、ワーキングメモリーが低いと、マルチタスクや「ながら作業」が苦手になります。

指示を聞いて行動するという場面においてもワーキングメモリーは非常に重要で、

① 耳(または目)で指示の内容を聞く(見る)

② やるべきことを理解する

③ 行動に移す

というプロセスを瞬間的に処理することになります。ワーキングメモリーが低いと、③の時点で①や②の内容を忘れてしまうため、何度も指示を確認したり、どうすれば良いのかを頭の中で反芻したりする必要が生じます。

「指示の理解が遅い」「皆より行動が遅れる」といったお子さまはワーキングメモリーが低い可能性がありますので、特性に応じた形で指示を出してあげる必要があります。

①の指示の内容が複雑な場合や、②の理解が難しい場合は、脳に大きな負担が掛かってしまいます。逆に、①②を簡単にすれば、ワーキングメモリーが低いお子さまでも指示通りに行動しやすくなります。

①②を簡単にするためには、「指示を一つずつ出すこと」や、これまで述べてきたように「具体的に/直接的に伝えること」を意識すると良いでしょう。

◎本を本棚に戻そう
×お友達はみんな、ちゃんと部屋を片付けているよ

発達障害のお子さまの特性を理解する際に、ワーキングメモリーは非常に重要な概念です。お子さまはどれくらいの指示の内容を受け入れられるのか、お子さまの様子をしっかり観察し、ワーキングメモリーという観点から分析していただければと思います。

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発達障害の子どもへの接し方の具体例⑤否定ではなくどうすれば良いのかを示す

「○○してはいけません」と否定形で指示することは避けましょう。発達障害のお子さまに「○○はダメ」と伝えても、「じゃあどうすれば良いのか?」が分からず、大人が思ったような行動をなかなか取ってくれません。

指示を出すときは否定形ではなく、どうするべきかを具体的に示しましょう。

◎歩きましょう
×走っちゃダメ!
◎そのおもちゃをお友達に返しなさい
×お友達にいじわるしないで

また、否定や叱責はお子さまの自己肯定感を下げてしまう可能性があります。その点からも否定形での指示はできるだけ避けた方が良いでしょう。また、指示が聞けた際には、「走らず歩けて偉いね」「おもちゃをお友達に返してあげたんだね、優しいね」としっかりと褒めることが大切です。

発達障害の子どもへの接し方の具体例⑥褒める

発達障害の子どもへの接し方の具体例⑥褒める

プロ家庭教師をしていると、時々、「うちの子は褒めるところが見当たらない」と仰る保護者さまがいらっしゃいます。私からすれば褒めるところの無いお子さまは一人もいないのですが、毎日接している保護者さまだからこそ、できていること(褒めるべき点)が当たり前すぎて注目しづらいのだと思います。

まずは当たり前を取り払い、朝起きてくること・挨拶ができること・ご飯が食べられること・しっかり眠れることなど、生活の営みの一つ一つが褒められる価値のあることだと捉えるようにしましょう。「寝坊をしてしまっても、挨拶がきちんとできたのならOK」というように、できていることに注目することで、お子さまは自信を持ち、「明日は寝坊しないように頑張ろう」というモチベーションに繋げることができます。

また、指示が聞けたときは、たとえそれが注意の意味であったとしても、褒めることを意識しましょう。「片付けられたんだね、すごいね」など、その都度フィードバックとして褒めてあげると、お子さまは「指示を聞くことは良いことである」と認識でき、積極的に保護者さまの指示に耳を傾けてくれるようになります。

発達障害の子どもへの接し方の具体例⑦気持ちを否定しない

発達障害のお子さまは、感情のコントロールが苦手な場合があります。また、そもそも子どもは発達途上の存在ですので、大人ほど上手く感情をコントロールすることができません。

「嫌だった」「悲しかった」という感情は、親がいくら怒ったところで無くなるものではありませんし、問題行動そのものとお子さまがどう感じたかは別物です。それをひとまとめに考えて、「いつまで泣いてるの!」「それくらい我慢しなさい!」といった言葉で叱りつけると、お子さまは「感情を出してはいけないのだ」「自分という存在が悪いんだ」と感じて、人格の形成に大きな悪影響を与えてしまいます。

自分の感情を肯定されずに育った子どもは、他者の感情を尊重できなかったり、自分の気持ちを蔑ろにしてしまったりと、大人になってからも生きづらさを抱えることになります。お友達とのトラブルで明らかにお子さまに非があったとしても、お子さまの気持ち自体は否定せず耳を傾けてあげてください。

また、叱ったときにお子さまが泣いてしまった場合は、お子さまのことが嫌いだから怒っているわけではないことを言葉ではっきりと伝えるようにしましょう。

◎「嫌な気持ちになったんだね。でも、突然大きな声を出すと皆がびっくりしちゃうから、嫌な気持ちになった時はそっとお母さん/お父さんに知らせてね」
×「何で大きな声を出すの、静かにしなさい」
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発達障害の子どもへの接し方の具体例⑧すぐにフィードバックする

発達障害の子どもへの接し方の具体例⑧すぐにフィードバックする

お子さまが良いことをした場合でも、悪いことをした場合でも、その場ですぐにフィードバックするようにしましょう。昼にあったことを夜に褒めたり叱ったりしても、お子さまはピンと来ません。すぐに声掛けすることによって、「この行為は褒められる(叱られる)のだ」とお子さまに対して強い印象を与えることができます。

また、過去のことをいろいろと掘り返して叱ることも避けましょう。叱っているとついついあれもこれもと言いたくなってしまいますが、一つのことだけに集中して伝えた方が伝わりやすく、むしろ色々と伝えてしまうことで一番理解してほしいことすら伝わらない可能性があります。

褒めるとき/叱るときは、「その場ですぐに、一つずつ」を徹底しましょう。

発達障害の子どもへの接し方の具体例⑨厳しく叱るときの線引き

お子さまに指示を出したり、叱ったりするときに、むやみに大きな声や強い口調を使う必要はありません。特に感覚過敏を持つお子さまの場合は、大きな声自体に恐怖を感じてしまい、話の内容を聞くどころではなくなってしまう場合もあります。

ただし、他人を傷つけたり、物を壊したり盗ったり、または自分自身のケガや命の危険につながったりする行為などは、厳しく指導する必要があります。

例えば道路への飛び出しなどは、とにかく大きな声を出してお子さまの行動を制御する必要がありますし、お友達に暴力をふるってしまった場合は、お子さまの気持ちや言い分には耳を傾けつつも、「どんな理由があっても暴力は絶対いけない」と厳しく伝える必要があります。

また、金銭に関わる問題についてもしっかりと注意しましょう。ASDのお子さまの場合は「友達同士なんだから」と言いくるめられてお金を渡してしまったり、ADHDのお子さまの場合は「○○が欲しい」という衝動が抑えられず無駄遣いをしてしまったり(中には、保護者さまの財布からお金を盗ってしまう方もいます)と、発達障害のお子さまは金銭トラブルに巻き込まれやすい性質を持っています。

お金に関するリテラシーについては、幼い頃から意識的に教えるようにするとともに、トラブルにつながる行為があったときは、しっかりと指導するようにしましょう。

一方で、厳しいしつけは行き過ぎるとお子さまの心を傷つけてしまうことがあります。「人を傷つけること・物を盗ること・お金に関することについては、お母さん/お父さんは厳しく叱るからね」と事前に伝えておくと、お子さまもある程度受け入れる準備ができます。また、厳しく叱った後には、「あなたのことはいつも大切に思っている」ということを言葉にして伝えるようにしましょう。

発達障害の子どもへの接し方の具体例⑩ご褒美やメリットを作る

発達障害の子どもへの接し方の具体例⑩ご褒美やメリットを作る

お子さまが指示通り行動できない原因の一つに、「指示通りにするメリットが無い」というものがあります。例えば片付けの場合、部屋がきれいになるというメリットよりも、「もっと遊びたい」という欲求が勝ってしまうため、いくら言っても片付けないという状況になってしまいます。

解決方法としては、

① 片付けるメリットを理解させる
② 片付けると良いこと(ご褒美)があると学習させる

の2つがあります。

未就学児などお子さまの年齢が低い場合であれば、①の方法で「お片付けすると気分がスッキリするね」「お掃除がしやすくてママ/パパは助かるよ」といったことを伝えると、比較的すんなりと言うことを聞いてくれることがあります。また、手帳にシールを貼るなどちょっとしたご褒美でも指示を聞いてくれる場合があります。

ただ、年齢が上がると、メリットを言って聞かせたり、シールを貼ったりするだけでは言うことを聞かせるのが難しくなります。小学生以上のお子さまの場合は、「片付けられたら次の日のゲーム時間を30分延長」のようにメリットを与えてみたり、部屋を綺麗に保てた日数によってお小遣いの額を変動させたりと、実質的なご褒美を与えるようにすると良いでしょう。

発達障害の子どもへの接し方の具体例⑪紙で貼っておく

発達障害のお子さまは、耳で聞くよりも目で見た方が情報を処理しやすい「視覚優位」であることが多いため、「ゲームは○時まで」などルールを紙に書いて目につく場所に貼っておくなどの方法が有効な場合があります。

また、ワーキングメモリーが低いお子さまの場合は、やらなければならないと分かっていても、そのことをすっかり忘れてしまうことがあります。こうした「うっかり忘れ」は目につく場所にタスクを書いて貼っておくことで防ぐことができますので、やるべきことをついつい忘れてしまったり、朝の準備の順序がいつもバラバラになってしまうタイプのお子さまは、イラストなども活用しながら、紙でタスクを掲示する方法を試していただければと思います。

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発達障害の子どもへの接し方の具体例⑫注意を惹きつける

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発達障害のお子さまに指示が通りにくいのは、指示自体が聞こえていない(集中できていない)可能性があります。例えば、お子さまの背中越しに「○○してね」と伝えて、お子さまが確かに「うん」と言ったにもかかわらず、全く通じていなかったという経験はありませんか?

お子さまも決して悪気があるわけではなく、本当に聞こえていない(返事も反射的にしているだけ)というケースはよくあります。こういった「実は耳に入っていなかった」という事態を防ぐためには、指示を出すときに、必ずお子さまの視界に入った状態で声を掛け、目を合わせて話すということを徹底しましょう。

ほかにも、指示したことが伝わっているか確認するために、「じゃあ、いつから取り掛かる?」などと聞いてみるのも良いでしょう。

発達障害のお子さまはマルチタスクも苦手ですので、何かに集中していると周りの声が全く耳に入らない場合があります。お子さまも意図して無視しているわけではありませんので、お子さまの注意を引くための工夫をいろいろと試してみましょう。

発達障害の子どもへの接し方の具体例⑬予定変更や見通しを伝える

発達障害のお子さまは、急な予定の変更が苦手な場合があります。特にASDのお子さまの場合は、予想外の出来事が起こるとストレスを感じたり、パニックになったりしてしまうことがありますので、予定が変更になった場合は早めに伝えるようにしましょう。また、本人が納得できるよう、なぜ予定が変わったのかの理由についても併せて伝えると良いでしょう。

イレギュラーなイベント(病院に行く/遠方の親戚の家へ行く など)は、先に伝えると本人が嫌がるため、敢えて直前に伝えるというご家庭もあるかもしれません。ですが、直前に伝えると余計にストレスが大きくなってしまいますし、「いつものスーパーに行くよ」とだましてお子さまを連れ出すようなことは、大人への信頼を失ってしまうことになりますので絶対に避けましょう。

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発達障害の子どもへの接し方の具体例⑭スケジュール管理をサポートする

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発達障害のお子さまのスケジュール管理については、幼いうちから大人がサポートし、スケジュールに従って行動することを習慣にしましょう。1日のルーティンや、1週間ごとの勉強の内容をあらかじめ決めておくと、「何をすべきか」ということをいちいち考える必要が無くなるため、スムーズに行動することができるようになります。

また、発達障害のお子さまは、一度夢中になると寝食を忘れて熱中してしまう「過集中」という状態になることがあります。過集中は、好きなことに関する才能を存分に伸ばせるというメリットもありますが、スマホやゲームを延々とやり続けて寝不足になってしまうなどのデメリットもあります。

メリハリのある生活習慣を確立することは、成長期のお子さまの心身にとってとても大事なことですので、大人がしっかりとサポートしてあげましょう。

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発達障害の子どもへの接し方の具体例⑮メモやリマインダーの使い方を教える

メモやリマインダーは、発達障害の方にとって非常に役立つツールです。ワーキングメモリーの低い発達障害の方は、自分の頭の中だけでタスク管理をしようとすると混乱してしまったり、タスクをすっかり忘れてしまったりすることがありますが、メモやリマインダーを活用することで、これらの困りごとを最小限に留めることができます。

指示を受けたり、やらなければならないことを思いついたりしたときは、すぐにメモを取る癖を付けておきましょう。メモを取ることは大人になってからも役立つスキルですので、子どもの頃から習慣づけておくと良いでしょう。

また、リマインダーの使い方についても、お子さまが中学生くらいになったら教えてあげると良いでしょう。最初のうちは簡単なもので構いませんので、大人が一緒にToDoリストを作り、期限設定の考え方なども教えてあげると良いでしょう。

タスク管理が適切に出来るようになると、大人になってからの困りごとはかなり少なくなります。子どもの頃からの習慣づけがポイントになりますので、ぜひ積極的に取り組んでみてください。

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発達障害の子どもへの接し方のまとめ

発達障害の子どもへの接し方のまとめ

この記事では、発達障害のお子さまへの接し方について詳しく解説してきました。改めてポイントをまとめると、以下のとおりです。

<POINT>

  • 発達障害のお子さまに適切に接するためには、まずは発達障害の特性を理解することが大切
  • 発達障害はASD・ADHD・LDに分類されるが、併発する場合も多いため、診断名にこだわり過ぎずお子さま一人一人の特性を見極めることが大切
  • 発達障害のお子さまは言われたことを理解しづらい特性を持っているため、「伝わりやすい伝え方」を見つけることが大切
  • 発達障害のお子さまに指示を出すときは、具体的に・簡潔に・直接的に伝えることを心掛ける
  • 発達障害のお子さまは自己肯定感が低くなりがちなので、積極的に褒めるようにする
  • 発達障害のお子さまを褒めるときは、その場ですぐに褒めるようにする
  • お子さまの気持ちにはしっかりと耳を傾けつつ、厳しい指導が必要なときは毅然とした態度で伝えることも必要
  • スケジュールやタスクの管理は大人になってからも役立つスキルのため、子どもの頃から習慣づけておく

発達障害のお子さまが、相手の話を聞いていなかったり、指示通り動けなかったりするのは、本人が不真面目だからではなく、脳の働きに生まれつき凸凹があることが原因です。周りの大人はその凸凹による特性をしっかりと分析し、本人に合った対処法を見つけてあげるようにしましょう。

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1人でも多くのお子さまが、自分らしく社会で活躍できるよう、一同全力でサポートしてまいります。
最後までお読みいただきありがとうございました。

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