発達障害の特性とは?大人・子どもの特徴や対応は?チェックすべきポイントを解説

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    発達障害とは、生まれつきの脳の働きの凸凹によって、集中力やコミュニケーション能力、読み・書き・計算などに困難が生じる障害のことです。

    <発達障害の定義(発達障害者支援法より)>

    自閉症、アスペルガー症候群その他の広汎性発達障害、学習障害、注意欠陥多動性障害その他これに類する脳機能障害であってその症状が通常低年齢において発現するもの(引用元:発達障害者支援法 | e-Gov法令検索

    発達障害のある人は、社会生活において困難を抱える場合が多いものの、適切なサポートを受けることで自らの能力を発揮し、社会で活躍している方も数多くいらっしゃいます。

    一方で、見た目には分かりづらい障害であるため、「怠けているのではないか」「わがままなのではないか」と周囲の理解が得づらい側面もあります。

    この記事では、長年にわたり発達障害のお子さまのサポートに携わってきたプロ家庭教師の視点から、発達障害の特性と対処方法について詳しく解説していきます。

    ご自身が発達障害である方や、発達障害のお子さまの保護者さまにとって役立つ記事となっていますので、ぜひ最後までお読みいただけますと幸いです。

    発達障害専門のプロ家庭教師
    妻鹿潤
    ・16年以上1500名以上の指導実績あり
    ・個別指導塾の経営・運営でお子様の性質・学力を深く観る指導スタイル
    ・yahooやSmartNews、Newspicksなどメディア向け記事も多数執筆・掲載中

    発達障害の分類とそれぞれの特性

    発達障害の分類とそれぞれの特性

    発達障害は、以下の3つに分類されます。

    <発達障害の3分類>

    ○ ASD(自閉スペクトラム症)

    • コミュニケーションの苦手さ
    • 対人関係や社会性の不全
    • パターン化された行動
    • 興味や関心のかたより
    ○ ADHD(注意欠如・多動症)

    • 集中しづらい(不注意)
    • 多動・多弁(じっとしていられない、落ち着きが無い、よくしゃべる)
    • 衝動性が強い(考える前に行動してしまう)
    ○ LD(学習障害)

    • 知的な遅れや視覚・聴覚の障害が無いにもかかわらず、「読み」「書き」「計算」など特定の学習スキルに困難がある
    • 困難を持つ学習スキルの種類によって「読字障害」「書字障害」「算数障害」に分類され、読字障害と書字障害を合わせて「発達性読み書き障害(発達性ディスレクシア)」とする場合もある

    このほかにも、トゥレット症候群(チック)や吃音症も発達障害に含む場合があります。

    また、ASDとADHDは知的な遅れを伴う場合もあります。ある特別支援学校の先生の話によると、知的障害を持つ子どもたちのうち約半数程度は発達障害を併発しており、それぞれの障害に応じたサポートを行っているとのことでした。

    なお、LDについては、「知的な遅れが伴わないこと」が要件となっているため、知的障害とLDが併発することはありません。

    また、「ADHDとASD」や「ASDとLD」など、発達障害同士が併発するケースも多くなっています。

    発達障害の診断名は変更されることも多く、診断を受けた時期によっては、

    ○ ASD →広汎性発達障害(PDD)
    ○ ADHD →注意欠陥・多動性障害/注意欠陥障害(ADD)
    ○ LD →限局性学習症(SLD)

    などの名称である場合がありますが、いずれもほぼ同じ意味と捉えて問題ありません。
    特に、アメリカの精神医学会のマニュアルであるDSMの第5版の改訂が行われた2013年前後では、発達障害の診断基準や診断名が大きく変わっていますので注意しましょう。

    また、ASDは知的障害や言語の遅れの有無によって以下のとおり分類され、診断基準によってはこれらが診断名となる場合もあります。

    <ASDの分類>

    ○ 自閉症…知的障害と言葉の遅れを伴う自閉傾向
    ○ 高機能自閉症…知的障害を伴わず、言葉の遅れのみを伴う自閉傾向
    ○ アスペルガー症候群…知的障害と言葉の遅れのいずれも伴わない自閉傾向

    <発達障害の分類図>
    発達障害の分類図

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    ASD(自閉スペクトラム症、アスペルガー症候群)の特性

    ASD(自閉スペクトラム症、アスペルガー症候群)の特性

    ASDは、コミュニケーション能力や社会性、相手の立場や未来のことに関する想像力に苦手さがある発達障害です。

    以前はレット症候群と小児期崩壊性障害を含めて「広汎性発達障害」と一括りにされていましたが、現在の診断基準においては、自閉スペクトラムとこれらの疾患は全く異なるものとされています。(レット症候群や小児期崩壊性障害は、現在の基準では発達障害には該当しません)

    ASDはその名称のとおり、「スペクトラム=連続性」があります。特性が非常に強く、日常のコミュニケーションに大きな困難を抱えている人もいれば、特性の現れ方が軽度であるため、一般的な社会生活にはほぼ影響が無いという方もいらっしゃいます。そのため、特性は見られるものの確定診断には至らないというグレーゾーンの人が多いのもASDの特徴の一つとなっています。

    言葉の遅れを伴う場合(=自閉症・高機能自閉症である場合)は、幼児期の検診で特性が明らかになり、早めにサポートにつながれるケースが多くなっています。一方、言葉の遅れを伴わない場合(アスペルガー症候群)は、成長とともに特性が少しずつ明らかになることが多く、中には大人になるまで気付かれないケースもあります。

    ASDは男女で出現率が大きく異なり、男女比は「男:女=2:1~4:1」とされています。これは、一般的に女性の方が言語能力が高く、ASDに伴う言葉の困難が目立ちにくいためと考えられています。

    「おしゃべりは好きだが、コミュニケーションに困難がある女の子」は一定数存在するため、実際のASDの男女差はもう少し小さくなると考えられます。

    <ASDの行動例(子どもの場合)>

    Aくんは電車が大好きな男の子です。電車に関する知識は大人顔負けで、何時間でも図鑑を読みふけったり、駅で電車を眺めたりすることがあります。(=限定された興味)

    ただ、電車のことになると夢中になってしまうため、保育所ではお片付けの時間になっても一人で電車の模型で遊び続け、保育士さんに注意されてしまうことがあります。

    また、お友達とのおしゃべりでは、自分の話を一方的に続けてしまいます。「もう終わりにして」とはっきりと伝えるまでしゃべり続けるため、周りからは「自分勝手で相手の気持ちが分からない子」と思われてしまうことがあります。(=コミュニケーションの不全)

    <ASDの行動例(大人の場合)>

    Bさんは家族から「雨が降りそう。洗濯物を見てきて」とお願いされました。そこでBさんはベランダに行き、洗濯物の様子を確認しました。

    部屋に戻ってきたBさんに家族が「どうだった?」と尋ねると、Bさんは「雨が降り始めていて、洗濯物も少し濡れていたよ」と答えました。

    「何で取り込んでくれなかったの!」と家族は怒りましたが、Bさんは「言われた通り、洗濯物の様子を“見てきた”のに」と怒られる理由がわかりませんでした。(=コミュニケーションの不全)

    ASDの方の特性としては、コミュニケーションの不全が最も特徴的ですが、同時に「常同的な行動を好む」「変化を避ける」ということも大きな特徴の一つとなっています。

    ASDの方は抽象的な概念を想像するのが苦手です。そのため、相手の立場や心情といったコミュニケーションに関わることだけでなく、未来のことや予想外のことを想定するのも苦手です。

    このことから、ASDの方は何が起こるかわからないイレギュラーな状況よりも、いつも通りのルーティンを好む傾向にあり、想定外の出来事が起きるとストレスを感じたり、お子さまの場合はパニックになってしまったりする場合もあります。

    また、特定の物事に強い興味・関心を持つことも、想像力の弱さと関係している可能性があります。例えば、好きな電車のことばかり考えているのは、そうすることで周りの変化を無視できるからなど、自分の殻に閉じこもるためのルーティンとして強いこだわりを持つ方もいらっしゃいます。

    ASDを根本的に治療する薬はありません。そのため、ソーシャルスキルトレーニングや療育、環境の調整によって困りごとをできだけ少なくしていくことになります。

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    ADHD(注意欠如・多動症)の特性

    ADHDは、「集中のしづらさ(不注意)」「落ち着きの無さ(多動性)」「衝動性」を特性に持つ発達障害です。
    ADHDの特性は、脳の神経伝達の働きが定型発達の人と異なることで生じると考えられています。

    具体的には、脳の神経伝達物質であるドーパミンやノルアドレナリンの不足や、神経伝達の調節異常が要因であるとされています。これらは薬によってある程度コントロールすることが可能で、コンサータやインチュニブなどはADHDの治療薬として広く用いられています。

    ADHDの方の脳の性質は、一言で言えば「ブレーキが利かない/利きづらい状態」です。定型発達の人の場合は、必要な情報と不要な情報を取捨選択し、必要な情報のみを処理することができますが、ADHDの人の場合はブレーキが利かず、不要な情報までを拾って処理しようとしてしまいます。

    そのため、処理が間に合わずぼーっとしてしまう(不注意)、あるいは処理が甘くなり不必要なことをしてしまう(多動性・衝動性)といった特性が現われると考えられています。

    <ADHDの行動例(子どもの場合)>

    Cさんは授業中にじっと座っているのが苦手です。低学年の頃は立ち歩きもありましたが、学年が上がると立ち歩きはマシになりました。ですが、授業中には別のことを考えてしまい先生の話に集中できません。

    グラウンドで行われている別のクラスの体育の授業の様子を眺めていたら、いつの間にか授業が終わっていたこともあります。(=多動性・不注意)

    また、公園でボール遊びをしていたとき、道路に飛び出たボールを追いかけて車にひかれそうになったことが何度もありました。その都度周りから厳しく注意を受けるのですが、ボールを目の前にすると考えるより先に身体が動いてしまいます。(=衝動性)

    <ADHDの行動例(大人の場合)>

    Dさんは子どもの頃からおしゃべりが大好きでした。話題がコロコロと変わるものの、Dさんの明るい話しぶりは友達にも人気でクラスの盛り上げ役でした。
    しかし、就職して上司に仕事の内容を報告しようとすると、上手く内容をまとめることができず、話しているうちに何を伝えたかったのか自分でも分からなくなってしまいます。(=多動性)

    また、デスク周りを整理するのも苦手で、重要な書類を失くしてしまったり、タスク管理が苦手であったりと、働く上では大きな困難を抱えてしまっています。(=不注意)

    ADHDの多動性・衝動性については、大人になるにつれて落ち着く場合が多くなっています。一方、不注意については大人になってから特性に気付く場合も多く、いわゆる「大人の発達障害」で最も多いのは不注意優勢型のADHDとなっています。

    学生時代は先生や周りの大人の指示に従っていれば良く、「自分で周りを観察し、やるべきことを理解し、段取りよく処理する」ということはそれほど求められません。集中しづらいという特性も、親や先生が声掛けしたり、勉強時間を管理したりすることで、大きな困難を感じることの無いまま社会に出るケースも多くなっています。

    一方、大人になって社会に出ると、自分で考え行動することが求められます。いろいろなことが気になってしまうADHDの方は、頭の中で情報を整理するのが苦手なため、「何をすべきか」を見出す時点でつまずいてしまいます。

    また、複数のタスクを同時に処理するのも苦手なため、頼まれた仕事をすっかり忘れてしまうなどのミスも生じます。

    さらに、「遅刻してしまう」「ケアレスミスが多い」などが重なると、仕事で叱責されることも多くなってストレスを抱え、結果としてうつなどの二次障害が生じてしまう場合もあります。

    うつだと思って精神科を受診したら、発達障害であることが判明したというケースは非常に多くなっています。

    できるだけ早い段階で自分の特性を知って対処していくことで二次障害は防ぐことができますので、気になることがある場合は、早めに医療機関や地域の発達支援センターなどに相談しましょう。

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    LD(学習障害)の特性

    LD(学習障害)の特性

    LDは、知的な遅れや視覚・聴覚に問題が無いものの、読む・書く・計算するといった特定の学習スキルに困難が現れる発達障害のことです。

    思考力や記憶力には問題が無いため、小学1~2年生頃の簡単な内容であれば教科書の内容や計算式を丸暗記することで乗り切ってしまうお子さまも多くいらっしゃいます。

    勉強の内容が高度になると、丸暗記で乗り切ることが難しくなってきます。例えば、国語の音読の場合、小学1年生で扱うような短い内容であれば、本文を丸暗記してスラスラ読んでいるふりをすることができます。

    学年が上がって本文が長くなると、丸暗記するのは難しくなります。そのため、小学3年生頃になって初めて読みの困難(=読字障害(ディスレクシア))があると分かるケースも少なくありません。

    また、計算に関しても、一桁で繰り上がりの無い計算であればパターンが限られていますので、数字の組み合わせを暗記したり、計算カードの順番を覚えたりしてテストを乗り切ることができます。

    文章題の場合も「出てきた数字をとにかく足す(引く)」というパターンで対処することができますが、これらの方法が通用するのは低学年のうちだけで、学年が上がって複雑な計算が求められるようになるとつまずきが見られるようになります。

    LDの場合、単に勉強が難しいからついていけないのではありません。あくまで特定のスキルに困難があるだけですので、例えば問題文を口頭で読み上げ、口頭で答えさせれば問題無く回答することができます。

    「勉強をサボっているだけではないか」と誤解されることも多いLDですが、闇雲に音読や漢字の書き取りなどの反復練習をさせたりしても、状態を改善することはできません。むしろ、強制されることで勉強への忌避感が強まり、余計に勉強が苦手になってしまうでしょう。

    このような指導は絶対に避けるべきものですので、もしLDのお子さまに苦痛を伴うような反復練習を強いる先生がいたときは、すぐに別の先生や教育委員会に報告するようにしましょう。

    いくら努力してもみんなと同じように出来ないことで、LDのお子さまは非常に大きな劣等感を抱えている場合があります。本人の自尊心を尊重し、丁寧にアプローチすることが何よりも大切です。

    また、読み・書き・計算の困難の改善のためには、言語聴覚士や作業療法士など、専門家のサポートも欠かせません。学校だけでフォローするのが難しいと感じる場合は、早めに地域の発達支援センターなどに相談し、療育も含めたサポートを検討していきましょう。

    LDの有病率は、小・中学生で5~15%、大人で4%とされています。これは、大人になって特性が解消されたのではなく、大人になることで環境の調整がしやすくなるためと考えられます。

    例えば、書きの困難を持つ人の場合、大人になって手書きで文字を書く機会は多くありませんので、困りごとを感じる場面は子どもの頃と比べて格段に少なくなるでしょう。
    読みの困難の場合も、文章を読む機会が少ない職業に就けば困りごとを最小限に留めることができますし、計算の困難の場合も、電卓や表計算ソフトを使ったり、数字を扱う機会が少ない職業に就いたりすることで、困りごとを少なくすることができます。

    ただ、大人になってからも、メモを取るのに時間が掛かってしまったり、簡単な計算式が立てられなかったりして困難を感じている方も一定数いらっしゃいます。
    成人すると脳の成長はほとんど止まってしまいますので、大人になってから読み・書き・計算のトレーニングをすることはあまり現実的ではありません。

    大人の方でLDに伴う困りごとがある場合は、PCの読み上げ機能や電卓などの補助ツールを使用するほか、苦手な作業が少ない部署に配置してもらうなど、環境の調整を中心に対処していくことになります。

    ASDやADHDと比べて、LDの認知度は低いと言えます。周囲の理解が得づらいという二次的な困りごとも生じやすいため、本人や保護者が特性を知り、周りに説明していくことも必要です。
    また、周りの人は、本人の努力不足ではないことを十分理解した上で、適切な配慮を行うことが求められます。

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    発達障害の特性のチェックリスト・相談先・検査方法

    発達障害の特性のチェックリスト・相談先・検査方法

    発達障害の特徴に多く当てはまると感じる場合は、早めに医師や専門機関に相談することが大切です。

    困りごとをそのままにしているとストレスが蓄積し、うつや不安障害、不登校やひきこもりなどの二次障害を抱えてしまうかもしれません。

    以下に示したチェックリストなどを活用いただき、発達障害かもしれないと感じた場合は「2-1.発達障害に関する相談先」でご紹介している窓口などに相談するようにしましょう。

    <チェックリスト>

    ○ コミュニケーション
    – 自分のことを一方的に話す
    – 人の話を聞かない(興味が湧かない)
    – 興味のあることに関しては饒舌だが、それ以外については口下手

    ○ 社会性
    – 集団より一人で過ごすことを好む
    – 人見知りが激しい
    – 協調性が無く、身勝手に行動する

    ○ 想像力
    – 悪気無く相手を傷つける発言をする
    – 急に予定が変更されるとパニックになる
    – 言葉を額面通りに受け取る
    – 人の気持ちや抽象的な概念が理解できない

    ○ 集中力
    – 気が移ろいやすく、一つのことに長く集中できない
    – じっとしていられない、落ち着きが無い
    – 忘れ物や失くし物が多い
    – 整理整頓が苦手
    – 朝の支度などのルーティンがスムーズにこなせない

    ○ 感覚
    – 大きな音やにぎやかな場所が苦手
    – 感触が苦手で着られない服がある
    – 好き嫌いが激しく、偏食である

    ○ 情緒
    – 些細なことでも激高する
    – 癇癪を頻繁に起こす
    – 一度興奮すると、収まりにくい
    – 物事を極端に怖がる

    ○ 運動機能
    – 姿勢を維持するのが難しい
    – 筆圧が強すぎたり、弱すぎたりする
    – 食べこぼしが多い
    – 声量のコントロールが苦手で、場にそぐわない大声を出す

    ○ 学習
    – 会話は流暢だが、文章を読むとたどたどしい
    – 記述問題を解きたがらず、白紙で回答することがある
    – 文字のバランスが極端に崩れる
    – 文字を書くのに時間が掛かる
    – 割合の計算や統計資料の読み取り方がわからない

    発達障害に関する相談先

    発達障害に関する相談先

    発達障害のことを相談できる場所には、以下のようなものがあります。中でも、発達障害者支援センターは全国の都道府県と指定都市に設置されており、発達障害に関して包括的なサポートを行っています。

    どこに相談して良いか分からない場合は、まず「発達障害者支援センター」に問い合わせましょう。また、お子さまの場合は子育てに関する相談窓口に連絡するのも良いでしょう。

    発達障害者支援センター

    発達障害がある方への総合的な支援を目的とした専門機関であり、全国の都道府県と指定都市に設置されています。

    保健・医療・福祉・教育・就労といった様々な分野の関係機関と連携しているため、どんな相談内容であっても対応してもらうことができます。
    相談先に迷う場合は、まずは地域の発達障害者支援センターに問い合わせると良いでしょう。
    発達障害者支援センター・一覧 | 国立障害者リハビリテーションセンター (rehab.go.jp)

    精神保健福祉センター

    精神保健福祉センターは、精神疾患や心の問題をサポートするための施設で、本人や保護者、関係者からの相談を受け付けています。

    発達障害に伴う二次障害としてうつや不安障害などの精神症状を抱えている場合は、精神保健福祉センターに相談するのも良いでしょう。
    全国精神保健福祉センター一覧│全国精神保健福祉センター長会 (zmhwc.jp)

    児童発達支援センター

    児童発達支援センターは、発達障害などがある子どもたちのための施設で、コミュニケーションスキルや集団生活への適応、日常の基本動作などの社会的スキルを身に付けるためのトレーニング(療育)を行っています。

    また、療育のほかに相談業務を行っている施設もありますので、お子さまの発達に関して不安がある場合は、児童発達支援センターに連絡してみるのも良いでしょう。ただし、相談業務を行っていない施設もあるため注意が必要です。

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    発達障害の診断方法

    発達障害の診断方法

    発達障害の診断は医師によって行われます。発達障害かどうかの診断を受けたい場合は、医療機関を受診するか、上述の相談機関に問い合わせて医療機関を紹介してもらうと良いでしょう。

    医療機関では、ウィスクラー式(WISC-IVやWAIS-IV)などの知能検査を受けたり、幼少期からの成育歴を聞き取ったり、あるいは診察室での様子を観察したりして、発達障害かどうかを医師が総合的に判断します。

    発達障害は初診だけでは診断ができず、数か月単位の通院が必要となる場合もあります。また、発達障害専門の医院は数か月先まで予約が埋まっていることもあるため、診断書が必要な場合などは早めに受診するようにしましょう。

    発達障害の診断の際に用いられる知能検査としては、ウィスクラー式知能検査が最も一般的です。16歳未満の場合はWISC-IV、16歳以上の場合はWAIS-IVと呼ばれる検査を受けることになり、2つの違いは子ども用か大人用かということになります。

    これらの検査では、言語理解・知覚推理・ワーキングメモリー・処理速度の4つの指標と、それらを総合した全検査IQ(FSIQ)を測定することができます。また、各指標と全検査IQは、平均が100となるよう調整された偏差値で表されます。

    <ウィスクラー式知能検査の4つの指標>

    ○ 言語理解
    言葉によって情報を理解することや、言葉で理解した情報を基に考えること、考えたことを言葉で表現する力を指します。ここでの「言葉」とは、話し言葉と書き言葉の両方を指します。

    ○ 知覚推理
    「言語理解」は言葉で情報を理解し考える力を指しますが、知覚推理は“言葉以外”で情報を理解し、考える力を指します。
    “言葉以外”とは、具体的には図形やイラスト、風景などのことで、例えばある絵を見たときに、何が描かれているかを言葉に置き換えず、絵をそのまま記憶し処理する能力などを指します。

    ○ ワーキングメモリー
    脳に取り入れた情報を保持しながら処理する能力のことを指します。読み・書き・計算など日常のあらゆる場面で必要となる力です。

    ○ 処理速度
    情報を把握し、その情報に基づき行動するスピードのことを指します。特に、目でとらえた情報に基づいて手先の作業をする場合が多いため、「目と手の協応」「目と手の連動」などとも呼ばれることがあります。

    4つの指標間の差(ディスクレパンシー)が大きいと、発達障害である可能性が高くなると言われています。
    ただし、全検査IQが高いほどディスクレパンシーは大きくなりやすいため、ディスクレパンシーが大きいからと言って必ずしも発達障害であるというわけではありません。

    また、ワーキングメモリーと処理速度は、勉強だけでなく日常生活においてもかなり重要な脳の働きであるため、ワーキングメモリーや処理速度が低い方は、日常生活で何らかの困りごとを抱えやすいと考えられます。

    私がこれまで受けて持ってきたお子さまの中にも、ワーキングメモリーや処理速度が低いために、集中力が保ちづらかったり、テストの点が伸びづらかったりしている方が多くいらっしゃいました。
    逆に、言語理解や知覚推理に関しては平均より数値が高く、全検査IQは100を大きく上回っているという方もたくさんいらっしゃいます。

    発達障害でありながら高IQであるという人も存在し、高IQかつ発達障害の人は「2E型ギフテッド」と呼ばれます。2Eとは「二重に例外(twice-exceptional)」の意味で、概ねIQ130以上かつ発達障害の特性が見られる人のことを指します。

    ウィスクラー式知能検査だけで発達障害であるかを診断することはできませんが、その人がどんな特性を持っているのかを分析するためには非常に役立つ検査となっています。

    自身やお子さまの発達について気になることがある場合は、まずはウィスクラー式知能検査だけでも受けてみると良いかもしれません。

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    発達障害の特性のまとめ

    発達障害の特性のまとめ

    この記事では、発達障害の特性や相談先、検査方法などについて詳しく解説してきました。

    改めてポイントをまとめると、以下のとおりです。

    <POINT>

    • 発達障害は生まれつきの脳の性質によるものであり、本人の努力や教育、薬物療法などを行っても、特性そのものを無くすことはできない。
    • 発達障害はASD・ADHD・LDに分類され、チックや吃音症も発達障害に分類されることがある。
    • ASDとADHDは知的障害と併発する場合がある。また、ADHD・ASD・LDはそれぞれ併発する場合がある。
    • ASDの特性は「コミュニケーションの不全」と「限定的な興味・こだわり」であり、その根本には「想像することの苦手さ」がある。
    • ADHDの特性は「不注意」と「多動性・衝動性」であり、その根本には「脳の働きにブレーキが利きづらいこと」がある。
    • LDは知的な遅れが無いものの、読み・書き・計算といった特定の学習スキルに困難が生じる発達障害のこと。
    • 発達障害に関する悩みがある場合は、まずは地域の発達支援センターに相談すると良い。
    • 発達障害の診断の際には、ウィスクラー式知能検査(WISC-IV、WAIS-IV)が広く用いられるが、知能検査だけで発達障害かどうかを診断することはできない。
    • 4つの指標のうち、処理速度やワーキングメモリーが低い場合は、日常生活での困難が生じやすくなる。

    発達障害は生まれつきの特性であり、本人の努力不足や親の育て方のせいで生じるものではありません。
    一方で、目に見えない障害であるが故に、周りから理解されづらく、生きづらさを抱えている方もたくさんいらっしゃいます。

    発達障害かもしれないと思ったときは、早めに専門機関に相談し、特性に応じた支援を受けることが大切です。
    困りごとをそのままにしていると二次障害が生じてしまうかもしれませんので、自分だけ・家庭だけで抱え込まず、様々な機関に積極的に相談するようにしましょう。

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    最後までお読みいただきありがとうございました。

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