ギフテッドの子は癇癪を起こしやすい?原因と対処法を徹底解説|過度激動・2E・非同期発達

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  • #2E

    ギフテッドのお子さまの中には、頻繁に癇癪を起こしてしまう方がいらっしゃいます。

    ギフテッドとは高知能児のことであり、精神面でも落ち着いている子が多いのではと考えてしまいますが、癇癪をはじめとする様々な困りごとを併せ持つ場合も少なくありません。

    そこでこの記事では、ギフテッドのお子さまの癇癪の原因や対処方法について詳しく解説していきます。

    ギフテッド専門のプロ家庭教師である筆者が、これまでの指導経験から得た知見をお伝えしていきますので、ぜひご参考にしていただけますと幸いです。

    <この記事で分かること>

    • ギフテッドの子どもの癇癪はなぜ起こるか
    • ギフテッドの子どもの癇癪を改善する方法
    • ギフテッドの子どもへの接し方
    発達障害専門のプロ家庭教師
    妻鹿潤
    ・16年以上1500名以上の指導実績あり
    ・個別指導塾の経営・運営でお子様の性質・学力を深く観る指導スタイル
    ・yahooやSmartNews、Newspicksなどメディア向け記事も多数執筆・掲載中

    ギフテッドとは|IQによる定義と8つの知性

    この章では、ギフテッドの定義について解説していきます。

    ギフテッドの定義について既にご存じの方は、「2.ギフテッドの癇癪の4つの原因」までお進みください。

    ギフテッドとは|IQによる定義

    ギフテッドとは|IQによる定義

    ギフテッドには様々な定義がありますが、一般的にはウェスクラー式知能検査における全検査IQ(FSIQ)が130以上である人のことを指します。

    全検査IQの平均は100となるように設定されており、IQ130以上には全体の約2%が該当します。

    <IQの分布>

    • IQ130以上(2.7%)…非常に優れている(いわゆるギフテッド)
    • IQ120~129(6.4%)…優れている
    • IQ110~119(15%)…平均を上回る
    • IQ90~109(47%)…平均
    • IQ81~89(14%)…平均を下回る
    • IQ70~80(5.8%)…境界知能(知的障害とのグレーゾーン)
    • IQ70未満(2.2%)…知的障害に該当

    「ギフテッド」と聞くと稀代の天才――いわゆるエジソンやアインシュタインのような人物を想像するかもしれませんが、このIQの定義によれば、50人に1人程度はギフテッドに該当することになります。

    つまり、学校のクラスでいちばんIQが高い子はギフテッド相応であるようなイメージです。

    このように考えると、ギフテッドは少数派(マイノリティ)ではあるものの、決して珍しくはなく身近な存在であることが分かります。

    なお、ギフテッドとは生まれつき知的能力(認知能力)が高い性質のことを指します。

    そのため、例えば後天的な努力によって学校のテストで高い点が取れるようになった場合などは、ギフテッドには該当しません。また、英才教育によって後天的に“ギフテッドになる”ことも定義上は不可能であると言えます。

    ギフテッドとは|8つの知性

    ギフテッドとは|8つの知性

    これまで述べてきた知能指数による定義のほかにも、芸術や音楽、運動などにおいて突出した能力を持っている人をギフテッドと呼ぶこともあります(知的能力が高い人をギフテッド、その他の才能を持つ人をタレンテッドと呼び区別することもあります)。

    知的能力以外の才能を見出す際には、ハーバード大学の教授であるハワード・ガードナー氏が提唱した「多重知性理論」を参照すると良いでしょう。

    多重知性理論では、芸術や音楽、運動といった才能のほか、他者へ共感する力や自然や博物に親しむ力などが8つの知性として定められています。

    知的能力や運動能力以外にも、人間には様々な能力が備わっています。

    お子さまの強みを見つける際には、以下の8つの知性の観点を参考にするのも良いでしょう。

    <8つの知性>

    • 音楽・リズム知性
    • 対人的知性
    • 論理・数学的知性
    • 博物学的知性
    • 視覚・空間的知性
    • 内省的知性
    • 言語・語学知性
    • 身体・運動感覚知性

    音楽・リズム知性

    メロディーやリズム、ピッチの識別、再現が得意で、音程の聞き分けもできます。

    作詞や作曲の能力が高く、音楽を聞いただけですぐにピアノで再現できたり、言葉の音やリズムを活用して韻を踏んだ歌詞を書くことができたりします。

    よくみられる特徴

    • ずっと音楽を聴いている
    • 曲の共通点を見つけ出すことが出来る
    • 歌うのが好き
    • 楽器の上達が非常に早い など

    対人的知性

    他人の気持ちや感情を敏感に感じ取り、周囲の人が求めていることを察知する能力です。

    コミュニケーション能力が高く、リーダーシップを取ることに長け、発言や行動で周囲の士気を高めたりすることができます。

    よくみられる特徴

    • いろいろな人と話すことが好き
    • 様々なグループに所属したがる
    • 友達が多い
    • 中心人物になることが多い など

    論理・数学的知性

    論理的なパターンや関係性に気づき、抽象的な概念でも難なく対応することができます。

    教科として数学や理系科目が得意なだけではなく、数字を扱った説明や論証が得意で、物事の規則性や法則性を導き出して体系化することができます。

    よくみられる特徴

    • パターンや規則性の研究が好き
    • 実験が好き
    • 課題の設定が得意
    • 質問が論理的
    • 話の矛盾に気づく など

    博物学的知性

    身の回りの事象に対して高い興味関心を示し、疑問を持ち、その違いをまとめたり共通点を見つけたりすることが得意です。

    自分で基準や視点を決めて得た情報や知識を分類・整理することができます。

    よくみられる特徴

    • 動物や生物が好き
    • 地図を見るのが好き
    • 勉強した内容を他の分野でも応用できる など

    視覚・空間的知性

    空間認識が得意で、絵や設計図を書くことが得意です。

    例えば、迷路を一目見ただけでゴールが分かるなど、絵や図を見たときに一瞬で細部まで感覚的に理解できてしまうため、理由を問われても説明できないことがあります。

    よくみられる特徴

    • 図や絵を描くことが好き
    • 映像を見るのが好き
    • プラモデルなどの組み立てが得意
    • 頭の中で考えた風景やキャラクターをイラストにすることが得意 など

    内省的知性

    自分自身のことを正確に把握し、それに基づいた行動を取るのが得意です。

    自分の得意なことは他の人の分も進んで手伝ったり、苦手なことは早めに相談したりということができます。自分の関心に沿って研究を続けたりすることで大きな成果を得ることがあります。

    よくみられる特徴

    • マイペースに行動する
    • 自分の関心に沿って積極的に行動する事ができる
    • 関心のあることには徹底的に詳しくなる など

    言語・語学知性

    話をしたり文字や文章を書くなど、言葉を巧みに使いこなすことが得意です。

    文章を組み立てることも得意です。また、論理的な話し方や人を引きつける話し方ができるので、ディベートや演説が得意で説得力があります。

    よくみられる特徴

    • 本を読むのが好き
    • 話がうまい、おもしろい
    • 文字や文章を書くのが好き・得意
    • 人前での発表や演説が得意 など

    身体・運動感覚知性

    考えや感情をダンスや演技など自分自身の身体で表現したり、物を作り変えたりすることが得意です。

    また、手先が器用で芸術的な作品を作ることができたりします。
    さらに、運動神経が良く、いろいろなスポーツをそつなくこなせる傾向にあります。

    よくみられる特徴

    • 動き回るのが好き
    • 役になりきるのが得意
    • 実際に触れて感じたり考えたりすることが好き
    • 学んだことを実際にやってみることが得意 など

    ギフテッドの才能の見つけ方・伸ばし方

    ギフテッドの才能の見つけ方・伸ばし方

    知的な能力による定義(IQ130以上)におけるギフテッドの出現率は約2%ですが、上記で述べたような知的能力以外の音楽・芸術・運動・対人能力といった様々な才能も含めると、ギフテッドの出現率はもっと高いと言えるでしょう。

    8つの知性は一つだけ突出して現れる場合もあれば、複合的に現れる場合もあります。

    中には隠れた才能を持っているお子さまもいらっしゃるため、幼いころから様々な物事に触れ、その子が持っている能力を刺激し開花させることが大切です。

    お子さまが興味を持ちそうなイベントなどはもちろんのこと、一見興味が無さそうなことでも幅広くいろいろなことに触れる機会を設け、どんなことに興味関心を示すのかを探してあげると良いでしょう。

    例えば、

    • 科学館や美術館に連れていく
    • 演劇や映画を観に行く
    • いろいろなスポーツに挑戦させる
    • 様々なジャンルの本を手に取れる範囲に用意して読めるようにしておく

    このような機会を提供してあげることが重要です。

    また、受験期やそれより少し前の学齢のお子さまであれば、学校のオープンキャンパスに足を運ぶのもおすすめです。

    オープンキャンパスでは、その学校の特色ある取組を知ることができます。加えて、知的能力に優れたお子さまであれば、「中学(高校、大学)に進学すれば、こんな高度な勉強ができるんだ!」とモチベーションを高めることもできます。

    ギフテッドのお子さまの中には、学校の勉強が簡単過ぎてつまらないと感じる方がいます。また、クラスメイトとの知的レベルに差があるため、周りの子どもたちと話が合わなくて困っているという子もいます。

    オープンキャンパスに足を運ぶことで、ギフテッドのお子さまは進学先の学校では高度な勉強ができ、さらに知的レベルの近い子たちと交流できるという具体的なイメージを持つことができます。

    そのため、受験期のギフテッドのお子さまにとってオープンキャンパスは非常におすすめと言えます。

    さらに高い知能を持っていて、特定の分野について突出した知識がある(例:小学生で既に相対性理論を理解している)などの場合は、大学などが実施する社会人向けのセミナーなどに参加するのも良いでしょう。

    知的好奇心を満たすことができるほか、様々な年齢の人と交流したり、大学の関係者の人たちと接点を作ったりすることで、お子さまの人生の活路が見いだせることもあります。(参考:「複素解析を習いたい」算数塾に現れた小4 世紀の超難問に挑む:朝日新聞デジタル (asahi.com)

    お子さまにいろいろな経験をさせたり、様々な場所に連れて行ったり、本を買い与えたりするのは大変ではありますが、思わぬところに子どもたちの「好き」や「得意」があることもあります。

    また、たとえ才能の開花にはつながらなくても、様々な体験をした子どもは勉強に前向きに取り組めたり、困難な課題にも立ち向かえたりするようになるとも言われています。

    ですので、お子さまには勉強だけでなく、ぜひ様々な体験や経験をしていただければと思います。

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    ギフテッドの子どもが癇癪を起こす4つの原因

    ギフテッドのお子さまは高い知的能力を持っている反面、感情のコントロールが難しく、癇癪を起こしやすいなどの性質を持っている場合があります。

    ギフテッドのお子さまが癇癪を起こす原因はさまざまありますが、主な要因として以下の4つが挙げられます。

    <ギフテッドの子どもの癇癪の原因>

    ①過度激動(Overexcitabilities; OE)
    ②非同期発達
    ③環境ストレス
    ④2E型ギフテッド

    それぞれについて、以下で詳しく解説していきます。

    ギフテッドの子どもが癇癪を起こす4つの原因①過度激動 (Overexcitabilities; OE)

    ギフテッドの子どもが癇癪を起こす4つの原因①過度激動 (Overexcitabilities; OE)

    ギフテッドの子どもはしばしば「過度激動(Overexcitabilities; OE)」と呼ばれる感受性の高さを持っています。

    これは感覚・知覚・感情・想像力・運動能力などの領域で、過度に刺激を受けやすい性質を指します。過度激動の性質は、以下の5つに分類できます。

    <過度激動の5分類>

    • 精神運動性OE
    • 知性OE
    • 知覚性OE
    • 想像性OE
    • 感情性OE

    ◾️精神運動性OE

    精神運動性OEは、身体的多動と、頭の回転が速い、頭が働きすぎて眠れないなどの精神的多動の2つを示します。頭の回転が速い=理解力が高いため、早口で、会話のテンポも速くなります。
    話が飛躍したり、周りとの会話が噛み合わなかったり、考えごとをしながら歩き回ったりし、落ち着きがないという印象を与えることもあります。
    落ち着きが無い印象から、発達障害(特にADHD)の検査を勧められるケースもあります。

    ◾️知性OE

    一般的にギフテッドの特徴として知られる性質です。好奇心が旺盛で、多くの知識を求めます。探求心が強く、新しい意味や概念を見出したり、物事を色々な側面から見たりすることを好みます。
    問題解決が好きで、疑問に思ったことに対し論理的な答えを求め、納得いくまで調べたり、質問したりします。

    ご家庭では保護者さまを質問攻めにし、学校では授業中でも次々と先生に質問し、授業を中断させてしまったり、難しい質問への答えを求めたりして、先生に扱いづらい生徒と思われてしまうことがあります。

    ◾️知覚性OE

    五感(視覚・聴覚・触覚・味覚・嗅覚)がとても敏感で、光や音、感触など感覚器官が受ける刺激に過剰に反応してしまいます。

    日常的な光をまぶしく感じる、外出しても人や車、音楽などの色々な音が耳に入り疲れてしまう、服のタグや縫い目がチクチクして苦手、食物の食感や匂いに敏感で食べられないものが多いなどの例が挙げられます。
    過度激動の中でも、ASD(自閉スペクトラム症、アスペルガー症候群)の感覚過敏と間違われやすい性質となっています。

    ◾️想像性OE

    想像力が豊かで、詩的表現を好みます。枠にとらわれず自由な発想ができ、独創的なアイデアを生み出します。
    白昼夢を楽しみ、空想の世界に入り込んで、授業に集中できず注意散漫と捉えられてしまうこともあります。
    ワクワクすることを想像すると落ち着きがなくなったり、見た夢にいつまでもこだわったりする子どももいます。

    落ち着きの無さや注意散漫さについては、ADHDの不注意特性と間違われやすい性質となっています。

    ◾️感情性OE

    喜怒哀楽が激しく、全ての感情の幅が広い傾向があります。周りが驚くほど激しく喜んだり、怒ったりすることもあります。共感力が高く、感情移入も深いため、悲しい曲や物語で強い悲しみや辛さを感じてしまいます。

    また、自省意識や正義感が強く、成長するにつれてストイックで自分に厳しくなる人や、不正や差別など不公平な事柄に強い憤りを感じる人も少なくありません。
    学校では、他の子が先生に叱られているときに、自分が叱られているように感じて泣いてしまう場合などがあります。

    過度激動が原因となる癇癪については、例えば「精神運動性OE」の性質があるお子さまが、教室で落ち着きが無く立ち歩いてしまった際に、先生からその都度怒られたり、立ち歩きたいのを我慢して座っていたりしてストレスが溜まり、それが爆発して癇癪を起こしてしまうなどがあります。

    ほかにも、「感情性OE」の性質があるお子さまが、悲しい出来事や辛い出来事に遭遇し、感情のやり場が分からず癇癪を起こしてしまう場合などがあります。

    いずれの場合も、過度激動の性質によるストレスが癇癪の原因となっています。

    こうした癇癪への対処法としては、なぜ癇癪が起こるのか、どんなときに癇癪が起きやすいのか、あるいは癇癪以外でストレスを発散する方法をお子さま自身が考えられるようサポートしてあげるのがポイントになります。

    お子さまが落ち着いている状態のときに、「どういうときにしんどい気持ちになるかな?」「ワーってなる前に気持ちを発散させる方法はあるかな?」などと声をかけ、一緒に考えてあげると良いでしょう。

    具体的な対策としては、しんどい気持ち(ストレスを感じる状況)になり始めたらその場を離れたり、気持ちをノートやメモに書いたりするなどがあります。

    ギフテッドのお子さまは知的には高い能力を持っていますので、大人がサポートしながらも自分で対処法を考え、納得の上で取り組むことが非常に効果的です。

    また、ギフテッドの過度激動は年齢とともに落ち着くことも多く、大人がサポートしなくても自然とお子さま自身で対処法を身に付けられる場合もあります。

    ただし、癇癪によって自分や他者を傷つけてしまったり、癇癪を起こしてしまう自分が嫌になって自己肯定感が下がってしまっていたりする場合には早急な対応が必要です。

    ですので、癇癪の度合いを見ながら対応を検討していただければと思います。

    ギフテッドの子どもが癇癪を起こす4つの原因②非同期発達

    ギフテッドの子どもが癇癪を起こす4つの原因②非同期発達

    ギフテッドのお子さまは、知的には高い能力を持っている一方で、社会性は年齢相応であるというような「発達のスピードの凸凹さ」が見られる場合があります。

    ギフテッドのお子さまの発達のスピードの凸凹さは「非同期発達」と呼ばれ、癇癪の原因となる場合があります。

    例えば、クラスで班行動をする際に、ギフテッドのお子さまは「○○というルールを作れば上手くいく」と提案して班のメンバーに守らせようとします。

    ルール自体は非常に合理的で、ギフテッドのお子さまの知的能力が存分に発揮されたものとなっています。

    ですが、周りの子どもたちにルールの意義を分かりやすく伝えたり、ルールを守らない子に対して冷静に対処したりするといった社会性については年齢相応の発達段階にあるため、「とにかくルールを守って!」「何で守ってくれないの!」と喧嘩になってしまうなどのケースがあります。

    こうした周りとの軋轢そのものが癇癪となって現れる場合もありますし、「想定通りにできなかった自分」に憤りを感じて、自己嫌悪の感情から癇癪を起こしてしまうお子さまもいらっしゃいます。

    いずれの場合も、発達が人並みの部分(=社会性)についてはいずれ追いついてきますので、それほど焦って対処する必要はありません。

    前述の例で言えば、「ルールの中身は素晴らしいけれど、伝え方も大事だね」と上手くいかなかった理由を一緒に振り返るなどし、PDCAを繰り返していけば良いでしょう。

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    ギフテッドの子どもが癇癪を起こす4つの原因③環境によるストレス

    ギフテッドの子どもが癇癪を起こす4つの原因③環境によるストレス

    ギフテッドのお子さまの癇癪の原因として、環境が適切でないためにストレスを感じ、爆発してしまうということがあります。

    特に知的好奇心が強く合理的な思考を好むお子さまの場合、学校で強いストレスを感じる場合が多いです。

    学校は集団生活の場であるため、どうしても「集団をまとめるための非合理的なルール」が設けられることが多いです。

    例えば「シャープペンシル禁止」というルールは、「分解して遊ぶ子がいるから」「筆圧のコントロールができない子がいるから」という理由に基づくものであり、一見すると合理性があるように思えます。

    ですが、分解して遊ばない子や筆圧のコントロールを既に身に付けている子にとっては、禁止される理由には当てはまらず、理不尽なルールとなってしまいます。

    ほかにも、「習っていない漢字(計算方法、公式etc…)は使ってはいけない」「授業中は手を挙げてから発言する(とはいえ、先生が意図しないタイミングで手を挙げても指名してもらえず発言できない)」など、ギフテッドのお子さまにとっては理不尽だと感じるものが学校にはたくさんあります。

    こうしたストレスが積み重なって、先生に対して反抗的な態度を取ったり、我慢できずに爆発して癇癪を起こしたりしてしまうなどのケースがあります。

    ほかにも、周りの子どもたちと興味関心の対象や知的レベルが合わず、無理に話を合わせることでストレスを溜めてしまうなどのケースもあります。

    学校でその場で癇癪を起こしてしまうお子さまもいますが、学校では頑張って我慢して、お家に帰った途端に堪えていたものが爆発して癇癪を起こしてしまうというお子さまもいらっしゃいます。

    このような環境によるストレスが原因となっている癇癪は、長期的には不登校などにつながってしまう可能性があります。

    対処法としては、お子さまにルールの意義を落ち着いて考えさせ、「理不尽である一方で意味もある」という折り合いをつける思考法を身に付けさせてあげることがポイントになります。

    例えば、シャープペンシル禁止のルールに関しては、

    • 本来的には、『分解して遊ばず、さらに筆圧のコントロールも身に付いている子に限ってはシャープペンシルを解禁する』というのが良い
    • しかしながら、『分解して遊ばず、さらに筆圧のコントロールも身に付いている子』を選別するのが現実的に難しい
    • さらに、一部の子に解禁した場合、他の子から「ずるい」と言われるかもしれない

    など、現実と照らし合わせながら考えさせ、「理不尽である一方で意味もある」という気付きをお子さまに得てもらいます。

    また、学校で我慢してストレスをため込んでしまうタイプのお子さまの場合は、

    • 嫌なことがあったら紙に書いたり、保護者さまや信頼できる先生にお話ししたりして、気持ちを溜め込まないようにする
    • クラスメイトと話すのがしんどいときは、図書室に行って本を読むなど、別の過ごし方を考える
    • 本当にしんどいときは、無理して学校に行かず適宜休む

    などの対応が必要となります。

    お子さまの場合はストレスを自覚する力が未発達で、自分でも知らず知らずのうちに溜め込んで突然爆発したり、エネルギー切れを起こしたりすることがあります。

    ギフテッドのお子さまであっても自己マネジメント能力は年齢相応であることが多いため、周りの大人が様子を丁寧に見極め、適切にフォローすることが大切です。

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    ギフテッドの子どもが癇癪を起こす4つの原因④2E型ギフテッド

    ギフテッドの子どもが癇癪を起こす4つの原因④2E型ギフテッド

    ギフテッドのお子さまの中には、ギフテッドと発達障害の両方の特性を併せ持つ方がいらっしゃいます。

    ギフテッドと発達障害、両方の特性を併せ持つ方は「2E型ギフテッド」と呼ばれます。

    <2E型ギフテッド>
    「2E」とは「twice- exceptional(二重に例外)」のこと。

    発達障害以外の疾患や障害を併せ持つ場合も含めて2Eとすることもあります。また、2E型ギフテッドに対し、ハンデキャップを併せ持たないギフテッドを「英才型ギフテッド」と呼ぶことがあります。

    ギフテッドのお子さまの癇癪が、お子さまが併せ持っている発達障害の性質によって引き起こされている場合もあります。

    例えば、ギフテッドのお子さまがASD(自閉スペクトラム症、アスペルガー症候群)の性質を併せ持つ場合、こだわりの強さが原因となり、いつも通りではない状況に対して癇癪やパニックを起こしてしまうなどのケースが考えられます。

    一方で、発達障害の特性とギフテッドの過度激動(→2-1.①過度激動)は非常に区別しづらく、児童精神科の専門医であっても診断が付けられない場合があります。

    ただし、原因となる性質が発達障害であっても過度激動であっても、「癇癪」はあくまでストレスによって引き起こされる結果に過ぎません。

    ですので、原因となるストレスへの対処法を一つずつ身に付けていくことが大切です。

    ギフテッドのお子さまの場合は、自分で対処法を考えることで、納得感を持ちながら自立的に対処できることが多いです。

    また、発達障害のお子さまの場合も、対処法を自分で考え、納得の上でその対処法に取り組むという方法は効果的ですが、「自分で考える」というプロセスで躓くことがあります。

    2E型ギフテッドのお子さまの場合は、知的能力自体は高いため、対処法を自分で考えるというプロセスにおいて躓くケースは少ないですが、ストレスが大きく「自分で対処法を考えるどころではない」というような状況の場合は、大人の側から対処法を提案したり、ストレスを感じそうな物事を遠ざけたりしてあげる必要があります。

    一方で、長期的には自分でストレス(癇癪の原因)に対処する力を身に付ける必要があるため、緊急的に対応が必要なトラブルやストレスが取り除けた後は、少しずつ自分でストレスに対処できるように取り組んでいくと良いでしょう。

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    ギフテッドの子どもの癇癪のまとめ

    ギフテッドの子どもの癇癪のまとめ

    ギフテッドの子どもが癇癪を起こす原因は多岐にわたります。

    この記事では、過度激動・非同期発達・環境によるストレス・2E型ギフテッドと、原因を4つに分けて解説してきましたが、それぞれが複合的に関係している場合も少なくありません。

    また、「ギフテッドだから癇癪を起こしやすい」のではなく、「ギフテッドだからストレスを感じやすく、そのために癇癪も起きやすい」という点にも注意が必要です。

    ギフテッドのお子さまの癇癪を解決したい場合には、お子さまがどんなことに特にストレスを感じていて、そのストレスにはどんな対処法が効果的なのかを考えることが大切です。

    私は、ギフテッド専門のプロ家庭教師として長年にわたり活動してきました。

    その中で、ギフテッドのお子さまは周りに同じ状況である子が少なく共感してもらえる人がいない、また、保護者さまも相談先が無いなどのお悩みを持っていらっしゃることが多いと感じています。

    私たちプロ家庭教師メガジュンでは、ギフテッドのお子さまのお悩みに耳を傾け、一緒に解決方法を見つけていけるような学習指導を行っています。

    また、学習だけでなく生活面やメンタル面でのサポートも行っています。

    「ギフテッド特有の悩みについて、相談する先がない」
    「相談してもなかなか理解してもらえない」

    このような方はぜひ、プロ家庭教師メガジュンまでご連絡ください。誠心誠意向き合い、お悩みの解決に向けてサポートさせていただきます。

    また、授業や面談はオンラインでも承っています。全国各地からご利用いただけるほか、これまで海外にお住まいの方や帰国子女の方にもご利用いただき、たくさんのご好評の声をいただいてきました。

    初回面談・初回授業は無料ですので、「オンラインで授業が受けられるか不安」という方もお気軽にお問い合わせください。

    一人でも多くのお子さまが、心身とも健やかに成長されるよう、一同全力でサポートしてまいります。
    最後までお読みいただきありがとうございました。

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