ギフテッドの子が努力しない3つの理由と声かけ・指導法|完璧主義や白黒思考への対応も解説


「好きなことには驚くほど集中するのに、学校の宿題は手につかない」
「能力があるのは分かるけれど、勉強になると途端にやる気をなくしてしまう…」

ギフテッドのお子さまを育てている保護者さまからは、このようなご相談をよくいただきます。

本記事では、ギフテッドのお子さまが「努力しないように見える理由」と、それに対する具体的な支援の工夫についてお伝えします。
ご家庭での関わり方や、実際に変化が見られた支援例もご紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。

この記事で分かること
  • なぜギフテッドの子は「努力しないように見える」のか
  • そのままにしておくと起こる困りごととは?
  • 家庭や個別指導でできる、具体的な関わり方

なお、本記事で扱う「ギフテッド」は、知的好奇心が非常に強く、特定の分野に高い関心や才能を示すお子さまを指します。
目安としては、WISCなどの検査でIQ130以上相当の認知能力を示すタイプを想定しています。

ギフテッドの詳しい特徴についてはこちらの記事(→ギフテッドの子ども(小学生・中学生)の特徴とは?才能や発達障害との違いを解説)でも解説していますので、ご関心のある方は併せてご覧ください。

発達障害専門のプロ家庭教師
妻鹿潤
・16年以上1500名以上の指導実績あり
・個別指導塾の経営・運営でお子様の性質・学力を深く観る指導スタイル
・yahooやSmartNews、Newspicksなどメディア向け記事も多数執筆・掲載中

ギフテッドの子どもが努力しない理由

ギフテッドのお子さまが努力をしなかったり、努力することを嫌がったりする理由には様々なものがありますが、概ね以下の3つに分類することができます。

ギフテッドの子どもが努力しない理由
  1. 努力しなくてもできてしまう
  2. 努力しなければならない理由に納得できていない
  3. 努力しても上手くいかないことを恐れている

これら3つの理由について、以下で順に解説していきます。

ギフテッドの子どもが努力しない理由①努力しなくてもできてしまう

まず、ギフテッドのお子さまが努力しない理由で最も多いのが「努力しなくてもできてしまう」というものです。

例えば、計算ドリルや漢字の書き取りなどの反復練習は、ギフテッドのお子さまにとって「すでに習得しているのに、なぜ何度も練習しなくてはいけないの?」と感じてしまうものです。

面倒くさいなぁと思いながらも渋々取り組んでくれれば良いのですが、保護者さまや学校の先生が「宿題なんだからちゃんとやりなさい」と注意しても、「自分にとっては必要ない!」と言い張ってなかなか取り組んでくれないというケースもあるのではないでしょうか。

ここで大人が「それでも宿題なんだから…」と言い聞かせても、話が平行線になってしまうため、あまり得策ではありません。

このようなケースにおいては、ギフテッドのお子さまの主張を一定認めつつ、反復練習することのメリットを論理立てて説明することが重要です。

というのも、ギフテッドのお子さまの主張は決して間違ったものではなく、一人ひとりの習熟度に合わせて宿題の内容や量を調整するのが最も望ましい形ではあります。

一方で、日本の学校では1人の先生が30人以上を担当することも珍しくありません。そのため、すべてのお子さまに個別対応するのは、どうしても難しいのが現状です。

また、ギフテッドのお子さまにとっては必要の無い反復練習も、他の子にとっては必要であるということを理解することも非常に大切です。

ギフテッドが人口に占める割合は、全体の約2%に過ぎません。

ギフテッドのお子さまは、ある意味ではマイノリティとして今後の人生を歩んでいくことになりますので、ギフテッドではない人たちがどの程度の能力を持っていて、どんな訓練を経て技能を習得していくのかを子どもの頃から知っておくことはとても大切です。

ですので、「自分はもうできるから、反復練習はしたくない!」と主張するお子さまに対しては、

  • あなたの主張は間違ってはいないけれど、先生が一人ひとりに合わせて宿題を出すのは現実的に不可能
  • あなたのようにすぐには覚えたりできない人が、どんな訓練をして覚えられるようになるのか、知っておくのも勉強の一つ

ということをきちんと説明することが大切です。

ギフテッドのお子さまは高い理解力を持っていますので、落ち着いて説明すれば理解してくれる場合が多いです。

また、合理性を重視するお子さまの場合は、「宿題をやらずに先生やお母さん・お父さんからいちいち注意されるよりも、さっさとやってしまった方が楽かもね」という考え方に納得するお子さまもいますので、お子さまのタイプに合わせて伝え方を工夫してみるのも一つの方法です。

ギフテッドの子どもが努力しない理由②努力する意味に納得できていない

ギフテッドのお子さまの中には、「言われたからやる」というのではなく、「自分で納得した上でやりたい」という意識の強い方がいらっしゃいます。

このようなお子さまの場合、単に「反復練習は大事」「宿題はきちんとやるもの」と伝えても、なかなか自分から取り組もうとしません。

納得感を重視するギフテッドのお子さまの場合は、お子さまが納得できるような理由をきちんと説明することが大切です。

例えば、計算ドリルの基礎問題をコツコツやることを嫌がるお子さまの場合は、

  • 基礎を定着させないと、応用問題でつまずいてしまうことが多い
  • その時は分かっていても時間が経つと忘れてしまうので、何度も繰り返すことが大切

といったことを丁寧に説明します。

小学校低学年など内容が簡単なうちは、「そうはいっても応用問題も解けるし、忘れてしまうこともない」となかなか実感が持ちづらい面もありますが、早い段階から繰り返し伝えることが一つ目のポイントになります。

さらに、「努力するとどんな良いことがあるのか」を具体的に見せてあげることも大切です。

例えば、小学校の内容であっても、基礎的な計算や漢字は大学受験まで使い続けます。

中学受験や高校受験の問題を見せながら、「今習っている知識は先々になっても使うものだよ」と具体的に示してあげると、お子さまも納得感を得やすくなります。

また、計算練習や漢字練習をたくさんすれば、それだけ先生の評価も高くなりますし、出された宿題を期日までに出すだけで成績は上がります。

本質的なメリット(=学力の定着)以外のメリット(=コスパ良く成績が挙げられる)があることにあまり気付いていないお子さまもいるため、改めて伝えるのもおすすめです。

さらに、前述のように繰り返し練習することで、その分記憶は定着しやすくなります。

少し前に習った内容でも忘れずに解くことができたら、「あの時に繰り返し練習した成果だよ」など、努力が結果に結びついているという実感が持てるように声掛けを行うことがポイントです。

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ギフテッドの子どもが努力しない理由③努力しても上手くいかないことを恐れている

ギフテッドのお子さまの中には、失敗することや上手くいかないことを恐れ、高い目標に向かって努力することを避けてしまうタイプの方がいらっしゃいます。

このタイプのお子さまは、上述の「①努力しなくてもできる」「②努力しなければならない理由に納得できていない」というお子さまとは少し傾向が異なります。

このタイプのお子さまは、簡単な反復練習を嫌がることはあまり無く、逆に難易度の高い問題が解けなかったときに「解けるように努力しよう」ではなく「もうやりたくない」となってしまうことが多いです。

「もうやりたくない」とお子さまが感じてしまう背景には、”失敗することへの恐れ”があります。

ギフテッドのお子さまは、大半のことを卒なくこなせてしまうがゆえに、失敗するという経験があまりありません。

そのため、ギフテッドのお子さまにとっては、一度の失敗(=問題が解けなかった)が非常にショックな出来事に思えてしまい、「もう失敗したくない」という気持ちが強くはたらいて、もう一度挑戦することができなくなってしまいます。

また、ギフテッドのお子さまの中には、問題が解けることや何でも失敗せずにできることが自分の価値であり、問題が解けない自分や失敗してしまう自分には価値が無いと思っている方もいます。

このような心理は、条件付き承認(※)が多いご家庭で育ったお子さまによく見られます。ただし、ギフテッドのお子さまの場合、ご家庭でそうした声掛けがなくても、同じような思考に陥ることがあります。

※条件付き承認
「○○ができたから褒める」など、条件付きで承認すること。
(例:テストで100点が取れたときだけ「偉いね」と声を掛ける)

というのも、学校では「勉強ができる子が先生に褒められる」「先生の指示に従えば褒められる」というように、条件付き承認とよく似た指導がされる場合があります。

この指導自体は、子どもたちに社会性を身に付けてもらうために必要なものとも言えますが、ギフテッドのお子さまがこうした指導を真に受けすぎると、条件付き承認を受けているのと同じような感覚になり、「自分が認められているのは勉強ができるからだ」と認知が偏ってしまうこともあります(このケースは真面目な性格のギフテッドのお子さまに多いです)。

このようなギフテッドのお子さまの場合は、

  • 「失敗するのは普通のことだから、怖がらなくていいんだよ」
  • 「失敗しても成功しても、あなたはそのままで大切な存在だよ」

ということを伝えるのが大切です。

「失敗するのは普通のこと」と思えるようになるためには、本人にたくさん失敗させるのが最もシンプルな方法です。

ですが、失敗を極度に恐れるお子さまの場合、難題にチャレンジさせて失敗させると過度にストレスが掛かってしまい、結果としてより失敗を恐れたり、無気力や逃避行動につながったりすることもあるため、無理は禁物です。

本人が極度に失敗を恐れている場合は、本人ではなく周りの人の失敗などから少しずつ学んでいくという方法がおすすめです。

具体的には、「この問題は先生も最初は解けなかったんだよ」「6年生(お子さまより上の学年)でもこれを解ける人は少ないよ」などと声を掛け、失敗することのハードルを下げていきましょう。

また、たとえチャレンジできなくても「授業を受けてくれてありがとう。○○さんとお話しできて楽しかったよ」と毎回丁寧に声を掛け、お子さまに安心感を持ってもらうことも非常に大切です。

この人は自分のことを丸ごと受け入れてくれるのだなと分かると、お子さまは「失敗しても失望されない、大丈夫」と思えるようになり、難しい課題にもチャレンジできるようになります。

失敗を恐れるお子さまの場合、背景には自己肯定感の課題があることも多く、改善まで少し時間が掛かることもありますが、焦らず見守ることが大切です。

小さな一歩の積み重ねが、やがて大きな自信とチャレンジ精神につながっていきます。

ギフテッドの子どもが努力しない理由と対策のまとめ

この記事では、ギフテッドのお子さまが努力しない理由と、ギフテッドのお子さまが努力できるようになるための声掛けや接し方について詳しく解説してきました。

改めてポイントをまとめると、以下のとおりです。

POINT
  • ギフテッドのお子さまが努力しない理由は主に以下の3つ:
    • ① 努力しなくてもできる
    • ② 努力しなければならない理由に納得できない
    • ③ 失敗を恐れている
  • ギフテッドのお子さまが努力しないときは、努力が必要な理由を論理的に説明することが大切
  • 失敗を恐れるタイプのお子さまの場合は、自己肯定感を育みながら失敗に慣れさせることがポイント

この記事では、ギフテッドのお子さまが努力しない理由を3つに分けて解説してきましたが、実際のケースでは理由が複合的に重なっていることもあります。

具体的な指導方法については以下の指導実例の記事にまとめていますので、ぜひ併せてご覧いただければと思います。

なお、ギフテッドのお子さまが努力しない場合、短期的には問題が生じないケースも多いです。

反復練習しなくても計算はできるし、漢字も書けるというお子さまの場合、中学生くらいまでは「別に頑張らなくても大丈夫」という姿勢で問題無いこともあります。

ですが、高校以上になって勉強の内容が高度になると、ギフテッドのお子さまであってもコツコツ学習しないと次第に追いつけなくなるかもしれません。

また、学校の勉強は問題無くこなせても、社会人になってからコツコツと何かを続ける習慣が身に付いていないと、仕事が長続きしなかったり、周りからの評価を得られなかったりする可能性もあります。

「努力すること」や「努力できること」は一人の人間として身に付けるべき大切な能力です。

ぜひこの記事を参考にしていただき、お子さまが「努力できる人」になれるようサポートしていただければと思います。

また、ギフテッドのお子さまは、周りと比べて発達が早く、保護者さまがアドバイスや注意をしても反論してなかなか聞き入れてくれないこともあるかと思います。

そのようなときには、ギフテッドの指導に長けたプロ家庭教師など、高い専門性を持つ指導者の力を借りることもおすすめです。

私たちプロ家庭教師メガジュンでは、お子さま一人ひとりに徹底的に寄り添い、単なる学力向上だけでなく、お子さまが自分自身で伸びていける力を身に付けられるようサポートいたします。

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最後までお読みいただきありがとうございました。

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