ギフテッドの子どもの特徴とは?才能や発達障害との違いを解説

ギフテッドの子どもの特徴

  • 知能検査を受けたところ、IQが130以上あった
  • 絵画や音楽など、芸術に突出した才能がある
  • 知的好奇心が強く、周りの子どもと興味の持ち方が違う

ギフテッドとは、IQが130以上ある人や、芸術や運動などに突出した才能を持つ人のことを指します。

近年では、映画や小説の題材にもなっているギフテッドですが、お子さまの場合は同年代のクラスメイトとの関係が築きにくかったり、学校に馴染みづらかったりなどの困りごとを抱えることもあります。また、「子どもが賢すぎて困っている」という話は周りにもしづらいため、相談先が無く困っている保護者さまも多くいらっしゃいます。

私は、ギフテッド・発達障害専門のプロ家庭教師や塾経営者として長年にわたり活動してきました。
ギフテッドには、発達に凸凹があるという発達障害の側面を併せ持つ「2E型ギフテッド」と、どの能力も全体的に優れている「英才型ギフテッド」の方がいらっしゃいますが、どちらもそれぞれの困りごとがあり、個々に応じた適切なサポートが必要になります。

そこでこの記事では、ギフテッドのお子さまの保護者さまや支援者の方に向けて、以下のポイントについて詳しく説明していきます。

  • ギフテッドのお子さまの才能を伸ばす教育とは?
  • ギフテッドのお子さまに最適な進路選択とは?
  • ギフテッドのお子さまのメンタルのケアはどうすればよい?

ギフテッドのお子さまのことでお悩みの方に役立つ内容となっていますので、ぜひ最後までお読みいただけますと幸いです。

【執筆・監修】
ギフテッド・発達障害専門のプロ家庭教師 
妻鹿潤
・16年以上1500名以上の指導実績あり
・個別指導塾の経営・運営でお子様の性質・学力を深く観る指導スタイル
・yahooやSmartNews、Newspicksなどメディア向け記事も多数執筆・掲載中

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ギフテッドとは

ギフテッドの定義について

ギフテッドとは、IQ130以上の高い知能、もしくは芸術や運動に突出した才能を持つ人のことを指します。

IQ(知能指数)については、心療内科やメンタルクリニック、民間のカウンセリングルームなどで測ることができます。発達障害などの困りごとがある場合は保険適用されますが、特に困りごとが無い場合は自費での検査になりますので注意しましょう。

自費での知能検査は、クリニックにもよりますが、およそ2~3万円程度かかります。

芸術や運動の才能については、知能検査やテストで測ることはできません。また、「絵が上手い」「運動神経が良い」だけでなく、「自然への造詣が深い」「哲学的に思考することが好き」といったこともギフテッドの才能の一種と捉えることができます。

この章では、知能指数の測り方や知能以外の才能の見つけ方について詳しく解説していきます。ギフテッドの困りごとや解決方法について知りたい方は、「2 ギフテッドの子どもの特徴とは」までお進みください。

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①IQ130以上または芸術などの才能を持つ

一般的にギフテッドとは、IQが130以上である人のことを指します。

IQで測れない芸術や運動の才能がある場合もギフテッドに相当しますが、知能の面で言えば、「IQが130以上であること」がギフテッドの定義です。

最も広く用いられている知能検査「WISC-IV」では、IQは偏差値として、平均が100となるように調整されています。IQ130以上の人の割合は約2%とされており、感覚的には「40人のクラスに1人いるか、いないか程度」ということになります。

WISC-IV検査は、発達障害の診断の際などに広く用いられている知能検査であり、言語理解・処理速度・ワーキングメモリ・知覚推理の4つの指標を測ることができます。
さらに4つの指標を合わせて、全検査IQ(FSIQ)と呼ばれる総合的な知能を測ることができます。なお、WISC-IVは子ども用であり、大人(16歳以上)の場合は「WAIS-IV」を用います。

全検査IQの数値によってギフテッドを分類する場合もあります。
ギフテッド教育の先進国であるアメリカなどでは、知能指数ごとにギフテッドを分類することで、それぞれの層に合ったサポートや教育を行っています。

知能指数によるギフテッドの分類

  • mildly gifted        ~IQ130以下
  • moderately gifted    IQ131~149
  • highly gifted        IQ150~159
  • exceptionally gifted   IQ160~179
  • profoundly gifted    IQ180

知能面におけるギフテッドについては、WISC-IVなどの知能検査で測ることができますが、芸術や運動に関する才能は知能検査で測ることはできません。

お子さまの隠れた才能を見つけるためには、心理学者であるハワード・ガードナー博士が提唱した「多重知性理論(8種類の知性)」を参考にすると良いでしょう。

<ハワード・ガードナーの唱えた8つの知性>

  • 論理数学知性:論理的な思考力や科学的・数学的に考える力
  • 視覚空間知性:平面や空間を認識し、頭の中で操作する力
  • 言語知性:言語を学んだり、操ったりする力
  • 人間関係知性:コミュニケーション能力や他者への共感性
  • 身体運動知性:運動能力や身体の使い方に関する力
  • 音楽知性:音程やリズムを鑑賞したり、創造したりする力
  • 自然共生知性:自然や動物への感受性に関わる力
  • 内省知性:自己の存在や生死について哲学的に考える力
  • ガードナーが唱えたこれらの能力は、ほとんどの場合、知能検査で測ることはできません。

    私たちは「学校のテストで良い点が取れる=頭が良い」と考えてしまいがちですが、芸術や運動、自然への深い興味やコミュニケーション能力も、ひとつの才能だと捉えることができます。

    ギフテッドかどうかといった定義だけでなく、「お子さまの良いところを見つける」という点でも、このガードナーの多重知性理論は大きな気付きを与えてくれるのではないでしょうか。

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    ②2E型ギフテッドと英才型ギフテッド

    ギフテッドの定義について②2E型ギフテッドと英才型ギフテッド

    ギフテッドは、特定の分野については突出した才能があるものの、その他の分野では能力が平均を下回るなど、発達に凸凹がある「2E型ギフテッド」と、全ての分野で平均以上の能力が見られる「英才型ギフテッド」に分類することができます。

    ギフテッドの「2E型」「英才型」

    • 2E型ギフテッド
      • 特定の分野に突出した才能があるが、その他の分野では平均を下回ることがあるなど発達や能力に凸凹があり、ADHD・ASDなどの発達障害を併せ持つこともある。
    • 英才型ギフテッド
      • あらゆる分野において平均以上の能力が見られる。知能だけでなく、芸術・運動・コミュニケーションにおいても優れた能力を発揮する場合がある。

    2E型ギフテッドの場合、WISC-IV検査においても各指標のバラつきが大きいなどの特徴が見られることがあります。
    指標間のバラつきは「ディスクレパンシー」と呼ばれますが、このディスクレパンシーが15~20以上かつ全検査IQが130以上の場合は、2E型ギフテッドの傾向があると考えられます。

    ただし、ディスクレパンシーは全検査IQが高くなるほど大きくなる傾向がありますので、各指標が平均を下回らない(=100以下とならない)場合は、それほど気にする必要はありません。

    また、WISC-IV検査は、お子さまの今後のサポートを考える際の参考指標であり、WISC-IV検査だけで発達障害やギフテッドの判断ができるものではありません。

    点数に一喜一憂するのではなく、お子さまの普段の様子と照らし合わせながら、「お子さまの○○の行動は、この特性が関係しているのだな」など、お子さまをより深く理解するために役立てるようにしましょう。

    2E型ギフテッドの場合は、発達障害の特性を併せ持つことも多いことから、“苦手が目立ち、得意が埋もれる”傾向にあります。
    周りの大人も苦手を解消することを優先するため、本人が自信を無くしたり、せっかくの才能が開花しないままになったりするケースが多くなっています。

    もちろん、社会で生きていく上で苦手を解消することも大切ではありますが、苦手なことを指摘されるよりは、自分の得意なことを褒めてもらう方がお子さまにとって何倍も嬉しいものです。

    苦手を解消するためのトレーニングは必要最小限にとどめ、得意を伸ばしていけるようなサポートを心掛けていきましょう。

    英才型ギフテッドのお子さまは、多くの場合、「浮きこぼれ」に悩むことになります。
    浮きこぼれとは、落ちこぼれの逆で、授業が退屈で学校に行くのが億劫になってしまったり、同年代の子どもたちと馴染めなかったりといった困りごとを抱えるケースになります。

    日本の学校では、皆と同じ内容を、同じスピードで学ぶことが求められます。画一的な授業の在り方を見直そうという流れもありますが、実現までには長い時間が掛かるでしょう。(参考:学習指導要領「生きる力」:文部科学省 (mext.go.jp)

    学校では平均以上にできる子よりも、平均よりも苦手が目立つ子(いわゆる落ちこぼれ)の方が優先してサポートされます。学校の先生もギフテッドや浮きこぼれについては存在自体あまり認識しておらず、「賢いから放っておいても大丈夫」と思われてしまうケースも少なくありません。

    しかしながら、学校の授業のつまらなさや、同年代の子どもたちとの会話の噛み合わなさ故に、英才型ギフテッドのお子さまが不登校になってしまう場合もあります。

    学校レベルの勉強であれば自学自習で問題ありませんが、お子さまの知的好奇心を満たすような学びを得るためには、塾やプロ家庭教師といった専門的なサポートを受けることが望ましいでしょう。

    また、学校に行かないことで、集団生活や他者とのコミュニケーションを学ぶ機会も減ってしまうことも、不登校に伴う大きなデメリットです。学校の集団生活がどうしても苦手な場合は、地域のサークルや習い事など、学校以外でそれらを学ぶ機会を得られるようにすると良いでしょう。

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    ギフテッドの子どもの特徴とは

    ギフテッドの子どもの特徴とは

    ギフテッドのお子さまには、「強い知的好奇心」「膨大な知識」「大人びた態度」などの特徴が見られます。

    ですが、一口にギフテッドといっても一人一人個性があり、「IQは140以上あるけれど、何に対しても興味を示さない」といったケースもあります。

    以下では、全米才能児協会(the National Association for Gifted Children: NAGC)が示しているギフテッドの特徴などを元に、ギフテッドのお子さまによく見られる行動・特性をまとめましたので、お子さまの特性を分析するための参考としていただければと思います。

    また、次の章では、ギフテッドのお子さまに見られる「非同期発達」「過度激動(OE)」についてもご紹介していきます。

    ギフテッドの子供に見られる特徴

    1. 記憶力が非常に良く、どんな知識もすぐに定着する
    2. 身につけた知識を使いこなし、物事の判断にも優れている
    3. 同年代の子どもよりも語彙がはるかに豊富で、複雑な文章を書いたり話したりする
    4. 数字やパズルなどの問題が好きで、勉強ではなく楽しみとして解くことが多い
    5. 感受性が豊かで、神経質に見えることもある
    6. 社会問題に関心があり、政治などの話題にも難なくついていける
    7. 想像力が逞しく、空想に耽ることもしばしばある
    8. 知的好奇心が強く、常に新しい知識や学びを求めている
    9. 年齢に比べて集中力が非常に高い
    10. ユーモアや皮肉をよく理解し、ウィットに富んだ会話ができる
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    ①非同期発達

    ギフテッドの子どもの特徴とは①非同期発達

    非同期発達とは、ギフテッドのお子さまが成長していくときに、「ある部分は速く発達するが、他の部分は年齢相応のスピードで発達していく状態」を指します。

    通常、子どもの能力は、あらゆる面で同期的に(=互いに影響しながら一体的に、足並みをそろえて)伸びていきます
    言葉の理解やコミュニケーション能力、未来を予測する力や算数的に考える力、さらには精神的な成熟や運動機能まで、それらは密接に関わり合いながら成長していきます。

    一方、ギフテッドのお子さまの場合、「言語理解だけ」「数学的思考だけ」など、一部の能力だけが他の能力に先立って成長する場合があります。
    その結果、「話し方は達者なのに、態度は子どもっぽい」というアンバランスな状態になることを非同期発達と呼びます。

    突出した才能以外の部分が年齢を重ねても成長しなかったり、年齢不相応に発達が遅れている場合は、発達に凹凸があるということで2E型ギフテッドに分類されます。ですが、幼いうちは個人による発達スピードの差も大きいため、ギフテッドの非同期発達と2E型ギフテッドを見分けるのは困難でしょう。

    ギフテッドのお子さまに非同期発達が見られたとしても、特別な対応は必要ありません。
    お子さまが成長するにつれて、徐々に発達の度合いは揃ってきますので、「ギフテッドとは言え、まだまだ子どもの部分もあるのだな」と落ち着いて見守ることが大切です。

    知識や学力などが優れているからといって、幼いうちから何もかもが優れているというケースは非常に稀です。
    ギフテッドのお子さまは、周りと比べて賢い分、子どもっぽさが悪目立ちしたり、周りと馴染めなかったりして、「扱いにくい子」と見られてしまいがちですが、ギフテッドとはいえあくまで子どもであるということは常に念頭に置いて接するようにしましょう。

    また、ギフテッドのお子さまは、「自分が周りより優れている」ということに気付いておらず、「こんな簡単なことも分からないの?」などと全く悪気無く発言してしまうこともあります。

    そのため、お友達から仲間外れにされてしまったり、学校の先生から「生意気だ」と思われてしまったりすることがあります。
    ご家庭においては、お子さまの成長に応じて、言い方・伝え方の工夫の仕方を教えてあげると良いでしょう。

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    ②過度激動(Over Excitability: OE)

    ギフテッドの子どもの特徴とは②過度激動(Over Excitability、 OE)

    過度激動(Over Excitability: OE)とは、感覚や知性が人よりも過敏である特性のことで、ギフテッドのお子さまによく見られます

    ギフテッドのお子さまは、知性や五感が敏感であるために、強い知的好奇心を持っていたり、普通の人では気付かないような点に気付いたりすることができると考えられています。

    ただし、ちょっとしたことでも敏感に反応してしまうため、疲れやすかったり、集団生活に馴染みづらかったりといったマイナスの側面も持っています。
    「考えすぎて疲れる」「感情が豊か過ぎてしんどい」といったことはギフテッドのお子さまのお悩みとしてよくあるもので、メンタル面でのケアが非常に重要となります。

    また、過度激動には、五感の鋭さや感受性の豊かさ、知的欲求の強さなど、様々な種類があります。

    <過度激動(OE)の5分類>

    • 知性過度激動
      • 知的好奇心が非常に旺盛で、強い知識欲を持つ
    • 精神運動性過度激動
      • スリルや冒険、新しい経験など、精神面での強い刺激を求める
    • 感覚性過度激動
      • 五感が敏感で、細かな違いを楽しんだり、あるいは強い刺激が苦手で避けたりする
    • 想像性過度激動
      • 想像力が非常に豊かで、普通の人には思いつかないような発想ができるが、妄想に耽ることもある
    • 情動性過度激動
      • 感受性が強く、ちょっとしたことでも感情の浮き沈みがあるほか、他者への共感性に優れる

    これらの過度激動の分類のうち、一つだけに当てはまる人もいれば、複数に当てはまる人もいます。
    また、それぞれの強弱も人によって異なります。

    過度激動はギフテッドの特性として強みになることもありますが、困りごとが目立つために発達障害と誤診される場合もあります。
    例えば、感覚性過度激動は、ASD(アスペルガー症候群)の特性である感覚過敏と非常に良く似ていますし、想像性過度激動によって空想に耽ってしまうことが多い場合、「ぼーっとしてしまう」というADHDの不注意特性と区別が難しくなります。

    困りごとと才能は表裏一体です。

    もしギフテッドのお子さまに「想像を膨らませる(ぼーっとする)のは良くない」という指導を続けたら、せっかくお子さまが持っていた豊かな想像力が失われてしまうかもしれません。

    また、ADHDと誤診されることで、誤った投薬治療を受けてしまう可能性もあります(※)。
    ※ADHDの不注意特性の改善にはコンサータが効果的とされていますが、コンサータは中枢神経刺激剤であり、食欲減退などの副作用があります。
    お子さまがADHDと診断されたら、まずは療育と環境の調整を行いましょう。薬物治療については療育や環境調整によって困りごとの改善が見込まれず、かつ明らかにADHDである(その他の特性によるものではない)と確証されてから行うようにしましょう。

    ギフテッドの過度激動と、2E型ギフテッドの発達障害の特性を区別するのは、専門医であっても非常に困難であり、場合によっては明確な区別ができないケースもあります。

    診断名は今後のサポート方法を考えるための指針であり、診断名だけにこだわる必要はありません。

    大切なのは目の前のお子さまをしっかり見て、状況に応じてサポートの内容を調整していくことですので、お子さまの困りごとは何か、どんな状態にしていきたいかをお子さま本人ともしっかり話していただき、必要に応じて学校の先生や専門医、カウンセラーにも相談するようにしましょう。

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    ギフテッドのお子さまに効果的な5つのサポート方法とは

    ギフテッドのお子さまに効果的な5つのサポート方法

    ギフテッドのお子さまの困りごとを軽減し、才能を存分に伸ばしていくには、周りの大人のサポートが欠かせません。

    ギフテッドゆえに周りと馴染みにくかったり、知的欲求を満たせなかったりといった困りごとを解決するためのポイントについて、順にご紹介していきます。

    ①才能を肯定できる自分になる

    ギフテッドのお子さまは突出した才能を持っていますが、才能や特性がコンプレックスになってしまうこともあります。

    私が以前受け持ったギフテッドのお子さまは、非常に強い知的好奇心を持っており、過度激動のうち「知性過度激動」が強いタイプのお子さまでした。

    新しい知識を常に吸収していたいという強い欲求があり、その欲求が満たされないとストレスが溜まってしまいます。ですが、学校の授業や同年代の友達との会話は、当然ながら彼女の強い知的好奇心を満たすものではありません。

    「もっと難しく、面白く、ワクワクすることを知りたい!」と心の中で思っていても、それを叶えることは難しく、彼女は無理をして“普通の子”として振る舞っていました。

    ですが、中学生になったある日、彼女のストレスは限界に達しました。
    頭痛や嘔吐といった身体的な症状が現れ、その日から彼女は学校に行くことができなくなりました。

    自分の気持ちを抑えて無理に周りに合わせることが、小中学生の心身にどれだけ大きな負担となっていたかを想像すると胸が痛みます。

    学校そのものがトラウマになってしまった彼女は、中学はそのまま不登校に、高校は通信制に進学しました。
    高校の時、あるきっかけで彼女は海外留学に行くことになったのですが、カリキュラムに縛られず、それぞれが好きなものを好きなように学ぶ学校の在り方に彼女は感銘を受け、海外の大学への進学を目指すようになりました。

    元々ギフテッドで高い知能を持っていた彼女は、無事に海外の大学に合格し、今では研究者として活躍しています。
    先日連絡を取った際には、日本にいた頃とは見違えるほど生き生きとした様子で、「やっと自分が自分で居られる場所を見つけた」と話していました。

    日本の学校教育は画一的で横並び重視のため、ギフテッドのお子さまは「出る釘が打たれないように」と自ら才能を隠してしまうケースも多くなっています。

    周りの子と違うことで育てづらさを感じる面もあるかもしれませんが、まずは保護者さまが才能を肯定し、お子さまが自信を持って生きていけるように応援していただきたいと思います。

    特に、他者への共感性が高く、空気を読むことが得意なギフテッドのお子さまの場合は、自分の心が壊れるまで我慢をしてしまうことがあります。

    お子さまの心や体以上に大切なものはありませんので、無理に周りに合わせる必要が無いことは、しっかりとお子さまに伝えるようにしましょう。

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    ②知的欲求を満たす

    ギフテッドのお子さまに効果的な5つのサポート方法②知的欲求を満たす

    日本の学校においてギフテッドのお子さまのために特化した教育を受けることは、現段階では難しいでしょう。

    文部科学省では、ギフテッド教育に関する有識者会議が開かれており、徐々に検討が進められていますが、実際に学校現場でギフテッド教育が行われるのはまだまだ先になると思われます。(参考:文部科学省が定めている学習指導要領)

    学校でのギフテッド教育が期待できない中で、ご家庭においては、お子さまが才能を持っていたり、興味・関心がある分野について、存分に学べる環境を整えてあげるようにしましょう。

    子ども向けの児童書や図鑑でなくても、本人が読みたがるのであれば高度な内容の本でも手に取らせてあげるようにしましょう。
    専門書は高価な場合もあるので、図書館を上手く活用するなど、適宜工夫すると良いでしょう。

    大学教授や研究者など、専門家と直接話せるセミナーや講座への参加もおすすめです。
    大学の研究室やNPOなどで、ギフテッドの子どもたち向けのプロジェクトを実施している団体もありますので、ご家庭だけでお子さまの知的欲求を満たすことが難しい場合は、こういった様々なプロジェクトを活用するのも良いでしょう。(参考:東京大学先端科学技術研究センター中邑研究室 異才発掘プロジェクト ROCKET領

    ③新しい分野へのチャレンジ

    ギフテッドのお子さまに効果的な5つのサポート方法③新しい分野へのチャレンジ

    知能検査の数値は高いけれど、これといった特定の分野に才能や関心があるわけではないお子さまもいらっしゃいます。

    このタイプのお子さまの場合は、自分の好きなものに出会えていない可能性がありますので、いろいろなモノにチャレンジしてみるのがオススメです。

    ギフテッドのお子さまはワクワクするような経験を好む方も多いため、新たな挑戦をきっかけに、意外な才能が見つかるかもしれません。

    <ギフテッドのお子さまにおすすめのチャレンジ>

  • 美術館や博物館、音楽コンサートなどの鑑賞
  • 川遊びや昆虫採集、釣り、キャンプなどの自然体験
  • 絵画や彫刻、造形などのアート活動
  • 留学やホストファミリーなどの異文化交流
  • 答えの無い哲学的な問題へのチャレンジ
  • ④集団活動への参加

    ギフテッドのお子さまに効果的な5つのサポート方法④集団活動への参加

    ギフテッドのお子さまは、集団生活に馴染みづらく、学校に行きづらかったり、学校でも孤立して過ごしているという方がいらっしゃいます。

    一方で、他人と協働して何かに取り組むことは、お子さまが将来社会に出ていくためにも非常に重要な経験であるため、何かしらの形で集団に参画することが望ましいでしょう。

    参加する集団は、必ずしも学校のクラスである必要はありません。
    同年代とのコミュニケーションが苦手な場合は、老若男女が参加できる趣味のサークルや地域のスポーツクラブ、ボランティア活動などでも構いません。

    多様な年齢構成の集団に参加することでお子さまの視野も広げられますし、学校でのクラス活動よりも断然「生きる力」につながる可能性があります。

    ⑤家庭での会話の充実

    ギフテッドのお子さまに効果的な5つのサポート方法集団活動への参加

    お子さまの高度な話に周りがついていけないとき、幼い頃は「どうしてわからないんだろう?」という単純な疑問を感じるだけですが、成長するにつれ「自分のことを分かってくれる人は誰もいない」という孤独感を抱える場合があります。

    解決策の一つに、同じように高い知能を持ったギフテッドの人々と交流するという方法もありますが、誰よりも一番身近な存在である保護者さまから「あなたは一人ではないよ」というメッセージを伝えることもとても大切です。

    お子さまが考えている内容の全てを理解することは難しいかもしれませんが、「いつも家族が見守っていること」「どんなチャレンジも応援すること」を、日頃からしっかり伝えるようにしましょう。

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    ギフテッドの子どもの特徴のまとめ

    ギフテッドの子どもの特徴のまとめ

    この記事では、ギフテッドのお子さまの特徴やサポートの方法について詳しくご紹介してきました。

    改めてポイントをまとめると、以下のとおりです。

    <POINT>

    • ギフテッドとは、IQ130以上の人や、芸術・運動などに優れた才能を持った人のこと
    • ギフテッドは、発達に凹凸がある2E型ギフテッドと、全体的に能力の高い英才型ギフテッドに分けられる
    • 2E型ギフテッドは苦手が目立ちやすく、得意が埋もれやすい傾向にある
    • 英才型ギフテッドは、浮きこぼれなどの困りごとを抱えることがある
    • ギフテッドの過度激動と発達障害の特性は、専門医でも見分けるのが難しい
    • ギフテッドの非同期発達は、焦らず見守ることが大切
    • ギフテッドのお子さまの知的な欲求を十分に満たし、才能を肯定することが育て方のコツ

    ギフテッドは、高い知能や特別な才能を持っていてうらやましいと思われがちですが、ギフテッド特有の悩みがあるほか、さらに相談先が少ないという困りごともあります。

    私たちプロ家庭教師メガジュンでは、ギフテッド・発達障害専門のプロ家庭教師として、一人一人にとことん寄り添った指導を行っています。

    長年の指導で積み上げたノウハウを元に、ギフテッドのお子さまの才能を最大限伸ばせるようにサポートしてまいります。

    ↓『学習・生活面のお悩み相談虎の巻』はこちらをクリックしてご覧ください。

    代表の妻鹿は現役のキャリアアドバイザーでもありますので、受験だけでなく、その後の人生全体を見据えた進路のご提案が可能です。ギフテッドのお子さまの勉強や進路でお悩みの方は、ぜひ一度お問い合わせください。

    また、授業や面談はオンラインでも行っています

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    最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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