発達障害の人が自己肯定感を高めるには?大人で低い人への対処法も紹介
発達障害の方は、定型発達の人と比べて苦手なことが多く、仕事や勉強が上手くいかないことからも自己肯定感が低くなりがちです。自己肯定感が低いと物事に前向きに取り組めず、困りごとの解決からも遠のいてしまうほか、うつや不安障害などの二次障害が生じてしまう場合もあります。
発達障害の方が抱えている生きづらさのほとんどは、自己肯定感に起因すると言っても過言ではありません。苦手なことがあったり、失敗が多かったりしても、「そんな自分でも大丈夫!」と思える自己肯定感があれば、たとえ困りごとが多くても、前向きに生きていくことができます。
私は発達障害専門のプロ家庭教師として数多くのお子さまと接してきましたが、お子さまが前向きに勉強に取り組めるかどうかは、ご家庭や学校でどれだけ自己肯定感を育めるかにかかっていると感じています。
そこでこの記事では、発達障害の方の自己肯定感の高め方について、発達障害専門のプロ家庭教師ならではの視点で解説していきます。大人の方にとっても、発達障害のお子さまをお持ちの保護者さまにとっても役立つ内容となっていますので、ぜひ最後までお読みいただけますと幸いです。
▼目次
発達障害の方の自己肯定感が下がりやすい理由
発達障害の方は、生まれつきの特性によって苦手なことが多く、子どもの頃から「ちゃんとしなさい」「どうして周りと同じようにできないの」といった注意や叱責を受けることが多い状況にあります。
子どもの頃に失敗体験や怒られた経験が多いと、「自分は何をやってもダメなんだ」「怒られたらどうしよう」と思って自信を失い、物事を前向きに捉えられず、自己主張もできないという生きづらさを抱えることになります。
また、発達障害の方の自己肯定感が下がりやすい要因の一つとして、「白黒思考(完璧主義)」も挙げられます。想像することが苦手であったり、一つの物事に執着してしまったりするタイプの発達障害の方は、物事に関して0か100かで考えることが多く、少しでもダメな部分があると「自分はダメだ」と感じてしまいます。
他人から見るとそこそこ出来ているにも関わらず、本人にとっては「100点でなければ0点→だから自分はダメなのだ」という思考に陥ってしまうため、いつまでも自己肯定できないままになってしまいます。
発達障害の方は、マルチ商法やカルト宗教にハマりやすいという説がありますが、これも自己肯定感の低さが関係していると考えられます。自己肯定感の低い人は、心の拠り所を他者に求める傾向があり、甘い言葉をささやかれると疑わずに付いていってしまう場合があります。
ただ、悪質な勧誘に発達障害の方が引っ掛かりやすいのは、自己肯定感の問題だけでなく、特性ゆえに見通しを持つことや冷静に判断することが苦手であることも原因の一つと考えられます。
自己肯定感は、発達障害か定型発達かどうかに関わらず、人が生きていく上でとても大切な要素です。発達障害の方は、特性が原因となって抱える困りごとも多いため、定型発達の人以上に自己肯定感を高めることが重要となります。
自己肯定感の低さは、うつや不安障害、不登校やひきこもりといった二次障害にもつながります。発達障害の方が身に付けるべき自己肯定感の在り方とはどういったものか、次の章から具体的に解説していきます。
発達障害の人にとっての「自己肯定感」とは
自己肯定感とは、読んで字のごとく「自己を肯定する感情」のことですが、
- 仕事のできる自分は素晴らしい
- テストで良い点を取れた自分は偉い
- 容姿が魅力的な自分が好き
といった条件付きの自己肯定は、実は自己肯定感とは言えません。
自己肯定感とは、たとえ仕事が出来なくても、テストで点が取れなくても、容姿が魅力的でなくても、「そんな自分もOK!」と自分の存在をありのままに肯定できる状態を指します。
条件付きの自己肯定は、例えば仕事が上手くいかなかった場合に「こんな自分は許せない」という強い自己否定につながるため、失敗したときにアイデンティティそのものが損なわれてしまうリスクを孕んでいます。
そして、そのリスクを避けるために無理な働き方や勉強の仕方を続けてしまい、結果として心身の調子を崩してしまう方もたくさんいらっしゃいます。
よくある勘違いとして「高学歴のエリートたちは皆、高い自己肯定感を持っている」というものがありますが、むしろエリートたちこそ「できる自分でいなければ」という条件付きの自己肯定に囚われがちな傾向にあり、「できない自分は自分ではない」という強い自己否定感を持っている場合があります。
つまり、自己肯定感の高さは、その人が持っている能力とは全く関係が無く、その人の持っている能力が高かろうが低かろうが、そのままの自分で良いと思えるのが「自己肯定感」なのです。
逆に言えば、能力値が必ずしも高いとは言えない発達障害の方でも、高い自己肯定感を持つことは可能です。発達障害の方の自己肯定感が下がりがちなのは、失敗体験や怒られた経験が多いためであり、失敗を前向きに捉えられるような育てられ方をすれば、自己肯定感を高く保つことができます。
私の知り合いで発達障害(ADHD)を持つAさんは、好奇心が旺盛でいろいろな事業にチャレンジしています。もちろん失敗も多いのですが、失敗しても過度に落ち込まず、また、忘れ物や遅刻癖といった自分の特性についても特に引け目を感じている様子がありません。
幼少期にどんな育てられ方をされたのか聞いてみると、
小中学校ではしょっちゅう先生に怒られていましたが、特性のためにどうしようもないことだったり、先生が子どもを管理しやすいように周りに合わせろということだったりについては、理不尽だなあと感じながら聞き流していました。今思えば、生意気な子どもでしたね(笑)」
と話していました。親が子どもの特性を受容し、それを態度として示していたからこそ、Aさん自身も自分の特性を当たり前のように受け入れられたのだと思います。また、Aさんのご家庭はやや放任主義と言えますが、それもAさんの好奇心の強さと相性が良かったのでしょう。
ただ、誰もがAさんのような家庭で生まれ育つわけではありません。知り合いのBさんは定型発達で非常に優秀な人物ですが、自己肯定感の低さに悩んでいると言います。
中学生くらいまでは勉強を頑張ろうというモチベーションにもなっていましたが、高校生になると『なんでこんなに頑張っているんだろう?』『皆、私自身じゃなくて“優等生の私”しか見ていないんだな』ということに気付きました。
とはいえ、勉強以外に自分の取り柄も見つからなかったので、言われた通り大学に入って、大手企業に勤めてはいますが…自分の人生にどこか満たされない感じがするのは、自己肯定感が低いからなんだろうなと思います」
AさんとBさん、どちらの人生が良いかは一概に決められません。Aさんに関して言えば、本人は幸せそうですが、相性の悪い人とはトラブルを起こすこともありますし、収入的にもBさんほど安定はしていません。
ただ、Bさんの抱えている“自分の人生が満たされない感じ”が、Bさんの幸福度に大きなマイナスを与えていることは確かです。もし、今お読みいただいている方が子育て中の保護者さまである場合は、お子さまが優等生でなくても、勉強ができなくても、スポーツができなくても、確かな自己肯定感を持てるように育ててあげてほしいと心から願います。
また、自己肯定感は大人になってからでも高めることができます。もちろん、自己肯定感は生まれ育ちによるところも大きいため一筋縄ではいきませんが、少しずつ考え方を変えていくことは可能です。
次の章からは、自己肯定感の高め方について解説していきます。
発達障害の人が自己肯定感を高めるには
自己肯定感は、高めようと思ってすぐに高められるものではありません。詭弁のようになってしまいますが、「自己肯定感を高めよう」と思っている時点で自己肯定感の低い自分を受け入れられていないことになるため、自己肯定感を高めようと思っている限りは自己肯定感は高まらない…というジレンマに陥ってしまいます。
このジレンマから抜け出すために、自己肯定感についてもう少し細かく分析していきましょう。自己肯定感とは、「失敗しても、ダメ人間でも、そんな自分を丸ごと受け入れられる心の持ち方」のことです。
裏を返すと、自己肯定感が低い人は「失敗した自分/ダメな自分を受け入れられない人」ということになります。つまり、自己肯定感が低い人は「自分は○○でなければならない」という思いが非常に強い人であるとも言えます。
いやいや、そんな高望みをしているわけじゃない。普通の人ができることができないから落ち込んでいるんだ…と発達障害の方は仰るかもしれません。ではなぜ、普通の人ができることを、あなたもできなければならないのでしょうか?
周りに怒られるから?迷惑をかけるから?それともプライドがあるから?人それぞれ答えは違うかもしれませんが、「普通の人ができることは、自分も同じようにできなければならない」というのは単なる思い込みに過ぎません。
車いす利用者の方が、“普通”の人のように自分の足で歩くことができないからといって、あなたは怒ったり、迷惑に感じたりするでしょうか?あるいは、車いす利用者の方は歩けないことを引け目に感じるべきでしょうか?
発達障害の方は、見た目は“普通”の人と変わらないため、当事者自身も“普通”であることにこだわりがちです。ですが、持って生まれた特性はどうしようもないものですし、無理に“普通”に合わせる必要もありません。
また、そもそも“普通”とは曖昧な概念です。Aさんにとっての普通とBさんにとっての普通が同じとは限らず、それぞれが“普通にできる”というハードルを勝手に設定しているだけなのです。
自己肯定感が低い人は、総じて自分に課しているハードルが高すぎる傾向にあります。これは発達障害の人でも高学歴エリートの人でも同じで、「こうあるべき」「これくらいは普通」という設定が高すぎるが故に、自信を無くし、自分はダメなのだと思い込んでしまっています。
自己肯定感を高めたいのであれば、自分に課しているハードルを一度冷静に見直してみましょう。ADHDの方が整理整頓が苦手なのも、ASDの方がコミュニケーションが苦手なのも、それは特性が原因であって仕方の無いことです。
「雰囲気が読めずめちゃくちゃ場違いな発言をしてしまった!でも、上司が上手くツッコミを入れてくれて、結果として笑いになったから良し!」
自己肯定感の低い人には考えられないかもしれませんが、世の中にはこれくらいポジティブに生きている人もたくさんいます。今すぐにポジティブな人間になるのは難しいと思いますが、例えば失敗があったときに「ポジティブな人の場合はどう考えるかな?」と想像するクセを付けてみてはいかがでしょうか。
ポジティブな想像をしていると、気分も軽くなります。サッカー選手の本田圭佑さんは、ACミランに移籍する際の会見で「心の中のリトル・本田に聞いた」と仰っていましたが、あれも一種の自己肯定のテクニックなのではないかと思います。
本田さん自身の中には、移籍に対するプレッシャーや不安といったネガティブな気持ち(=自分には無理だという自己否定)もあったはずです。ですが、リトル・本田という自己肯定感を司る別人格を想定することで、本当にやりたいことに前向きにチャレンジするという決断ができたのではないでしょうか。
自己肯定感の低さに悩んでいる方は、心の中にリトル・○○を作ると良いかもしれませんね。落ち込んでいる自分に対して「そんなこと無いよ!」と励ましてくれる存在が心の中にいれば、心強いと思いませんか?
発達障害の子どもの自己肯定感の育み方
「2.発達障害の人にとっての『自己肯定感』とは」で紹介したとおり、自己肯定感の高さは、幼少期の育てられ方や周りの大人にどんな風に声掛けされたかでほとんど決まってしまいます。
そこでこの章では、今まさに発達障害のお子さまを育てられている保護者さまに向けて、自己肯定感を高める育て方のポイントを紹介していきます。少しの声掛けでお子さまの自己肯定感は大きく変化しますので、ぜひ参考にしていただければと思います。
発達障害の子どもの自己肯定感の育み方①褒める
大人になってからは自分で自分を褒めることで自己肯定感を高めるしかありませんが、子どもの頃は周りの大人がたくさん褒めてあげることで、自己肯定感を高めることができます。
また、行動の結果ではなくプロセスを褒めるようにし、お子さまの存在自体を肯定してあげることが大切です。お子さまが良いことをしたときだけ褒めるのではなく、失敗したときにも次のチャレンジに向けてどう励ますかという視点で声掛けすると良いでしょう。
例えばお子さまが飲み物をこぼしてしまったとき、「ちゃんと持ちなさいと言ったでしょ」「よそ見をするからいけないのよ」と注意や叱責をしてしまう場面は多いと思います。こうした場面でも、「自分で持とうとしたんだよね。ジュースは拭けば大丈夫だよ。一緒に拭いてくれる?」といったように、失敗しても大丈夫だと思えるような声掛けをしましょう。
飲み物をこぼしたことについては、わざわざ叱らなくてもお子さまは十分「やってしまった!」と感じています。そこで厳しく怒るとお子さまは必要以上に自分を責め、「何をやってもダメだ」「大きな声で怒られて辛い、悲しい」というマイナスの感情に支配されてしまいます。
些細なことに感じるかもしれませんが、こうした積み重ねがお子さまの自信を奪い、自己肯定感を下げることにつながります。忙しい子育ての中では、ついつい声を荒げてしまうこともあると思いますが、お子さまを委縮させないことや必要以上に責めないことについては、しっかりと意識していただければと思います。
「褒めろと言われても、褒めるところが見つからない」と仰る保護者さまもいらっしゃいますが、そんなときは、当たり前に出来ていることでも褒めるようにしてあげてください。また、指示に従えた時にもフィードバックとして褒めてあげると良いでしょう。
例えば、「毎日歯磨き出来て偉いね」など日常のルーティンを褒めても良いですし、「片付けなさい」と言って片付けることができたら(多少ぐずぐすした後であっても)、「片付けられたね、すごい!」というように、言われたとおりの行動ができたときはその都度褒めてあげると良いでしょう。
褒めるところが見つからないと仰る保護者さまの場合、お子さまに課しているハードルが高すぎるケースが多いように思われます。このような保護者さまの元で育つと、お子さまも自分自身に高いハードルを課すようになり、大人になってからも条件付きの自己肯定しかできないようになってしまいます。
自己肯定感を高めるためには、ハードルは低ければ低いほど良いということを念頭に置き、小さなことでもしっかり褒めてあげるようにしましょう。
発達障害の子どもの自己肯定感の育み方②気持ちを受け止める
自分の気持ちを聞いてもらえるかどうかは、自己肯定感を育む際にとても重要です。お子さまにはお子さまなりの感情や言い分があるにも関わらず、それに耳を傾けず、「泣いたってしょうがないでしょ」「とにかく謝りなさい」という指導を続けていると、お子さまは「どうせ自分なんて…」という思考に陥ってしまいます。
私が以前受け持ったASDのお子さまのCさんは、特性のために学校でのトラブルが絶えませんでした。本人が良かれと思ってやったことが周りにとっては迷惑であったり、余計な一言を言ってしまったり、係活動で協力できなかったりと、周りの子どもたちを戸惑わせてしまう場面が多かったようです。
保護者さまも学校から連日電話でトラブルの顛末を聞いていたそうですが、保護者の立場から見ても、Cさんに責任があると思えるものばかりだったそうです。
トラブルが重なるにつれ、Cさんの自己肯定感はどんどんと下がっていってしまいました。小学校に入るまではそんな素振りは全く無かったのに、「自分なんて…」「自分は皆に嫌われているから」と口に出すことが増え、作文などでも「ダメな自分」という前提で書いている内容のものが増えたそうです。
そこで保護者さまがCさんの話をよく聞いてみると、トラブルがあったときの指導で先生から、「Cさんもちゃんと言葉にして伝えてね」「黙っていたら『嫌だ』って分からないよ」など、Cさんの特性により苦手な部分を注意されることが多かったそうです。また、Cさんなりの言い分を伝えようとすると、「それは言い訳だよ」と否定されてしまうこともありました。
そのような指導を受けたCさんは、「自分の特性がトラブルの原因で、結局全て自分が悪いんだ」と感じてしまっていました。ご家庭では特性に関する叱責はしないようにしていましたが、学校での指導によって自己肯定感が下がってしまったケースと言えます。
ところが、小学3年生に上がった頃から、Cさんの表情はどんどん明るくなってきました。不思議に思った保護者さまがCさんに理由を尋ねると、「今の先生は、自分の気持ちを聞いてから注意をしてくれる」という答えが返ってきました。
小学3年生のときの担任のD先生は、それまでの先生と違い、指導の際にまず「Cさんはどんな気持ちだった?」と聞いてくれるそうです。Cさんがそれに答えると、「そうか、それは嫌な気持ちにもなるよね。先生もわかるよ」と一旦気持ちを受け止めてくれたそうです。
指導の内容自体は、「気持ちを言葉にしよう」という小学2年生までの担任の先生と変わりませんが、一旦気持ちを受け止めてもらえたことでCさんは「自分の気持ち自体は“あって良いもの”なんだ」と捉えることができ、心の中にD先生という安全基地を作ることができました。
自己肯定感を保つためには、失敗しても、自分にダメな部分があっても、「ここに戻れば受け入れてもらえる」という安全基地を作ることが大切です。安全基地は物理的なものや具体的な人(お母さんの抱っこ、理解ある先生)から始まり、やがて自分自身の心に内包されていきます。
具体的な他者がいなくても、自分で自分を受け入れ安心させてあげられるのが「自己肯定感」です。幼少期においては、まず周りの大人がお子さまの心の安全基地となり、やがて自分自身で安全基地を作れるようサポートしていくことが大切です。
発達障害の子どもの自己肯定感の育み方③否定形での声掛けを避ける
子育てをしていると、どうしても「○○しちゃダメ」「○○しないで」という否定形の声掛けが多くなってしまいます。それ自体は仕方の無い部分もありますが、できる限り肯定的な言葉で声掛けすることで、お子さまの自己肯定感が下がらないようにすることができます。
最近では、専門家が監修する「声かけ変換表」なども本やインターネットなどに掲載されています(参考:支援ツールのシェア (rakurakumom.com))。よく使ってしまう否定形の声掛けについて、どう言い換えれば良いかが一対一対応で分かるようになっていますので、参考にしてみると良いでしょう。
〇否定形ではなく、してほしい行動を肯定形で伝える
- 走らないで → 歩こうね
- ○○しないで → △△してね
〇「ちょっと」「ちゃんと」など抽象的な表現を避け、具体的に伝える
- ちょっと待って → 2分待って/20数える間待って
- ちゃんと食べて → 椅子に座って、よそ見をしないで食べよう
- うるさいよ → 『これくらい』の声でお話しできる? ※具体的にやってみせる
〇前向きに取り組めるようなアドバイスやヒントを交える
- 早くしなさい → 早くしたらたくさん遊べるよ
- 何度も言わせないで → どうすれば良いか考えてみよう
- だから失敗するんでしょ → 失敗しても○○したら大丈夫だよ
発達障害の子どもの自己肯定感の育み方④スキンシップ
自己肯定感を育むためには、幼少期に養育者との適切な愛着関係を築くことが重要です。愛着関係とは、子どもと養育者の間にある特別な絆や信頼感のことで、この愛着関係があるからこそ、子どもは「自分には価値がある」と実感し、自分を肯定することができるようになります。
この愛着関係を築くために、スキンシップは非常に重要です。嬉しい/楽しい/気持ちいいと感じたとき、人間の脳内からは「オキシトシン」というホルモンが分泌されます。オキシトシンは「愛情ホルモン」「幸せホルモン」とも呼ばれていて、相手への愛情を深めるだけでなく、ストレス反応を弱め、情緒を安定させる効果があることがわかっています。(参考:花王 メリーズ 愛情ホルモン「オキシトシン」 (kao.co.jp))
幼い頃からお父さんやお母さん、保育士さんなどとスキンシップを取ることで、お子さまの脳内にはたくさんのオキシトシンが分泌されます。特に生後1年間までにオキシトシンの影響を受けることが重要で、この時期にしっかりとオキシトシンが分泌された赤ちゃんは、オキシトシンが出やすい脳になり、ストレス耐性を身に付けることができます。また、大人になってからも他人に対して親近感が持てるなど、豊かな人間関係を築くことにもつながります。
物心がつく前であっても、「人と触れ合うことは気持ち良い」という経験をさせてあげることが大切です。親子の愛情を深めることは、ストレスに負けない心身を育むことにもつながりますので、積極的なスキンシップを心掛けましょう。
仕事をしていてなかなかお子さまと触れ合う機会が無いという保護者さまも、一日一回はお子さまをぎゅっと抱きしめる時間を作るようにすると良いでしょう。オキシトシンには相互作用があり、抱きしめられたお子さまだけでなく、抱きしめている保護者さまの脳内でも分泌されます。お父さん・お母さんが幸せな気持ちになることで、お子さまもより幸せで落ち着いた気分になりますので、ぜひ試していただきたいと思います。
発達障害と自己肯定感のまとめ
この記事では、発達障害と自己肯定感の関係や、自己肯定感の高め方について詳しく解説してきました。改めてポイントをまとめると、以下のとおりです。
- 発達障害の方は、失敗体験や怒られる機会が多いことから、自己肯定感が下がりやすい傾向にある
- 発達障害の方が持ちやすい「白黒思考(完璧主義)」も自己肯定感の低下につながる場合がある
- 発達障害の方は、自己肯定感の低さや見通しを持つ力の弱さから、マルチ商法やカルト宗教に巻き込まれることがある
- 自己肯定感とは、失敗やダメな部分も含めて、自分自身を丸ごと肯定する心の在り方のこと
- 能力値が高い人でも、自己肯定感は低い場合がある
- 自己肯定感は幼少期の育てられ方に大きく影響を受ける
- 自己肯定感を高めるためには、失敗やダメな部分もポジティブに捉えるクセをつけると良い
- 子どもの自己肯定感を高めるためには、たくさん褒め、存在そのものを肯定する声掛けをすると良い
- 赤ちゃんの頃のスキンシップは、大人になってからの自己肯定感にも影響を与える
発達障害の方は自己肯定感が低い場合が多く、特性による困りごとよりも、自己肯定感の低さによる生きづらさの方が辛いという人も少なくありません。自己肯定感は幼少期の育てられ方に大きく影響を受けるため、大人になってから高めるには相当の時間が掛かりますが、あきらめずに少しずつ考え方を変えていくことが大切です。
私たちプロ家庭教師メガジュンでは、長年にわたり発達障害のお子さまの学習支援を行ってきました。勉強で自信を付けることは、お子さまの自己肯定感を高めることにつながりますし、代表の妻鹿潤は現役のキャリアアドバイザーでもあることから、お子さまの自己肯定感やパーソナリティを分析した上で進路をご提案し、コーチングすることも可能です。
発達障害に関して確かな知見のあるプロ家庭教師をお探しの方は、ぜひ一度プロ家庭教師メガジュンまでお問い合わせください。
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さらに、プロ家庭教師メガジュンでは、体験授業の講師がお申し込み後も継続して担当いたします。「体験授業の先生が良かったのに、申し込んだら別の先生になってしまった…」ということもありませんのでご安心ください。
1人でも多くのお子さまが、自分らしく伸び伸びと生きていけるよう、一同全力でサポートしてまいります。
最後までお読みいただきありがとうございました。