不登校になった高校1年生Yさんとの奮闘記②〜不登校から学校登校直前まで〜
2021.06.20

〜この記事は前回記事の不登校になった高校1年生Yさんとの奮闘記①〜不登校になるまで〜
の続きの記事になります〜

前回記事ではYさんがなぜ・どのように不登校になってしまったのか。
今回の記事では不登校からどのように私の授業を受けるに至ったのか。
実話をベースにした奮闘記をご紹介します。

Yさんとの初回授業に向けて

初回授業に向けて
いよいよ、Yさんの初回授業が近づいてきました。

経験やノウハウをどれだけ積んできても、初回授業は緊張します。
それは、不登校のお子様の初回授業はミスが許されないからです。

私も初回授業は緊張しますが、その何倍もお子様は緊張してます。

不登校のお子様は、この初回授業までにさまざまな葛藤や不安は抱えてきて、乗り越えて。それでもやっぱり不安で。
そういった闘いを何周も何周も重ねて、「不登校や勉強に対して、前向きな気持ちを持って向き合おう」。

そう思い至った末での初回授業なのです。

この初回授業での私の失敗は、そのまま、お子様が「やっぱり勉強は難しいかもしれない」という失意に変わりかねません。

だからこそ、初回授業を終えた時には、お子様がかならず「勉強、うまく行きそうかも」と希望を持った状態で終えなければいけないのです。

さらに言えば、「この人となら一緒に頑張っていけるかも」と信頼してもらえることも不可欠です。
不登校のお子様は人間関係で不登校に至った場合も多く、久しぶりの家族以外の人間に対して警戒心が高くなりがちだからです。

授業の前半で信頼関係を築き、不安に思っていた勉強が「分かる」と実感してもらい、今後の勉強に希望が持てる状態。
ここまでが初回授業のワンセットで、確実に達成しなければいけないことなのです。

だからこそ、やれることはすべてやります。
その中で、保護者様との連携は大きな力になります。

Yさんの時も、事前にお母様からYさんに「私がどんな人か」を伝えて、心理的なハードルを下げてました。
また、お母様から事前に中間テストの問題と解答用紙を共有してもらっていました。
本当に助かります。

Yさんの今の不安の大半には、中間テストの点数の低さがあります。
この不安を払拭することが今後の勉強に希望が持てる、第一歩だと思いました。

いよいよ始まる、Yさんとの初回授業

初回授業
「初めまして、英語を教える妻鹿です。よろしくお願いします!」
無理に装わず、自然体でYさんに話しかけました。

Yさんは少したじろいでましたが、こちらはそのまま自然体で話し続けます。

「次の英語の期末テストの範囲、知ってるかな??
英語表現は完了形と助動詞がテスト範囲。コミュニケーション英語は教科書P42-68までがテスト範囲。それぞれ、テストで点数を取るためには、どんな勉強をすれば良いか、分かるかな??」

私はあえて自己紹介も雑談もあまりせず、「テストで点数を取ること」「勉強でついていけるようになるには、どうすれば良いのか」に絞って話しました。

「いや、分からないです。。」Yさんは答えてくれ、私はどうすれば点数を取れるかを細かく伝えました。

・定期テストは、英語表現の点数が良ければそれで十分であること。

・GMARCH・関関同立以上に行くためには、3年生になるまでに英単語を1800語覚えて、英熟語を800語覚えて、23単元の英文法を理解するだけで良いこと。

・コミュニケーション英語のテストで点数が取れなくても、英語表現の文法を押さえていれば受験対策は十分であること。

・大学受験では学校のテストの成績は一切、気にしなくて良いこと。

・英語表現のテストは学校の先生が配布しているプリントからの出題が70%、残りは問題集から30%出題されること

・英語表現は穴埋め問題が30点、並び替え問題が30点、書き換え問題が20点、英作文問題が20点であること。

・平均点は60点前後であることが多く、目標点の70点を取るためには、英作文で10-15点、それ以外のケアレスミスで15点まで失点しても良いこと。

・穴埋め問題・並び替え問題・書き換え問題は全て完答できる状態でテストに臨むこと。

・完答するためには、テストまでにプリントと問題集を3周終えて、別の文法問題集よりテスト範囲を2冊対策すれば良いこと

・1周目で「もう間違うことがない問題を◯」「解けたけど怪しい問題を△」「解けなかった問題を×」して、2周目以降は△と×だけ解けば良いこと

・上記の勉強をするために、今週は7時。間英語に時間を割いてもらえれば十分であること。

ここまで細かく1つ1つていねいに説明を行い、「なぜ、上記をやり切れば目標点数70点が確実に達成できそうか」「そのためには具体的に、何をどれくらいやれば良いか」を教えました。
また、その見せた分量が「意外としんどくない、いけるかも」と思ってもらえるように計画を組みました。

同時に、上記の説明を行いながら「これができていなかったから、中間テストは点数が取れなかっただけなんだ」と気づいてもらうような伝え方をしました。

Yさんも、ここまでテストや受験に詳しくて堂々と話す私に、「この先生についていけば、勉強なんとかなるかも」と多少思ってもらえたようでした。

「頭が悪いから点数が悪いわけじゃないんだ」
「取り返しがつかないところまで来ているわけじゃないんだ」
「教えてもらったやり方で、中間テストをやり切れていなかっただけだったんだ」
「中間テストでできなかった勉強を夏休みに行えば、積み残しはゼロになるんだ」

Yさんは少しずつ、「期末テストいけるかも」「積み残しも夏休みで返せそうかも」と思ってくれたようで、目に力が宿り、少し明るさを取り戻したような雰囲気でした。

この辺りで初めて、私が定期テストや受験のプロであることなど自己紹介を行いました。
そうするとYさんも合わせて、自己紹介をしてくれました。

思っていたよりも長くしてくれた自己紹介。
抑揚を含めた話し方に、少しずつですが心を開いてくれたように感じました。

最後に、これから期末テストまでいつ・何回・どんな授業を行うか。
どこを宿題で勉強すれば良いか。どれくらいの分量かを全て伝えました。

それをやり切れば、確実に目標点数を取れること。
目標点数を取れれば、GMARCH・関関同立以上の志望校を目指せる学力を確保できていることを伝えました。

90分を終え、お母様からお電話がありました。
「Yから、期末テストも受験も、何とかなるかもしれないと思った。次の授業もお願いしたいと言ってました」と嬉しそうに言って下さりました。

Yさんとの2回目以降の授業

2回目以降の授業

2回目以降も、1回目の授業に引き続いての期末テスト対策授業を行いました。
とにかく分かりやすい授業を心がけること。
一緒に学習計画を作り、「今日、何の勉強を、どんな風にすれば良いか」を、Yさんが迷う隙を与えないくらい明確にすること。
そして、目標点数を取るために必要な勉強計画が滞りなく進行していることを伝えました。

Yさんも勉強や私に対して、少しずつ余裕が出てきたのか、自分のことを話してくれたり、質問の数も増えてきました。
「これが本当のYさんなんだろうな」と思えるような、Yさんの心や力がこもった言葉や表情になってきたのでした。

そして、勉強が分かる・計画が進行できてる実感を伴うほど「期末テストを受けたい」という気持ちになっているように感じました。
それはそのまま、学校に行く気持ちが上がってきているように見えました。

でも、勉強への不安は小さくなってきましたが、学校に登校することへの不安は残ってます。

ここまで来れば、「期末テストいけそうだ」「ここまで期末テスト対策やったんだから、テストを受けたい」という気持ちが、Yさんを登校へ後押しをしてくれます。

「学校に行くことへの不安と、期待が綱引きをしている状態」
Yさんとしてはかなりしんどい状態ですが、ここを乗り切り、期末テストに向かってほしいと最後は願うばかりでした。