【実例あり】不登校から有名私立大学に現役合格するための6つの方法
不登校のお子さまにとって必要な大学受験に関する情報や勉強法を、このブログ記事にまとめました。
16年間教育業界に関わってきた、不登校専門のプロ家庭教師・キャリアアドバイザーとしてのノウハウをご紹介します。
「不登校だった時期がありますが、大学受験で皆と違う勉強が必要でしょうか?」
「学校の成績や出席日数はどのように加味されるのでしょうか?」
多くの人にとって、大学は最終学歴となります。学歴社会であるこの日本では、
大学受験がお子さまの人生を左右することも少なくありません。
不登校のお子さまを持つ保護者さまの声からは、「希望の大学に合格させたい」「お子さまにうまくいってほしい」という親心が伝わってきます。
不登校を経験すると、どうしても学習の遅れが気になってしまいますよね。ですが、保護者さまが思われているほど、不登校×大学受験は難しいものではありません。
一方で、不登校を経験した子どもたちが大学受験で成功するには、いくつかのポイントがあります。
そこで、この記事では、そのポイントやノウハウを内容別にまとめました。
あらゆる情報を1つの記事にまとめたため、かなりの長文となっていますが、気になる項目を読んでいただくだけでも構いません。
ぜひ、ご興味のある項目やお子さまが該当する項目からご覧ください。
タイトルにある6つの方法は、項目1-6のことで、項目7以降は「体験談」や「まとめ」などの補足情報になります。
不登校専門の受験プロ家庭教師
妻鹿潤
・個別指導塾の経営・運営でお子様の性質・学力を深く観る指導スタイル
・yahooやSmartNews、Newspicksなどメディア向け記事も多数執筆・掲載中
▼目次
【不登校の大学受験には「高卒資格」が必須】
不登校の経験があっても、大学に合格することはできるのでしょうか。
多くのお子さまや保護者さまが不安に思われるのは、「学校に行っていない期間があるため、学力に自信がない」「学校の成績や出席日数で不利になるのではないか」といった点です。
では、これらの不安が本当に大学受験においてネックになるのか、一つ一つ確認していきましょう。
大前提として、大学受験に必要なものは「高卒資格」であり、その取得方法は大きく分けて以下の二つです。
・高等学校卒業程度認定試験(いわゆる高卒認定試験)に合格する
ですので、たとえ高校を卒業していなくても、高卒認定試験にさえ合格すれば、大学に出願することはできます。高卒認定試験については、後ほど詳しくご紹介します。
(ちなみに、高卒認定試験に合格しても、18歳以上になる年度までは出願できません。日本の制度では、飛び級は不可ということになります。)
さて、高校で不登校のお子さまにとっては、単位の取得や出席日数が最も不安な点かと思います。実際にはどれくらいの単位が必要で、出席日数の目安はどの程度なのでしょうか。
まず、高校を卒業するために必要な要件は、
・必履修科目の履修
・74単位以上の習得
となっています。
また、1つの単位を習得するためには全体の3分の2以上の出席が必要です。
ですので、出席日数の目安としても、年間3分の1以上休んでしまうと単位が取れず、3年での卒業が難しくなると考えられます。
授業時間数についてもう少し詳しく知るために、学習指導要領を参照してみると、
・1単位時間を50分とし、35単位時間の授業を1単位として計算することを標準とする
・全日制の課程における週当たりの授業時数は、30単位時間を標準とする
とあります。要するに、
・1回の授業時間は50分で、35回受けると1単位になる
・週当たりの授業回数は30回
ですので、標準的にいえば、30コマ×35週の授業を受けることで、年間で30単位が取得できることになります。
これを見て、なかなかハードルが高いと感じられる保護者さまやお子さまもいらっしゃると思います。
ですが、諦める必要はありません。今通っている学校でも、工夫すれば必要な単位を取得できる場合がありますし、転学などによってお子さまにとってより負担のない形で単位が取得できる場合もあります。
パターン1:別室登校・保健室登校
自分の教室で授業を受けることが難しい場合でも、保健室登校や別室登校によって「出席」とみなされることがあります。
普段から保健室に通って自習や個別指導を受けるのか、あるいは試験だけ保健室で受けるのか、いろいろなパターンがあるでしょう。学校にどこまで対応してもらえるかはケースバイケースなので、まずは学校に相談してみましょう。
出席日数や卒業要件とは直接関係ありませんが、不登校のお子さまにとって、「朝起きて(たとえ保健室であっても)学校に行く」という習慣はとても重要です。
生活リズムを整える意味でも、選択肢の一つとして考えてみてはいかがでしょうか。
パターン2:通信制高校
一般的に高校というと、朝から夕方まで授業を受ける「全日制高校」をイメージしますが、他にも、
・夕方から夜、あるいはその他の時間帯で通学する「定時制高校」
があります。
通信制高校では、学校にほとんど通わなくてよく、学校から教材が送られてくるので、それを元に自分で勉強します。
「通信制高校出身だと、大学入試で評点がマイナスになるのでは?」といった不安の声をお聞きすることがありますが、そういったことは一切ありませんので安心してください。
通信制高校は、学校に通う必要がない分、レポート提出などで単位認定を行います。
また、全く通学しなくてよいわけではなく、「面接指導(スクーリング)」といって、年に数回は学校に通う必要があります。レポート提出やスク-リングの回数は学校によって異なりますが、学習指導要領において標準的なものが示されています。
全日制高校から通信制高校へ転学したい場合は、入学時期に注意しましょう。
転学には「転入」と「編入」の2種類あり、それぞれで入学可能な時期が異なります。
・編入(高校を一旦辞めてから、別の高校に入り直す)→年度初め・学期初めなど時期限定
※高1の途中で全日制高校を中退した場合は、単位修得数が0のため、「編入」ではなく「再入学」になります。
また、通信制高校では、単位認定のタイミングが年に複数回設けられていることがあります。
たとえば年度途中で転入した場合、全日制への転入であれば出席日数が足りず、その年度では一切単位が取れないケースがあります。
ですが、通信制であれば、一部の単位は年度内に取得できるケースがあります。
自分のペースで勉強できる通信制高校ですが、在籍期間は3年以上とされています。
ですので、1年次から速いペースで単位を取得していっても、早めに卒業できるわけではありません。
学費の目安は、公立なら年間3~5万円、私立であれば年間10~100万円程度になります。
パターン3:定時制高校
定時制高校としてよくイメージされるのが、夜の時間帯に授業を行う「夜間定時制」ですが、そのほかに「昼間二部定時制」と「三部制」があり、授業を行う時間帯が以下のとおり異なります。
・昼間二部定時制:午前~午後で2部制
・三部制:朝・昼・夜の3部制
朝起きるのが苦手であったり、大勢と一緒に学ぶ教室が苦手であったりするお子さまにとって、定時制は一つの選択肢になります。
保護者さまの世代ですと、定時制高校は経済的な理由から、働きながら通うものといったイメージが強いかもしれません。
ですが、今の定時制高校は、中学校の勉強の学び直しや不登校支援など、様々なニーズに応える場所にもなりつつあります。
例えば、京都府立清明高校は、昼間二部制の定時制高校です。そのコンセプトは「学びアンダンテ 〜自分のペースで学ぶ〜」。
・様々な志望動機や学習経験を持つ生徒に、社会的自立を図るための確かな学力と社会生活実践力を身に付けさせ、豊かな人間性を育む教育を推進します。
・一人ひとりの生徒が昼間の時間帯に自分のペースで、ゆっくり・じっくり・しっかりと学習し、自己の成長を実感できる教育を推進します。
中学校で不登校であったり、学習につまずきがあったりする子どもたちを受け入れるために設置された公立の高校です。小学校の内容から復習ができたり、朝起きるのが苦手な子は午後からのカリキュラムを組んだりすることができます。
実は、このようなコンセプトの定時制高校は全国的に年々増えてきています。
ご紹介した清明高校は京都府立高校なので、京都府以外の地域に住んでいる方は入学することはできませんが、例えば大阪府であれば、一部の府立高校を「エンパワメントスクール」と位置づけ、多様なニーズに応える取組を行っています。
参考:
・「京都府立清明高校」
・「大阪府 エンパワメントスクール」
このような多様なニーズに応えるために設置された高校では、独自の入試試験を行っている場合も少なくありません。学力に自信が無くても、面接や小論文で合格することが可能です。
これから高校選びをされる方、あるいは転学を考えている方は、ぜひお住まいの地域の高校について調べてみてください。「○○県立高校 不登校」で検索したり、都道府県教育委員会に問い合わせてみたりすると良いでしょう。
ただ、定時制高校では1日当たりの授業時間数が全日制に比べて少なくなるため、現役での卒業に4年かかる場合があります。3年卒業か4年卒業かを選べる高校もありますので、卒業に必要な年数についても、確認しておきましょう。
学費の目安は、公立で年間13万円、私立で50万円程度になります。
【高校に行かなくても高卒資格が取れる、高卒認定試験について詳しく】
たとえ高校を卒業しなくても、高校学校卒業程度認定試験(いわゆる高卒認定試験)にさえ合格すれば高卒資格を得ることができます。
高卒認定試験は何となく難しそうと思われている方も多いかもしれませんが、3年間高校に通い続けるよりは、こちらの方がハードルが低いと感じられるお子さまも多くいらっしゃいます。
高卒認定試験は全部で8~10科目なのですが、
・100点中40点取れれば、その科目は合格
・ほぼ全ての問題が4択
・一度合格となった科目の合格は永久に有効
しかも、試験は毎年2回(8月・11月)に実施されます。
全ての科目に合格するまで何回でも挑戦できますし、高校に通う3年間であれば6回受験可能です。
また、合格点が40点と比較的低いことも大きなメリットです。自分が得意な単元だけ勉強しても、合格点に達することは十分可能です。
出題内容は毎回同じものが多く、過去問の演習が効果的です。知識が無くても問題文を読み込むことで解けるものも多いので、読解力があるお子さまはさらに合格しやすいでしょう。
さらに、高校で一部の単位を取得していた場合は、その科目が免除となるケースがあります。目安でいうと、高校に1年生終わりまでの1年間通っていた場合は4科目程度、高校2年生終わりまでの2年間通っていた場合は、6-8科目程度免除になります。
また、英検や数検などの資格試験も、級数によって免除になる場合があります。
上述のように、お子さまの状況によっては1-2科目合格するだけで高卒資格が得られるケースもあるので、自分の習得している単位や資格試験の状況は必ず確認するようにしましょう。
(ちなみに、高卒認定試験の科目に合格することで、逆に学校での授業が免除されるケースもあります。)
ただし、高卒認定試験に合格しても、正式な学歴とはなりません。あくまで、大学受験に必要な「高卒資格」が得られるのみです。
ですので、大学や専門学校に進学しない限り、最終学歴は「中卒」となってしまうため注意が必要です。
また、高卒認定試験では、中学〜高校1年生レベルの内容しか出題されません。
そのため、大学進学を目指すのであれば、高2以降の内容についても勉強する必要があります。
高卒認定試験受験の費用は全科目受験で8,500円、会場や申込方法などは文部科学省のHPで確認できます。
参考:「高卒認定試験(文科省)」
【大学受験合格の最重要ポイントは「志望校選び」】
不登校のお子さまが大学受験をする際に最も重要なのが、志望校選びです。どの大学・学部をどの受験方式で受験するか次第で、勉強量が半分以下になり、合否にも大きく影響します。
不登校のお子さまは、学校に行っていない期間の勉強の遅れを取り戻さなければなりません。
不登校のお子さまの勉強の遅れの取り戻しに着いては、別記事にも詳細にまとめておりますので、よろしければご参考にしてください。
「不登校中の勉強の遅れ、どう対策する?受験にどこまで不利?」
また、大学進学を決心する時期が遅かった際には、試験日まで時間が無いケースも多いため、効率的な勉強が必要になります。そのため、志望校選びにおいては、
2、入試難易度
3、出題方式
の3つが非常に重要なポイントになります。
最適な入試科目と配点について
得意な科目の配点が高く、不得意な科目は不要あるいは配点の低い大学を選ぶ「振り切り型」の志望校選びがオススメです。例えば、数学・理科が得意で、英語・国語が不得意な、いわゆる理系のお子さまであれば、「数学・理科の配点が高く」「英語・国語は不要あるいは配点が低い」学校を探します。
入試難易度
例えば関関同立であっても、科目ごとの難易度は大学によって違います。
立命館大学は古文と日本史の難易度が非常に高く、逆に現代文の難易度はそれほど高くありません。
そのため、古文や日本史が得意なお子さまで関関同立志望の場合、立命館大学と相性が良いということになります。
出題方式
入試では「学部ごとに違う傾向の問題を出す大学」と「学部ごとに同じ傾向の問題を出す大学」の2パターンがあります。
関西大学や近畿大学は、どの学部でも同じ傾向の問題が出ます。ですが、早稲田大学では、学部ごとに全く違う問題が出題されます。
早稲田大学のように学部ごとに問題が異なる大学を受験する場合は、これまで述べたとおり、自分と問題の相性が良い学部を選ぶのがオススメです。
自分の得意な分野と大学の出題傾向が分かれば、あとは各大学の合格平均点を参考にして、具体的に「どの科目の」「どの問題で」「何点を取るか」を明確にしましょう。そこから自ずと、やるべき勉強内容や学習方法が見えてきます。
とはいえ、大学に入学した後もお子さまの人生は続きます。
合格しやすい大学を選ぶことはもちろん大切であり、コスパの良い大学受験のための受験術・勉強法も大切です。
また、自身に適した入試方法の大学は、お子さまにとって最適な環境であることも多いです。(それは、基本的に大学は「入学してほしい学生像」を達成するための入試問題を出題することがほとんどのためです)
しかし、それだけではなく、「お子さま自身がどんな人生を描いているか」「客観的な資質を鑑みて、どのような職業と相性が良いか」も志望校選びにおいて重要な要素です。
お子さまが将来、看護や医歯薬、学校や幼稚園・保育園の先生といった資格系の職業につきたい場合は、それに特化した学部・学科に進学する必要があります。
また、研究職など理系分野の就職を志望する場合も、理系学部への進学は必須となるでしょう。
また、文系分野でも弁護士や司法書士、公認会計士や税理士といった士業系の職業を目指すならば、関連した学科への進学が必要です。弁護士なら法学部、公認会計士や税理士であれば商学部系への進学がオススメです。
ただ、文系の資格系職業の多くは、その学部・学科への進学がそのまま受験資格となるわけではありません。
なので、時間やコストは余分にかかるものの、一旦大学に進学してから、資格試験の勉強をすることも可能です。
【大学受験の面接はどうする?】
大学受験では、指定校推薦やAO入試、あるいは医療系の学部を選択しない限り、まず面接はありません。ですので、面接が苦手だからといってそこまで気にする必要はありませんし、不登校経験を語らなくてはならない、という場面もほぼありません。
指定校推薦を受けられるのは、ごく一部の生徒です。具体的には、高校1年生から高校3年生の1学期までの評定平均が5段階中4以上であることが目安と言われています。評定平均は主に定期テストから算出されるので、不登校のお子さまにとってはあまり現実的ではありません。
AO入試では面接がありますが、AO入試で出席状況をどこまで重視するかは大学によります。志望校がAO入試でどこまで出席状況を重視するか、高校の進路相談室や、塾・予備校などで確認しておきましょう。
【大学に入れば、不登校は解消する?】
大学に進学したことをきっかけに、不登校が解消されるケースは非常に多いです。
大学では、中学や高校と違い、
②人間関係をある程度自分でコントロールできる
③自他ともに人間的に成熟し、多様性が認められる
といった特徴があります。
例えば、小・中・高校では、登校から下校まで、ずっと同じクラスで過ごします。
クラスメイト30~40人全員が顔見知りで、中学や高校では部活に入ることが前提、部活に入らないといわゆる“隠キャ”扱い。さらに、体育祭や修学旅行などの課外活動、挙げ句は休み時間までクラス内で完結しないといけません。
あるお子さまは、この閉鎖的な人間関係を「檻」と表現していました。クラスが決まれば、1年間はその人間関係を変えられない、逃げられない――まさに「檻」ですよね。
ですが、大学は単位制です。いくつか必修の授業はありますが、自分で好きな授業を選べますし、苦手な人がいても、授業をうまく選べば避けられます。
それに、大学1年生で受ける授業の大半は、大講義室での講義です。
100人以上の学生が自由な席に座るので、好きな人の近くに座り、嫌いな人からは遠い席に座れば問題ありません。そもそも、1学年の人数が数百〜数千人なので、知らない人がいて当然、学年全員の顔を知ろうという人もいません。
また、授業への出席が不要で、学期ごとのテストだけで単位が取得できる講座も多くあります。毎日授業に出席して顔を合わせるわけではないので、同学年の人間関係は良くも悪くも希薄になります。
学年揃ってのイベントなどもほぼありません。
なので、無理に仲の良い人間を作ってグループに入らないといけない、というようなこともありません。昼休みや授業の間の休憩時間も、皆、それぞれ自由に過ごしています。
ぼっち飯、などと言われていますが、私の通っていた大学でも一人でご飯を食べている人も多く、特に誰も気にしていませんでした。
大学にも部活はありますが、入る人はかなり少数派です。多くの人はサークルに入りますが、自由に選ぶことができ、辞めることも日常茶飯事です。中高の部活とはかなり雰囲気が違いますし、そもそも、サークルに入らないという人もいます。
アルバイトもサークルと同様、自由に選べ、辞めることも当然あります。サークルであれば、2回生以降で別サークルに入るのはやや抵抗を感じる面がありますが、アルバイトであればどの学年のどの時期に入っても、特に誰も気にしません。
学年、サークル、アルバイト――大学生になれば、自分で自由に好きなコミュニティを探すことができます。合わないなら辞めることもできますし、参加する度合いや人と会う頻度も自分で調節することができます。
さらに大学には、社会人から大学に入り直した人、留学生、不登校経験のある人、発達障害を持つ人、そのほか様々な経験や過去を持った人もたくさんいます。大学は、多様な人間が集まる場所なのです。なので、小中高で「変」と思われていることも、大学では「個性」として受け入れられることは多くあります。
大学生にもなると、海外に行ったり、ボランティアやインターンなど様々な世界を経験したりして、多種多様な個性への理解や配慮が進むため、不登校の経験がマイナスに捉えられる機会は減っていきます。また、精神的にも成熟してくるので、人と違う経験を持つからと言って、いちいち攻撃してくる人もあまりいません。
総じて、大学は小中高よりもはるかに自由で、周りの理解も進みます。不登校のお子さまでも問題無く伸び伸びと過ごせるケースがほとんどですので、安心して進学してくださいね。
(反面、社会人はまた「檻」に戻ることになります。そのため、どのような職業・職場に就くか、そのためにどのような大学生活を過ごせば良いか、は重要です)
【不登校期間が長くても、大学での勉強はついて行けるの?】
大学の勉強は、小中高の勉強の延長ではありません。
大学は、勉強ではなく「学問」を修める場所です。ですので、「大学の勉強についていけるのか」という心配はまず不要です。
特に文系の場合、大学の授業の90%以上は、大学に入って初めて習う内容です。
なので、小中高の勉強の遅れや蓄積がないことは、ほぼ全く問題になりません。
ですが、英語だけは中高の延長になります。たいていの大学では1・2年生の必修科目になっているので、英語がどうしても苦手な場合は対策を行いましょう。
とはいえ、わざわざ新しい参考書を買ったりしなくても大丈夫です。基本的には高校の復習で問題ありません。単語・熟語・文法・長文問題をバランス良く解いておきましょう。
リスニングは、国際系や外国語系であれば必要ですが、そうでなければリスニング対策はそれほど必要ありません。
ただし、就職において大手企業を志望する場合、TOEICの点数が加味される場合があります。TOEICではリスニングも重要ですので、大手企業を志望する方は、大学に入ってからもリスニング対策を続けましょう。
理系の場合では、進学した学部・学科の知識は必要ですが、それ以外の科目の知識を使うことはほぼありません。
理学部の数学科であれば数学の勉強が、物理学科であれば物理の勉強が必要ですが、そもそも数学や物理が得意でその学科に合格しているはずです。必要な知識は十分身に付けられていますので、不安に思わなくても大丈夫です。
工学部では数学や物理の勉強が土台になりますが、こちらも数学科や物理学科と同様に、合格に必要な科目の点数がきちんと取れているということですので、心配はいりません。
【体験談:不登校×大学受験で関西大学に合格】
高校1年生で不登校になったTさんの実例を元に、不登校からの大学合格への一例をご紹介します。
Tさんは、自身の実力より少し上位の高校に合格しました。中学時代は成績も上位でしたが、高校に入ってからは周りのレベルも高く、初回のテストで平均より少し下の点数を取ってしまいました。
真面目なTさんは、「平均点より下などあり得ない」と勉強量を増やしました。ですが、勉強量を増やしても大きく点数を伸ばすことはできず、頑張っても頑張っても成績上位は取れませんでした。
そして、どんどん難しくなる・進度も早い学校の授業。中学校までは、自分が「真面目で賢い」ポジションだったのに、高校に入ってからは周りもみんな「真面目」で、しかも自分より「賢い」。Tさんは、自分のポジションが失われていくような心地がしました。
そして徐々に、学校に行くこと、毎日の大量の課題をこなすこと、定期テストを受けることがしんどくなり、2学期になってからは欠席が目立つようになりました。それから3学期、冬休みが明ける頃には、学校に行ける日の方が少なくなりました。
かつては真面目で賢かった自分が、今は学校に行くことすらできていない――Tさんは、自分を責め続けていました。
そんな中であってもTさんは、学校に行けていないながらも、少しずつですが単語帳を覚えたり、教科書をわかる範囲で進めたりしていました。
一方で、Tさんの中では「学校に行かないといけない」「学校の友達に今、私はどう思われているだろう?」というしんどさがずっと頭から離れず、しんどい気持ちが続いていました。
私は、Tさんや親御さんから相談を受ける中で、高卒認定という手段をお示ししました。
「高校に行かなくても、戻らなくても、大学生になれる」という選択肢が、Tさんのプレッシャーを取り除くことにつながるかもしれない、と思ったからです。
高卒認定を知り、Tさんは高卒認定の勉強を頑張ることに気持ちが傾いてきました。
これまでは、「学校に戻らないといけない」「頑張ってもついていけなかった学校の授業に、それでも今から間に合わせなければいけない」というプレッシャーがありましたが、「学校に戻っても、戻らなくても良い」と心から思えることで、Tさんは少しずつ以前の気力が回復してきました。
結果として、Tさんが高校に戻ることはありませんでした。
ですが、高校1年生の単位は習得できているものも多く、高卒認定の科目も2科目が免除されました。
また、高卒認定に合格後、学校には戻れませんでしたが、勉強は順調に進めることができ、さらに3科目に絞った受験対策も功を奏し、関西大学文学部に無事現役で合格しました。
関西大学文学部は、通っていた高校の同級生も多く進学する大学でした。周り道をしたTさんでしたが、最終的には同級生と同じかそれ以上の成績に着地したことになります。
初めのうちは、高校の同級生が多く進学するであろう関西大学に行くことに抵抗を感じていたTさんでしたが、大学では同学年との接点が少なく、また、受験勉強を頑張る中で「ちゃんと頑張れている自分」「周りと比較せず、自分は自分で、自分のペースで進めば良いのだ」と思えるようになったことから、いつしか、「もう2年間も会っていないし、今なら会っても大丈夫だと思う。私は私のペースで進めばいいんだし」と、本当の意味で不登校を乗り越えることができました。
【保護者として何をすべき?】
不登校の解決には、保護者さまの力が欠かせません。
不登校のお子さまは、大人が思っている以上にしんどい思いを抱えています。
保護者さまが精神的に支えてあげることが、お子さまのしんどさを取り除き、学校への復帰を早めることにつながります。
「我が子とどのように接したら良いのかわからない」というご相談を受けることがあります。不登校のお子さまは、ほぼ一日中自宅にいるため、保護者さまとも家の中で長い時間一緒に過ごすことになります。
ですので、我が子でありながらも接し方に戸惑いを感じるのは当然とも言えます。
では、不登校のお子さまに対する「魔法のような最高で唯一の接し方」があるのでしょうか?――答えはNoです。
お子さまの性格や今の状態、あるいは保護者さまとの関係性によって、「最高の接し方」は異なります。接し方はいくつかのパターンに分けることができますので、詳しくは以下の記事をご覧ください。
■保護者様にご協力頂きたいこと(不登校からの復帰のために)
全てのケースに共通して言えることは、
・お母さんやお父さんは、何があっても自分の味方だとお子さま自身が思えること
この2点は非常に重要であり、不登校のお子さまを支える際には絶対に外せないポイントです。
また、発達障害が不登校の一因となっているケースもあります。学校に行っていたときの様子を先生に聞いてみたりしながら、もし不安であれば病院や教育支援センターなどで検査を受けてみると良いでしょう。
お子さまの特性を把握することで、解決の糸口が見えることも多くあります。発達障害の診断(WISC検査)については、以下の記事で詳しくご紹介しています。
■WISC検査の記事
【プロ家庭教師×不登校、相性はバツグン】
不登校のお子さまは、自宅から外に出るのが難しいケースもあり、塾よりも家庭教師を選ばれることが多いのですが、その中でもプロ家庭教師は特にオススメです。
一般的な家庭教師ですと、大学生がアルバイトで行っている場合が多く、勉強を教えることはできても、お子さまのメンタル面でのケアや学校復帰を望んでいる場合のサポートまでは対応できません。
ですが、プロ家庭教師であれば、勉強法だけでなく、メンタルケアや学校復帰のサポートまで、幅広く専門的な知識を持っています。家庭教師のスペシャリストとして、文系・理系問わず全教科を指導できますし、受験においても、志望校選びから合格まで、長期的なサポートが可能です。
また、プロ家庭教師の中には、他業種の経験(学校教員や塾講師など)を持つ人がおり、それぞれの経験を強みにしています。例えば、教員経験のあるプロ家庭教師であれば、学校の事情によく通じているため、学校での勉強と連携した指導が得意です。
実は私も、他業種経験を持つプロ家庭教師の一人です。私は現在、キャリアアドバイザーとしても活動しており、お子さまの将来のキャリア全体を見据えたサポートであれば、右に出る者はいないと自負しています。
志望校選びも企業選びも、根本は同じです。本人にとって何がいちばん大切か、お子さまが自信を持って人生を歩むことができるよう、全力でお手伝いいたします。
受験や不登校でお悩みであれば、お気軽に「お問い合わせ」ください。
【まとめ;不登校×大学受験:】
不登校×大学受験のポイントをまとめると、以下の通りです。
・高卒資格を得るには、高校卒業or高卒認定試験
・高卒認定試験のハードルはかなり低い
・「志望校選び」が受験の効率化UPのポイント
・大学受験で面接はほとんどないので、心配無用
・大学では、不登校は解消されることがほとんど
・大学で学ぶことの90%は、高校までの勉強と関係無し
・保護者さまは何があってもお子さまの味方であるべし
・プロ家庭教師は不登校のお子さまと相性抜群
この記事が、一人でも多くの不登校のお子さまのお役に立てれば幸いです。