LD(学習障害)の特徴とは?子ども・大人それぞれの対応や支援方法を紹介

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    ・周りと比べて文章を読むスピードがとても遅い
    ・字を書くと枠からはみ出てしまったり、平仮名や片仮名を間違えたりする
    ・単純な計算でも暗算が出来ず、お釣りの計算などで困ることがある

    学校の勉強や日常生活の中で、このような困りごとを感じている方はいらっしゃいませんか?

    知的な能力には遅れが無いものの、読み・書き・計算など特定の技能だけが苦手な場合は、学習障害(LD、限局性学習症)に該当するかもしれません。

    学習障害とは、ADHD(注意欠如・多動症)やASD(アスペルガー症候群、自閉スペクトラム症)と並ぶ発達障害の一つであり、生まれつきの脳の性質が原因であると考えられています。

    学習障害に保護者さまの育て方は関係なく、また、本人の努力不足によるものでもありませんが、定型発達の人にとっては、「読むこと/書くこと/計算することだけが苦手」といった状態は共感しづらく、学校や職場では「もっと頑張ればできるはず」など必ずしも適切ではない対応がなされる場合もあります。

    私は発達障害専門のプロ家庭教師や塾経営者として長年にわたり活動し、これまで1500人以上のお子さまをサポートしてきました。

    学習障害のお子さまも数多く支援してきましたが、ADHDやASD(アスペルガー)といった他の発達障害と比べて学習障害は一般的な認知度も低く、なかなか良い指導者に出会えず苦労されている保護者さまも多いと感じています。

    学習障害は生まれつきの脳の性質ですので、学習障害そのものを根本的に無くすことはできません
    ですが、本人に合った適切な療育(トレーニング)や学習方法を取り入れることにより、困りごとを軽くすることができます。

    また、学習障害と診断されたお子さまでも、中学受験や高校受験に成功された方はたくさんいらっしゃいます。

    さらに、読み上げ機能やキーボード入力、電卓といったツールを使うことで困難を軽くすることもできますので、学習障害だからと諦めたり悲観的になったりせず、それぞれに合った支援方法を見つけていくことが大切です。

    ・学習障害の特徴ってどんなもの?
    ・学習障害の支援方法について詳しく知りたい
    ・学習障害に対する適切なサポートを受けるにはどうすれば良い?

    この記事では、学習障害でお悩みの方に向けて、特徴や支援方法などを詳しくご紹介していきますので、ご関心のある方はぜひ最後までお読みいただけますと幸いです。

    発達障害・ギフテッド専門のプロ家庭教師
    妻鹿潤
    ・16年以上1500名以上の指導実績あり
    ・個別指導塾の経営・運営でお子様の性質・学力を深く観る指導スタイル
    ・yahooやSmartNews、Newspicksなどメディア向け記事も多数執筆・掲載中

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    学習障害(LD、限局性学習症)の特徴とは

    学習障害(LD、限局性学習症)の特徴とは

    学習障害(LD、限局性学習症)とは、読み・書き・計算など特定の技能にのみ困難がある発達障害のことで、知的な発達の遅れや視覚・聴覚の障害などがある場合は学習障害には分類されません。

    また、教育的な介入によっても、学習障害の性質そのものは改善されないと考えられています。

    アメリカの精神医学会が定める国際的な診断基準「DSM-5」では、学習障害について以下のように定められています。
    (DSM-5では、学習障害は「限局性学習症(SLD, Specific Learning Disorder)」という名称に改められていますが、当記事では一般的に広く用いられている「学習障害(LD)」の名称を引き続き使用しています)

    <DSM-5における学習障害の診断基準>
    ①学業上の読み・書き・計算などの技能に困難があり、教育的にアプローチを行っても改善されない。
    加えて、以下の症状が少なくとも6か月以上続く

    ・読むスピードが遅かったり、文章を適当に読んだりする
    ・文章の大まかな意味をつかんだり、言葉のつながりを理解したりするのが苦手
    ・文字や文法をよく間違える
    ・自分の考えを言葉で表現するのが苦手
    ・数の概念の理解が難しく、計算も苦手
    ・数学的に考えたり、推理したりすることが苦手

    ②勉強したり仕事をしたりする能力が、年齢不相応に低く、困難を抱えることがある(ただし、時間制限の厳しいテストや非常に量の多い課題においてのみ困難がある場合を除く)

    ③知的な発達に遅れが無く、視力・聴力にも問題が無い。また、不適切な教育環境やその他の精神疾患によっても症状が説明されない
    (参考:DSM-5 精神疾患の診断・統計マニュアル | 書籍詳細 | 書籍 | 医学書院 (igaku-shoin.co.jp)

    DSM-5では、「困りごとの有無」も診断基準の一つとして挙げられています。

    ですので、例えば書きの困難を持っていたとしても、日常生活ではキーボード入力やフリック入力を使っていて困りごとを感じない場合は、学習障害に該当しないことになります。(そもそも、日常生活で困りごとの無い人が医療機関を受診する可能性は低いとも言えます)

    学習障害の有病率は、小・中学生で5~15%、大人で4%とされていますが、これは、大人になって学習障害の性質が改善されたというよりは、読み・書き・計算がそれほど必要のない職業に就くなどして、困りごとを感じる場面が少なくなることが要因の一つとして考えられます。

    小・中学生の間は、「教科書を読む」「鉛筆で文字を書く」「電卓を使わず計算する」といった課題に毎日のように取り組まなければなりません。
    そのため、学習障害のお子さまは自分の特性を自覚する場面も多く、“他の子と同じように勉強しているのに、自分だけできない”と自信を無くしてしまうことがあります。

    学習障害のお子さまに対して勉強のサポートをする際には、無理をさせないことが重要です。

    特に、「できないのは練習量が足りないからだ」と考え、やみくもに漢字練習をさせたり計算ドリルをさせたりすると、余計に漢字が嫌いになったり、計算が嫌いになったりしてしまいます。
    指導者への不信感にもつながってしまいますので、何につまずいているのかをまずはしっかり観察し、ピンポイントでアプローチしていくことが重要です。

    発達障害のお子さまの学習支援においては、「量より質」の観点が何よりも大切ですので、保護者さまや先生におかれてはぜひ意識していただければと思います。

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    学習障害(LD)の特徴と3つの分類

    学習障害(LD)の特徴と3つの分類

    学習障害(LD、限局性学習症)は、読み・書き・計算のどれに困難があるかによって、以下の3つに分類されます。

    <学習障害(LD)の3つの分類>
    ・読みの困難 … 読字障害(ディスレクシア)
    ・書きの困難 … 書字障害(ディスグラフィア)
    ・計算の困難 … 算数障害(ディスカリキュア)

    以下では、3つの分類の特徴について、それぞれ詳しく紹介していきます。

    学習障害(LD、限局性学習障害)の特徴①読字障害(ディスレクシア)

    学習障害(LD、限局性学習障害)の特徴①読字障害(ディスレクシア)

    読字障害(ディスレクシア)とは、読むことに困難がある学習障害のことです。
    書字障害(ディスグラフィア)と併発することも多く、算数障害(ディスカリキュア)と併発するケースも報告されています。

    読字障害の方の特徴には、以下のようなものがあります。

    <読字障害(ディスレクシア)の特徴>
    ・文章を読むのがたどたどしい
    ・文章を読むのが年齢不相応に遅い
    ・単語や文節の途中で区切って読んでしまう
    ・平仮名を読み間違えることがある
    ・知らない単語を読み飛ばしたり、適当に読んだりする
    ・文章の大まかな意味を理解するのが苦手

    小学校ではよく音読の宿題が出されますが、読字障害のお子さまの音読の仕方には特徴があります。

    例えば、
    『私は、妹と一緒におやつを食べました。』

    という一文を読むときでも、

    『わた・・・しは、い、もう、と・・・と、いっ・・・しょ、に、お・・・やつ・・・を、た・・・べま、し、た。』

    というように、文節に関係なく単語の途中で区切ったり、一文字ずつ読んでいるような読み方になるケースが多く見られます。

    もちろん、文字を習いたての小学校1年生くらいまでであれば問題が無い場合もありますが、学年が上がっても途切れ途切れの読み方が改善されない場合は、読字障害の可能性を踏まえてサポートをしていく必要があります。

    読字障害の要因は、

    ①音韻処理不全(文字と音を結びつける力が弱い)
    ②視覚認知不全(目で見た情報を処理する力が弱い)

    の2つに分けられると考えられています。

    ①音韻処理不全の影響が大きい場合は、“耳で聞く言葉(音)と文字は結びついているのだ”という感覚を身につけるため、身の回りのものに「電話」「テレビ」「冷蔵庫」と書かれたシールや付箋を貼ったり、本人の好きなもの(アニメやゲームのキャラ、電車、昆虫など)の絵と文字を交互に見せたりするなどの工夫が効果的です。

    ②視覚認知不全の影響が大きい場合は、

    ・文字を大きくする
    ・行間を広くする
    ・読みやすいフォント(UDフォントなど)を使う
    ・読んでいる行以外を厚紙で隠しながら読む
    ・白すぎない紙を使う(文字と背景のコントラストを調整する)

    など、視覚的にアプローチすると良いでしょう。

    このほかにも、文節ごとに分かち線(例:私は、/妹と/一緒に/おやつを/食べました)を入れながら読むことも効果的です。

    以下は、私が実際に読字障害のお子さまを受け持った際の、分かち線を使用した指導の手順となります。

    <読字障害における分かち線の活用方法>
    ①本人に音読してもらう(文章に目を通すことが目的のため、途切れ途切れの読み方になっても指摘しない)
    ②指導者が文章に分かち線を引く
    ③指導者が文章を音読し、本人には分かち線を引いた文章を目で追ってもらう
    ④本人に、分かち線を引いた文章を見ながら音読してもらう
    ⑤本人に、分かち線を引いてもらう

    読字障害のお子さまは、幼い頃から文字に興味を示しづらい傾向があり、そもそも文字に慣れていない側面もあります。

    本人が負担なく前向きに取り組めるよう、丁寧かつ効率的な指導を行うことが重要です。

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    学習障害(LD、限局性学習症)の特徴②書字障害(ディスグラフィア)

    学習障害(LD、限局性学習症)の特徴②書字障害(ディスグラフィア)

    書字障害(ディスグラフィア)とは、書くことに困難がある学習障害のことを指します。

    読字障害と併発している場合は、読字障害へのアプローチを優先して行います。

    また、書字障害は大人になってからは困りごとを感じる場面が少なくなるため、療育やトレーニングに取り組む際には本人の負担感を考慮し、負担の大きい場合はキーボード入力の練習を優先する場合などもあります。

    <書字障害(ディスグラフィア)の特徴>
    ・平仮名や片仮名を書き間違える
    ・漢字の細かい部分(点や線の数)を間違える
    ・文字のバランスが悪い
    ・文字を書くと枠からはみ出てしまう
    ・鏡文字を書くことがある
    ・板書するスピードが極端に遅い
    ・文章を書くとき、助詞の使い方をよく間違える
    ・自分の考えを文章で表現するのが苦手

    書字障害には、読字障害と同様に、音韻処理や視覚認知の機能が影響しているほか、発達性協調運動障害(手先の不器用さ)が関係している場合があります。
    文字のほかにも、複雑な図形などを描き写すのが苦手な場合は、手先の不器用さが関係している可能性が高いと考えられます。

    書字障害の改善に向けたトレーニングにおいては、まず「なぞり書き」から始めます。できるだけ大きなマス目のドリルを使い、文字の形や“書く”という感覚を身につけることから始めます。

    ただし、学年が上がってから低学年向けのドリルに取り組んだり、マス目の大きいノートを使ったりすることは、お子さまによっては嫌がる場合もあります。ですので、学校用のノートと家で使うノートを分けるなど、お子さまのプライドが傷つかないよう配慮を行うことも必要です。

    なぞり書きで書くことに十分慣れたら、手本を見ながら書く「模写」に進みます。模写が出来れば、最後は耳で聞いた言葉を書く「聴写」に取り組み、書字障害のトレーニングは完了となります。

    なぞり書き→模写→聴写のほかにも、紙の下にざらざらした質感のもの(やすりやサンドペーパー)などを敷いて書く感覚をつかんだり、画用紙に大きく文字を書いて色を塗ったり色紙を貼ったりして、文字の形そのものに親しむ方法などもあります。

    大人になってからは困難を抱えることが少ない書字障害ですが、学生時代はテストや入試などで文字を書くことが必須となるため、できる範囲で練習をしていくと良いでしょう。

    また、どうしても文字を書くことが難しい場合は、特別な配慮の申請をすることで受験の際にもキーボードを使って解答ができるケースなどもありますので、早い段階から様々な選択肢を調べておくことも大切です。

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    学習障害(LD、限局性学習症)の特徴③算数障害(ディスカリキュア)

    学習障害(LD、限局性学習症)の特徴③算数障害(ディスカリキュア)

    算数障害(ディスカリキュア)とは、数の概念の理解や数の処理、計算や推論に困難を持つ学習障害のことです。

    国語や社会など文系科目のテストの点は良いのに、算数・数学など計算が必要になる理系科目だけが極端に苦手な場合は、算数障害の可能性を考えていくことになります。

    読字障害や書字障害は、言語の性質によって有病率が異なります(※)が、数字や計算式はほとんど全世界共通であることから、国によって有病率が異ならない点は算数障害の大きな特徴の一つとなっています。

    ※綴りと発音のパターンが多様である英語圏では、他の言語と比べて読字障害の有病率が高いと言われています。
    また、日本人の場合でも、日本語は問題無く認識できるものの、アルファベットは文字として認識しづらく、英語でのみ読字障害的な傾向を持つケースがあります。
    <算数障害(ディスカリキュア)の特徴>
    ・数の概念が理解しづらい
    ・小数や分数の大小がわかりづらい
    ・簡単な計算でも間違えたり、時間が掛かったりする
    ・学年が上がっても指を折りながら計算している
    ・九九が覚えられない
    ・時計が読めない
    ・文章題で自分で式を立てられない
    ・図形の性質を理解するのが苦手
    ・物事の法則性を見つけるのが苦手

    算数障害の方の感覚を知るために、「数字をいろは歌に置き換える」という手法があります。

    例えば、

    数字の1を「い」、
    数字の2を「ろ」、
    数字の3を「は」、

    と置き換えたとします。さて、「と+に」はいくつになるでしょうか?

    「7+4」と言われればパッと計算できますが、「と+に」と言われると、指を折りながら何番目の文字か数えたり、メモを取ったりしないとなかなか計算できない方がほとんどだと思います。

    算数障害の方は、このように数字と量の結びつきが弱かったり、頭の中で数を操作するのが苦手なため、数に関わる様々な処理が苦手になると考えられています。

    また、3という数字には「●●●」という量を表す性質(基数性)と、「○○●」という順序を表す性質(序数性)がありますが、算数障害の方はこういった数の概念を理解することも難しい傾向にあるとされています。
    「3か月は2倍すると6か月になるが、3月を3倍することはできない」という理解が難しいため、文章題で式を立てることも苦手な場合があります。

    算数障害のお子さまへの支援においても、他の学習障害と同様、「何につまずきがあるか」を明確にして、一つずつ解決していく視点が重要です。簡単な問題からじっくり取り組み、指を折りながらの計算でも構わないので数字や計算に慣れていくことから始めましょう。

    「できた!」という感覚を掴むことで、算数や数学への苦手意識を和らげることができます。
    また、九九を覚える際には、耳で聞いた方が良いのか、目で見た方が良いのか、両方をカバーできる動画が良いのかなど、お子さまの得意な感覚を見極めながら取り組むと良いでしょう。

    日常生活においては、お釣りの計算など最低限の計算が出来れば問題ありませんし、複雑な計算では電卓を使うこともできます。
    本人の努力不足というわけではありませんので、自分なりのペースで取り組んでいただければと思います。

    学習障害(LD、限局性学習症)の年齢ごとの特徴

    学習障害(LD、限局性学習症)の特徴は、国語や算数の勉強が本格的に始まる小学1~2年生頃から表れてきます

    平仮名のとめ・はねまでしっかりチェックされる小学生の時期や、英語を習い始める中学生の時期、勉強の内容が高度になる高校生の時期で、現れる特徴や困りごとは異なります。
    そこで以下では、幼児期から成人期まで、それぞれの時期の学習障害の特徴について詳しく説明していきます。

    学習障害(LD、限局性学習症)の年齢ごとの特徴①幼児期

    学習障害(LD、限局性学習症)の年齢ごとの特徴①幼児期

    幼児期においては、お子さまによって発達の差も大きいため、周りと比べて言葉や数字の習得が遅いからといって一概に学習障害であると判断することはできません。

    しかし、以下のような特徴がある場合は、学習障害やその他の発達障害の可能性が考えられます。

    <幼児期の学習障害の特徴>
    ・言葉の発達が周りに比べて極端に遅れている
    ・文字に一切興味を示さない
    ・数の概念を理解していない(「積み木を3つ取って」と頼むと、1つしか渡さないか、積み木が無くなるまで渡し続ける)
    ・手先が非常に不器用で、折り紙やあやとりなど指先を使う遊びが苦手
    ・体の使い方が不自然

    心配のし過ぎは保護者さまやお子さまにとって不要なストレスにつながりますので、この時期はゆったりと構える姿勢も必要ですが、気になることがある場合はしっかりと見守るほか、地域の発達支援センターなどに相談してみるのも良いでしょう。

    学習障害(LD、限局性学習症)の年齢ごとの特徴②小学生

    学習障害(LD、限局性学習症)の年齢ごとの特徴②小学生

    小学1~2年生の時期は、最も学習障害の特性が現れやすい時期であり、支援を開始するのにも適した時期と言えます。

    自分の特性を知らないまま成長すると、「勉強ができないのは自分のせい」「自分は何をやってもダメなんだ」と自信を無くし、うつや不安障害といった二次障害を抱えてしまう可能性があります。

    周りの子のほとんどがクリアできているような簡単な音読や漢字の書き取り、単純な計算などでつまずきが目立っている場合は、学校の先生やスクールカウンセラー、地域の発達支援センターなどに相談してみましょう。
    学習障害の診断につながるほか、お子さまに応じた配慮を検討してもらうことができます。

    学習障害(LD、限局性学習症)の年齢ごとの特徴③中高生

    学習障害(LD、限局性学習症)の年齢ごとの特徴③中高生

    中高生になると、勉強の内容がかなり高度になります。
    学力の伸びづらさの原因を探っていくと、根本には学習障害があったというケースも少なくありません。

    できれば小学生のうちに特性を把握し、適切な支援を受けておきたいところですが、中高生になってから気付いた場合も、焦らずに一つ一つ困りごとを解決していく意識を持ちましょう。

    また、中高生ですと、受験に関する不安も増えてくるかと思います。学習障害の根本的な解決を考えると同時に、受験対策にも取り組んでいく必要があります。
    例えば、算数障害でどうしても数学の点数が伸びづらい場合は、数学の配点が少なく、難易度も低い学校を選んだりするなどの対策が考えられます。

    <中高生に見られる学習障害の特徴>
    (読字障害/書字障害)
    ・小学校で習った漢字が読めない/書けない
    ・国語の読解問題でほとんど正解できない
    ・記述問題で白紙解答が多い
    ・作文の内容が年齢不相応に拙く幼い
    ・アルファベットが覚えられない、書けない

    (算数障害)
    ・基礎的な計算でつまずき、発展的な内容に進めない
    ・方程式の概念が理解できない
    ・論理や数列の問題が理解できない

    学習障害(LD、限局性学習症)の年齢ごとの特徴④大学生~社会人

    大人になると、学生時代に抱えていたような勉強に関する困りごとは少なくなる一方、社会人として自分で考え行動することが必要になるため、思わぬ困難に直面することがあります。

    例えば、マニュアルや契約書など正しく内容を読み取ることが必要な場面において、理解が曖昧なまま仕事に取り組んでしまい、取り返しのつかないミスを引き起こしてしまう可能性などが考えられます。

    また、重大なミスではなくても、細かいミスが積み重なったり、文書を読むのに時間がかかったりすることで、仕事の評価が落ちたり、周りから責められたりして精神的に追い込まれてしまう方もいらっしゃいます。

    落ち込んだり自分を責めたりすることは、必ずしも問題の解決につながりません。問題を解決するためには、自分の特性を正しく理解することがとても重要です。

    例えば、

    ・文字を読んで理解するのが苦手 → 口頭で説明してもらう
    ・メモを取ったり、議事録を作るのが苦手 → ボイスレコーダーを使う

    など自分なりに工夫をするほか、時には周りの人たちに配慮を求めることも必要です。

    精神的に厳しい状況にある場合は、無理をせず精神科や心療内科を受診するようにしましょう。
    また、学習障害の方で就労に悩んでいるときは、発達支援センターなどに相談することで包括的な支援を受けることができます。

    <大人の方に見られる学習障害の特徴>
    (読字障害/書字障害)
    ・契約書やマニュアルが読めない
    ・資料やデータが正しく読み取れない
    ・平仮名や片仮名でも書き間違える
    ・誤字脱字が非常に多い
    ・電話や会議でメモを取るのが苦手

    (算数障害)
    ・簡単な計算でも電卓が必要
    ・時計を読むのに時間が掛かる
    ・データを表やグラフにまとめるのが苦手
    ・図面を理解するのが苦手
    ・論理的な推論が苦手
    ・複雑な論理展開が理解できない

    学習障害(LD、限局性学習症)の診断はどこでできる?症状や検査の流れを詳しく紹介|読字障害・書字障害・算数障害
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    周りと同じように勉強しているのに、学力が伸びない 読み、書き、計算など一部のことだけが極端に苦手 基礎的な内容でつまずき、発展的な内容に進めない お子さまの勉強…

    学習障害(LD、限局性学習症)の特徴のまとめ

    学習障害(LD、限局性学習症)の特徴のまとめ

    この記事では、学習障害(LD、限局性学習症)の特徴や支援方法について詳しくご紹介してきました。

    改めてポイントをまとめると、以下のとおりです。

    <POINT>
    ・学習障害とは、知的な発達や視覚・聴覚に障害が無いにもかかわらず、読み・書き・計算など特定の技能に困難を持つ発達障害のこと
    ・学習障害は、「読字障害(ディスレクシア)」「書字障害(ディスグラフィア)」「算数障害(ディスカリキュア)」の3つに分類される
    ・学習障害の特徴は、小学1~2年生頃から現れる
    ・学習障害は、早めに特徴に気付いて対処・支援していくことが重要
    ・自分の特性を正しく把握し、必要な支援や環境の配慮を求めることも大切

    学習障害は、読み・書き・計算といった基礎的なスキルに困難を持つため、勉強や日常生活で困りごとを抱えることも多いのですが、適切なサポートを行うことで困りごとを最小限に抑えることができますし、受験に挑戦することももちろん可能です。

    また、生まれつきの性質であることが分かれば、「それを踏まえた上でどう対処するか」という解決方法を考えていくことができます。
    どんなサポートが必要か、周りの人とも協力しながら検討していくようにしましょう。

    私たちプロ家庭教師メガジュンでは、学習障害や発達障害のお子さまを対象に、受験や学習習慣の定着に向けたサポートを行っています。

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    最後までお読みいただきありがとうございました。

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