【ASD簡易チェックリスト付き】ASDのグレーゾーンって?対処法も合わせてご紹介!

2021.12.08 【 2023.2.19更新 】
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    以下のようなことで日常生活に支障がある方は、もしかしたらASDかもしれません。

    ・人の気持ちを読み取れず、コミュニケーションが苦手
    ・人間関係を上手く築けない
    ・「適当に」「もう少し」など曖昧な指示を受けると混乱する
    ・一つのことにこだわってしまう

    コミュニケーションが苦手だと感じる人は多くいますが、周囲からよく孤立してしまったり、高い頻度でトラブルを起こしてしまう人は、発達障害(ASD)の可能性があります。

    また、はっきりと診断できるレベルではなくても、その傾向がある「グレーゾーン」として医師に判断されることもあります。

    「もしかして自分はASDかもしれない…」とお悩みの皆さまのために、この記事では、ASDの特性やグレーゾーン、対処方法についてご紹介します。

    【執筆・監修】
    発達障害専門の受験プロ家庭教師 
    妻鹿潤
    ・16年以上1500名以上の指導実績あり
    ・個別指導塾の経営・運営でお子様の性質・学力を深く観る指導スタイル
    ・yahooやSmartNews、Newspicksなどメディア向け記事も多数執筆・掲載中

    ASD(自閉スペクトラム症)とは

    ASD(自閉スペクトラム症)とは
    ASD(自閉スペクトラム症)とは、

    ・コミュニケーションや対人関係が苦手
    ・強いこだわりがあり、興味が限定されている

    といった特性がある発達障害です。

    「スペクトラム」は「連続している」という意味であり、自閉症や高機能自閉症、アスペルガー症候群などがASDに含まれています。

    文部科学省では高機能自閉症やアスペルガー症候群について以下のように定義しています。

    ■引用
    高機能自閉症とは、3歳位までに現れ、1他人との社会的関係の形成の困難さ、2言葉の発達の遅れ、3興味や関心が狭く特定のものにこだわることを特徴とする行動の障害である自閉症のうち、知的発達の遅れを伴わないものをいう。■中略
    アスペルガー症候群とは、知的発達の遅れを伴わず、かつ、自閉症の特徴のうち言葉の発達の遅れを伴わないもの

    高機能自閉症の定義 (文部科学省)

    私たちはテレパシーが使えるわけではありませんので、日常生活でコミュニケーションが上手くいかなかったり、ちょっとした言葉の取り違えがあったりすることはどんな人でもあり得ます。また、どうしても捨てられない自分なりのこだわりがある人もたくさんいます。

    「コミュニケーションが苦手だと感じる」「物事に強いこだわりがある」からといって、必ずしもASD(自閉スペクトラム症、アスペルガー症候群)であるというわけではありません。「自閉スペクトラム症」の名称にもあるとおり、自閉的な傾向にはスペクトラム(連続性)があり、誰しもが自閉的な傾向を持っている可能性があります。

    自閉的な傾向が0%の人もいるかもしれませんが、多くの人は多少の自閉的な傾向を持っており、それによる困りごとが大きい場合にASDと診断されたり、グレーゾーンと診断されることになります。

    以下では、お子さまから大人の方まで使っていただけるASDのチェックリストをお示ししていますので、気になることがある方は簡易な診断テストとして利用いただき、多くのチェック項目に当てはまる場合は受診を検討していただければと思います。

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    ASD(アスペルガー)の診断チェックリスト〔子ども〜大人用〕

    ASD(アスペルガー)の診断チェックリスト

    1. 他人の表情から気持ちを読み取るのが苦手(空気が読めない)
    2. 言外に含まれている意味を読み取るのが苦手(行間が読めない)
    3. ジェスチャーを読み取ったり、使ったりするのが苦手
    4. 「適当に」「もう少し」など曖昧な指示が理解できない
    5. 人の話を遮り、自分の話ばかりしてしまうときがある
    6. 言い方が失礼だと指摘されることがある
    7. 物事には一人で取り組みたい
    8. 同じやり方を繰り返す方が良い(違うやり方には挑戦したくない)
    9. 何かに没頭すると周りが全く見えなくなる
    10. 少しの物音でも気が散る
    11. 特定の味やにおい、感触などが苦手
    12. 急に予定が変更されると、イライラしたりパニックになったりする
    13. 物事を大まかに把握するより、細部に注目することが好き
    14. 時刻表や車のナンバーなど、数字の羅列に注目することがある

    また、当てはまる項目が多くなかったとしても、こういった特性が原因で大きなストレスを感じている場合は医師への相談を検討しましょう。放っておくとストレスによって、うつや不安障害などの二次障害を引き起こしてしまう可能性があります。

    グレーゾーンとは

    グレーゾーンとは

    グレーゾーンの方が困難の度合いが大きい場合も

    病院を受診すると、「基準を満たしていないが傾向はある=グレーゾーン」と診断されることがあります。グレーゾーンとは、発達障害の度合いが小さいことを指すのでしょうか?

    答えは「No」です。

    発達障害の検査は、基準にいくつ当てはまるかで診断します。上のチェックリストが検査項目だとすれば、「たくさん当てはまるかどうか」が判断基準になるのです。
    ※実際に病院で行う診断テストとは異なります。

    〔Aさんの場合〕
    ①~⑨まで全ての項目に当てはまるが、それぞれの困り具合は30%で、日常生活に支障は無い。〔Bさんの場合〕
    ②③⑦の3項目にしか当てはまらないが、それぞれの困り具合は100%で、日常生活に困難がある。

    上の例で言うと、日常生活での困難はBさんの方が大きいにも関わらず、発達障害と診断されるのはAさんで、Bさんはグレーゾーンということになります。

    ですので、「診断が出なかった」「グレーゾーンと言われた」場合でも、日常生活での困難の度合いが小さいとは限らない点に注意しましょう。

    正確な診断を受けるには

    正確な診断を受けるには

    いくら基準を満たさないとはいえ、日常生活での困難は解消したいものです。
    また、学校や職場へ説明する際も、グレーゾーンよりは確定診断が出ている方が説明しやすく、投薬治療も受けやすいでしょう。

    自分の困り度合いに応じた正確な診断を受けるために、以下の方法をおすすめします。

    ・複数回診断を受ける
    ・病院を変える(セカンド・オピニオン)
    ・客観的な検査を受ける(QEEG、WAIS-IV、WISC-IV)
    ・正確な情報を伝える
    ・自己診断はNG

    複数回診断を受ける

    グレーゾーンの方は、診断基準のボーダーラインにいます。
    体調によって基準を満たしたり満たさなかったりするので、日を変えて受診することで確定診断となる場合があります。

    病院を変える(セカンド・オピニオン)

    最終的に診断するのは、医師の主観です。同じ症状や検査結果でも、グレーゾーンと診断する医師もいれば、確定診断とする医師もいます。
    ですので、別の病院を受診することで確定診断につながることがあります。

    客観的な検査を受ける(QEEG、WAIS-IV、WISC-IV)

    医師の主観のみの診断では、診断結果にブレが出ます。脳波を検査する「QEEG」や知能検査「WAIS-IV」「WISC-IV」を受けることで、発達障害の特性を数値化することができます。

    客観的な根拠に基づいた診断は信用できますし、こういった検査を受けられる医院を探しましょう。

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    正確な情報を伝える

    発達障害の診断には、幼少期の情報や自分の普段の様子を正確に伝える必要があります。気になった症状はメモしておくほか、親や配偶者など、自分の普段の様子をよく知る方に付き添ってもらうのが良いでしょう。

    また、幼少期の情報は本人が忘れてしまっていることもあります。通信簿や母子手帳など、幼少期の様子がわかる資料もできる限り準備しましょう。

    自己診断はNG

    インターネット上には、さまざまなチェックリストがあります。参考にしても構いませんが、安易な自己診断は避けましょう。
    先入観やその日の体調など、自分で客観的な判断をするのは非常に難しいです。少しでも困っていることがあれば、病院に掛かることをおすすめします。

    困りごとへの対処法

    困りごとへの対処法

    二次障害の有無を確認する

    グレーゾーンであると診断された場合、確定診断と比べて以下のような困りごとが生じます。

    ・周囲に配慮が求めづらい
    ・保険治療が受けられない(自由診療であれば可)
    ・障害者手帳の交付が受けられない

    グレーゾーンの方は、まずは二次障害の有無を確認しましょう。二次障害とは、発達障害の特性による生きづらさから、うつ病や不安障害、適応障害などの精神疾患を発症することを言います。

    こういった二次障害がある場合は、その治療を保険診療内で受けることができますし、精神障害者保健福祉手帳(障害者手帳)の交付を受けられる場合があります。困りごとが多く心がつらいときは、迷わずメンタルクリニックを受診しましょう。

    発達障害についてはグレーゾーンでも、精神疾患の診断書があれば、周囲への配慮も求めやすくなるはずです。
    お子さまであれば勉強面や生活面の配慮について、大人であれば休職や職務上の配慮について、学校や職場に相談してみましょう。

    確定診断でもグレーゾーンでも、対処法は同じ

    二次障害が出ていなくても、生きづらさや日常の困難はできる限り解消したいものです。
    グレーゾーンであっても、ASDの特性への対処法は確定診断を受けた場合と変わりません。

    ・指示は具体的に出してもらい、わからなければ聞き返す
    ・集中しすぎを防ぐため、アラームを使う
    ・耳栓やイヤホンを使って、静かな環境を作る
    ・気が散らないよう、作業環境をいつも同じにする

    以上のことは、ASDの特性への対処法としてとても有効です。

    また、お子さまであれば、環境が変わることでパニックになってしまったり、細かいことが気になって勉強に集中できなかったりといった困りごとがあります。
    成績が伸び悩んでおり、その原因が発達障害の特性によるものであれば、専門的な知識を持った人のサポートが必要です。

    市町村の発達支援センターのほか、発達障害に特化したプロ家庭教師などもありますので、お子さまの成績でお悩みの場合はぜひご検討ください。

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    周囲の配慮

    周囲の配慮

    ASDの人は、「コミュニケーションが苦手」「融通が利かない」などの特性があります。
    本人に悪気があるわけではありませんが、周囲から誤解を受けてしまい、ストレスや生きづらさから、うつ病などの精神疾患(二次障害)になることがあります。

    周りの人たちに配慮を求めることが難しいケースもありますが、身近な人には自分の困りごとをきちんと説明しておきましょう。
    曖昧な表現を避けてもらったり、先の見通しが立つように予定を立てることは、ASDの方だけでなく周りの方にとってもメリットがあるはずです。

    お子さまが発達障害の場合は、育て方が悪いのでは?と考えてしまう方も多いようです。
    ですが、発達障害は生まれ持った特性であり、育て方によるものではありません。また、幼いころから特性に気づき、適切なサポートを受けることで、社会で問題なく生きていくことができます。個性を存分に伸ばすことで、定型発達には無い才能を発揮するお子さまもいらっしゃいます。

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    ASD(アスペルガー・自閉スペクトラム症)のお子さまを持つ保護者の方へ

    ASDのお子さまを持つ保護者の方へ

    これまでお伝えしてきたとおり、人の気持ちを読み取ることが苦手だったり、強いこだわりがあったりするのは、決してお子さまがわがままということではありませんし、親のしつけや愛情の注ぎ方の問題でもありません。

    発達障害は脳の特性であり、脳の機能の偏りです。(遺伝などの要因も指摘されていますが、まだよくわかっていません。)

    お子さまが発達障害と上手く付き合っていくためには、以下のような保護者の方のサポートが必要です。

    ・本人が落ち着けるように環境を整える
    ・公的機関に相談し、療育を受ける
    ・お子さまの個性を褒め、伸ばしてあげる

    お子さまが勉強する場所の周囲には、本人がこだわってしまうもの(キャラクターものや電車の模型など)を置かないようにしましょう。また、静かな環境を整えることも大切です。本人の気が散ってしまうものを遠ざけることで、勉強に集中しやすくなります。

    「発達障害かもしれない」と思ったら地域の教育支援センターなどに相談しましょう。
    どこに相談してよいかわからない場合は、各市町村の子育てに関する総合窓口に問い合わせましょう。同じ悩みを抱えている保護者の方同士で、情報交換するのも良いかもしれません。

    「興味があることには極端に集中してしまう」「ちょっとした変化でパニックになってしまう」といったASDの特性については、保護者の方も戸惑われることがあると思います。
    ですが、お子さま自身にもコントロールができない部分ですので、叱らず見守るようにしましょう。

    「一つのことを探求する」「とことんまでやり込む」など、ASDの特性は、一方でお子様の唯一無二の個性や強みになります。苦手なことではなく得意なことに注目し、褒めて伸ばしてあげることが大切です。

    学校の成績や受験など、勉強面でも心配な点があるかと思います。発達障害のお子さまの傾向はひとりひとり違いますが、まずはお子さまが「勉強がわかる、できる、楽しい!」と学習意欲を持つことが大切です。

    発達障害を持つお子さまのサポートには、専門的な知識が必要です。私は教育業界に16年以上携わり、のべ1,500名以上のお子さまをサポートしてきました。
    これまでの経験とノウハウから、確実に効果のあるサポートをお約束しますので、勉強面でお悩みの方はぜひお問合せいただければと思います。

    発達障害(ADHD・ASD・LD・グレーゾーン等)の指導コース
    発達障害(ADHD・ASD・LD・グレーゾーン等)の指導コース
    ADHD・ASD・LD・グレーゾーンのお子様に特化したサポートを行います。 発達障害の専門的な知識と豊富な経験を持つプロ家庭教師が、お子様の性質を考慮した学習指…

    発達障害のお子さまの傾向はひとりひとり違います。

    ですので、勉強の目的やお子さまの気持ち、保護者さまの思いなど、まずは丁寧にお話を伺います。お子さま、保護者さま、家庭教師の3人4脚で一歩ずつ目標達成に向かって進むことを大切にしながら、お子さまの人生がより良いものになるようサポートしていきます。

    ご質問や少し話を聞いてみたいなど、どんなことでも構いませんので、まずはお気軽にご相談ください。

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    【ASD簡易チェック・診断リスト付き】ASDのグレーゾーン:おわりに

    おわりに

    この記事では、ASDやグレーゾーンの特性や対処方法についてご紹介しました。改めてポイントをお伝えすると、以下のとおりです。

    ・ASDの特性=コミュニケーションが苦手、こだわりが強い
    ・グレーゾーンだからといって、日常の困難が少ないとは限らない
    ・正確な診断を受けるためには、複数回の受診やセカンド・オピニオンが必要
    ・ASDのお子さまには、専門家のサポートがおすすめ

    発達障害には生きづらさを伴うこともありますが、適切なサポートを受けることで、問題なく生きていける場合も多くあります。
    不安なことや気になることがある場合は、まず病院や公的機関に相談しましょう。

    また、お子さまの勉強面でのサポートについては、プロ家庭教師がおすすめです。

    発達障害でお悩みの方にとって、この記事が少しでもお役に立てれば幸いです。

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