発達障害「LD(学習障害)」とは?種類や症状、接し方を紹介

  • #発達障害
  • #LD
    ・ADHDやASDのほかにLD(学習障害)の傾向もあると言われた
    ・発達性ディスレクシアの診断を受けたが、勉強はどうすれば良い?
    ・LDの診断を受けているが、高校受験や大学受験はできる?

    LD(学習障害、SLD)のお子さまについて、このようなお悩みをお持ちの保護者さまはいらっしゃいませんか?

    ADHDやASD(アスペルガー)は一般的にも認知が広まってきましたが、LDは発達障害の中でも認知度が低く、お子さまをどうサポートしていけば良いのか悩まれている保護者さまも多いと思います。

    私は、発達障害専門のプロ家庭教師や塾経営者として、長年にわたり活動してきました。

    これまで1500人以上のお子さまをサポートし、LDのお子さまも数多く支援してきましたが、読み・書き・計算のどれに困難があるかだけでなく、その原因もお子さまによって様々であり、一人一人の特性をしっかり見極めることが非常に大切であると感じています。

    また、LDは、ADHDやASD(アスペルガー)と併発することも多いとされています。

    発達障害の特性にはグラデーションがあり、ADHD・ASD・LDの特性が重なり合っているケースも少なくありません。
    そのため、医師によって診断名が異なる場合もありますが、診断名はあくまで支援の方針を決めるためのガイドラインですので、診断名にこだわり過ぎない姿勢も必要です。

    発達障害のお子さまへの支援を考える際には、「困りごとは何か」「その要因は何か」といったことを詳しく分析することが重要になります。
    お子さまの状態を明らかにすることで、困りごとの解決に向けた効果的なアプローチを行うことができます。

    ・LDのお子さまへの支援方法にはどんなものがある?
    ・LDやその他の発達障害の特性を詳しく知りたい
    ・LDのお子さまの進路はどのように考えるべき?

    この記事では、LDのお子さまをお持ちの保護者さまや支援者の方に向けて、LDやその他の発達障害について詳しく説明していきますので、ご関心のある方はぜひ最後までお読みいただけますと幸いです。

    発達障害・ギフテッド専門のプロ家庭教師
    妻鹿潤
    ・16年以上1500名以上の指導実績あり
    ・個別指導塾の経営・運営でお子様の性質・学力を深く観る指導スタイル
    ・yahooやSmartNews、Newspicksなどメディア向け記事も多数執筆・掲載中

    ↓『学習・生活面のお悩み相談虎の巻』はこちらをクリックしてご覧ください。

    【発達障害】LD(学習障害)の特徴と診断基準

    【発達障害】LD(学習障害)の特徴と診断基準

    【発達障害】LD(学習障害)とADHD・ASDの関連

    LD(学習障害)とは、ADHD(注意欠如・多動症)やASD(自閉スペクトラム、アスペルガー)と並ぶ発達障害の一つです。

    日本の小児精神科における診断では、LD単独で診断されることは少なく、ADHDやASDとの併発として診断されるケースが多くなっています

    発達障害のADHD・ASD・LDは、それぞれの特性が重なり合っていることも少なくありません。
    読むことが苦手なLDのお子さまの場合でも、ASDの特性による言語理解の低さが影響していたり、ADHDの不注意特性が関連していることもあり、「どこからどこまでがLDの特性で、どこからが他の発達障害の特性か」ということは明確な線引きが難しくなっています。

    もちろん、それぞれの発達障害によって大まかな傾向はありますが、全ての特性が全員に当てはまるわけではありません。特性の現れ方や強さは人それぞれで違いますので、一人一人に合った支援方法を見つけることが重要です。

    また、ADHD・ASD・LDといった発達障害は、「発達性協調運動障害(DCD:Developmental Coordination Disorder)」とも併発しやすいと言われています。発達性協調運動障害とは、年齢や知的発達の程度に比べて、身体の使い方や手先の器用さの発達が遅れている状態を指します。

    全身を大きく使う運動(粗大運動)も指先を使う細かい運動(微細運動)もどちらも苦手なため、「鈍くさい子」「不器用な子」という評価を受けてしまうことも多く、自己肯定感が下がってしまうケースも少なくありません。

    特に、幼いうちは活発で運動神経の良い子が評価を得やすいため、発達性協調運動障害やその他の発達障害を併せ持っているお子さまは自己肯定感が低くなることが多く、十分な配慮が必要です。

    苦手なことだけに注目せず、得意なことを積極的に褒めて伸ばしていくことを心掛けましょう。

    【発達障害】LD(学習障害)の診断基準

    【発達障害】LD(学習障害)の診断基準

    LD(学習障害、SLD)とは、知的な発達に遅れが無く、視聴覚にも障害が無いにもかかわらず、読み・書き・計算など特定の技能の習得のみが困難となる発達障害のことを指します。

    国立特別支援教育総合研究所 発達障害教育推進センターでは、LDとその他の発達障害や知的障害を区分する基準について、以下のように示しています。

    <発達障害教育推進センターにおける学習障害の実態把握基準>
    ・特異な学習困難があること
    ・他の障害や環境的な要因が直接の原因でないこと

    まず、「特異な学習困難があること」については、国語または算数の基礎的な能力に著しい困難があることを指します。

    小学1年生で習得するような「読み」「書き」「計算」の基本的な内容のうち、いずれか1つ以上に苦手があり、本人の努力だけでは改善されないことが特徴です。

    苦手の程度としては、そのお子さまが属する学年より1~2学年分の遅れがあることが目安とされています。
    小学2年生でも1年生の頃の内容が全く身に付いていなかったり、中学1年生でも小学5年生程度の計算しかできない場合などが該当します。

    自治体や塾などが実施する標準的な学力テストを受けたことがある場合は、その結果を参照するほか、学校の成績や授業態度、単元テストの結果、ノートの取り方、日常生活の様子などを見て、「特異な学習困難」があるかどうかを総合的に判断します。

    学習障害は知的な遅れを持たないことから、WISC-IV検査などで知能指数を測る場合があるほか、これまでの学校の成績を振り返り、苦手ではない分野では普通以上の学力があることを確認することで、特異な学習困難が知的障害によるものではないことを確認する場合もあります。

    「他の障害や環境的な要因が直接の原因ではないこと」については、お子さまの成育歴などを参照し、十分な教育機会を与えられていなかったり、不適切な養育を受けていたりしないかを確認します。
    さらに、日頃の行動の特徴などから、ADHDやASDなどその他の発達障害に該当する可能性の有無も検討します。

    ただし、LDとADHD・ASDは併発することも多く、ADHDやASDの特性から特定の学習技能の習得が困難になっている可能性もありますので、それぞれの要因については注意深く観察していく必要があります。

    なお、ここでご紹介した発達障害教育推進センターの基準は、教育的・福祉的な観点が強くなっています。

    このほかにも、アメリカの精神医学会が定めたDSM-5における診断基準などが存在し、こちらは医療的な色合いの強い診断基準となっています。

    発達障害の支援においては、教育・福祉・医療のそれぞれの立場からの分析とサポートが欠かせません。
    例えば、医師が「この子は読みに困難があるので、国語の勉強はストレスになります」と言ったとしても、全く国語を勉強しないままでは受験の際に困るかもしれませんし、大人になってからも困難を抱えてしまうかもしれません。

    LDのお子さまの支援を検討する際には、「どこまで改善できそうか」「そのための負担は大きすぎないか」といったことについて、主治医だけでなく学校の先生や言語聴覚士など、教育や福祉の専門家の意見も取り入れながら判断することが大切です。

    学習障害(LD、限局性学習症)の診断はどこでできる?症状や検査の流れを詳しく紹介|読字障害・書字障害・算数障害
    学習障害(LD、限局性学習症)の診断はどこでできる?症状や検査の流れを詳しく紹介|読字障害・書字障害・算数障害
    周りと同じように勉強しているのに、学力が伸びない 読み、書き、計算など一部のことだけが極端に苦手 基礎的な内容でつまずき、発展的な内容に進めない お子さまの勉強…

    【発達障害】LD(学習障害)と発達性ディスレクシア

    【発達障害】LD(学習障害)と発達性ディスレクシア

    発達性ディスレクシアとは、LD(学習障害、SLD)のうち、読み・書きに困難がある場合を指します。(計算に困難がある場合は、「算数障害(ディスカリキュア)」と呼ばれます)

    読みの困難と書きの困難を区別し、それぞれ「読字障害(ディスレクシア)」「書字障害(ディスグラフィア)」と呼称する場合もありますが、読み・書きの困難は重複するケースが非常に多いため、当記事では両方を合わせて「発達性ディスレクシア」として説明していきます。

    発達性ディスレクシアの有病率はアルファベット圏で3~12%、日本におけるひらがなのみの有病率は0.8~2.1%と言われています。
    また、日本における学習障害全体の有病率は4.5%とされていますが、漢字を含めた発達性ディスレクシアの有病率は未調査であり、十分なデータが集められていない状況です。

    発達性ディスレクシアの要因については、「音韻処理」の能力が深く関係していると考えられています。
    音韻処理とは、文字と音を結びつける脳の働きのことで、読む・聞く・話すといった言葉に関係するほぼ全ての行動に関係しています。

    音韻処理が上手く働かないと、

    ・文字と音が紐づけられない
    ・文字を単語のまとまりとして捉えにくい
    ・音を短期的に記憶することが難しい

    といった困難が生じ、結果として読むことや書くことが苦手になります。

    また、音韻処理以外にも「視覚認知(目で見た情報を処理する力)」や、前述の「発達性協調運動障害(DCD)」が関係している場合があります。
    目で見たものを頭の中でイメージする力や、目的に応じて身体を動かす力については、以下の項目で詳しく説明していきます。

    【発達障害】LD(学習障害)と「固有覚」と「前庭覚」の不全

    【発達障害】LD(学習障害)と「固有覚」と「前庭覚」の不全

    人間には、視覚・聴覚・嗅覚・味覚・触覚の五感のほかに、「固有覚」と「前庭覚」という感覚があります。

    <固有覚と前庭覚>
    ・固有覚…自分の身体の動きや力の入れ具合、身体の位置などの感覚
    ・前庭覚…自分の身体の傾きや回転、動かす速さなどの感覚

    視覚や聴覚だけでなく、この「固有覚」「前庭覚」も、お子さまが学習するときに大きな役割を担っています。

    例えば、

    ・正しい姿勢を保つ
    ・バランスを取る
    ・前後左右上下の方向や距離感など、空間を認知する
    ・指先から足先まで、それぞれの関節を目的に応じて動かす

    といったことは全て、固有覚と前庭覚が関係しています。

    身体の使い方と読み・書き・計算にどんな関係があるの?と疑問に思う方もいらっしゃるかもしれませんが、身体の位置や傾きなど情報を処理することと、頭の中で文字や数字、図形などのイメージを操作することは深い関係にあると考えられています。

    上下左右の感覚を掴むのが苦手なお子さまは、手先が不器用で文字が枠からはみ出してしまうだけでなく、文字の認識自体が左右逆の鏡文字になってしまったり、偏(へん)や旁(つくり)を覚えるのに苦労したりといった困難を抱えることがあります。

    また、目で見たものを頭の中で操作することも苦手なため、繰り上げや繰り下がりの計算や展開図の理解、図形を頭の中で回転させて考えることなどが困難になる場合があります。

    【発達障害】LD(学習障害)のその他の要因

    【発達障害】LD(学習障害)のその他の要因

    音韻処理不全、視覚認知不全、固有覚・前庭覚の不全と、学習障害の要因には様々なものが考えられ、それぞれは複合的に重なっています。

    また、学習障害の診断の際には、WISC-IVと呼ばれる知能検査を受けることも多いのですが、特定の指標(※)が極端に低くなる場合は、その指標に関する脳の働きの弱さが学習障害に関係している可能性があります。

    ※「言語理解」「知覚推理」「処理速度」「ワーキングメモリ」の4つの指標のうち、読み書きの困難では言語理解が、計算の困難では知覚推理が低くなる傾向にあります。

    読むことが苦手な場合でも、“読む”というプロセスのどの部分でつまずきがあるのかによって効果的なアプローチは変わってきます。

    ですので、様々な支援方法を試行錯誤しながら、どこでつまずいているのかを見極めていく必要があります。

    <読みの困難でつまずくポイントの例>
    ・文字が正しく読み取れない(にじんでみえたり、歪んで見えたりする)
     →目で見た情報を処理する力が弱い

    ・文字は見えているが、言葉として捉えられない
     →音韻処理または言語理解の力が弱い

    ・意味はわかるが、読みながら処理することが苦手
     →短期記憶やワーキングメモリの力が弱い

    ・意味も分かり処理もできるが、解答を表現することが難しい
     →処理速度や手先の協調運動が弱い

    発達障害や脳の働きの特性については、遺伝の影響もあるのではないかと考えられています。
    ですが、発達障害の遺伝に関してはっきりとしたエビデンスは無いため、親や兄弟姉妹が発達障害を持っている場合でも、極端に神経質になる必要はありません。

    LDや発達障害であっても、社会で問題無く過ごせている方はたくさんいらっしゃいます。
    また、LDの診断を受けた方で中学受験・高校受験で第一志望校に合格された方も多くいらっしゃいますので、悲観的に捉えず、できることからコツコツと取り組んでいただきたいと思います。

    【実話】ADHDで書字障害(LD)、海外子女のRさんは日本の高校に合格できる?
    【実話】ADHDで書字障害(LD)、海外子女のRさんは日本の高校に合格できる?
    この記事では、私がこれまで指導させていただいたお子さまの実例をご紹介します。 お名前などは仮名を用いていますが、指導の内容や合格への道のりは実際のものとなってい…

    【発達障害】LD(学習障害)の診断

    【発達障害】LD(学習障害)の診断

    LD(学習障害)は、前述の発達障害教育推進センターによる基準や、アメリカ精神医学会のDSM-5などに則って診断されます。

    学習障害のお子さまは知的な遅れが無いため、小学校に入学するまでは問題無く過ごせることがほとんどです。
    また、就学前の発達段階ですと、個人による発達の差も大きいため、周りと比べて文字や数字を覚えるのが遅いからと言って、すぐに学習障害であると判断することはできません。

    学習障害の傾向が現れ始めるのは、本格的に国語や算数の勉強が始まる小学1~2年生の頃です。音読すると非常にたどたどしかったり、板書が極端に遅かったり、くり上がりの無い計算でも苦労している(練習によって上達しない)場合は、学習障害の可能性を考え、専門機関の受診を検討すると良いでしょう。

    ただし、小学1~2年生で習う内容はそれほど難しくないため、記憶力などで苦手を補えるお子さまもいらっしゃいます。また、先生や周りの大人も丁寧に指導してくれるため、学習障害が目立たないケースも多くなっています。

    そのため、学習障害の確定診断が出されるのは、小学校高学年くらいが一般的とされています。

    小学校高学年になると、勉強の内容も高度になり、頭の中でイメージしながら考えたり、推理したりすることが求められます。また、勉強の量自体も増えるため、苦手な分野が足を引っ張って全体的に勉強が苦手になり、勉強や学校そのものに拒否感を持ってしまうケースもあります。

    学習障害の診断を受けるきっかけとしては、本人が相応に努力しているにも関わらず学力の伸びが見られないことを保護者さまや学校の先生が心配し、医療機関を受診したところ学習障害が明らかになった、というパターンが最も多くなっています。

    学習障害のお子さまの支援においては、学力を伸ばすことももちろん重要ですが、同時に自己肯定感や自尊心を尊重することも非常に大切です。特に小学校高学年は思春期に差し掛かるタイミングでもあり、「周りと比べてできないこと」を誰よりも本人が気にしています。

    出来ないこと・苦手なことを責めないのはもちろんのこと、苦手の原因は生まれつきの性質であり、本人のせいでは無いことをきちんと説明するようにしましょう。また、「頑張っているのにできない」というのはとても不安なことであり、大きなストレスになります。

    ただでさえ多感な時期ですので、メンタル面には常に気を配るようにしましょう。
    学校に行きたがらない、食欲が無い、よく眠れていない様子であるなど、気になることがある場合は早めにスクールカウンセラーや心療内科に相談することをおすすめします。

    小学6年生くらいであれば、きちんと説明することで自分の特性を正しく理解することができます。
    「LDだから」といった表面的なことだけでなく、「文字と音を結びつける力が弱いから、読むのが苦手になっている。文字と音の結びつきを強くしていくために、少しずつトレーニングしていこう」と伝えることで、本人も「なぜこのトレーニングに取り組むのか」が分かり、前向きに療育に取り組むことができます。

    学習障害(LD)とは?読めない、書けない、計算できない子どもの特徴と対処法を紹介
    学習障害(LD)とは?読めない、書けない、計算できない子どもの特徴と対処法を紹介
    ・文章を読むのが遅く、音読の時も非常にたどたどしい ・字を書くのが苦手で、枠からはみ出たり鏡文字になったりする ・単純な計算が身に付かず、時計を読むのも苦手 お…

    【発達障害】LD(学習障害)の接し方・対処法の5つのポイント

    【発達障害】LD(学習障害)の接し方・対処法の5つのポイント

    LD(学習障害、SLD)のお子さまへの接し方や学習のサポートについては、お子さまそれぞれに合った方法をその都度考えていく必要があります。

    同じ読みの困難であっても、どんなサポートが効果的かはお子さまによって異なりますので、一概に「○○が良い」ということはできません。

    一方で、どのお子さまにも比較的効果が高いものや、教育現場で広く用いられている支援方法もありますので、以下ではLDのお子さまにおすすめの指導方法について、私自身の経験も踏まえながらご紹介していきます。

    【発達障害】LD(学習障害)の接し方・対処法の5つのポイント①分かち線を活用する

    【発達障害】LD(学習障害)の接し方・対処法の5つのポイント①分かち線を活用する

    分かち線を使用した読みのトレーニングは、発達性ディスレクシアのお子さま全般に有効です。
    分かち線とは、文章の文節に入れる線のことで、文法の学習をする際などに用いられます(例:私は/犬を/連れて/公園に/行く。)

    発達性ディスレクシアのうち、特に音韻処理不全の傾向が強いお子さまは、文字を言葉として認識する力が弱く、どこからどこまでがひとまとまりの単語か分かりづらいことがあります。
    そのため、分かち線を使うことで、言葉のまとまりが分かりやすくなり、文章の意味も把握しやすくなります。

    <分かち線を使った指導手順の例>
    ①お子さまに音読してもらう ※文章に目を通すことが目的なので、読み方が不自然でも指摘しない
    ②先生が文章に分かち線を引く
    ③先生が文章を音読し、お子さまには分かち線を引いた文章を目で追ってもらう
    ④お子さまに、分かち線を引いた文章を音読してもらう
    ⑤お子さまに、分かち線を引いてもらう

    【発達障害】LD(学習障害)の接し方・対処法の5つのポイント②書くことに慣れる

    【発達障害】LD(学習障害)の接し方・対処法の5つのポイント②書くことに慣れる

    発達性ディスレクシアのうち、特に書くことが苦手なお子さまの場合は、“書く”という感覚に慣れていくことが必要です。

    できるだけ大きなマス目のノートを使い、まずはなぞり書きから始めましょう。
    また、高学年のお子さまがマス目の大きい低学年用のノートを使うのを嫌がる場合は、家で使うノートと学校で使うノートを分けるなど、お子さまの自尊心を傷つけないよう配慮することも必要です。

    なぞり書きの次は、手本を見ながら書く「模写」に進み、模写が問題無くできるようになれば、耳で聞いた言葉を書く「聴写」に進みます。
    聴写ができれば、書きの困難については日常生活では問題無いレベルまで改善できたと言えます。

    なぞり書きや模写のほかにも、紙の下にざらざらした質感のもの(サンドペーパーややすり)を敷くことで書く感覚を身につけることができます。また、画用紙に大きく白抜きの文字を書き、塗り絵をしたり色紙を貼ったりしながら、文字の形そのものに慣れるという方法もあります。

    書きの困難は、キーボード入力やフリック入力で代替することも可能です。
    大人になってからは手書きで文字を書く機会も非常に少なくなるため、早いうちからタイピングの練習をするなど、別の手段の練習をしておくという選択肢も検討すると良いでしょう。

    【発達障害】LD(学習障害)の接し方・対処法の5つのポイント③デジタル教科書(マルチメディアデイジー教科書)を使う

    【発達障害】LD(学習障害)の接し方・対処法の5つのポイント③デジタル教科書(マルチメディアデイジー教科書)を使う

    マルチメディアデイジー教科書とは、読みの困難を持つ子どもたちのために開発されたデジタル機器で、学校の教科書と同じ内容が電子媒体として収録されています。

    電子媒体であれば、文字を自由に拡大することができますし、背景とのコントラストなども調整することができます。
    また、マルチメディアデイジー教科書では、文章の切れ目ごとにハイライト表示ができるほか、音声による読み上げ機能などもついており、読字障害を持つ子どもたちにとって大きな助けとなる機能が搭載されています。

    大阪教育大学などによる研究では、「読み誤りが少なくなった」「音読のスピードが速くなった」などの改善例が示されています。文部科学省も積極的な普及・促進を図っているため、気になる場合は学校などに相談してみると良いでしょう。

    ④物を使って計算する

    物を使って計算する

    算数障害(ディスカリキュア)のお子さまの場合は、量をこなすのではなく、簡単な問題にじっくり取り組み、丁寧に学習を進めていくことが大切です。
    指を折りながらの計算でも良いので、少しずつ数の概念を定着させていきましょう。

    また、「1000g=1kg」や「1000ml=1L」といった重さや量の感覚が分かりづらいお子さまもいらっしゃいます。
    物の重さを測ってみたり、一緒に料理をしてみたりと、実際の体験を交えながら学習することで、重さや量の感覚を身につけることができます。

    ⑤入試での配慮を申請する

    入試での配慮を申請する

    学習障害の診断を受けている場合、入試で特別な配慮を受けられる可能性があります。

    例えば、大学入試の際の共通テストでは、発達障害を持つ人たちへの配慮事項として、

    ・試験時間の延長(1.3倍)
    ・チェック解答
    ・拡大文字冊子の配布
    ・注意事項等の文書による伝達
    ・別室の設定
    ・試験室入口までの付添者の同伴

    が挙げられています。

    このほかにも、問題文の読み上げなどの配慮が必要な場合は個別に申請することもできます。(参考:令和5年度 受験上の配慮案内 | 大学入試センター (dnc.ac.jp)

    また、高校入試や各大学の二次試験でも、実施主体に相談することで特別な配慮をしてもらえることがあります。公立高校であれば都道府県教育委員会に、私立高校や大学であればそれぞれの学校に相談するようにしましょう。

    【実例】発達障害のある子の中学受験~ASDとLD併発のS君の場合~
    【実例】発達障害のある子の中学受験~ASDとLD併発のS君の場合~
    この記事では、私がこれまで指導させていただいたお子さまの実例をご紹介します。 お名前などは仮名を用いていますが、指導の内容や合格への道のりは実際の指導内容そのま…

    【発達障害】LD(学習障害)の特徴と接し方のまとめ

    【発達障害】LD(学習障害)の特徴と接し方のまとめ

    この記事では、LD(学習障害、SLD)の特徴や接し方について詳しく説明してきました。

    改めてポイントをまとめると、以下のとおりです。

    <POINT>
    ・LDとは、知的な遅れや視聴覚の障害が無いにもかかわらず、読み・書き・計算に困難がある発達障害のこと

    ・LDはADHDやASDとの併発が多く、発達性協調運動障害を伴うこともある

    ・LDの支援は、医療的・教育的・福祉的な観点から総合的に考えることが必要

    ・発達性ディスレクシア(読み書きの困難)には、音韻処理不全が影響している

    ・子どもの学習において、「固有覚」「前庭覚」が果たす役割は大きい

    ・LDのお子さまは、自己肯定感が低くならないようケアが必要

    ・LDだからと一括りにせず、一人一人の特性を詳しく分析することが重要

    LDの特性には、複雑な要因が絡み合っていることも多く、支援の際には専門的な知識やノウハウが欠かせません。

    主治医だけでなく、学校の先生や言語聴覚士、発達障害に理解のある塾講師や家庭教師など、様々な分野の人と協力しながら支援していくことが大切です。

    私たちプロ家庭教師メガジュンでは、お子さま一人一人の特性をしっかり理解し、「何を目指して、どうアプローチしていくのか」を明確にしながら指導を行っています。

    ↓『学習・生活面のお悩み相談虎の巻』はこちらをクリックしてご覧ください。

    LDのお子さまをどうサポートしていけば良いのかお悩みの方は、ぜひ一度プロ家庭教師メガジュンまでご相談ください。

    不登校・発達障害指導で大切な「教える側の人間性と信念」
    不登校・発達障害指導で大切な「教える側の人間性と信念」
    「お子さまには、1人1人違った素晴らしい個性がある」 発達障害や不登校の状態にあるお子さまをお持ちの保護者さまにとって、上辺だけの綺麗事を並べられることほど苦し…

    また、授業や面談はオンラインでも承っています。これまで、日本国内だけでなく海外にお住まいの方や帰国子女の方からもご利用いただき、ご好評の声をいただいてきました。

    初回の授業や面談は無料で承っていますので、オンラインでの受講が不安な方もお気軽にお試しいただけます。

    不登校・発達障害×受験 のプロだからできる指導
    不登校・発達障害×受験 のプロだからできる指導
    不登校・発達障害×受験のプロだからできる指導 不登校で勉強面の遅れが心配/子どもへの接し方に悩んでいる 発達障害と診断されたが、対処法がよくわからない 学校や塾…

    1人でも多くのお子さまがより良い人生を歩めるよう、一同全力でサポートしてまいります。

    最後までお読みいただきありがとうございました。

    他におすすめの記事