アスペルガー(ASD)の高校生の特徴とは?チェックリストや勉強法を紹介!
ASD(アスペルガー症候群、自閉スペクトラム症)の高校生で、以下のようなお悩みをお持ちの方はいらっしゃいませんか?
・勉強しているのに、成績がなかなか伸びない
・自分に合った進路がわからない
私は、発達障害専門のプロ家庭教師や塾経営者として、ASDの高校生の方の学習指導に携わってきました。
1500人以上を指導してきた中で、勉強に関わるお悩みのほか、学校生活や友人関係など、様々な場面でASDの高校生の方はお悩みを抱えていることがわかりました。
ASDの方の場合、小学生の頃は気にならなかった困りごとも、中学・高校と学年が上がるにつれ周りとの違いが目立ち始め、困りごとが表面化してくることがあります。
また、高校生になると、同年代のクラスメイト達のコミュニケーションはかなり高度なものになります。
本音と建前、冗談や皮肉を使いこなすようになり、人間関係も複雑になっていく中で、コミュニケーションが苦手なASDの方は、学校での居心地の悪さや孤立感を抱えることがあります。
また、高校生という時期は、「自分らしさ(アイデンティティ)」を確立していく時期でもあります。
ASDの特性による得意・不得意を持ちながら、どのように自分を認め、苦手なことや周りとの違いも含めて自分自身を受け入れていくのか…
ASDの高校生の皆さんは、こういった課題に立ち向かっていかなければなりません。
さらに、補習や部活動などで学校で過ごす時間が長くなるほか、アルバイトを始める方もいらっしゃいます。
小中学校の頃は、生活の大半を保護者さまが把握し、必要に応じてサポートや管理をすることができました。ですが、高校生になると、保護者さまの目の届かない範囲で行動することも増えていきます。
テスト対策や受験勉強、金銭管理、生活リズムの改善などを自分の責任で行うことで、高校生の皆さんは社会へ出るためのスキルを身に付けていきます。
高校生になるとお子さま自身の自立心も芽生えるため、保護者さまに何から何まで口出しされることに抵抗を感じることもあるでしょう。
保護者さまとしては、ASDの特性があることも相まって、ついつい口出ししたり、注意したくなったりすることもあるかもしれません。
ですが、高校生のお子さまは、今まさに保護者さまの元を離れ、自分の力で人生を歩んでいく入り口に立っているところです。
保護者さまの思いだけではなく、お子さま自身が納得できる選択肢を選べるよう、程よい距離から支援することが大切です。
・ASDの高校生のお子さまの学力の伸ばし方は?
・ASDの高校生のお子さまの進路はどのように決めたらよい?
この記事では、こういったお悩みについて詳しくお答えしていきます。
ASDの高校生のことでお悩みがある方にぜひお読みいただきたい内容となっていますので、最後までお目通しいただけますと幸いです。
▼目次
- 1 ASD(アスペルガー症候群、自閉スペクトラム症)の高校生の特徴とチェックリスト
- 2 ASD(アスペルガー症候群、自閉スペクトラム症)の高校生の困りごとと対処方法5選
- 2.1 ASD(アスペルガー症候群、自閉スペクトラム症)の高校生の困りごとと対処方法①コミュニケーションの困難
- 2.2 ASD(アスペルガー症候群、自閉スペクトラム症)の高校生の困りごとと対処方法②自分を客観的に捉えられず、適切な進路選択ができない
- 2.3 ASD(アスペルガー症候群、自閉スペクトラム症)の高校生の困りごとと対処方法③課題やテスト対策を効率的に進めることが苦手
- 2.4 ASD(アスペルガー症候群、自閉スペクトラム症)の高校生の困りごとと対処方法④社会的なマナーが身に付かず、アルバイトで失敗する
- 2.5 ASD(アスペルガー症候群、自閉スペクトラム症)の高校生の困りごとと対処方法⑤親子の適切な距離感を保つ
- 3 ASD(アスペルガー症候群、自閉スペクトラム症)の高校生の3つの強み
- 4 ASD(アスペルガー症候群、自閉スペクトラム症)の高校生の進路選択
- 5 ASD(アスペルガー症候群、自閉スペクトラム症)の高校生のまとめ
ASD(アスペルガー症候群、自閉スペクトラム症)の高校生の特徴とチェックリスト
この章では、ASD(アスペルガー症候群、自閉スペクトラム症)の特性など、基本的な情報を紹介していきます。
ASDについて既に知識をお持ちの方は、「2.ASD(アスペルガー症候群、自閉スペクトラム症)の高校生の困りごとと対処方法5選」までお進みください。
ASD(アスペルガー症候群、自閉スペクトラム症)の定義
ASDの特性は、「コミュニケーションや社会性の困難」と「限定された興味やこだわり」の2つであるとされています。
ASD(Autism Spectrum Disorder, 自閉スペクトラム症)の名称のとおり、その特性には連続性(スペクトラム)があり、人によって困りごとの内容や度合いは様々です。
(参考:子どもの発達障害 「自閉スペクトラム症(ASD)」とは?アスペルガー症候群などとの違い | NHK健康チャンネル)
そのため、確定診断には至らずグレーゾーンが多いのもASDの特徴となっています。
アスペルガー症候群はASDに含まれる分類の一つで、ASDのうち知的障害や言葉の遅れが無いものを指します。
知的障害と言葉の遅れがある場合は自閉症、知的障害は無いものの言葉の遅れがある場合は高機能自閉症に分類されます。
現在、アスペルガー症候群という呼称は診断名として使われることは少なく、主にASDの名称が用いられています。一方で、アスペルガー症候群という名称は一般に広く浸透しているため、ASDとアスペルガー症候群が併記されている場合もあります。
統計上は人口の2~5%がASDに該当するとされています。
40人のクラスであれば1人程度は該当する可能性がありますので、親戚や友人・知人にASDの方がいる場合も少なくないでしょう。
男女の偏りが大きいのもASDの特徴で、男女比は「男:女=4:1」と言われています。
男子の方が圧倒的に多いと考えられていますが、女子の場合は言語の遅れが目立ちにくく、社会的な困難に気付かれにくいために数が少なくなっているという見方もあります。
高校生の場合ですと、
・こだわりが強く、集団生活に馴染めない
・融通が利かない、柔軟性が無い
・予定の変更や初めてのイベント、場所などで強い不安感を覚える
などが困りごとの例になります。
ASDの特性は幼少期から出現しますので、高校生になってから急にこれらの困りごとを感じるようになった場合は、ストレスや適応障害など別の原因があるかもしれません。
安易な自己診断は避け、気になることがある場合は精神科や心療内科を受診するようにしましょう。
ASD(アスペルガー症候群、自閉スペクトラム症)の診断とチェックリスト
ASDの診断基準について、アメリカ精神医学会の「DSM-5」では以下のように定められています。
・反復行動や極度に限定された興味
・発達早期からの特性の出現
・社会生活における重大な困難の誘発
医師が診断する際には、問診やWISC-IV(16歳未満対象)・WAIS-III(16歳以上対象)と呼ばれる知能検査、日常の立ち居振る舞いなどを見て総合的に判断します。
以下では簡単なチェックリストをお示ししていますが、これだけでASDに当てはまるかどうかが確定するわけではありませんので、困りごとがある場合は医師の診断を仰ぐようにしましょう。
②みんなで協力するよりも、一人で取り組む方が良い
③意図せず相手を傷つけたり、失礼な発言をしてしまったりすることがある
④その場の空気を読むのが苦手
⑤冗談を言われたままに受け取ってしまうことがある
⑥「もう少し」「適当に」などの曖昧な表現や、「あれ・それ・これ」のような指示語を理解するのが苦手
⑦音や光、においに敏感である
⑧車のナンバーや時刻表など、数字の羅列に注目することがよくある
⑨何かに没頭すると途中でやめることができない
ASD(アスペルガー症候群、自閉スペクトラム症)の高校生の困りごとと対処方法5選
ASD(アスペルガー症候群、自閉スペクトラム症)の高校生の方が最も多く直面するのが、コミュニケーションの困難です。
年齢が低ければ、周りの子どもたちのコミュニケーションもそれほど高度ではないため、ASDの特性としてのコミュニケーション上の困りごとは目立ちにくい傾向にあります。
ですが、年齢が上がって周りの子どもたちのコミュニケーションのレベルが高くなると、だんだんと周りとの差が開いていき、結果として困りごとが目立つようになります。
さらに、ASDの方の場合は、自分の気持ちを言葉で表現することが苦手な方も多いため、進路を検討する際などに上手く自分の希望を伝えられなかったり、自分の強みや弱みを客観的に捉えることが苦手なため、適切な進路を自分で見つけるのが困難な場合があります。
以下では、ASDの高校生の方が抱えがちな困りごとと対処方法について、具体的に解説していきます。
ASD(アスペルガー症候群、自閉スペクトラム症)の高校生の困りごとと対処方法①コミュニケーションの困難
ASDの方がコミュニケーションを苦手とするのは、いわゆる“空気が読めない”ことが原因です。
また、建前や皮肉、冗談がわからないなど、言外に含まれた意図を読み取りづらいといった特性もあります。
高校生のお子さまがクラスで孤立してしまうのは、「一方的に話し続けてしまう」「思ったことをそのまま口にしてしまう」といったケースが多いのですが、それぞれ以下のような対処方法が考えられます。
-「1~2文しゃべったら、相手の意見を聞く」といったルールを決める
-相手の話を聞いているときは、相槌を打つ
-話しかけるときは、相手も興味のある話題かどうかを考える
-相手の機嫌を損ねてしまった場合、詳細をノートに書いて同じことを繰り返さないようにする
-「不適切な発言をしたら、その都度言ってほしい」と仲の良い友達に頼む
私たちのコミュニケーションには暗黙のルールがあり、定型発達の場合は、発達段階に応じて自然とそのルールを身につけることができます。
一方、ASDの場合は、明文化されていない暗黙のルールを感じ取ることが難しいため、意識的に言語化し、具体的なルールとして学んでいく必要があります。
コミュニケーションに苦手意識がある場合、友達を傷つけまいとして相手の言うことを何でも聞いてしまう、といったケースもあります(特に、グループ意識の強い女の子に多く見られます)。
興味の無い遊びや、勉強時間を削るほど無理な付き合いを続ける必要はありません。
このような場合には、相手を傷つけない断り方を身につけることも重要です。
「今日は家族と用事があるから」「行きたいけど、お金が無いからまた今度」など、角を立てない言い回しを覚えるようにしましょう。
ASD(アスペルガー症候群、自閉スペクトラム症)の高校生の困りごとと対処方法②自分を客観的に捉えられず、適切な進路選択ができない
自分のことを客観的に捉えることは、大人でも難しいものです。
ましてや高校生のお子さまですと、まだまだ思春期の最中であることも相まって、自意識過剰になってしまったり、逆に過度に自分を卑下してしまったりといったことは往々にしてあります。
さらにASDの方の場合は、「他人の立場から見た自分」を想像する力が弱いため、自身の特性と相性の悪い進路や、現状の学力からはかなり厳しい志望校を選んでしまうといったケースが散見されます。
私の元に相談に来られる方の中にも、理系科目の成績が思わしくなく、逆に国語や英語の方が得意であるにも関わらず、第一志望は国立の理系学部であるといったケースがよくあります。
このような場合、「そんな進路は無理だ」と頭ごなしに否定してはいけません。
本人は状況を客観的に見ることができておらず、何となくで進路を選んでしまっていることが多いため、まずは「なぜその進路を選ぼうと思ったのか」「自分の強み・弱みは何か」ということを丁寧にお話ししていきます。
もし、本人が捉えている自分の強み・弱みと、他人から見たときの強み・弱みにズレがある場合は、客観的な事実を提示しながら、少しずつ自己認識を修正していけるようサポートしていきます。
いきなり進路の話をするのではなく、まずは自分を客観的に捉える力を身につけることが大切です。この力は、大学受験だけでなく、就職や転職の際にも非常に役に立ちますので、高校段階で身につけておくと大きな強みになります。
ASD(アスペルガー症候群、自閉スペクトラム症)の高校生の困りごとと対処方法③課題やテスト対策を効率的に進めることが苦手
小中学生であれば、保護者さまが宿題やテストの時期を把握し、勉強の計画を立ててあげることも可能だったかもしれません。
ですが、高校生になると、科目数も増え、勉強の内容も高度になるなど、保護者さまが全てを把握することが難しくなってきます。
さらに、部活やアルバイトなど、勉強以外のスケジュールとの兼ね合いも考えなければならないほか、お子さま自身にも自立心が芽生えますので、保護者さまが「勉強しなさい」と言っても素直に受け入れることが難しい場合もあります。
高校生であれば、全てを保護者さま任せにするのではなく、お子さま自身でやりとげる力もつける必要があります。もちろん、完全にほったらかしにして留年や退学となってはいけませんが、ある程度はお子さまに任せてみることも必要です。
日頃から「困ったことがあればいつでも相談してね」と伝え、いざというときにお子さまがヘルプを出せる状況を作っておくことが重要です。
また、ASDの方は未来のことを考えるのが苦手で、不確定な要素が積み重なるとパニックになってしまうこともあります。
ヘルプを出す余裕が無さそうなときは、「どんな状況か教えてくれる?」など声を掛け、本人が頭の中を整理できるようサポートしましょう。
「ああしなさい」「こうしなさい」と始めから答えを出すことは避けましょう。計画的に物事を進めることは、大学生や社会人になっても必要となる力です。
高校生のテスト対策は、計画性を身につけるトレーニングとして非常に有効ですので、あくまで大人はサポートに徹し、お子さま自身で計画を組み立てていくことを意識しましょう。
ASD(アスペルガー症候群、自閉スペクトラム症)の高校生の困りごとと対処方法④社会的なマナーが身に付かず、アルバイトで失敗する
ASDの方は、暗黙のルールや常識を理解するのが苦手です。
挨拶や身だしなみなど、「明文化はされていないものの、何となく社会全体の共通認識となっていること」がわかりづらいため、高校生の場合はアルバイトなどの場面でつまずくことが多いようです。
学校の中であれば、「校則」といったはっきりとしたルールがありますし、部活の上下関係についても、入部したときに「先輩には敬語を使う」「片付けは1年生がやる」などとはっきりと伝えられることがほとんどです。
ですが、アルバイトにおいては、作業手順のマニュアルはあったとしても、マナーについて明確にルールが示されることは多くありません。
特に接客系のアルバイトであれば、さまざまなお客さんに対応する必要があり、臨機応変さや柔軟性が求められます。
マニュアル一辺倒の対応でトラブルを起こしてしまったり、愛想が無いと評価されてしまったりするほか、そもそもアルバイトの面接に受からないといったケースもあります。
身だしなみや面接で言うべきことには一定のパターンがありますので、面接になかなか受からない場合は、家で練習してみるのも良いでしょう。
接客が苦手な場合は、無理に接客系のアルバイトはせず、製造系など作業中心のアルバイトをするのも良いでしょう。
アルバイトにおいても、自分の強み・弱みを踏まえた選択が重要です。
ASD(アスペルガー症候群、自閉スペクトラム症)の高校生の困りごとと対処方法⑤親子の適切な距離感を保つ
高校生になると、学校やアルバイト先など家以外で過ごす時間が増える一方、コミュニケーションに関わる困りごとや環境の変化に伴うストレスも大きくなっていきます。
イライラを家族にぶつけてしまったり、不安だからと家族に過度に甘えてしまったりと、親子関係の構築がこれまで以上に難しくなる時期とも言えるでしょう。
保護者さまにとっては、お子さまの行動は危なっかしく、頼りないものに見えることもあると思います。
ですが、お子さまの人生はお子さま自身のものですので、保護者さまの判断をそのまま押し付けることはにやめた方が良いです。自分で選んだことだからこそ、人は前向きに取り組むことができます。
最終的な決断はお子さまが行うようにし、周りの大人は、決断の参考となる選択肢やガイドラインを示すなど、サポートに徹しましょう。
「言われたとおりにしていればいい」という経験が積み重なると、自分で考える力が付かないばかりか、「自分の気持ちはどうでもいい」という考えに陥り、自己肯定感の低下や、極端な場合は鬱などの二次障害につながることもあります。
高校生という時期は、アイデンティティ(自分は自分であること、自分らしさ)を身につける大切な時期ですので、保護者さまにはお子さまの人格をこれまで以上に尊重していただいた方が、うまくいくことが多いと思います。
ASD(アスペルガー症候群、自閉スペクトラム症)の高校生の3つの強み
ASDの高校生の方は、コミュニケーションの困難や強いこだわりといった特性がありますが、必ずしもこれらがデメリットであるとは限りません。
「短所は、裏返せば長所になる」と言われるように、ASDならではの特性は強みにもなりますので、困りごとだけに注目するのではなく、得意なことや強みについても把握することが大切です。
ASD(アスペルガー症候群、自閉スペクトラム症)の高校生の強み①興味のあることをとことん追求できる
ASDの特性として、「限定された興味・こだわり」があります。
自分の好きな物(電車、アニメ、ゲーム、アイドルなど)についてはとことん追求し、知識をいくらでも蓄えられるという方も多いのではないでしょうか。
幼稚園や小学校の頃、「電車博士」「昆虫博士」と呼ばれていたお子さまはいらっしゃいませんか?
高校生になると、マニアックな知識を披露する機会も少なくなるかもしれませんが、好きなものを追求し、誰にも負けない知識や技術を身につけることは素晴らしいことです。
大学に入って研究対象にしても良いですし、好きなものに関する職業に就くのも良いでしょう。
好きなこと・やりたいことが見つからずに困っている、という人も世の中には多くいます。好きなものがあり、それに没入できることは大きな財産ですので、ぜひ前向きな一つの個性として捉えていただきたいと思います。
ASD(アスペルガー症候群、自閉スペクトラム症)の高校生の強み②ルーティンワークが得意
ASDの方は、一度決めたルールを守ることが得意です。
毎日同じルーティンを繰り返す方が安心できるという特性もあるため、ひとたび学習習慣を確立することができれば、高校3年間でコツコツと勉強を積み重ね、大学受験に挑むことが可能です。
高校生は、行動範囲も広がり、いろいろなことへの関心が高まる時期です。
勉強以外の誘惑が多い中、毎日決まったルーティンで勉強に取り組めるということは、想像以上に大きな強みになりますので、自信を持っていただければと思います。
ASD(アスペルガー症候群、自閉スペクトラム症)の高校生の強み③周りに流されない
空気を読むことは大事ですが、読みすぎるのも良くありません。
特に学校や教室は内に閉じた空間であり、大人が想像する以上に同調圧力が強いと言われています。
「みんながそう言っているから」「スクールカースト上位の子たちのノリに合わせるべき」といった暗黙のルールには、時には一石を投じる必要があります。
もちろん、たった3年間過ごすだけですので、事なかれ主義を通すのも一つの方法ではあります。ですが、おかしいと思ったときにおかしいと言えることはとても大切であり、社会ではそういった人材が求められる場面もあります。
ASDの方は、企業に就職して周りに合わせながら生きていくよりも、自分のこだわりや価値観を尊重して自由に生きていく方が向いている場合も多いため、多少クラスで浮いてしまっても「自分は自分である」という姿勢を貫くことが、社会に出てからの生き方のリハーサルになるかもしれません。
ASD(アスペルガー症候群、自閉スペクトラム症)の高校生の進路選択
高校卒業後の進路は大学進学か就職の大きく2つに分かれますが、いずれにしても、高校の頃から最低限のソーシャルスキル(※)を身につけることを意識しておきましょう。
生活リズムや時間管理については、ASDの方の場合、それほど心配は要りません。
ただし、ADHDと併発している場合は、整理整頓やメモの使い方、手帳によるスケジュール管理について高校生のうちから慣れておくようにしましょう。
ASDの方が特に意識すべきソーシャルスキルは、やはり「コミュニケーション」と「マナー・慣習」です。
何となくわかるようになる、ということはほとんどありませんので、日々の経験をケーススタディと捉え、ひとつずつ分析と記録を積み重ねていくことが大切です。
自分ひとりでは、何が悪かったのか、どうすれば良かったのかを分析することは難しいと思いますので、保護者さまや先生、仲の良い友達の力を借りながら「あの時はどうするのが正解だった?」と確かめることを続けていきましょう。
大学進学する場合は、自分の得意な科目を生かせる受験制度の大学を選びましょう。
得意科目だけ受験できる大学や、得意科目の配点が高い大学、あるいは得意科目の難易度が高い大学などがオススメです。
さらに、最近では総合型選抜(AO入試)を取り入れる大学も増えてきました。
「高校時代に○○を頑張った!」「大学で○○を学びたい!」という強い意志がある場合は、総合型選抜の大学を検討するのも良いでしょう。
就職する場合は、自分の特性を活かせるか、あるいは理解してもらえるかといった点に注目しましょう。障害者手帳を取得している場合は、障害者雇用での就労も選択肢となります。
自分の特性を自分の言葉で説明するスキルも必要となりますので、高校生活の中で意識しておくと良いでしょう。
ASD(アスペルガー症候群、自閉スペクトラム症)の高校生のまとめ
この記事では、ASD(アスペルガー症候群、自閉スペクトラム症)の高校生の特徴や支援方法、進路の選択などについて詳しく説明してきました。
改めてポイントをまとめると、次のとおりです。
・ASDの高校生は、自分を客観視することが苦手なため、進路を選ぶ際には周りのサポートが必要
・自分で考え計画する力を身につけるためには、程よい距離からのサポートが必要
・最終的な決断はお子さま本人が行い、大人の考えを押し付けないようにする
・ASDの高校生は、勉強にコツコツ取り組めるという強みがある
・ASDの高校生は、周りに流されず自分の好きなことを追求できる特性がある
年齢が上がるにつれ、どうしても周りの目は気になってしまうものです。
ですが、周りと違うことは必ずしも悪いことではなく、誰にも真似できない強みになる可能性もあります。
コミュニケーションや友人関係で悩んでしまうこともあるかもしれませんが、大学や社会に出れば状況が一新することもありますので、自分の特性を受け入れ、前向きに進路を選択していきましょう。
私たちプロ家庭教師メガジュンでは、これまで多くのASDのお子さまの指導を行ってきました。
最初は自信の無かったお子さまが、勉強を通して自信を付け、前向きに物事に取り組めるようになった姿を見せてくれることは、プロ家庭教師としてこの上ない喜びです。
「大丈夫、きっとできる!」と自分を信じる力が、お子さまの人生をより良いものにします。
プロ家庭教師メガジュンでは、単に勉強を教えるだけではなく、将来を見据えた人間力の育成を目指して指導を行っていますので、お子さまに自分の力で未来を切り拓けるようになってほしいとお考えの保護者さまは、ぜひプロ家庭教師メガジュンをご検討ください。
指導や面談はオンラインでも承っています。
遠隔地にお住まいの方、海外子女や帰国子女の方など、これまで幅広い方からご利用をいただいてきました。
初回の授業・面談は無料ですので、オンラインで授業が受けられるか不安な方も、ぜひお気軽にお問い合わせください。
1人でも多くのお子さまのお力になれるよう、一同全力でサポートしてまいります。
最後までお読みいただきありがとうございました。