アスペルガー(ASD)のこだわり例と対処法|特性を勉強や就職に活かすには?
- アスペルガーのこだわりってどんなもの?
- アスペルガーの特性って何?
- こだわりが強くて生きづらいのは、アスペルガーだから?
アスペルガー症候群(ASD、自閉スペクトラム症)について、このような疑問やお悩みをお持ちの方はいらっしゃいませんか?
アスペルガーの特性として、コミュニケーションや社会性の困難は有名ですが、「限定された興味やこだわり」もアスペルガーの大きな特徴の一つです。
私は、発達障害専門のプロ家庭教師や塾経営者として、長年にわたりアスペルガーのお子さまの学習指導やサポートに携わってきました。
1500人以上を指導する中で、非常に強いこだわりを持ったお子さまをサポートした経験も数多くありますが、「なぜこだわるのか」を理解するとともに、こだわりを否定せず、むしろ活かしながら支援していくことが何よりも重要だと感じています。
アスペルガーの方のこだわりは、一般的な(=定型発達の)方が持つこだわりとは性質が違います。本人の趣味や嗜好といったレベルではなく、“そうせずにはいられない”という非常に強い心の動きが関係しています。
本人にもコントロールできないものですので、無理にやめさせたり、叱責したりすることは状況の改善につながりません。(改善どころか、ストレスによってうつ病や適応障害などの二次障害を引き起こす可能性もあります。)
ですので、アスペルガーの方のこだわりに対処する際には、まずは「なぜこだわるのか」という理由の理解から始めましょう。
多くの場合、アスペルガーの方はイレギュラーな出来事が苦手です。
というのも、アスペルガーには「想像力の不足」という特性があり、いつもと違う状況に対して強い不安を感じる傾向にあります。
そのため、本人が安心するためのこだわりであれば、最大限尊重する方が精神的な安定のためには望ましいといえます。
また、どうしてもこだわりが叶えられない場合には、「なぜ叶えられないのか」を十分説明するとともに、叶えられないときの不安な気持ちについてできる限り言語化し、本人と周りが共有することが大切です。
この記事では、アスペルガーご本人の方や、アスペルガーのお子さまをお持ちの保護者の方、また、同僚や友人がアスペルガーである方に向けて、アスペルガーのこだわりの例などを詳しく説明していきますので、最後までお読みいただけますと幸いです。
- アスペルガーのこだわりと、普通の人のこだわりの違い
- アスペルガーはなぜ強いこだわりを持つのか
- アスペルガーのこだわりとの上手な付き合い方
▼目次
アスペルガー症候群(ASD、自閉スペクトラム症)とは
アスペルガー症候群という名称は、現在、診断名としてはあまり使われていません。
診断の際にはASD(自閉スペクトラム症, Autism Spectrum Disorder)の名称が使われることがほとんどで、アスペルガー症候群はASDの一部という位置づけになっています。
具体的には、ASDのうち、知的障害と言語の遅れがあるものが自閉症、知的障害は無いものの言語の遅れがあるものが高機能自閉症、知的障害と言語の遅れが無いものがアスペルガー症候群とされています。
一方、「自閉スペクトラム症」の名称にもあるとおり、一連の症状にはスペクトラム=連続性があります。(参考:子どもの発達障害 「自閉スペクトラム症(ASD)」とは?アスペルガー症候群などとの違い | NHK健康チャンネル)
それぞれを明確に区分するのが難しいケースも多いため、診断の際はASDという大枠で診断名が付けられるようになっています。
なお、アスペルガー症候群という名称は広く浸透していることから、この記事ではアスペルガーとASDの名称を併記しています。
アスペルガー症候群(ASD、自閉スペクトラム症)の特性
アスペルガー症候群の特性は、「社会性・コミュニケーションの困難」と「限定された興味・こだわり」の大きく二つに分けることができます。
アメリカの精神医学会が定める診断基準DSM-5では、アスペルガー症候群を以下のように定義しています。
- 社会的コミュニケーションや対人関係において、複数の状況で持続的な欠陥がある
- 極度に限定的で執着的な興味、感覚過敏又は鈍麻、反復的な身体運動や会話などの特徴に少なくとも2つ以上当てはまる
- 発達早期の段階から①②の症状が存在している
- 学校生活や仕事関係で重大な困りごとが生じている
- これらの症状が、知的障害や全般的な発達遅延では説明できない
実際の診断の際には、こういった基準と照らし合わせながら、知能検査や発達検査を行うとともに、立ち居振る舞いを観察したり、日常の困りごとについて問診するなどしてアスペルガーに当てはまるかどうかを総合的に判断します。
人間関係やコミュニケーションでの困りごとや、極端なこだわりや感覚過敏でお悩みの方は、もしかしたらアスペルガー症候群かもしれません。
以下に簡易なチェックリストを掲載していますので、当てはまる項目が多い場合は受診を検討すると良いでしょう。
- 空気が読めない(表情や雰囲気から相手の気持ちが読み取れない)
- 行間が読めない(言外に含まれている意味が読み取れない)
- 「適当に」「もう少し」など、曖昧な言葉が理解できない
- 言葉や態度が失礼だと指摘されることがある
- わずかな物音でも気が散る
- 複数人でいるより、一人でいる方が好き
- いつもと同じ方法を繰り返したい、違う方法には挑戦したくない
- 何かに没頭すると、周りが見えなくなることがある
- 時刻表や車のナンバーなどの、数字の羅列に惹かれる

アスペルガー症候群(ASD、自閉スペクトラム症)の困りごとの例
「コミュニケーションが苦手」「限定されたこだわり」といったアスペルガーの特性は、日常生活で以下のような困りごとにつながる場合があります。
ケース①曖昧な表現を理解するのが苦手
アスペルガーの方は、「もう少し」などの程度を表す表現や、「この・その・あの」などの指示語を理解するのが苦手です。
例えば「一緒に遊んで」とお子さまに言われたとき、「今は手が離せないから、もうちょっと待って」と答えたとします。
アスペルガーのお子さまは“もうちょっと”がどれくらいか分からず、数秒おきに「まだ?」と聞いてしまったり、思っていたよりも待たされたように感じて癇癪を起こしてしまったりします。
大人の場合ですと、「お客さんが来るから、この辺を掃除しておいて」と上司から指示されて、指さされた一部分のみを掃除してしまうなどのケースがあります。
お客さんが来る=部屋全体を掃除する、という文脈が上手く捉えられず、“この辺”という指示語の解釈がズレてしまうことが原因です。
ケース②自分のこだわり(やり方)を優先してしまう
アスペルガーの方は、自分のやり方に強いこだわりを持つことがあります。
私が受け持ったお子さまの中にも、記述問題を上限文字数ぴったりで答えることにこだわる方がいらっしゃいました。
もちろん、上限ぴったりで答えても加点されませんし、そのことにこだわり過ぎて別の問題を解く時間が無くなってしまうことも多かったため、何とか対策する必要がありました。
このお子さまの場合は、「上限ぴったりではなく3文字マイナスならOK」といったように少しずつ許容範囲を広げていくことで、こだわりを少しずつ緩めることができました。
大人の方の場合でも、ホチキスの位置や付箋の色などに極端にこだわってしまい、仕事の効率が落ちてしまうケースなどがあります。
少しずつこだわりを緩められるよう工夫するほか、支障が大きくない場合はこだわりを優先する方が良いこともあります。
ケース③感覚過敏による困りごと
アスペルガーの方は、視覚・聴覚・嗅覚・味覚・触覚などの感覚が人より過敏なことがあります。
お子さまの場合、好き嫌いが激しく偏食気味になったり、わずかな味の差がわかるため特定のメーカーのものしか口にしないなどのケースがあります。また、登校渋りの原因を調べたところ、通学路の踏切の音が苦手だったからというケースもありました。
大人になってからも、聴覚過敏のために大きな音が苦手であったり、にぎやかな場所が苦手な方がいらっしゃいます。また、触覚が過敏でお米を研ぐのが苦手という方もいらっしゃいました。
聴覚が過敏な方は耳栓やイヤーマフを、お米を手で研ぐのが苦手な方であれば道具を使うなどの工夫をすると良いでしょう。
視力が悪い人が眼鏡を掛けるのと同じように、感覚過敏を和らげるために道具を使うことは決して悪いことではありません。

アスペルガー症候群(ASD、自閉スペクトラム症)のこだわりの理由
アスペルガー症候群(ASD、自閉スペクトラム症)の方が物事に強くこだわるのは、一種の「不安の表れ」であると考えられています。
アスペルガーの方は、時間という抽象的な概念を捉えるのが苦手(※)で、未来のことを想像する力が低いとされています。
そのため、不確定な要素をできるだけ取り除きたいという気持ちから、「いつもと同じ」「自分の好きな物だけ」という限定的で強いこだわりが生じるようになります。
例えば、いつも青色の物を選ぶアスペルガーの方は、青がとても好きだから選んでいるというだけでなく、
- 青を選ぶ=いつものこと → 安心できる
- 青以外を選ぶ=いつもと違うこと → 不安になる
という心の働きがあります。
お子さまですと、青以外を選んだ時の不安が抑えられず、「青じゃなきゃ嫌だ!」と癇癪を起こしてしまったりします。
アスペルガーの方は自分の気持ちを言葉で表すことも苦手な傾向にあるため、こだわりが叶わないことで不安を感じていること自体を自分でも認識できず、知らないうちにストレスを溜めてしまうこともあります。
こだわりをいつも優先できるわけではなく、我慢しなければいけない場面もある一方で、無理に我慢を続けると心のバランスを崩してしまうこともあります。
また、こだわりをやめるよう叱責されることが続くと、自分自身を否定されたように感じて自己肯定感が低くなることもあります。
日常生活や仕事で重大な支障が生じる場合はこだわりを抑えることも必要かもしれませんが、精神面とのバランスを見ながら、時にはこだわりを尊重することも大切です。
精神的に落ち着いているようであれば、少しずつこだわりを緩められるよう工夫するのも良いでしょう。(例:5回に1回は青以外を選んでみる→徐々に青以外を選ぶ頻度を増やしてみる など)
- ※アスペルガー(ASD)と時間軸
- アスペルガーの方が時間軸を捉えることが苦手な例として、「過去のことが今の出来事のように感じられる」ということがあります。定型発達の人は過去のことは過去のことであると割り切ることができますが、アスペルガーの方は過去の出来事でも今まさに経験しているように感じることがあり、タイムスリップ現象やフラッシュバックなどにも悩まされやすいと言われています。

アスペルガー症候群(ASD、自閉スペクトラム症)のこだわりの4つの例
アスペルガー症候群(ASD、自閉スペクトラム症)の方が強いこだわりを持つことで生じる困りごとは、以下のようなものが挙げられます。
- 自分なりのルールがあり、自分で決めた方法や手順でのみ物事に対処する
- 自分のルールが一番大事で、柔軟な対応ができない。自分のルールを破られると怒る
- 日々のルーティンを守ることに固執し、イレギュラーが起こるとパニックになる
- 特定の物事に狭く強い関心を持つ一方、関心の無いことには全く興味を持たない
- 興味の無いことに対してやる気が出ず、後回しにする
- 勝ち負けに非常にこだわり、負けると機嫌が悪くなる
- 興味のあることに関して過度に集中し、寝食をおろそかにする
アスペルガーの方のこだわりは、大きく2種類に分けることができます。
一つは「いつもと同じであること(ルーティンやルール)へのこだわり」、もう一つは「自分の興味があることへのこだわり」です。
後者の「興味があるものへのこだわり」については、矯正したり、対処法を考えたりする必要はそれほど大きくありません。
電車やバスに興味を持つアスペルガーのお子さまは多くいらっしゃいますが、時刻表を全部覚えたり、全国の路線図を暗記したりしていたとしても、特に生活上の支障は無いはずです。(むしろ、電車博士・バス博士として学校で褒められるかもしれません)
また、興味の形は年齢とともに変化することも多く、数字が好きなお子さまの場合でも、電車の時刻表から円周率、さらに日々の気温や気圧へと興味が変化したお子さまもいらっしゃいました。
「電車の本ばかり読んでいて心配」「もっと色々なことに興味を持ってほしい」という保護者さまもいらっしゃるかもしれません。
ですが、アスペルガーのお子さまは、自分の好きな電車や数字の世界に浸ることで安心を得ている可能性もあります。無理にこだわりをやめさせようとせず、見守ることを心がけましょう。
好きなものを極めることで自信がつくほか、将来の進路選択に役立つこともあります。
前述した時刻表→円周率→気温・気圧へと興味が変化したお子さまは、毎日の気温と気圧の記録を付けた作品が夏休みの自由研究として賞を受賞しましたし、大学では気象に関する研究をしたいと、今は受験勉強を頑張っていらっしゃいます。
アスペルガーのこだわりのうち、特にサポートが必要となるのは「いつもと同じであること(ルーティンやルール)へのこだわり」です。
未来を想像するのが苦手なアスペルガーの方は、自分の想定通りに物事が進むことを好み、ルーティンやルールに固執します。
ですが、生きていく上でイレギュラーは付きものですし、毎日全く同じ日々が繰り返されることはありません。
イレギュラーが起きたときに、パニックにならないようにすること、あるいは、パニックが起きたときにどう対処するかといった視点が重要です。
以下では、ルーティン・ルールにこだわることで起きやすい困りごとの例をご紹介します。
アスペルガー(ASD)のこだわりの例①朝のルーティンへのこだわり
Aくんは、朝の支度のスケジュールを分刻みで決めていました。
6時50分に起床し、6時55分に歯磨き、7時10分には朝ごはんというように、まさに分刻みで朝の準備を進め、1分でもずれると不安を感じ、5分以上ずれたときはほとんどパニックのようになってしまっていました。
遠足の日や家族で出かけるときには、どうしてもいつもどおりのスケジュールにならないことがあります。
せっかくのお出かけにも関わらず、朝からパニックや癇癪になってしまうため、ご本人や家族にとって非常に大きな困りごとでした。
Aくんの場合は、年齢が上がるとともにこだわり行動が落ち着き、高校生になった現在はパニックを起こすことはなくなりました。
ですが、今でも規則正しい生活は続けているとのことです。
アスペルガー(ASD)のこだわりの例②服装へのこだわり
Bさんは、小学生のころ、「シャツのボタンは上まできちんと留めることがルール」と教えられました。
そのため、中学や高校の制服はもちろんのこと、大人になってからもシャツのボタンを一番上まで留めるというルールを守っていました。
特に大きな困りごとはありませんが、夏の暑いときには熱中症のリスクが高まりますし、ファッションの選択肢が狭まってしまうことは困りごとと言えるかもしれません。
アスペルガー(ASD)のこだわりの例③食事のこだわり
Cさんは食事の際に、食材を一つ一つ選り分けて食べるというこだわりがありました。
例えばカレーの場合、まずはニンジンだけを食べ、次にジャガイモ、肉…と続きます。チャーハンのように具材が切り刻まれていたとしても一つずつ選り分けてから食べるため、食事に時間が掛かるほか、マナー違反として指摘されることもあるそうです。
このこだわりは、アスペルガーの感覚過敏の特性とも関係しています。
複数の食材が混ざり合う味や食感が苦手で、単一の具材だけにしたいと感じるそうです。大人になってからは、場面によって具材の選り分けを行わないようにしているそうですが、食事を楽しめないというストレスは困りごとの一つと言えるでしょう。
アスペルガー(ASD)のこだわりの例④道順へのこだわり
Dさんは、いつもと同じ道を通ることにこだわりがあります。
いつもと違う道を通ってみて新しいお店を発見したり寄り道したりするよりも、毎日同じ道順で通勤する方が、Dさんにとっては心が落ち着きます。
Dさんは、工事などでいつもの道が通れないときに、その場で立ち止まってしまうことが何度かあったそうです。
迂回すべきなのはわかっていても、いつもどおりが良いという気持ちとの葛藤が生じ、工事現場の様子をまじまじと伺ってしまうこともしばしばでした。
そこでDさんは、「いつもの道が通れないときは、この道を通る」というもう一つのルールを作りました。
迂回するとしても、あくまで自分のルールに従っているので、その場で考えた迂回路を通るよりは遥かに心が落ち着くと仰っていました。

アスペルガー症候群(ASD、自閉スペクトラム症)のこだわりへの対処法
アスペルガーの方は特有のこだわりを持っていますが、こだわりが全て悪いわけではありません。
困りごとが無い場合は無理にこだわりを捨てる必要はありませんし、こだわりが個性として開花する可能性もあります。
一方で、仕事や勉強で重大な困りごとを伴うこだわりについては、こだわりの形を変えたり、周りのサポートを得たりして、困り感を少しでも抑えていく必要があります。
以下では、アスペルガーのこだわりへの対処法について具体的に説明していきます。
アスペルガー症候群(ASD、自閉スペクトラム症)のこだわりへの対処法①こだわりが叶わなかったときの対応を想定する
アスペルガーの方は、こだわりが叶わないときに強いストレスを感じ、パニックになったり癇癪を起こしたりすることがあります。
ですので、いつもこだわりが叶うわけではないことを想定し、いかにパニックや癇癪を起こさないかという視点で対策を取ると良いでしょう。
例えば、いつも通りのスケジュールで進まなかった場合、
- 5分遅れたらAの行程を省略する
- 30分遅れたらAとBの行程を省略する
- 40分以上遅れたら○○に連絡する
など、できるだけ細かくパターンを想定しておくと「どうしていいのかわからない!」というパニックを避けることができます。
アスペルガーの方は臨機応変な対応が苦手な傾向にあるため、できるだけ事前に対応を想定しておくことが困りごとの軽減につながります。
具体的な対応パターンを考えると同時に、こだわりが叶わなかった場合の気持ちについてもシミュレーションしておくとさらに良いでしょう。
お子さまの場合ですと、「もし○○という状況になったらどんな気持ちになる?」など問いかけサポートすることも効果的です。
アスペルガー症候群(ASD、自閉スペクトラム症)のこだわりへの対処法②こだわりを少しずつ捨ててみる
アスペルガーの方がこだわりを守り続けるのは、「その方が安心できる=自分にとってメリットがある」と感じていることが理由である場合がほとんどです。
ですので、こだわりを捨てることが、こだわりを守ること以上にメリットがあると感じられれば、ストレスなくこだわりを手放すことができます。
例えば、
- スケジュール通りではないけれど、家族と一緒にのんびり過ごす休日の朝
- シャツのボタンを一つ外してみた解放感
- 寄り道して新しいお店を見つける楽しさ
など、楽しい経験を少しずつ積み重ねることで、「たまにはルールを破ってみても良いかも」と自然と感じられることもあります。
アスペルガーの方の中には、他人にも自分のこだわりを守らせたくなってしまうタイプの方もいらっしゃいますが、こうした経験を重ねることで、「他の人には他の人なりの楽しみ方があるんだ」と理解することにもつながります。
アスペルガー症候群(ASD、自閉スペクトラム症)のこだわりへの対処法③こだわりを長所にする
決められたルールを守ったり、時間通りに行動できるのは必ずしも悪いことではありません。
定型発達の人であれば飽きてしまうようなルーティンワークも、アスペルガーの人は難なくこなすことができたり、夜更かしや朝寝坊をせずに規則正しい生活が送れたりすることは、まぎれもない長所です。
私が指導してきたアスペルガーのお子さまの多くは、学習習慣の定着が定型発達のお子さまと比べて遥かに早く、「夜8時から9時半までは勉強しよう」と伝えて納得してくれると、しっかり机に向かってくれるお子さまがほとんどでした。
講師との信頼関係が強固であり、「この先生の言うことであれば信じられる」とお子さまが思ってくれていると、“先生の言うことを聞く”ということも本人の中でルール化されるため、より学習習慣の定着に繋がりやすいのだと思います。
「自分の中で納得できるルールであれば、とことん守れる」というのはアスペルガーの方の何よりの強みです。
受験勉強や筋トレなど、コツコツと取り組むことが大切な分野においては、アスペルガーの方は非常に大きな強みを持っているので、自信を持って取り組んでいただきたいと思います。
アスペルガー症候群(ASD、自閉スペクトラム症)のこだわりへの対処法④こだわりを無理に捨てない
アスペルガーの方のこだわりは、好みやわがままではなく、「そうせずにはいられない」という脳の働きが影響しています。
こだわり行動によって精神が安定している場合もあり、無理にやめさせるとメンタルに悪影響を及ぼすこともあります。
「周りと違うから」「人目が気になるから」「親の言うことを聞いてほしいから」といった理由で無理にこだわりをやめさせることは避けた方が良いでしょう。ストレスによって心身に不調をきたす可能性があるほか、かえってこだわりが強くなってしまうケースもあります。
全てのこだわりを無理にやめる必要はなく、日常生活での困り感が大きい場合に少しずつ対処するようにしましょう。
一気にこだわりを捨てるのではなく、あくまで段階を踏んで解消していくこともポイントです。

アスペルガー症候群(ASD、自閉スペクトラム症)のこだわり例のまとめ
この記事では、アスペルガー症候群(ASD、自閉スペクトラム症)のこだわりの例について詳しくご紹介してきました。
改めてポイントをまとめると、以下のとおりです。
- アスペルガーの特性は「コミュニケーションの困難」と「限定された興味・こだわり」
- アスペルガーが物事にこだわるのは、未来に対して不安を感じやすいから
- アスペルガーのこだわりは、単なる好みやわがままではなく、本人にもコントロールが難しいもの
- アスペルガーのこだわりは「ルールへのこだわり」と「限定された物事へのこだわり」の2つに分けられる
- アスペルガーのこだわりは、規則正しい生活やルーティンワークといった面で強みになる
- アスペルガーのこだわりは、無理にやめるとストレスになるため注意が必要
こだわり行動によって困りごとが生じる可能性がある一方で、ルールを守ることや規則正しい生活などは、定型発達の人には無い強みになることもあります。
そのため、困り感の度合いと、こだわりをやめることによるストレスのバランスを見極めながら対処することが大切です。
ASDの方は、コツコツと積み上げる学習や、一つのことを追求する姿勢が強みです。
東大・京大といった難関校にはASDやADHDといった発達障害を持つ学生も多く、特性があるからといって社会で活躍できないということは全くありません。(参考:東大・京大合格者は発達障害の性質を持つ人が多い!? 個性を活かした勉強法で難関を突破)
また、医師や弁護士などの専門職の中にも、発達障害の特性がある方はいらっしゃいます。(筆者の知人の弁護士も「知人の弁護士でASD当事者である人が複数人いる」と言っていました)
ですので、日々の困りごともたくさんあることともいますが、その中でも苦手なことだけに注目するのではなく、特性を強みと捉える機会をできるだけ作っていただければと思います。
私たちプロ家庭教師メガジュンでは、発達障害やギフテッドのお子さまを対象に、学習支援や進路のご提案など様々なサポートを行っています。
長年の指導経験に基づいた確かなノウハウを元に、一人一人に寄り添いながら、個性を生かした勉強法や受験対策をお伝えすることができますので、良い塾や家庭教師に巡り合えないとお悩みの方は、ぜひ一度プロ家庭教師メガジュンまでお問い合わせください。
指導や面談はオンラインでも承っており、関西だけでなく全国各地からもご利用いただいているほか、海外にお住まいの方や帰国子女の方にもこれまでご利用をいただいてきました。
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1人でも多くのお子さまがより良い人生を歩んでいけるよう、一同全力で取り組んでまいります。
最後までお読みいただきありがとうございました。