【実例】ASDグレーゾーンのY君の公立高校受験記|記憶力で苦手な国語をカバー

この記事では、プロ家庭教師メガジュンをご利用いただき公立高校受験にチャレンジしたY君の合格体験記をご紹介します。

発達障害の特性のあるお子さまがどのようなプロセスで苦手を補い、長所を生かしながら受験勉強をクリアしていくのかについて具体的に知っていただける内容となっています。

発達障害のあるお子さまの勉強のことでお悩みの方や、プロ家庭教師を検討している方は、ぜひ最後までお読みいただけますと幸いです。

発達障害・ギフテッド専門のプロ家庭教師
妻鹿潤
・16年以上1500名以上の指導実績あり
・個別指導塾の経営・運営でお子様の性質・学力を深く観る指導スタイル
・yahooやSmartNews、Newspicksなどメディア向け記事も多数執筆・掲載中

【ASDグレーゾーン】言語理解が低く国語が苦手なY君。確定診断は出ていないが…

【ASDグレーゾーン】言語理解が低く国語が苦手なY君。確定診断は出ていないが…

Y君は東京都内の公立中学校に通う中学3年生の男の子です。

高校受験まであと半年近くとなった7月、お父さまから私たちの元にご相談のメールが届きました。

***
初めまして。ホームページで発達障害を専門に指導されていると拝見し、連絡いたしました。

息子は現在中学3年生で、半年後には高校受験を控えています。中学校に入ってからは定期テストで平均点に届かないことも多く、学力的に大きな不安があります。

小学5年生の頃から塾に通っていますが、効果はあまり実感できていません。息子は発達障害の傾向があり、コミュニケーションが苦手な部分があります。
そのせいで塾の先生から見放されているのではないかという心配や、息子自身も塾の先生を信頼しきれていない面があるように思います。

現在通っている塾は発達障害専門ではありませんし、正直なところ、塾の方針と息子の性質の相性が悪いのではないかという懸念もあります。

こちらのサービスでは、塾との併用や塾選びのアドバイスも可能ということでご相談させていただきました。

どうぞ、よろしくお願いいたします。
***

発達障害のあるお子さまの場合、一般的な塾の指導では学力に伸び悩むことも多く、また、Y君のお父さまのご指摘のとおり、講師との信頼関係の構築も、定型発達の子に比べると難しい面があることは否めません。

私たちプロ家庭教師メガジュンは、代表の妻鹿潤が塾経営者でもあることから、塾選びに関しても的確にアドバイスさせていただくことが可能です。

私たちはY君の性質についてさらに詳しく伺うため、お電話にてお父さまとお話ししました。
電話口でのお父さまは、Y君のことを心から思っていることが伝わってくる話しぶりで、我々もより一層Y君のために全力でサポートしようという思いを強めることができました。

お電話で聞き取ることができたY君の性質は以下のとおりです。

・「する」と決めたことに関して継続できる力があり、親としても強みだと捉えている。

・効率良く取り組むことは苦手で、気分によって計画どおり進められなかったり、暗記物は書かないと覚えられなかったりする。そのため、人一倍時間がかかる。

・中学2年で受けたWISC-Ⅳでは「言語理解」の力が低かった

・言語理解の低さに起因すると考えられる困りごとがある。
-日常生活でも会話のキャッチボールがうまくいかないことが多い。
-国語への苦手意識が強い。
-国語以外の教科でも、問題の意図が分からなかったり、解説が理解できなかったりすることがある。

・新しい環境が苦手

・以前、オンライン家庭教師でパソコンが上手く作動せず嫌な思いをした経験があり、オンライン授業に抵抗がある。

Y君は発達障害の確定診断には至っていないそうですが、お話を聞く限りASD(自閉スペクトラム症、アスペルガー症候群)のグレーゾーンに該当するように思われました。

メールでは塾への不信感があるとのことでしたが、一方でY君自身は環境の変化が苦手なことから、今までどおり塾には通いつつ、私たちのサポートを併用する形をご提案しました。

Y君が苦手な国語と社会についてはプロ家庭教師が丁寧に指導し、それ以外の教科についてはこれまでどおり個別指導塾で授業を受けるという形ですと、本人の負担も少なく、また経済的にも安心ということでお父さまにも納得いただくことができました。

併せてオンライン授業への抵抗があるとのことでしたので、最初のうちは対面授業を行い、講師との信頼関係がしっかりと築けてから徐々にオンラインに移行することを目指すことにしました。

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Y君は計画を立て着実に実行することが苦手なため、まずは学校以外の時間帯でどのように勉強に取り組んでいくかを一緒に考えていくことにしました。

「塾」と「家庭教師」に関しては決められた時間になれば始めることができますが、「自学習」に関しては自分自身でしっかりと管理しなければいけません。Y君はこれまでにも計画を立てようとしたことはあるものの、上手くこなせず挫折した経験があるようでした。

Y君が受講し始めたのがちょうど夏休みに入る前だったので、まずは夏休みの過ごし方について計画を立てました。

塾と家庭教師を両立するためには、うまく役割分担をすることが重要です。Y君に確認したところ、塾では塾用のテキストを使って総復習し、それ以外の指示は無いとのことでした。

そこで、塾以外の時間(プロ家庭教師と自学習)では、国語・社会を含めた受験勉強と学校から出された課題を中心に取り組むことにしました。

計画を立てるためには、

①しなければいけない学習の量
②かけられる時間

のすり合わせが必要です。

そこでまずは、一日にどのくらいの時間を勉強に使えるかを検討することにしました。

夏休みなので、基本的に食事とお風呂以外の時間はすべて勉強に充てることができます。ですが、一日中勉強しっぱなしだと集中力が途切れてしまいますし、毎日続けるとなるとモチベーションの面で燃え尽きてしまう可能性もあります。

集中力を保つことができ、毎日継続できる勉強時間はどれくらいか、計画を立てる際には事前にしっかりと考えておくことが大切です。

Y君は、一度やり始めると集中し続けることができるので、集中力の面ではそれほど問題は無く、毎日継続できるかどうかが大きなポイントとなりました。途中でバテてしまわないように、予定の無い日は一日6時間、予定のある日は午前か午後の3時間を基本として計画を立てることにしました。

学習内容については、学校から出された課題が受験対策になるものばかりだったので、それぞれの課題の時間配分を教科ごとに具体的に決めていきました。

<Y君の夏休みの自学習の計画(1日6時間の場合)>
・国語…漢字ワーク(30分)、読解問題集(30分)
・数学…課題プリント(1時間)
・英語…読解問題集(40分)、英単語(20分)
・理科…課題プリント(1時間)
・社会…問題集(1時間)

※1時間ごとに10分程度休憩する
※学校からの課題を解ききったら、2周目に入るか別の問題集に入る

「さぁ勉強を始めよう」というときに、「何からしようかなー」と考える無駄な時間を減らすためには、具体的に計画を立てることが大切です。

ただ、プレッシャーにならないように「これはあくまでも計画なので、予定通りにいかないことも出てくるよ」と話しておきました。

また、Y君にとっては継続することが課題だったので、毎日自学習の時間が終わったら私にLINEで報告するように約束しました。

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【ASDグレーゾーン】苦手な国語、言語理解の低さをカバーするには

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Y君の授業を進める中でポイントとなったのは、「言語理解の力をどのように伸ばしていくか」ということです。

例えば、国語の授業の中でできることの一つに、「熟語力」をつけていくことがあります。読解問題の文章の中で意味が分からない言葉が出てきたら、一つ一つ確認して進めるようにすることで、言葉の意味を曖昧にせずしっかりと覚えてもらうことができます。

なんとなく読み進めてしまうことが無いよう、こちらからもこまめに質問するようにしました。

私がY君の指導を始めた頃、印象的だったやり取りがあります。

私「じゃあ、次の文章をまず読んでみようか。読めない漢字があれば言ってね」

Y君「はい、漢字は得意なので大丈夫だと思います」

私「漢字は得意なんだね。いいね。じゃ、意味の分からない言葉が出てきたらその都度聞いてください」

Y君「分かりました」

私「読み終わったらこの文章のキーワードになるような言葉について質問しますね」

Y君「キーワードって何ですか?キーワードの意味が分かりません」

Y君は「キーワード」の意味を知りませんでした。Y君は文章の中だけでなく会話の中でも分からない言葉が多く、そのためにコミュニケーションが苦手になっている部分があるように思われました。

そのためY君は、問題を解く以前に何をしたらいいのか分からない――問題の意味がわからないこともあれば、「問題を解いて」というこちらの意図がそもそも伝わらない――という場面がありました。

何気ない会話の中でも、こちらが意図することが読み取れず、返答ができなかったり見当違いな答えを言ってしまったりと、Y君にとっては会話そのものがとても大きな負担になっているように見えました。

そこで私は、Y君に伝わりやすいよう曖昧な言い方は避け、具体的に指示するように心がけました。
また、Y君には「分からない言葉や意図の分からない指示があったらその都度聞いてね」と伝え、Y君自身もその言葉に素直に応じてよく私に質問してくれました。

また、Y君の自尊心が傷ついてしまわないよう、少し難しいかなと思う言葉が出てきたら「この言葉の意味分かるかな?ちょっと難しいよね」とフォローしたり、日常生活ではあまり出てこないような言葉の場合は「普段使うことないよね。みんな正しくは知らないかもね」とY君が不安にならないように意識しながら声掛けしました。

人は自分が苦手なものやコンプレックスが大きくなると、それを見せないようにしたりごまかしたりしてしまいます。ただ、授業の中で分かっているかどうかをごまかされてしまうと必要な指導ができません。

本人の自尊心を最大限に尊重しながら「分からないことは恥ずかしいことではない」と伝えることで、生徒さんはどこがわからないのかを隠さずに先生に教えてくれるようになります。

この点についてY君はとても素直であり(ASD特有の「言葉をそのまま受け取る」が良い方向に発揮されていたのかもしれません)、分からないことや教えてほしいことはどんどんこちらに質問してくれたので、熟語力もすぐに伸ばすことができました。

また、得意分野だと話がしやすくなるというのも大切なポイントです。

Y君はドラマを見るのが好きで、過去のドラマでも面白かったものや印象的なシーンなどはよく覚えていて私に話してくれました。

そこで、授業の終わりにドラマのあらすじを題名を伏せた状態でY君に読んでもらい、何のドラマなのかを当ててもらうというクイズを出しました。

Y君は私が思っていたよりも随分早くに正解を出してしまいました。
驚いている私にY君は「こんなの簡単ですよ」と嬉しそうに言ってくれました。登場人物はイニシャルにして、固有名詞も伏せていたので決して簡単な問題では無かったと思いますし、どんな場所にどんな人がいて何が起きているのかを正確に読みとらないと正解に至ることはできません。

想像した場面と自分の知っている知識とを照らし合わせて答えを出すそのスピードはとても速く、Y君のドラマに関する知識量にも驚きました。

Y君は「簡単ですよ」と言っていましたが、何年も前のドラマの内容をたくさん覚えている記憶力や、文章のキーワードから場面を想像する力がしっかりあることはY君の素晴らしい長所です。

「好きだから」という理由も大きいでしょうが、それに伴う記憶力や想像力があることは違いありません。自信を持つべきだよ、と私はY君に何度も伝えました。

自分の長所を知ることは大事なことです。人間は「何か力(スキル)を身につけたい」と思うとき、どうしても苦手なことやできないことを意識してしまいますが、自分の長所に気付いて自信を持つことで、人は前向きに努力し成長していくことができます。

Y君はこのドラマのクイズを解いて褒められたことがとても嬉しかったそうで、ご両親に嬉々として報告したそうです。そのことをご両親から伺い、私もY君が自信を持つことができて本当に良かったと感じました。

それからY君は、ドラマの内容や学校での出来事などを積極的に話してくれるようになりました。
ドラマのあらすじを読むことでさらに熟語力も付き、たくさんお話しすることでコミュニケーション力や文章力についても少しずつ伸ばしていくことができました。

学校のテストや模試で出る作文も、以前は既定の文字数の半量くらいで筆が止まってしまうことが多かったものの、Y君が自信をつけてからは書ける量が増えてきました。

会話の中でも言葉が以前よりスムーズに出てくるようになり、ご両親もY君の会話の仕方が変わったと実感しておられました。

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Y君は夏休みの自学習を当初の計画通りにしっかりと進めてくれました。しかし、予想外だったこともあります。

それは、理科と社会について思っていた以上に時間がかかり、一日に進められる量が少ないことでした。

それには2つの原因がありました。

ひとつは、当初の想定以上に忘れてしまっている内容が多かったことです。覚えている部分はサクサクと進められると予想していましたが、そもそも「覚えている部分」が少なく問題を解くのに時間がかかってしまっていました。

また、分からなかったら空けておいて次へと進めばよいのですが、Y君の性質上、分からない問題のところで手が止まってしまい問題をスキップできないことも時間のかかる原因の一つでした。

この点については、分からない問題は「これから覚える内容」としてチェックしておき、その時に時間をかけないように伝えました。また、ご両親にも協力いただき、時々自学習の様子を見てもらい、同じ問題で止まっているときはそれとなく声を掛けていただくとともに、理科や社会の進度については細かく共有していただくことにしました。

2つ目の原因としては、分からないことが出てきて自分で調べる時に徹底的に理解しようと時間をかけていることです。

自分で調べることや理解したいと思う姿勢はとても素晴らしいものですし、ただ覚えるのではなくしっかりと内容を理解することは、知識の定着や応用力を身に着けることにもつながります。
ただし、少し時間がかかり過ぎているので、1人で全部調べようとするのではなくご家族や私に聞いて効率良く調べるようアドバイスしました。

Y君のご両親はとても協力的でしたので、お父さまは社会、お母さまは理科をそれぞれご担当いただき、Y君の質問に答えてくださいました。Y君としても「お父さん/お母さんに聞けば答えてもらえる」という状況はとても心強かったと思います。

当初の計画では理科と社会については課題プリントや問題集を何周かする予定でしたが、時間がかかっているとの相談を受けてからは「何度も繰り返す」ことよりも「しっかりとひと通り終わらせる」ことを目標に切り替えて進めることにしました。

Y君にはその日の自学習が終わったら、ご両親・私・Y君が入っているグループLINEで報告するように伝えていたので、進み具合がこまめに把握でき、計画の変更も随時行えたことが非常に効果的でした。

また、グループLINEで報告することでご両親と私が同時に進捗を把握できるので、Y君にとっても私とご両親から同じことを何度も聞かれることが無く、ストレスを軽減できたと思います。

2学期になってからは、定期テストを基準に学習計画を立てました。限られた日程の中で膨大な課題をこなしつつ、テスト範囲の暗記もしなければならないなど、やることがとにかく多いのがテスト前です。

ここでも「今日は何しようかなー」と悩んで時間を無駄にしないよう、テストの日程が公表されたタイミングで、一緒に計画を立てていきました。

具体的にどの教科の何を何ページすると決めて、それに合わせて進めるようにしました。ところが、毎日の報告を確認すると予定通りに進んでいないことが分かりました。

数学のワークと決めていた日に漢字ドリルをしていたり、決めたページが終わっていなかったりしていたのでY君に理由を尋ねたところ、Y君は「自分のペースで進めたい」と答えました。

夏休みの間は計画通りに勉強できていましたが、学校が始まったことで予想外の出来事(追加の課題やその日の授業で分からなかったこと)が増え、Y君なりの“自分のペース”と計画の間にズレが生まれてしまったのかもしれません。

せっかく夏休みに自学習の習慣がついたのに、ここで崩れてしまってはもったいないと思い、ここはY君の希望通りのペースで進めてもらうことにしました。

ただ、提出課題などやらなければいけないことの量は変わりません。ですので、細かい計画は決めないようにしつつも、テストまでの残り日数と照らし合わせて間に合うかどうかの確認や、その日の学習が問題なく進められたかどうかのグループLINEでの報告はこれまでどおり続けることにしました。

計画通りに進められていないことが判明した時はヒヤリとしましたが、夏休みの自学習をやりきったことでY君自身が「自分のペースで進めても大丈夫」と自信がついたことの裏返しだったのかもしれません。

実際のところ、Y君は夏休みの経験を通して机に向かう習慣をしっかりと確立できていたので、期日までに全ての課題を提出することができ、テスト範囲の勉強もきちんとやりきることができました。

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【ASDグレーゾーン】いよいよ受験本番!Y君の特性を活かした対策は?

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受験へ向けては途中で志望校の変更などがありましたが、私が一番驚いたのは私立の併願はせず都立一本で勝負するとY君が宣言したことです。

多くの受験生が、念のため、あるいは練習のために、公立が第一志望でも私立を併願受験するケースがほとんどである中、Y君は「私立は受けない」と言い出したのです。

志望校の判定はC判定と決して高いわけではなく、最初に聞いたときは正直、「公立一本勝負は絶対にやめた方が良い」と伝えようかと非常に迷いました。

ですが、Y君が強い意志を持って公立一本でチャレンジしたいと言っていることが伝わってきましたし、Y君の性質上、目標を一つに絞ることでやるべきことがはっきりして、より勉強が進めやすくなるというメリットも期待することができました。

そこで私は、私自身の不安な気持ちをぐっとこらえ、Y君の背中を押そうと決断しました。

目標が一つに定まると、今の実力と合格基準点との差が「あと何点」という形で具体的に見えてきます。このことによって、Y君にとっても受験というものがいよいよ現実味を帯び、受験生としての意識もこの頃から一段と高くなったように感じられました。 

12月からは、受験に向けて塾で英語・数学・理科、家庭教師で国語・社会の対策を始めました。

国語に関しては、都立高校の入試では漢字の読み書きの問題が20点分出されるので、得意の漢字でしっかり点数を取ることを目指しました。Y君は元々漢字には自信があったため、漢字に力を入れたいというのはY君からの希望でもありました。

毎回の授業で、過去問や出題レベルに合わせた漢字テストを行ったのですが、過去問では確実に満点が取れるほどになりました。これはY君の大きな自信になったと思います。

読解については読みやすい小説から練習していきました。以前よりはかなり言語理解の力はついたと言っても、言葉への苦手意識がまだ強いため、文章全体の理解よりも「問題になっている部分に注目する」というテクニックを身に着けることを優先しました。

具体的には、「問題になっている棒線部の前後」「指示語になっている部分に当てはまる文章」をピンポイントで読み解いていく練習を繰り返しました。

社会では、テキストを使って基礎知識を押さえた後、過去問を繰り返し解いていきました。

というのも、都立高校入試の社会では、複数の資料から情報を読み取らせたり、文章の内容を理解する必要があったりと、単純な知識を問うものではなく、資料読解や国語力を求められる問題が多いため、言語理解が苦手なY君にとってはかなり難易度が高いものでした。

こちらも国語の過去問演習と同様に、何度も過去問を解きながら、文章や資料から答えを導き出すコツを身に着けていくことを目指しました。

集中力と持続力のあるY君は繰り返しの練習を嫌がらずに取り組めるので、多くの子が「飽きたなー」と手を抜いてしまうところも丁寧に解くことができました。

これもY君の大きな強みの一つで、目標とやるべきことが決まった後は、受験本番まで気持ちを途切れさせることなく学習を進めることができました。

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Y君のご両親は、Y君の特性について非常に理解が深く、Y君自身もご両親のことをとても信頼していました。

授業の際にY君は家族の話をよくしていて、特にお父さまのお話が多く、尊敬している気持ちがとても伝わってきました。

また、Y君のご両親はプロ家庭教師である私にも非常に協力的でいらっしゃいました。

私から毎回の授業の報告をさせていただくのですが、その内容を受けて、「○○の課題については家でもサポートしますね」とご提案をいただくこともありましたし、Y君が宿題を忘れてしまっているときの声掛けをお願いすると、快く引き受けてくださいました。

また、参観日や運動会のこと、家での様子なども教えてくださり、Y君の授業以外での姿を知ることができたため、Y君との雑談の際にも話題に事欠きませんでした。
たかが雑談と思われるかもしれませんが、お子さまとの信頼関係を築くために雑談はとても重要です。

加えて、ご家庭の中でご両親とのやりとりが多いことも、Y君にとって安心材料になっていたと思います。「勉強しなさい」しか言わないお父さん・お母さんよりも、いろいろなことをお話しできる家庭環境の方が、お子さまの心の成長にとってより良いことは誰しもお分かりいただけると思います。

保護者様はよく「何度もお時間いただいてすみません」「手の掛かる子ですみません」とおっしゃっていましたが、授業時間以外でもしっかりと時間をかけてサポートしていくことはプロ家庭教師の責務ですので、何も気に病まれることはありません。

むしろたくさん相談していただくことで、お子さまの性質をより細かく正確に分析することができますので、授業時間外のご相談はプロ家庭教師にとっては大歓迎なのです。

また、発達障害のあるお子さまは定型発達の子どもに比べて確かに“手が掛かる”のかもしれませんが、私はY君のサポートを面倒だと感じたことは一切ありません。
むしろ、Y君の「一度決めたことはやり抜く」「飽きずに最後までコツコツ続ける」という性質にはいつも感心していました。

毎日顔を合わせる我が子だからこそ苦手な部分が目についてしまいますし、Y君のご両親は、Y君のことを思うからこそ私に対して「すみません」との言葉が出てきてしまうのかもしれません。

ですが、私はその都度「全く問題ありませんよ。むしろ、お父さま・お母さまどんな心配事を抱えているのかわかって助かります」とお返事していました。

そうしたやり取りの中で、ご両親も私のことを信頼してくださったのか、いろいろな相談や情報共有をより一層積極的にしてくださるようになりました。

お子さまの学習は、学校だけ/家庭教師だけ/塾だけで進めるものではありません。家庭とそれ以外の指導者がしっかりと連携することが大切であると、Y君のケースを通じて私も改めて感じることができました。

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【ASDグレーゾーン】Y君が受験を通して得られたもの

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第一志望である公立高校一本に絞ったY君ですが、無事に合格することができました。

今振り返ると、1校に絞ることで目標が分かりやすくなったというメリット以上に、「自分で決めた」という自信とモチベーションが大きかったのではないかと思います。

Y君は受験を通して飛躍的に学力を伸ばすことができましたが、Y君が得たものはそれだけではありません。

国語や社会の勉強をとおして語彙力や読解力を身に着け、結果として会話力やコミュニケーション力も向上させることができました。また、ご両親以外の大人であるプロ家庭教師といろいろな雑談をすることによっても、会話力を大きく伸ばすことができたのではないでしょうか。

さらに、分からないことがあったときに一人で悩んでしまいがちだったY君ですが、今は「人に聞く」ということがスムーズにできるようになりました。

勉強に限らず、答えの出ない問いに直面したときには「周囲の力を借りる」という選択が欠かせません。この選択ができるようになったことは、Y君にとってとても大きな成長だったと思います。

環境の変化や計画の変更についても、Y君はまだ苦手な部分もありますが、私がプロ家庭教師としてサポートを始めたころからは随分改善しましたし、Y君自身が自分のことを客観的に見られるようになったことも大きいと思います。

「自分にはこのやり方は向いていないから、別の方法でやってみよう」と自分で判断できるようになると、発達障害の方の困りごとはぐっと少なくなります。
Y君は受験勉強を通して、大げさではなく「生きる力」を身に着けてくれました。

Y君の大きな成長は、Y君にとっても、Y君のご両親にとっても、そしてプロ家庭教師である私にとっても大変喜ばしいものでした。

Y君がこの経験を活かしながら、これからも自信を持って自らの人生を歩んでいくことを心から願っています。

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