ギフテッド教育を学校で受けることはできる?日本・アメリカの実例を紹介!

  • #ギフテッド

    ギフテッドとは、IQ130以上の高い知能を持っていたり、芸術的能力や創造性、発想力、語彙力において突出した才能を持っていたりする人のことを指します。

    ギフテッドの出現率は約2%と言われており、40人のクラスであれば1人程度はギフテッドがいるかもしれないという計算になります。

    したがって一般的な公立学校にもギフテッドのお子さまが在籍している可能性は十分にありますが、ギフテッドのお子さまのための教育(=ギフテッド教育)は、現在の日本の学校ではほとんど取り入れられていないのが現状です。

    多くの場合、ギフテッドのお子さまにとって学校の勉強は物足りません。
    その結果、「勉強がつまらない」という理由で授業に参加しなかったり、登校を渋ったりする“浮きこぼれ”の状態になってしまうお子さまがいらっしゃいます。

    文部科学省はこの現状を受け止め、日本においてもギフテッド教育を導入することを目指して「特定分野に特異な才能のある児童生徒に対する学校における指導・支援の在り方等に関する有識者会議」を立ち上げました。(参考:特定分野に特異な才能のある児童生徒に対する学校における指導・支援の在り方等に関する有識者会議:文部科学省 (mext.go.jp)

    現在でもギフテッド教育に関する議論は続いており、2023年度の当初予算では、ギフテッドの子どもたちへの支援事業費として8,000万円が計上されています。

    この記事では、日本におけるギフテッド教育の現状や、ギフテッド教育先進国であるアメリカでの取組を解説し、ギフテッドのお子さまがより才能を伸ばせる環境とはどのようなものかを解説していきます。

    ギフテッド専門のプロ家庭教師ならではの視点でお伝えしていきますので、ぜひ最後までお読みいただけますと幸いです。

    【執筆・監修】
    ギフテッド・発達障害専門のプロ家庭教師 
    妻鹿潤
    ・16年以上1500名以上の指導実績あり
    ・個別指導塾の経営・運営でお子様の性質・学力を深く観る指導スタイル
    ・yahooやSmartNews、Newspicksなどメディア向け記事も多数執筆・掲載中

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    ギフテッドと学校教育

    ギフテッドと学校教育

    ギフテッドとは、一般的にIQ130以上の高い知能を持つ人のことを指しますが、芸術や言語など、特定の分野に突出した才能を持つ人もギフテッドに含まれます。

    ギフテッドと聞くと、「天才児」「優等生」といったイメージを持つ人が多いかもしれませんが、オールマイティである(何でもできる)ことはギフテッドの条件ではありません。

    したがって、知能は高いけれど集団行動が苦手な子や、音楽センスは抜群だけれどコミュニケーションが苦手な子もギフテッドに含まれます。ギフテッドと発達障害の両方の特性を持つ場合は、「2E型ギフテッド(※)」と呼ばれることがあります。

    ※2E型ギフテッド…日本においては発達障害とギフテッドの併存状態を指しますが、諸外国においては発達障害だけでなく、情緒不安やその他の疾患などを併せ持つ場合も含めて2E型ギフテッドと定義される場合があります。

    もちろん、中には頭脳明晰でスポーツ万能、情緒も安定的で精神面でも成熟しているという英才型ギフテッドのお子さまもいらっしゃいますが、かなり稀有な存在です。

    というのも、多くのギフテッドのお子さまは日本の学校教育とは相性が悪く、生まれ持った性質がどんなに素晴らしくても、何らかの居心地の悪さや不適応を抱える場合がほとんどであるためです。

    例えば、小学校で足し算のプリントを解く時間があったとします。
    ほかの子は10~15分掛けて解くプリントを、ギフテッドのお子さまは3分で解いてしまった場合、先生はどのように声掛けするでしょうか。――正解は、「ちょっと待っててね」です。

    残りの10分間をぼんやりと過ごすことは、ギフテッドのお子さまにとってはかなり苦痛です。また、そもそもプリントの難易度も低すぎるため、学校に行くことそのものがギフテッドのお子さまにとっては“無駄”ということになってしまいます。

    学校に行っても学べることは何も無いと感じたお子さまは、授業に参加せず好き勝手に過ごすか、学校自体に行かないようになります。
    あるいは、「分からないフリ」をすることで周りに合わせ、何とか環境に適応しようとします。

    これらの事例は日本全国の学校で起きているものであり、私の元に相談に来られるギフテッドのお子さまの多くがこのような悩みを抱えておられます。

    せっかくの才能が学校教育の中で潰されてしまうことは、本人だけでなく社会にとっても大きな損失です。
    日本のギフテッド教育は諸外国に比べて大幅に遅れていますが、政府もやっと事の重大さを認識し、2023年度に初めてギフテッド教育のための予算が計上されました。(参考:令和5年度予算(案):文部科学省 (mext.go.jp)

    ただ、日本のギフテッド教育の遅れの原因は、制度面だけではなく日本人の価値観にもあるのかもしれません。

    日本人は「結果の平等」よりも「機会の平等」を重視しがちです。
    例えば、身長150cmの人と180cmの人がいて、目の前に2mの壁があるとします。壁の向こうでは野球の試合が行われていて、台を置いてその上に立てば観戦することができる状況です。

    このとき、身長150cmの人には高さ80cmの台を、身長180cmの人には高さ50cmの台を与え、二人とも野球観戦できるようにするのが「結果の平等」、二人ともに50cmの台を与え、身長180cmの人は観戦できるけれど、身長150cmの人は観戦できないというのが「機会の平等」ということになります。

    2023年度予算で8000万円のギフテッド支援事業費が計上されたとき、SNSでは「ギフテッドのように恵まれた人にお金を使う必要は無い」という意見が見られました。

    これもある種の「機会の平等」を重視する考え方ではないでしょうか。

    ギフテッドはギフテッドに適した形で、定型発達の人は定型発達の人に適した形で、障害のある人は障害のある人に適した形で教育を受けられるようにすることが「結果の平等」ですが、ギフテッド予算に反対する人は「誰もが同じ形の教育を受ける」という機会の平等を優先しているように思われます。

    もちろん、機会の平等が必要な場面もあるかもしれませんが、特に教育においては、子どもたち一人一人に応じた最適な方法で学んでいけることが重要です。
    ギフテッドの子や、あるいは障害のある子が特別な支援を受けることは、決して「ずるいこと」ではありません。

    もしもギフテッドのお子さまで、一般的な学校教育以外の形で教育を受けることをズルいと言われたり、自分だけ特別な学び方をすることにためらいを感じたりする場合は、この「機会の平等」と「結果の平等」の考え方を思い出し、自信を持って自分ならではの学びを追求していただきたいと思います。

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    日本の学校におけるギフテッド教育3選

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    日本の公教育においては、前述のとおりギフテッド教育はほとんど導入されていませんが、一部の私立学校ではギフテッド教育に積極的に取り組んでいるほか、東京都渋谷区では公的な予算の中でギフテッドのためのプログラムを実施しています。

    また、NPOや大学の研究室などの民間団体が主体となって実施しているギフテッド支援のプログラムもあります。

    そこでこの章では、現在日本で取り組まれているギフテッド教育について解説していきます。

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    日本の学校におけるギフテッド教育3選①私立学校

    日本の学校におけるギフテッド教育3選①私立学校

    私立学校の中で、ギフテッド教育導入校として近年注目されているのが翔和学園(東京都)です。
    翔和学園では、ギフテッドの中でも発達障害の特性を併せ持つ2E型ギフテッドを対象とした「ギフテッド2Eクラス」を2015年から設置しています。

    ギフテッド2Eクラスの入学要件には、「才能があると同時に、発達障害やそれに類似する問題をもつ2Eの子どもであること」が挙げられており、“才能”については以下の指標が示されています。

    <翔和学園が定める“才能”の指標>
    ①高IQである方(WISCのFSIQ125以上)<小学1~3年生>
    ②発達凸凹があり、何らかの項目で125以上の数値を持つ方<小学4年生以上>
    ③3つの輪:平均以上の能力(※)・創造性・やり抜く力がある方<小学4年生以上>

    ※平均以上の能力は「多重知能」のいずれかの分野で高い能力があるかを判断します。
    (引用元:募集要項 | 社会性を学び、生きる力を身につける、翔和学園(旧ステップアップアカデミー) (showa-gakuen.net)

    発達障害の方が抱えやすい困りごとを持っていることが入学要件の一つとなっていることから、生活上で特段の困りごとが無い英才型のギフテッドの方は入学が難しいかもしれません。

    「ギフテッド2Eクラス」では、多様な特性を持つ子どもたちが、学年を越えて一緒に学んでいます。先生が一方的に話すのではなく、子どもたちが積極的に発言し、互いに学び合う形での授業づくりが進められています。

    <翔和学園の授業例>
    ・国語的な力を育てる授業
    単なる読解ではなく、作品の中で用いられている言葉の意味や使われ方について考えを深める

    ・社会的なことを学ぶ授業
    教科書に沿った地歴公民の内容のほか、時事問題についても積極的に取り扱う

    ・理科的なことを学ぶ授業
    宇宙に興味がある子どもたちが3年かけてロケットを飛ばすというプロジェクトベースの授業など、従来の枠組みに囚われない授業を行う

    また、集団授業だけでなく、希望者は個別指導を受けることができ、個別に作成されたカリキュラムに基づいて、得意を伸ばし苦手をカバーする授業を受けることができます。

    2E型ギフテッドのお子さまは、「数学は大学入試レベルだけれど、国語は小学生から復習したい」という方もいらっしゃるため、こうした個別カリキュラムは非常に効果的です。

    ただ、個別授業を受ける場合は、年間の授業料や教材費に加え、別途1,089,000円/年の個別指導料が必要です。
    個別指導に関しては、塾やプロ家庭教師の方が安い場合もありますので、ご家庭の経済状況などを踏まえて検討するようにしましょう。

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    日本の学校におけるギフテッド教育3選②公教育

    日本の学校におけるギフテッド教育3選②公教育

    日本の公教育においてギフテッド教育を導入している学校は非常に稀ですが、東京都渋谷区では2017年からギフテッド教育(ギフテッドプログラム)を実施しています。

    ギフテッドプログラムの対象は、「特別な才能が認められるが、学級不適応等が見られる小学3年生から中学3年生までの子どもたち」とされていて、特別な才能があることに加え、不登校傾向などの困りごとを抱えていることが要件となっています。

    <渋谷区ギフテッドプログラムの参加要件>
    ・特別支援教室拠点校の巡回指導教員による指導を受けている小学生
    ・情緒障害等通級指導学級に在籍している中学生
    ・長期欠席小学生・中学生

    つまり、厳密に言えば渋谷区のギフテッドプログラムは不登校支援の一環として実施されるものであり、純粋なギフテッドプログラムとは少し位置付けが異なります

    ただ、たとえ不登校支援の一環であったとしても、自治体の公的な予算の中でギフテッドの子どもたちに対して特別な支援を行うことは、日本のギフテッド教育における大きな進歩と言って良いでしょう。

    プログラムの内容は、書道家の武田双雲氏やロボットクリエイターの高橋智隆氏による講義のほか、敢えてICT機器を使わないで行うフィールドワークなど、知識を身に付けるだけでなく、「知識をどのように生み出すか」という視点を取り入れたものとなっています。

    これらのプログラムの開発・実施には、2014年から「異才発掘プロジェクト ROCKET」を実施してきた東京大学先端科学技術研究センターが携わっています。

    同センターは突出した能力を持ちながらも現在の学校教育に馴染めない子どもたちを対象とした様々な講義や実践型のプログラムを展開してきており、その実績を存分に生かしたプログラムの内容となっています。

    同センターの中邑賢龍教授は、学習指導要領に基づく公教育と、それらから少し離れた教育が共存し、力を合わせることで、今までにない教育ができると考えていらっしゃいます。

    公教育だからこそできることと、公教育でないからこそできることが上手くかみ合わされば、様々な特性を持つ子どもたちにとって理想的な教育環境が実現できるのではないでしょうか。

    私もギフテッド専門のプロ家庭教師として、これからも中邑教授の取組に注目していきたいと思います。(参考::渋谷区で動き出したギフテッド教育、協働する東大先端研と区長の思い | マイナビニュース (mynavi.jp)

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    日本の学校におけるギフテッド教育3選③支援団体

    日本の学校におけるギフテッド教育3選③支援団体

    学校以外の場所でも、ギフテッドの子どもたちのための教育を受けることができます

    多くはギフテッド支援団体が実施するプログラムで、学校の教育課程に囚われない自由な枠組みで、様々な体験や大学レベルの学びに触れることができます。

    前述の「異才発掘プロジェクト ROCKET」(東京大学先端科学技術研究センター)もその一つで、現在は、「それぞれの個性を発揮できる学びの場『LEARN』」としてプロジェクトが引き継がれています。(公式サイト:LEARN (learn-project.com)

    LEARNでは、ギフテッドの子どもたちだけでなく、現在の学校における学び方に適応しづらい子のためのプログラムや、成績や障害の有無を問わないスカラーシッププログラムまで幅広く展開しています。

    東京都だけでなく、鹿児島県や群馬県といった農業県ならではの強みを活かしたプログラムなども実施されており、参加費は実費のみと非常に安価となっています。

    教科書の勉強は苦手でも、自分で足を動かして、目で見て学びたいタイプのお子さまにはぴったりのプログラムとなっていますので、気になる方はぜひ参加してみてはいかがでしょうか。

    また、日本ギフティッド協会では、ギフティッド用個別教育計画書(GIEP: Gifted Individual Educational Plan)の作成を行っています。
    ギフテッドのお子さまにどんな教育が適しているのか、親にも学校にも知見が無く困っているというギフテッドのお子さまはたくさんいらっしゃいます。

    そこで日本ギフティッド協会では、ギフテッド教育について豊富な知識を持つ職員と、お子さま本人・保護者・担任の先生・(必要に応じて)教育専門家や精神科医から成る「GIEPチーム」を結成し、そこでお子さまにとって最適な教育計画を作成していきます。

    学期ごとに振り返りを行い、年に1回はチームで集まることで、お子さまの成長に応じて柔軟にカリキュラムを作成していくことが可能です。

    お子さまの特性を学校に上手く伝えられなかったり、先生が変わる度に学校の対応が変わったりして困っている場合は、日本ギフティッド協会で個別教育計画書を作成してもらうのも良いでしょう。(参考:日本ギフティッド協会 (jagifted.org)

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    アメリカの学校におけるギフテッド教育

    アメリカの学校におけるギフテッド教育

    これまで述べてきたように、日本の学校におけるギフテッド教育はまだまだ発展途上にあります。
    一方、諸外国においてはギフテッド教育にかなり力を入れている国もあり、中でもアメリカはギフテッド教育先進国の一つと言えます。

    ギフテッドのお子さまの才能を伸ばすためには、アメリカなどの海外での就学も選択肢の一つとなります。
    また、今後日本が公教育においてギフテッド教育を取り入れる際には、アメリカを中心とした諸外国の制度が参照されると思われます。

    そこでこの章では、ギフテッド先進国であるアメリカのギフテッド教育について詳しく解説していきます。

    アメリカの学校におけるギフテッド教育の考え方

    アメリカの学校におけるギフテッド教育の考え方

    アメリカのギフテッド教育は、エリートを排出されることを目的としたいわゆる“英才教育”ではありません。

    あくまで「一人一人の個性に合った教育を施す」という教育機会の平等の考えに基づいて実施されるものであり、アメリカの考え方では「できる子ができない子に合わせる」という日本の教育は、できる子の教育機会を奪っていることになります。

    アメリカでは、ギフテッドの子どもたちだけでなく、様々な知能レベルや特性に合わせたクラスが設置されています。

    アメリカの高校では一般的に、習熟度の低い方から「シェルター(shelter)」「レギュラー(regular)」「オナーズ(honors)」といったクラス分けがなされていて、英語力の低い生徒のために「ESLクラス」を設けている学校もあります。

    アメリカには高校入試が無く、その地域に住んでいる子どもたちは希望すれば全員が入学できるため、必然的に様々な学力層の子どもたちが集まります
    アメリカでは「結果の平等」が重視されることから、様々な学力層の子どもたちがそれぞれに合った形で教育が受けられるよう、習熟度別のクラス分けが行われます。

    ただ、学ぶ内容に差があるわけではなく、あくまで学ぶスピードや内容の掘り下げの深さに差があるだけです。
    どのクラスを受講するかはカウンセラーや担当教員の推薦、生徒自身の希望に基づいて決められますが、どのクラスを履修しても高校卒業資格を取得することができます。

    アメリカの学校のギフテッド教育の3方式

    アメリカの学校のギフテッド教育の3方式

    アメリカのギフテッド教育は、州ごとに様々な形で実施されています。

    また、欧米の教育ではアウトプットが重視されるため、ギフテッド教育においてもより高度なディスカッションやプレゼンテーションの課題が課されることになります。

    アウトプット重視の教育においては、プレゼンのテクニックを磨くだけでなく、積極性や表現力といった非認知能力を伸ばすことも目的の一つとなっています。

    以下では、アメリカで主に採用されているギフテッド教育の3つの方式「①エンリッチメント方式」「②プルアウト方式」「③アクセルレイト方式」について紹介していきます。

    ①エンリッチメント方式
    通常のクラスに在籍しつつ、ギフテッドの子に対しては能力に応じた特別な課題が出されます。

    他の子が足し算の課題をやっている中で、ギフテッドの子は代数問題を解くというようなイメージです。
    エンリッチメント方式は、先生の数が少ない小規模校でも対応可能なことが特徴です。

    日本の教室でも、「早く解けた子は発展問題に進む」「既に内容を理解できている子は、自分で探究的な課題を見つけて取り組む」といった対応がなされる場合がありますが、これらも一種のエンリッチメント方式と呼ぶことができます。

    ②プルアウト方式
    通常のクラスに在籍しつつ、定期的にギフテッドの子どもたちだけを集めて授業を行う方式です。

    ギフテッドの子どもたち同士の交流が生まれるメリットがあるほか、都市圏の大規模校ではギフテッドの子どもたちだけを集めたクラスが編成されることもあります。
    日本では、特別な支援を要する子どもたちを対象とした「通級指導教室」の制度がありますが、これのギフテット版がプルアウト方式となります。

    ③アクセルレイト方式
    アクセルレイト方式は、いわゆる飛び級制度のことです。
    特定の授業の単位のみを先取りする方法のほか、上級生のクラスに在籍し、全ての活動を上級生と一緒に行う場合もあります。

    日本でも一部の大学で飛び入学制度が取り入れられており、高校を卒業しなくても大学に入れたり、大学を卒業しなくても大学院に入れたりする場合があります。
    ですが、飛び級先の大学を卒業できないと、高校を卒業していないことになり、中卒扱いになってしまうというデメリットがあります。

    こうしたデメリットについては現在も議論が続いており、ギフテッド教育の導入に伴い制度が改正される可能性も十分に考えられます。(参考::飛び入学について:文部科学省 (mext.go.jp)

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    ギフテッドと学校教育のまとめ

    ギフテッドと学校教育のまとめ

    この記事では、日本の学校におけるギフテッド教育の導入状況や諸外国の制度について詳しく解説してきました。

    改めてポイントをまとめると以下のとおりです。

    <POINT>
    ・ギフテッドとは、IQ130以上の高い知能を持つ人や、芸術や言語など特定の分野に突出した才能を持つ人を指す

    ・ギフテッドのお子さまは必ずしも優等生とは限らず、学校に馴染めない場合もある

    ・日本のギフテッド教育は諸外国に比べて遅れているが、2023年度に初めてギフテッド支援事業が予算化され、8000万円が計上された

    ・個々に応じた最適な教育を受けることは、「機会の平等」ではなく「結果の平等」の考え方に基づく

    ・私立学校の中には、2E型ギフテッドの支援に積極的に取り組んでいる学校がある

    ・東京都渋谷区では、ギフテッドの子どもたちのためのプログラムを実施している

    ・ギフテッド支援団体は、ギフテッドの子どもたちのために様々なプログラムを実施したり、個別教育計画書を作成したりしている

    ・アメリカはギフテッド教育の先進国であり、州ごとに様々な取組が行われている

    ・アメリカのギフテッド教育は、「エンリッチメント方式」「プルアウト方式」「アクセルレイト方式」の3つに分類できる

    日本のギフテッド教育は諸外国に比較すると遅れてはいますが、少しずつ前進しています。
    また、ギフテッドと一口に言ってもそれぞれの個性は様々であり、一人一人に適した教育を受けることが何よりも大切です。

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