特殊な才能を持つお子さまに必要な指導とは|ギフテッド教育現場での実態とこれから
- 周りの友達と話が合わず、人間関係に悩んでいる
- 学校の勉強以上のことを学ぼうとすると、先生に叱られてしまう
- 才能をどのように伸ばせば良いのかわからない
- ギフテッドに適した進路選択について相談したい
- 発達障害とギフテッドの二重の性質がある
- ギフテッドのために学校に馴染めず、不登校になってしまった
不登校や発達障害でお悩みのお子さまの中には、ギフテッドに相当する方がいらっしゃいます。
私は15年にわたり不登校・発達障害専門のプロ家庭教師として活動し、1500人以上のお子さまを指導してきましたが、周りに理解されず、同調圧力の中で苦しい思いをされているギフテッドのお子さまともたくさん出会いました。
お話しすればするほど、「プロ家庭教師としてギフテッドを支援していきたい」という思いはどんどん強くなっていきました。
【ギフテッド教育】特殊な才能を持つお子さまに必要な指導とは
「ギフテッド」とは、いわゆる天才児のことを指します。
一般的なIQは90~110程度ですが、ギフテッドのお子さまのIQは130以上あり、人口の2%が相当すると言われています。
★IQの測り方やギフテッドの診断方法についてはこちらの記事をご覧ください↓
ギフテッドのお子さまは、幼い頃から漢字の読み書きができたり、高い計算能力を持っていたり、難解な哲学書を読んだりと、同世代のお子さまと比べて並外れて高い知能を持っています。
生まれ持った才能を発揮し、その道の成功者となるお子さまももちろんいらっしゃいますが、「周りと合わない」「日本の教育が合わない」といった理由で才能が潰されてしまう場合もあります。
また、ギフテッドの中には「2E型」と呼ばれる、いわゆる発達障害の側面をあわせ持った方がいらっしゃいます。ある能力には突出している反面、別の能力は平均より低く苦手な事がある2E型のお子さまは、苦手な事ばかりが注目されてしまい、突出している才能に気付けないことがあります。
ギフテッドへの支援体制は、社会全体としてはまだまだ未整備ではありますが、プロ家庭教師として一つ一つのお悩みに向き合い、ギフテッドのお子さまやその保護者さまのために、少しでも力になりたいと考えています。何をどのように相談すれば良いのかわからない、といった状況の方でも大丈夫です。
こちらからお子さまの性質や状況を詳しくお聞きし、適切な指導やサポートについてご提案いたします。
初回相談は無料で承っていますので、ぜひお気軽にご相談いただければと思います。
学校におけるギフテッドのやりづらさ(浮きこぼれの問題)
高いIQを持っているお子さまにとって、学校の授業は多くの場合、物足りないものです。
周りのペースに合わせず、好きなことを好きなように勉強できれば、存分に才能を伸ばすことができるでしょう。中には、小学生ながらに大学教授とタッグを組み、数学の定理を発見した方などもいらっしゃいます。
もっと深いことを学びたい、自分の好きな分野を極めたい、と思うギフテッドのお子さまがたくさんいる一方で、「周りに合わせなければならない」という強い価値観が社会にあることも事実です。学校の授業が物足りないからと独学で勉強していると、「勝手なことをしないで」と先生に注意されてしまう場合もあります。
こういった経験が積み重なると、自分の興味がある分野を勉強することに罪悪感を覚えてしまったり、勉強そのものが嫌いになってしまったりして、結果的に才能が潰されてしまうことがあります。
このように、高い知能を持つがゆえに学校教育となじみづらいお子さまが抱える問題は、「浮きこぼれ問題」と呼ばれ、近年では徐々に注目されつつあります。
★参考記事↓
ご家庭においては、好きなものを思い切り勉強できる環境を用意してあげることが最も望ましいでしょう。
独学のほか、プロ家庭教師などによるホームスクーリングなど、それぞれのお子さまに応じた最適な学び方がありますので、ご本人とも相談しながら検討することをおすすめします。
好きな分野以外の勉強はどうすればいいの?という疑問もあると思いますが、正直なところケースバイケースです。突出した才能だけを伸ばせば良いお子さまもいれば、それ以外の分野も伸ばした方が良いお子さまもいます。知能指数だけでなく性格による部分もありますので、ご家庭だけでなく学校などとも相談しながら方針を検討しましょう。
勉強面だけでなく人間関係においても、ギフテッドのお子さまは困難を感じることがあります。
ギフテッドのお子さまの中には、知的好奇心が旺盛で、休み時間でも知的な会話を楽しみたいという方がいらっしゃいます。ですが、周りのクラスメイトの話題といえば、流行りの漫画やアニメ、アイドルと言ったものがほとんどであり、ギフテッドのお子さまが求めているような知的な会話に対応できるクラスメイトはいません。
周りから浮いてでも知的な会話を一人で続けるか、それとも我慢して周りに合わせるか……
いずれにせよ、ギフテッドのお子さまにとって苦痛であることには違いありません。私が出会ったある生徒さんは、頑張って周りと話を合わせていたのですが、その苦痛が非常に大きく、学校のことを思い出すだけで動悸や嘔吐といった身体的な症状が出るまでになっていました。
精神科を受診したところPTSDと診断され、さらに辛い記憶とギフテッドであることが強く結びついてしまったために、本来持っていた知的好奇心や高い記憶能力も封印され呼び出せなくなってしまいました。
海外への留学により以前より状態は回復しつつありますが、本人は「ギフテッドなんかに生まれなければ良かった」とも仰っており、日本の学校の環境とギフテッドの相性がいかに悪いかを示している例と言えます。
周りから孤立してしまったり、あるいは周りに合わせすぎて心が疲れてしまっているお子さまにとって、理解してくれる大人の存在はとても重要です。特別な才能を持って生まれたお子さまは、時には保護者さまでも接し方に戸惑ってしまうことがあるかもしれません。
私がお子さまの指導に関わる際には、いつもお子さまのお話に耳を傾けることから始めます。学校や勉強のことだけでなく、日常の生活のことでも趣味のことでも、とにかくお子さまの気持ちに寄り添い理解することが第一です。
最初のカウンセリングでは、保護者さまからもたくさん聞き取りを行い、学校やお家でのお子さまの様子について詳細に伺います。
あまりにたくさん質問するため保護者さまに驚かれることもありますが、一人一人に合わせた指導を行うために、「お子さまのことを知る」ということは最も大切なことです。
「自分のことをわかってくれる」とお子さまが感じられることが、指導者との関係性を築く第一歩であり、どんなことでも良いのでお聞かせいただくようにお願いしているのはそのためです。お子さまにとって心から信頼できる大人であることを何よりも大切にしながら、ギフテッド教育に取り組んでいきたいと考えています。
★ギフテッドで不登校だった小学生男子のお子さまが、周りと折り合いをつけられるようになり、学校復帰を果たせた指導実例↓
★宇宙物理にしか興味が無かったギフテッドのお子さまが、知的好奇心をくすぐるプロ家庭教師の授業により視野を広げることができた指導実例↓
2E型ギフテッドの困難
ギフテッドの中には、いろいろな能力のバランスが良い「英才型」と、ある能力は突出しているものの、他の能力では平均を下回ることのある「2E型」があるとされています。
英才型のギフテッドの場合、コミュニケーション能力や運動神経、創造力といった勉強面以外でも優れた能力を持っているため、2E型のお子さまに比べると抱える困難は少ない傾向にあります。
一方、2Eとは「twice-exceptional(二重に例外)」の意味で、例えば計算能力は平均より高くても、コミュニケーションや運動能力においては困難があるといったケースになります。能力に凹凸があるという意味では発達障害と同じカテゴリであり、2E型は「ギフテッドかつ発達障害」とも言えます。
2E型のギフテッドのお子さまは、出来ることよりも出来ないことに注目されがちです。そのため、単なる発達障害と診断され、持っている才能に本人さえも気付かない場合があります。
発達障害で生きづらさを抱えていた方が、社会に出てから自分の才能に気付き、才能を生かした仕事に就くなどして自己実現されている様子を見ると、「個性を伸ばす」ことがいかに重要かがわかります。
学校教育では、苦手を無くすことやオールマイティであることが望まれる傾向にありますが、実社会においては必ずしもそうではありません。
ご家庭におかれても、お子さまの苦手なことだけに注目するのではなく、得意なことをいかに伸ばすかという視点を持っていただければと思います。
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ギフテッドのこれから
アメリカや台湾などの海外では、ギフテッドのために特別なカリキュラムが組まれ、伸び伸びと学べる環境が整備されています。さらに、周りから浮いてしまうといったギフテッドならではの悩みをケアするための専門のカウンセラーや、ギフテッドのお子さまを持つ保護者のための相談窓口が整備されるなど、社会全体で見てもギフテッドのサポートが充実しています。
一方、日本の学校教育、とりわけ公教育においては、画一的な指導が一般的で、ギフテッドのお子さまが自由に学べる雰囲気はありません。社会的にもギフテッドの存在はほとんど認識されておらず、ギフテッドのためのサポート体制や専門的な知識を持った人はほぼいない状態です。
心理士や精神科医であっても、ギフテッドに理解がある人材は少なく、私のもとに相談に来られるギフテッドの方も、「カウンセラーに相談したが、ギフテッドについてきちんと理解してもらえている感じがしない」「精神科に通っているが、適切なアドバイスがもらえない」とお話しされることがほとんどです。
私もギフテッドについては勉強中の身ではありますが、「こんなに分かってもらえたことは初めてです!」と言っていただくことが多く、日本におけるギフテッドへの理解がまだまだであることを実感しています。
文部科学省では2021年6月から、特定分野に特異な才能のある児童生徒(ギフテッド)の支援について検討されています。メディアで取り上げられる機会も徐々に増えてはいますが、教育の現場でギフテッド支援の体制が充実するのはさらに先になるでしょう。(参考:特定分野に特異な才能のある児童生徒に対する学校における指導・支援の在り方等に関する有識者会議:文部科学省 (mext.go.jp))
今の日本社会の中でギフテッドの方が取れる選択肢としては、小学校や中学校の段階から私立を受験し、公立よりは比較的自由な環境で学ぶことなどが挙げられます。
ご家庭の経済状況や入学試験との相性がありますので、私立に通えばすべてが解決するというものではありませんが、公立学校との相性が悪かったり不安であったりする場合は、中学受験なども検討してみると良いでしょう。また、非常に少数ではありますが、ギフテッドに特化した私立学校もあります。(参考:翔和学園)
学校での集団学習にこだわらず、自分のペースで独学で勉強する場合であれば、フリースクールやホームスクーリングも選択肢になります。特定の分野や教科に特化した勉強になったとしても、大学受験であればその教科だけで受験できる場合もありますので、将来の進路を見据えながら検討していきましょう。
★不登校や発達障害で大学進学をお考えの方向けの記事↓
ギフテッドであっても、公立の学校で学びたいというお考えのご家庭もあるかと思います。
その場合の最大の懸念は「周りとの合わせ方」です。もっと難しい問題を解きたい、高度な話をしたいという気持ちといかに折り合いをつけるか。我慢しすぎると、前述の例のようにストレスで体調を崩したり、才能が引き出せない状態になったりしてしまいます。
本来の能力を隠し、表面上は周りのレベルと合わせつつも「本当はこんなものじゃない、自分は素晴らしい才能を持っている」と自己肯定できることが大切です。
お子さまが社会に出れば、いずれはギフテッドではない人たちとも付き合うことになります。“能ある鷹は爪を隠す”ではありませんが、普通の人と上手くやっていくための処世術を身に付けるという意味では、公立学校で学ぶことも一つの手段になるでしょう。
ギフテッドのお子さまが持っている才能はそれぞれ異なりますし、当たり前ですが性格も違います。ギフテッド教育に関しては社会全体で見ても十分な知見が無く、さらにどんな教育が最適かはお子さまによって違うため、ご家庭で全てを判断するには限界があります。確かな知識を持ったプロのアドバイスを受けることは、お子さまの成長にとって大きなプラスになりますので、ぜひ積極的にご相談いただければと思います。
お子さまが存分に才能を発揮し、より良い人生を歩んでいくために、精一杯お手伝いいたします。