【ADHD×読書】子どもが本を読まない・読めないときに親ができる4つのサポート法
「音読の宿題もすぐ嫌がってしまって…」
このように、お子さまの読書への苦手意識に悩む保護者さまは少なくありません。
特にADHD(注意欠如・多動症)の傾向があるお子さまは、集中の持続が難しい・文章を追うのが苦手といった特徴があり、読書に対して強いストレスを感じてしまうことも。
ですが、だからといって「読書ができない=学力がつかない」と決めつける必要はありません。
読書のつまずきには理由があり、特性に合ったサポートをすることで改善も可能です。
この記事では、ADHD傾向のある小学生が読書を苦手とする理由と、保護者さまができるサポート方法について、プロ家庭教師の視点から詳しくご紹介します。
- ADHDの特性が読書に与える影響とその対処法
- 小学生が読書を苦手に感じる理由と保護者の接し方
- 読書習慣づくりに役立つ本の選び方やアプローチ
- 「繰り返し読み」が学習面にもたらす意外なメリット
この記事はこんな方におすすめ
- お子さまが本を読もうとせず、困っている保護者さま
- 読書中に集中が続かず、すぐに飽きてしまう様子が気になる方
- ADHDの診断・傾向があり、学習や読書への影響が心配な方
- 家庭でできる読書習慣づくりの工夫を探している方

発達障害専門のプロ家庭教師・キャリアアドバイザー
妻鹿潤
・個別指導塾の経営・運営でお子様の性質・学力を深く観る指導スタイル
・yahooやSmartNews、Newspicksなどメディア向け記事も多数執筆・掲載中
▼目次
ADHD傾向のお子さまが読書を苦手とする4つの理由

ADHD(注意欠如・多動症)のお子さまが読書が苦手に感じる主な理由は、以下の4つです。
- ① 「本を読む」行為のプロセスの多さ
- ② すぐに気が散る
- ③ 興味があるときと無いときの差が激しい
- ④ 多くの子どもは読書が苦手
「本を読む」行為のプロセスの多さ
「読書」と一言で言っても、お子さまが文章を読むときには、実はたくさんの工程を同時にこなさなければなりません。
- ▼文字の形を判別する
-
▼文字として捉える
(=この形をしているのは、「あ」という文字である) - ▼文字を音に変換する
- ▼単語として捉える
- ▼単語の意味を理解する
- ▼単語をつなぎ合わせ、文章として理解する
- ▼文章同士のつながりを考え、文脈を理解する(時には、文字には表されていない“行間”を読むことも必要)
このように、「文章を読む」という行為にはたくさんのプロセスが含まれています。
ですが、ADHDの方はワーキングメモリーと呼ばれる脳の働きが平均よりも低い場合が多いため、こういった複数のプロセスを含む行為が苦手な傾向にあります。(参考:ADHDとワーキングメモリーについて)
たとえば、「どこを読んでいるのか分からなくなってしまう」といった様子が見られるお子さまは、脳が一度にたくさんのことを処理しようとして、混乱してしまっている可能性があります。
「どこを読んでいるのか分からなくなってしまう」というお子さまは、「どこを読んでいるか」というプロセスを頭の中ではなく外で行う、すなわち、定規を当てながら読んだり、指でなぞりながら読むと、脳の機能を外に出す(外在化させる)ことができるため、読みやすくなる場合があります。
幼いお子さまが絵本を読むときに、文字をなぞりながら読むことがあると思います。
これも、「文章を読む」という行為にまだ慣れていないため、文字を指でなぞることによって「文章を目で追う」という行為を外在化させて読む行為をアシストしていると言えます。
学年が上がるにつれて定規を当てたり指でなぞったりするのを恥ずかしがるお子さまもいらっしゃいますので、そのような場合は読んでいる箇所以外を本の別のページや他の資料で隠しながら読むのもおすすめです。
すぐに気が散る

ADHDの特性のひとつに、注意がそれやすく、集中を維持しにくいという点があります。
そのため、お子さまが本に集中しようとしても、まわりの音や視覚的な刺激、ちょっとした違和感などが気になってしまい、読書を続けるのが難しいというケースがあります。
たとえば…
- テレビの音や、兄弟の話し声が気になって読めなくなる
- ページをめくる手の感覚が気になってしまう
- 外の車の音や、隣の部屋の物音で集中が切れてしまう
静かな環境を整えることはもちろん大切ですが、周囲に音がなくても集中できないということもあります。 これは、頭の中に次々と浮かんでくるアイデアや考えが止まらず、「自分の思考に注意が引っ張られてしまう」ことがあるためです。
とくに低学年のお子さまの場合は、「読んでいたのに気づいたら全然違うことを考えていた」というようなことがよく起こります。
こうした傾向が強いお子さまには、
- 時間を区切って読む(5分集中→1分休憩)
- 読む前に「今日はここまで読もうね」とゴールを決める
といった、小さなステップでの読書がおすすめです。
無理に長時間読ませようとするのではなく、「今日はここまで読めたね」と一緒に喜ぶことで、読書の成功体験が少しずつ増えていきます。
興味があるときと無いときの差が大きい
ADHDのお子さまは、好きなことには驚くほど集中できる反面、興味を持てないことにはまったく手がつかない――という傾向がよく見られます。
例えば、
- ゲームや図鑑は何時間でも集中できるのに、教科書は全然読めない
- 大好きな物語は夢中で読み進めるのに、説明文や歴史の本は苦手
といった状態は「過集中」と呼ばれるもので、脳のブレーキが効きづらいADHD特性のひとつと考えられています。
決して「読書が嫌い」「努力できない」のではなく、興味のあるものとそうでないものの落差が大きいのです。
そのため、最初から難しい本や「勉強に役立つ本」ばかりを与えるのではなく、
まずはお子さまが自然と手に取るような本を選んであげることが大切です。
絵が多めの本、キャラクターものの読み物、写真図鑑や豆知識系の本など、「読書って楽しい!」と思える入口があると、少しずつ読む習慣につながっていきます。
保護者さまから見ると「もっと役に立つものを読んでほしい」と思ってしまうかもしれませんが、まずは「自分で読みたいと思える本」に触れることが、読書への抵抗感を減らす第一歩になります。
そもそも、小学生の多くは読書が得意ではありません
読書が苦手なお子さまを見て、「うちの子だけなのでは…」と心配される保護者さまもいらっしゃいますが、小学生の多くは“読むこと”にまだ慣れていません。
特に低学年のお子さまの場合、まだひらがな・カタカナを習ったばかりで、一文字読むだけでも大きなエネルギーを使っています。そのため、すぐに疲れてしまったり、「読むのがつらい」「面白くない」と感じてしまうのも、自然なことです。
また、学校の音読や読書の時間などで、「ちゃんと読めていない」「黙って座っていないといけない」と感じてしまうと、読書=しんどいもの、注意されるものというイメージがついてしまうこともあります。
無理に読ませようとすると、かえって読書への苦手意識を強めてしまうため、まずは“読んでみようかな”と思えるきっかけをつくることが大切です。
たとえば…
- 絵が多く、1ページあたりの文字数が少ない本を選ぶ
- 文字を読むより絵を見るのが好きなら、絵本や図鑑からスタートする
- 保護者さまがリラックスして読書している姿を見せる
などがきっかけ作りとして挙げられます。
なかでも、お子さまが興味を持ったタイミングで「これ面白そうだよ」とさりげなく本を手渡すのは、とても自然なアプローチです。
さらに、お子さまが好きな本を繰り返し読むことにも、大きな意味があります。
同じ本を何度も読むうちに、言葉のリズムや文の構造を体で覚えていきます。
「またその本?」と思ってしまうかもしれませんが、その“繰り返し”こそが読書の基礎力を育てている証拠でもあります。
繰り返し読むことで語彙が定着し、文章の構造を自然に理解できるようになります。こうした積み重ねは、国語の読解力や表現力にもつながっていきます。
発達障害専門のプロ家庭教師メガジュンでは、ADHD傾向のお子さまが「自分に合った方法」で読書に親しめるよう、一人ひとりに合わせた個別サポートを行っています。
たとえば、読書嫌いのお子さまが、自分から本に手を伸ばすようになったケースも。ご家庭だけで難しいと感じられる場合は、ぜひ一度ご相談ください。
>>無料相談を申し込む
お子さまが「本を好きになる」ために、保護者さまができる4つの工夫

この章では、ADHD傾向のお子さまが「読書が苦手…」と感じる背景をふまえながら、少しずつ「読むこと」に親しめるようになる工夫をご紹介していきます。
① 興味のあるテーマから始めてみる
読書への苦手意識が強いお子さまには、まず「興味を引く内容」に出会うことがとても大切です。
ADHDの特性として、好きなことには夢中になる一方で、興味がないことには集中できないという傾向があります。そのため、「とりあえず読ませる」だけでは逆効果になってしまうこともあります。
まずは、お子さまが「好き」や「楽しい」と感じる分野に関連する本から始めてみましょう。
- 図鑑や雑学本、マンガ図解などのビジュアルが多いもの
- 写真が豊富な科学ムックやテーマ別の児童雑誌
- 短時間で読める短編集やショートショート
たとえば、星新一さんのショートショート作品は、1話が数分で読めるため、読書が苦手なお子さまにもぴったりです。近年では田丸雅智さんなど、若手作家による読みやすいショートショートも多く出版されています。
「読めた」「おもしろかった」という体験を積み重ねることで、少しずつ読むことへの抵抗感が減り、自然と「本が好き」な気持ちが芽生えていきます。
② 親子で音読する・読み聞かせを続ける
読書が苦手なお子さまにとって、「ひとりで読む」ことへのハードルは想像以上に高いものです。特に、文字を目で追うのが苦手だったり、文章を理解しながら読み進めるのが難しいお子さまの場合、内容よりも「読む行為」自体に疲れてしまうことがあります。
また、お子さまの「優位感覚」(どの感覚から情報を取り入れるのが得意か)によっても、読書のアプローチは変わってきます。
たとえば、「聞くことで理解できる」「耳で覚えるのが得意」など聴覚優位の傾向がある場合は、音読や読み聞かせによって内容がスムーズに頭に入ることがあります。
- 一文ずつ交代で読む「交代音読」でリズムをつくる
- 寝る前の読み聞かせで物語に親しむ習慣をつける
- 読み終えた後に感想を言い合うことで理解力を育てる
大人の声で物語を「聞く」ことで、文章のリズムや言葉の美しさを自然と感じられるようになります。また、「こういう話があるんだ」「ちょっとおもしろいかも」と思える経験を通じて、自分から本を手に取るきっかけが生まれることも。
無理に「読ませよう」としなくても、親子の読書時間そのものが、お子さまにとって心地よい体験になれば、読書の第一歩は大きく前進します。
③ 読んだことを「書きとめる」習慣をつくる
読書が苦手なお子さまの中には、読み進めるうちに話の内容が分からなくなってしまうというタイプも少なくありません。そんなときに効果的なのが、「読んだことをメモする」「気になった言葉を書きとめる」といった小さなアウトプットです。
特に、ADHD傾向があり集中が続きにくいお子さまの場合、読む→書くという動作の切り替えが良いリズムになり、読書に集中しやすくなることがあります。
- 登場人物や場面ごとにメモを取ると内容を整理しやすい
- 「好きなセリフ」や「気づいたこと」を書きとめることで感情が動く
- あとから一緒にメモを見返すと、親子の会話のきっかけにもなる
また、「メモだけだとつまらない……」と感じる場合は、感想をまとめて「読書記録ノート」にするのもおすすめです。
好きな場面をイラストにしてみる、読んだ本を親子で紹介し合うなど、形に残す楽しさを取り入れることで、読書への前向きな気持ちが育っていきます。
「おもしろかった」「こんなことを考えた」という思いを言葉にすることが、お子さまにとっての「読書の手ごたえ」になり、モチベーションにもつながります。
④ 読書が苦手な小学生の時期から“読む楽しさ”に気付くには

ADHDの傾向があるお子さまにとって、「本を読むこと」はときにハードルの高い行動です。
それでも、「読むってちょっと楽しいかも」と思えるきっかけがあると、自分から本に手を伸ばすようになることも少なくありません。
そのきっかけづくりとして、幼い頃からの読み聞かせはとても有効です。
よく読み聞かせをされていたお子さまは、活字への抵抗感が少なく、親が声をかけなくても自然と本を読むようになることがあります。
小学校低学年くらいまでは、ぜひ読み聞かせの時間を積極的にとってみてください。
お気に入りの絵本があれば、何度も繰り返して読むのもおすすめです。
- お気に入りの本は何度も繰り返し読んでOK
- 「読んであげる」時間が安心感や関心につながる
- 文章のリズムや言葉の使い方を自然に身につける
同じ本ばかり読んでいて「もっといろいろ読んでほしい」と感じるかもしれませんが、繰り返し読むことは、お子さまの理解力や表現力の土台になります。
正しい語彙や文法で書かれた本であれば、安心して何度でも読ませてあげて大丈夫です。
ただし、中には「文字を読むこと自体がどうしても苦手」というお子さまもいます。
この場合、背景に「読字障害(ディスレクシア)」がある可能性も考えられます。
読字障害では、文字と音のつながりが認識しづらかったり、視覚的に文字の形をとらえるのが難しかったりします。
無理に読ませようとすると、自己肯定感の低下や読書への苦手意識につながってしまうこともあります。
このような場合は、言語聴覚士などの専門家や、発達支援センターへの相談をご検討ください。
(参考:学習障害(LD)について)
一方で、読字障害があるわけではなく、「集中力の持続が難しい」「興味の幅が限られている」といった理由で読書が苦手なお子さまも多くいらっしゃいます。
そのような場合は、この記事でご紹介したような工夫によって、少しずつ読書との距離を縮めていくことが可能です。
>>ASDとLDによる「読むことの苦手さ」の改善事例はこちら
ご家庭での工夫に限界を感じたら
「読み聞かせやテーマ選びなど工夫してみたけれど、どうしても集中できない」「読書が楽しいものだと思えない」——そんなお悩みもあるかと思います。
プロ家庭教師メガジュンでは、読書への困難さの背景にある特性を見極め、お子さまに合った方法で読解力を支援しています。まずはお気軽にご相談ください。
ADHDの特性が影響している可能性も
お子さまが読書に集中できない背景には、ADHDの特性が関係していることもあります。
たとえば、注意が長く続きにくい、気になることに過集中してしまうなどが読書の妨げになることがあります。
また、読み飛ばしが多い・同じ行を何度も読んでしまうなど、親が気づきにくい「学習のつまずき」につながっているケースも少なくありません。
より詳しくは、以下の記事で特性ごとの困りごとを解説していますので、あわせてご覧ください。
まとめ|読書が苦手なお子さまにも「言葉の世界を楽しむ体験」を
読書が苦手なお子さまには、必ずしも「読む力」が足りないわけではありません。
集中力・処理の仕方・得意な感覚など、さまざまな特性が影響していることがあります。
無理に読ませようとするのではなく、親子で物語を楽しむ時間を作ったり、少しずつ自分に合った方法を見つけたりすることが、読書との距離を縮める第一歩です。
どうしても「読みづらさ」が強いときは、ディスレクシアや発達特性の可能性も視野に入れつつ、必要に応じて支援を受けることも大切です。
お子さまの読書の困りごと、まずはお話ししてみませんか?
プロ家庭教師メガジュンでは、ADHDやLDのお子さまが「言葉の世界」に自然に触れていけるよう、段階的な支援を行っています。
「本を読むのが苦手」「読み書きに時間がかかる」など、ちょっとした気になることでも構いません。まずはお気軽にご相談ください。