発達障害の高校生の特徴は?勉強・人間関係・進路の悩みと解決方法を紹介!
発達障害のあるお子さまは、高校生になると小中学校の頃とは違った悩みや困りごとを抱えることになります。勉強の内容が難しくなるだけでなく、クラスの中でのコミュニケーションも高度になり、人間関係での悩みを抱えることも多くなります。
加えて、高校は義務教育ではないため、単位を取らないと退学になってしまう可能性があります。また、就職か進学かといった進路についても考えていかなければなりません。
このように、高校生になると悩みや困りごとが複雑になっていく一方、年齢が上がるにつれてお子さまと保護者さまの距離はどんどん離れていきます。小中学校の時は保護者さまが先回りしてカバーできていたことも、高校生になれば「親にいちいち口出しされたくない」という自立心も強くなり、何から何まで面倒を見てあげることは難しくなります。
どんなお子さまであっても、いずれは親元を離れ独り立ちすることになります。「自分で何とかする」という力を付けるためにも、お子さまが高校生になったら、保護者さまは手出しや口出しを控え、サポート役に徹するよう少しずつシフトチェンジしていかなければなりません。
この記事では、発達障害専門のプロ家庭教師の視点から、発達障害のある高校生の方が抱えやすい悩みや困りごと、そしてその解決方法について詳しく解説していきます。
高校生の発達障害とは(ASD・ADHD・LD、グレーゾーン)
発達障害は、ASD・ADHD・LDの3つに分類されます。この章では、それぞれの発達障害の特性と、高校生の時期に特に抱えやすい困りごとについて解説していきます。
高校生の発達障害とは①ASD(自閉スペクトラム症、アスペルガー症候群)
ASD(自閉スペクトラム症)とは、「社会性・コミュニケーションの不全」と「限定された興味・こだわり」を特性とする発達障害です。アスペルガー症候群とはASDの分類の一つで、知的な発達に問題が無く、言葉の遅れを伴わない自閉傾向のことを指します。
<ASDの分類>
- アスペルガー症候群 …知的な遅れも言葉の遅れも伴わない自閉傾向
- 高機能自閉症 …知的な遅れはないが、言葉の遅れがある自閉傾向
- 自閉症 …知的な遅れと言葉の遅れがある自閉傾向
ASDの特性は3歳ころから現れるため、乳幼児健診で指摘され診断につながるケースも多くなっています。一方、言葉の遅れが全く見られず、逆に言語理解が高いASDのお子さまの場合は、幼児期に特性に気付かれず、大きくなってからASDであることが判明するケースもあります。
「一方的に話し続ける」「予定の変更でパニックになる」など、ASDの特性が分かりやすく現れている場合は早めに支援につながることができますが、特性がそれほど目立たず、「会話の流れが分からないことがあるが、とりあえずニコニコして乗り切っている」「予定の変更で強いストレスを感じているが、我慢している」というタイプの方は、確定診断に至らず、生きづらさを抱えたまま大人になる場合もあります。
特性がそれほど目立たず、確定診断にも至らない場合は「グレーゾーン」と呼ばれます。グレーゾーンの方の生きづらさは、自意識が芽生え、自分と他人を比べるようになる思春期くらいから強く自覚されるようになります。
「周りの人が当然のようにできていることが、自分にはできない」
と気付くこと自体が、思春期の子どもたちにとっては強いストレスになりますし、無理に周りに合わせようとすることで、さらに精神を消耗し、不登校になってしまったり、うつや不安障害になってしまったりといった二次障害を抱える場合もあります。
小中学生の場合は「ちょっと変わった子」として受け入れられたことも、高校生になると周りも、そして本人自身も「周りと違う」ということが受け入れ難くなってきます。
ASDの高校生のお子さまに対しては、メンタル面においても丁寧にサポートするとともに、必要に応じてソーシャルスキルトレーニングなどの療育に取り組むようにしましょう。
2018年からは、高校での通級指導教室も制度化されました。ASDのお子さまのソーシャルスキルトレーニングについては、学校や放課後等デイサービスとも連携しながら取り組んでいくと良いでしょう。
高校生の発達障害とは②ADHD(注意欠如・多動症)
ADHDは、「不注意」と「多動性・衝動性」を特性とする発達障害です。いずれの特性も集中力のコントロールしづらさが原因となっていて、集中力が散漫になってしまう場合は「不注意」が、集中力にブレーキが利かない場合は「多動性・衝動性」が特性として現れることになります。
多動性・衝動性については年齢が低い頃の方が目立ちやすく、授業中の立ち歩きや落ち着きの無さが典型的な特徴として現れます。
ただ、ADHDの多動傾向は年齢とともに落ち着く場合が多く、小学生の頃は立ち歩きが激しかった子も、中学・高校に上がるにつれて座って授業が受けられるようになる場合がほとんどです。
一方、不注意の特性は「ぼーっとしてしまう」「段取りが悪い」という形で現れます。小学校くらいまでは、先生がこまめに集中を促してくれたり、周りの大人が段取りを示してくれたりするため、困りごとがあまり目立たず、特性に気付かれないケースも多くなっています。
学年が上がると、自分で集中力をコントロールし、段取りを立てることが求められます。
例えば、小学生の頃は「算数のプリントは青色のファイルに、おうちの人に見てもらうプリントは黄色のファイルに綴じましょう」とプリントの整理の仕方まで具体的に教えてくれますし、先生によっては「机の右上に筆箱を置きましょう」など、文房具の配置まで指示される場合もあります。
ところが、中学校や高校に上がると、プリントの整理でも授業の準備でも、自分で考えて行動しなければなりません。
頭の中の思考がまとまりづらい不注意優勢型のADHDのお子さまは、何から手を付けるべきか分からず、机の中や鞄の中がいつもぐちゃぐちゃだったり、重要ではないことに気を取られて授業準備が疎かになってしまったりといった困りごとを抱えることになります。
コミュニケーションの困りごとについてはASDの人の方が抱えやすい印象がありますが、ADHDのお子さまの場合も、
- 言わなくても良いことを勢いで言ってしまう
- おしゃべりに夢中になってやめられない
- 話題があちこちに飛ぶ
- 興味が無い話に集中できず人の話を聞けない
といったコミュニケーション上の困りごとを抱える場合があります。また、そそっかしさや遅刻の多さなどから周りから呆れられることも多く、ADHDのお子さまでも人間関係で悩んでおられる方はたくさんいらっしゃいます。
どんなお子さまも、いずれは社会に出て自分の力で生きていかなければなりません。高校生になったら、保護者さまが先回りしてやってあげる段階から、自分の力で解決できるように促す段階へと、少しずつステップアップしていく意識を持ちましょう。
整理整頓が苦手なお子さまの場合は、プリントの種類ごとにファイルを分けたり、物の定位置を決めたりするなど、物を片付けるときのコツを具体的に教えてあげると良いでしょう。
段取りを立てることの苦手さについては、高校生のうちからToDoリストやアラームアプリなどを使い、タスク管理やスケジュール管理に慣れておくことをおすすめします。
勉強の段取りを立てることは、社会人になってから仕事の段取りを立てることにも通じますので、将来働くときの練習だと思って取り組みましょう。
どのアプリが使いやすいのか、あるいは手帳やホワイトボードの方が使いやすいのかなど、人によって使いやすいツールは様々です。高校生のうちから色々なツールを使いこなせるようになっておくと、大学生や社会人になってから必ず役に立ちますので、早めに自分の使いやすいツールやタスク管理の方法を見つけていくようにしましょう。
高校生の発達障害とは③LD(学習障害、SLD(限局性学習症))
LD(学習障害、SLD(限局性学習症))とは、知的な遅れや視覚・聴覚に問題が無いにもかかわらず、読み・書き・計算など特定の学習スキルに困難が生じる発達障害のことです。2013年にアメリカの精神医学会が定める診断基準(DSM-5)が改訂されたことにより、診断名は「LD(学習障害)」から「SLD(限局性学習症)」へと変更されつつありますが、基本的には同じ症状を指すものと考えて問題ありません。
LDは、読み・書き・計算のどれに困難があるかによって、以下の3つに分類されます。
<LDの3分類>
- 読字障害(ディスレクシア) …読むことの困難
- 書字障害(ディスグラフィア) …書くことの困難
- 算数障害(ディスカリキュア) …計算することの困難
いずれの場合も、小学校低学年頃から特性が明らかになる場合が多く、読字障害の場合は音読がたどたどしく読み間違いが多い、書字障害の場合は漢字が正しく書けない/文字がマス目からはみ出す、算数障害の場合は繰り上がり・繰り下がりの計算ができないなどの特徴が見られます。
ただ、記憶力が高いお子さまの場合は、教科書の本文を丸暗記したり、計算式を丸暗記したりして乗り越えることも多く、学年が上がるまで特性に気付かれないケースもあります。また、ASDやADHDなど他の発達障害を併発していない場合は日常生活にもほとんど支障が無いため、単に「国語/算数が苦手な子」と捉えられてしまう場合もあります。
LDであることに気付かれないまま学年が上がると、適切なサポートが受けられず、どんどん勉強に遅れが出てしまいます。人一倍勉強しているのに成績が上がらず、それどころか内容が難しくなるにつれて成績は下がっていく一方であるため、自信を無くして勉強に取り組むことを避けるようになるほか、自己肯定感が下がり、精神的に大きなストレスを抱えてしまうお子さまも少なくありません。
たくさん勉強しているのに成績が伸びなかったり、基本的な読む・書く・計算するといった部分でつまずいたりする様子が見られる場合は、LDである可能性を検討し、ウィスクラー式知能検査(WISC-IV)や音読検査などを受けるようにしましょう。
読む・書く・計算するといった基本的な学習スキルの苦手さは、本人に合ったトレーニングを行うことで少しずつ向上させることができます。また、読み上げソフトや電卓などの補助ツールを使うことで困りごとを軽くすることもできます。
大学入学共通テストでは、LDの特性に合わせた特別な配慮を受けられる場合があります。試験時間の延長や読み上げ補助の利用などが認められる場合がありますので、大学入学共通テストを受験する予定がある場合は事前に調べておきましょう。
特別な配慮を受けるための要件として、学校でどのようなサポートを受けていたかを証明しなければならない場合もあります。申請書類の作成にあたっては学校のサポートも必要になりますので、早めに通っている高校に相談するようにしましょう。
発達障害の高校生が抱えやすい困りごと5選
この章では、発達障害を持つ高校生ならではの困りごとについて解説していきます。高校生になると、勉強が難しくなったり、人間関係が複雑になったりするだけでなく、二次性徴の時期を迎えることで心身のバランスか崩れやすくなるなどの困りごとも生じます。
また、高校生は、恋愛や性に関することに関心を持つ時期でもありますが、コミュニケーションや一般常識の認識が難しい発達障害のお子さまは、思わぬトラブルに巻き込まれてしまう可能性もあります。
こうした困りごとをできる限り避けるためには、周りの大人が適切にサポートし、自分で自分をコントロールできる力を身に付けさせてあげることが必要です。以下では、それぞれの困りごとと解決方法について詳しくお伝えしていきます。
発達障害の高校生が抱えやすい困りごと5選①本音と建前が使い分けられない
人間関係が複雑になるということは、すなわち、「本音と建て前を使い分けられるようになる」ということです。興味が無い話でも相槌を打ったり、苦手な人とでもある程度付き合ったりするのも、本音と建て前を使い分けているからこそできることです。
しかし、発達障害の方は本音を隠すのが苦手であったり、建て前がどういうものかが分からなかったりするために、コミュニケーションが上手くいかない場合があります。
ただ、捉え方によっては、発達障害のお子さまは自分の心に素直であると言うこともできます。周りに流されず、自分の信じたことを貫けるのは長所でもありますので、周りの子たちと同じように器用にコミュニケーションが取れるようになるのを目指すのではなく、その子なりの良さを生かした人付き合いの方法を見つけていくと良いでしょう。
例えば、周りの子が流行りのアイドルの話をしているからといって、無理に話に入っていく必要はありません。自分の興味が無い話であれば、「今は本を読みたいから」と距離を取っても何も問題はありません。
クラスで孤立してしまうのでは…と心配に感じる保護者さまは多いかもしれませんが、クラスで孤立すること自体は悪いことではありません。自分なりの興味や関心を追求していれば、いずれは趣味の合う友人に出会えるかもしれませんし、「1人でも楽しい」というタイプのお子さまに、無理に友達付き合いさせる必要はありません。
日本の学校教育(社会全体と言っても良いかもしれません)においては、「周りに合わせることを良しとする価値観」が非常に強いように思います。クラスではいずれかの仲良しグループに属さねばならず、そこからはみ出そうものなら暗い学校生活が待っている…とイメージしてしまう人は多いのではないでしょうか。
私が指導してきたお子さまの中には、「周りに馴染まなければ」と思うばかりに自分らしさを封じ込め、苦しい思いをし、結果不登校になってしまった方がたくさんいらっしゃいます。
我が道を貫くことは、孤独や寂しさを伴います。ですが、私はそれ以上に、お子さまがお子さまらしくいられることの方が大切だと思います。どうかご家庭におかれては、「周りと違うことは悪いことではない」「孤独は恥ずかしいことではない」ということを、折に触れて伝えていただきたいと思います。
ただし、コミュニケーションの苦手さから人を傷つけてしまう言動が見られる場合は対応が必要です。
- 太っている人に「太っているね」と言ってしまう
- クラスメイトがアイドルの話題で盛り上がっているときに、「あんなものはくだらない」と割って入る
- 怒りの感情が我慢できず、物に当たったり、大声を出したりする
これらは周りの人たちを傷つける行為ですので、改善していかなければなりません。本人には悪気が無い場合がほとんどですので、「なぜダメなのか」を論理的に説明し、どうすれば良いかについて具体的に示してあげるようにしましょう。
高校生にもなると、学校での様子は保護者さまに見えづらくなっていきます。いじめのきっかけが本人の特性による言動であるケース(上述のように、アイドルのことを「くだらない」と公言したことで仲間外れにされるなど)もあるため、気になることがある場合は早めに学校に相談し、お子さまの学校での様子について情報提供してもらうようにしましょう。
人間関係で悩んだり、トラブルが頻発したりする場合は、通級指導教室や放課後等デイサービスでソーシャルスキルトレーニングを受けることも検討すると良いでしょう。
発達障害の高校生が抱えやすい困りごと5選②課題やテストに自律的に取り組めない
高校生になると、課題やテスト勉強については自分で計画を立て、ペースを管理しながら取り組むことが求められます。課題やテストに対して自律的に取り組むことが難しい場合は、その背景に発達障害の特性が関係しているかもしれません。
高校生になると、中学生の時と比べて教科の数が増え、内容もかなり難しくなります。テスト週間以外でも計画的に予習・復習することが必要でありながら、学校によっては膨大な量の課題が出されることもあり、日々の課題をこなすことで一杯一杯になってしまうお子さまも少なくありません。
タスク管理について小中学校では何も教えてくれなかったのに、高校生になった途端に「自分でやりなさい」と言われることは、彼ら/彼女らにとっては非常に酷なことだと思います。本当は小学校の段階から「タスク管理」について少しずつ練習していくべきだと思いますが、こればかりは日本の教育制度が変わらない限り難しいでしょう。
ただ、多くのお子さまは、数をこなせばそれなりに課題もテスト勉強も、自分なりに段取りを立てクリアできるようになっていきます。ですが、発達障害のあるお子さまは、物事全体を見通したり、合理的に優先順位を考えたりすることが苦手なため、いつまで経ってもタスク管理が苦手なままの場合があります。
お子さまが課題を期日までに提出できなかったり、テスト勉強が計画的に進められなかったりするときは、「期限を守りなさい」「テスト勉強しなさい」と漠然とした声掛けをするのではなく、どうすれば良いかを具体的に指示してあげてください。
例えば、
「提出期日の早いものから順に取り組むようにしよう」「各教科のテスト範囲を書き出してみよう」
「テストまであと10日だね。英語のテスト範囲は教科書30ページ分だから、1日5ページ進めると6日で終わらせることができるね」
といったように、計画を立てるということが具体的にどのような手順なのかを教えてあげます。最初は保護者さまが手伝い、慣れてきたらお子さまだけで計画を立てられるようにしていきましょう。
発達障害の高校生が抱えやすい困りごと5選③ホルモンバランスの崩れによるメンタル不調
これは私の知り合いの娘さまのエピソードなのですが、娘さまは高校に入ってから、時々学校を休むようになったそうです。理由は頭痛やめまい、そして何となくやる気が出ない、憂鬱であるといったものであったため、両親は「学校で嫌なことがあったのではないか」と心配し、いじめや不適切な指導が無いかを学校に確認したそうです。
学校はとても協力的で、登校できているときの娘さまの様子を子細に教えてくれたそうですが、特に変わった様子は無く、クラスメイトとも仲良くやれているということでした。
原因が分からずご両親とも困っていたところ、お母さまは娘さまの不調に周期性があることに気付きました。娘さまの心身の不調の原因は、月経周期に伴うPMS及びPMDD(※)だったのです。
※PMS(月経前症候群)とは、月経が始まる3~10日ほど前に様々な身体的・精神的症状が現れることで、特に重い気分変調があるものはPMDD(月経前不快気分障害)と呼ばれます。
PMSやPMDDは思春期頃に現われることが多いと言われており、月経が始まって間もない若い世代の方は、自分でも不調の原因に気付かない場合があります。
また、高校生は二次性徴を迎える時期であり、男女問わずホルモンバランスが崩れやすくなります。そのため、憂鬱感などの気分変調や頭痛・腹痛・めまい・不眠といった身体的な不調が現れることがあります。
お子さまがイライラしたり落ち込んだりしていると、「何か嫌なことがあったのかな?」と外的・社会的な要因を探してしまいがちですが、成長に伴うホルモンバランスの乱れという内的・身体的なものが要因となっているケースも意外と多いことはぜひ知っておいていただきたいと思います。
対策としては、規則正しい生活とバランスの取れた食事、そして身体がしんどい時は無理せずしっかりと休むことが大切です。自身の身体の変化に一番戸惑っているのはお子さま本人ですので、「何でイライラしてるの!こっちまで気分が悪くなる」などとは言わず、そっと見守るか、気分を落ち着ける方法を教えてあげるなどしましょう。
発達障害のお子さまで、自分の気持ちを把握することが苦手な場合は、イライラ度合いを数値化して伝えさせる方法がオススメです。イライラ度を0~10までで表してもらい、イライラ度が6を超えたら「外の空気を吸いに行く」「温かい飲み物を飲む」など、気持ちを落ち着けるためのルーティンを作ると良いでしょう。
発達障害の高校生が抱えやすい困りごと5選④好意を持った人に一方的にアプローチする/性被害にあう
高校生は、恋愛や性に関することに興味を持ち始める時期でもあります。発達障害のお子さまは相手の気持ちを想像することが苦手なため、一方的に好意を押し付けアプローチし、相手に恐怖心を抱かせてしまうケースもあります。
特に男の子の場合は、身体も大きくなり力も強くなるため、本人に悪気は無くてもちょっとした動作(急に近づく、腕をつかむ)などが相手に大きな恐怖心を抱かせてしまう場合があります。相手との適切な距離感とはどのようなものか、ご家庭でもしっかりと伝えるようにしましょう。
相手の気持ちを必ず言葉で確認することも大切です。「何度も目があったから」という理由で相手も自分に好意を持っていると勘違いするケースや、メッセージアプリの返信が来ないからと一方的に何度もメッセージを送り続けるなどは発達障害のお子さまによくある例ですが、いずれの場合も「相手はどう感じていると思う?」と考えるきっかけを与え、お子さまの行動は相手に不快感や恐怖を与えるものであることを論理的に説明しましょう。
併せて、どのような行動が望ましいか(相手に気持ちを確認する、連続してメッセージを送るのは3件までにする 等)も教えてあげると良いでしょう。
発達障害のお子さまが、性的な被害に遭ってしまうケースも多くなっています。同意の無いまま身体を触られても「好きだから」と言われて我慢してしまったり、インターネットで知り合った人に女性だと思って会ってみると男性で性被害に巻き込まれたりと、言葉を文字通りに受け取ってしまうことなどから相手を疑えず、トラブルに遭ってしまうケースが多くなっています。
お子さまが性被害に遭っていることがわかったら、お子さまの言動を否定せず、「話してくれてありがとう」「怖かったね、あなたは悪くないよ」と声を掛けてあげてください。「あなたが無防備だから悪い」「ぼーっとしているから騙される」といった声掛けは二次被害に当たりますので絶対に避けましょう。
性被害に遭わないようにするためには、危険な場面はどのようなものなのかを具体的に伝え、相手の言葉や行動の裏にある意図を解説しましょう。そして、嫌だと思ったらはっきりとNOと伝えること、場合によっては大声を出したり逃げたりして、自分の身を一番に守ることなどを伝えていきましょう。
発達障害の高校生が抱えやすい困りごと5選⑤進路を客観的に判断できない
発達障害のお子さまは、自分のことを客観視するのが苦手な傾向にあります。自分の学力レベルとかけ離れた大学に進学したいと言い出したり、コミュニケーションが苦手であるにも関わらず営業職に就きたいと言ってみたり、芸能人になりたいと言ってみたりと、周りからすれば驚くような希望進路を口にする場合があります。
こうした場合は頭ごなしに否定するのではなく、「なぜそう思うのか?」をまずは本人に聞いてあげましょう。単にそれしか思いつかなかったからというケースは非常に多く、「他にもこんな選択肢があるよ」と示してあげると、すんなりと相応の進路を選んでくれることもよくあります。
お子さまが自分を客観視できておらず、「自分はこの進路に向いている」と思い込んでいる場合は、客観的な情報を伝えてあげましょう。模試の結果などを示し、「この時点でE判定だとかなり厳しい。これから1日14時間くらい勉強する必要があるけど、できそう?」と具体的に問いかけてください。
それでも本人が譲らない場合は、「12月の模試でB判定にならなかったら志望校を変えること」など条件を示すと良いでしょう。
本人にやる気があるのだから、浪人させてでもチャレンジさせてあげたいという保護者さまもいらっしゃるかもしれません。ですが、本人の特性に合わない進路を選んでしまうと、もし合格(就職)できたとしても、お子さまはその後、合わない環境の中で過ごし続けなくてはなりません。
本人に適性の無い進路を選んだことで結局ドロップアウトしてしまうパターンもありますので、進路については慎重に、客観的な意見もしっかりと踏まえて判断するようにしましょう。また、「自分を客観的に見る」というスキルは一生役立ちますので、高校生の時期に一度じっくり取り組んでみることをおすすめします。
発達障害の高校生のまとめ
この記事では、発達障害のある高校生が抱えやすい困りごととその解決方法などについて詳しく解説してきました。改めてポイントをまとめると、以下のとおりです。
<POINT>
- 発達障害はASD・ADHD・LDの3種類に分類される
- ASDの高校生はコミュニケーションの苦手さを持つため、人間関係の悩みを抱えることが多い
- ADHDの高校生は集中力のコントロールが苦手なため、整理整頓ができなかったり、衝動的な言動で周りを困らせてしまったりすることがある
- LDの高校生は特定の学習スキルに困難を持つため、勉強についていけず、自己肯定感が下がってしまうこともある
- 2018年からは高校での通級指導も制度化されており、ソーシャルスキルトレーニングなど本人に合ったサポートを高校でも受けられるようになった
- 発達障害のある高校生はクラスで孤立してしまうこともあるが、孤独であることは必ずしも悪いことではない
- 課題やテストに自律的に取り組むことが難しい子に対しては、計画の立て方を具体的に教えてあげると良い
- 発達障害のある高校生の困りごとは、外的・社会的なものではなく、ホルモンバランスの崩れなど内的・身体的なものが要因となっている場合がある
- 恋愛や性に関する問題は、シチュエーションを具体的に示しながら説明し、自分の身を守ることを第一に行動できるよう指導する
- 進路を検討する際には、自分を客観的に分析できるよう周りがサポートする
発達障害のある高校生のお子さまは、大人へと近づいていく時期であるからこそ、様々な悩みや困りごとを抱えることになります。小中学生の頃とは違い、大人が何から何までやってあげるのではなく、自分で何とかする力を付けていけるようにサポートすることが大切です。
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最後までお読みいただきありがとうございました。